作品

概要

作者七原
作品名いんだいれくとりー・きす
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-02-20 (火) 00:35:46

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「う〜ん、味はまあまあってところかしら」
 本日は土曜日、本来なら平穏な惰眠でもむさぼるか、或いは唐突に今の自分の立場を思い出して受験勉強に励むかと言ったところなのだろうが、生憎俺はハルヒの思いつきにより振り回される立場にあった。ファーストフードの期間限定メニューの謎がどうのと言っていたが、ようは単なる退屈しのぎ、久しぶりにみんなで遊びたい、ということなんだろう。
「……」
 ハルヒの向かい側では、長門が無言のままハルヒと似たりよったりな速度で期間限定の特大ハンバーガーを平らげている。
「でかけりゃ良いってもんじゃないと思うんだがな」
 見ているだけで食欲が失せるとまでは言わないが、俺は対角線上で豪快に三つ目の特大ハンバーガーに手を伸ばした元気娘や、隣で黙々と二つ目の特大ハンバーガーを食べ終えた寡黙系少女を見習う気はない。
 こんなものは話の種に一つ食べれば十分だろう。
「古泉くん、それ、食べきれないの?」
 何時の間にやら三つ目の特大ハンバーガーを食べ終えたハルヒが、隣でちまちまと一つ目を食べていた古泉に話しかけた。
「あ、いえ……」
「あんまり無理しない方が良いわよ? あ、なんだったらあたしがもらうわ」
 一見すると相手を気遣っているような台詞だが、この場合、ただ単に自分が食べたかったらの発言なんじゃ……、なんて思うのは、過去の経験故だろうか。
「お願いします」
「じゃあ、もらうわね」
 しかしそんな俺の疑問とは無関係に、古泉は少し申しわけなさそうな顔をしてハルヒに残りのハンバーガーを手渡した。
 大体残り三分の一ってところか。平均かそれ以上の体格を持つ男子高校生がこのハンバーガーを一個食べきれないってのもどうかと思うが……、まあ、ここに来る前に何か食ってきたのかもな。
 そういやこれ、間接キスってことになるんだよな。
 今更そんなことをとやかく突っ込む気は無いし、そもそも言ったら何が帰ってくるか分かったものじゃないので、その件に着いては脇に置いておくか。大体、こいつ等の間に有るドリンクも特大コーラ一つきりだしな。
 この大手ファーストフードチェーン店の期間限定メニューは二種有るんだが、一つが四段重ねの特大ハンバーガーで、もう一つがこの特大コーラなのだ。今日はハルヒが勢い任せで注文した特大ハンバーガー10個と特大コーラ二つを、この四人で分け合ってるという状況に有る。
 そして当たり前のことだが、もう一つのコーラは俺と長門の間だ。
 間接キス云々なんてのを自分の身になって一々考えるほど初心でいるつもりは無いんだが、さて、長門はどう考えているんだろう。
「長門、頬にケチャップついているぞ」
 なんて思って長門の方を見ていたら、長門はその白い頬にハンバーガーからはみ出たケチャップをつけていた。
「……」
「お前ももうちょっとゆっくり食え」
 10個のバーガーの配分についてとやかく言う気は無いが、だからと言って、食べ散らかして良いというものでもない。
「……」
 長門は無言でこくりと頷くと、手に持ったハンバーガーをトレイに置き、手元にあった紙ナプキンで頬を軽く拭った。
「……広がっているぞ」
 俺は溜息を吐きつつ、長門の頬に広がったケチャップを拭ってやった。
 何と言うか、長門は一見完璧キャラなくせに、こういうちょっとしたところが抜けているんだよな。まあ、そういうところも可愛いと思うけどさ。
「ありがとう」
 長門は一言そういうと、今度はコーラに手を伸ばした。
 それから、首をほんの少し傾けて、俺の方を見上げた。どうした、何か言いたいことでも有るのか?
「……何でもない」
 長門は一言そう言うと、でかい紙コップから突き出たストローからコーラを吸う口啜ると(それは明らかに炭酸飲料を飲むときの速さじゃないぞ、と思ったが、そんなことはあえて突っ込むまい)、ストローから口を離し、僅かに首を傾げてから、その紙コップを俺の方に押し付けた。
「……は?」
「あなたはまだ一口も飲んでない、あなたも飲むべき」
「え、あ……、まあ、飲むけどさ」
 長門、お前なあ……。
 くそ、ハルヒも古泉もニヤケ顔だし……。
「飲んで」
「分かった分かった、俺も飲むから」
 俺は長門からコーラを受け取り、ストローに口をつけた。
 間接キス云々について、とは言ったが、長門と二人、同じドリンクに口をつけるってのも、まあ、良い物かもしれない。 
 外野が居なけりゃもっと良いと言いたい所だが、今日のことを持ち出してきたのはこの外野コンビなので、その部分も流してやっていいさ。長門は、人が居ないところの方が素っ気無いような奴だしな。……見せ付けたい、とでも思っているんだろうか。
 この二人に見せて何の意味が有るかは、謎なんだが。
「うーん、二人で飲むためのハートのストローでも持ってくればよかったかしら」
 ハルヒはハルヒで、さらっと恐ろしいことを口にする。隣の古泉のニコニコ笑顔も平常運営中。……中学生レベルの付き合いをしていたのは、もう何ヶ月も前の話ってことなんだろうか。
「……ちょうだい」
「あ、ごめんね有希、あたしも持っているわけじゃないのよ。……そうね、これから買いに行くのも良いかもね」
「良い」
「んじゃ、今日の予定はそれで決まり!」
 ハルヒはそう言って、高く右手を突き上げた。
 どうやら昼飯だけで終わるかと思った暇潰しは、もう少し続くらしい。
 まあ、たまにはこういう日もいいさ。たまには馬鹿みたいに元気なハルヒに振り回されてみるのも悪くないものだし、長門は長門で喜んでいるみたいだしな。

 
 

 終わり

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:11 (3087d)