作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんとタコ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-02-17 (土) 20:22:27

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「たこ焼きが食べたい」

 

いつものように何の前触れ、予兆、予告、予備動作、
その他あらゆる事前情報もなく、我らが団長様がこんなことを言い出した。

 

「……食べればいいじゃねぇか」

 

いまどき、そこらのスーパーマーケットでも、
10個入りくらいで売ってるだろうから、
好きなだけ買ってくればいい。

 

「あたしは、今、食べたいの」

 

そうか、それは残念だな。
この部屋には窪みがいくつもある鉄板もなければ、
卵も小麦粉もボウルも何もないので作れそうもない。
それとも鍋で作る気か?

 

「そうね〜ソースたっぷりのたこ焼きでもいいんだけど〜」

 

自分で振っておいて俺の話を右の耳から左の耳まで、
ノンストップ超特急でスルーするんじゃない。
そんな俺の苦情も華麗に無視して、
ハルヒはさらに続ける。

 

「やっぱりあたしは出汁に浸けるほうがいいかな」

 

出汁につける……あぁ、明石焼き、いや玉子焼きのことか。
ちなみに一般のお母さんがよく子供の弁当に入れる、
直方体型の食品のことではない。

 

「ねぇ、どう思う古泉君?」

 

「素晴らしいかと」

 

たまには反対しやがれこの野郎。
まぁ、このニヤケ面がハルヒに反対することを期待することが、
宝くじの1等前後賞を10連続で頂くよりありえないということは、
ミツバチのオス並に働かない俺の脳みそでも理解できているが、
それでもたまにはNOの一つも……

 

「みくるちゃんは?」

 

「わたしも食べてみたいです〜」

 

この麗しいメイドさんがそう言うなら、
食べに行こう、という気があふれ出てくるから不思議だ。
出来れば二人きりで行きたいが、
そんなことを口にすれば俺の人生の続投が危ぶまれることになりそうなので、
俺は涙を呑んで何も言わないことにする。

 

「有希は?」

 

「食べたい」

 

備え付けのパイプ椅子と融合したかのようにじっとして、
ひたすら読書に興じていた長門が短く答える。
本から目を上げ、ハルヒの問いに答え、また文字に目を落とすまで、
わずか3秒しかかかってないが気にすることはない。

 
 

「じゃ、今日はこれまでにして、
今から食べに行くわよ!」

 
 

そして、俺の意見が尊重されないのもいつものこと。
気にすることもない……こともない。

 
 
 
 

「あら、みんな揃って……もう帰るのかしら?」

 

ハルヒにネクタイを掴まれながら歩いていた俺の耳に、
明るめの声が聞こえてきた。

 

「違うわよ。今から皆でたこ焼き食べに行くの」

 

帰ることには違いないだろ、それ……
あとネクタイをいい加減解放してやれ。

 

「ふーん、おもしろそうね」

 

「あんたも来る?」

 

ハルヒがそう言うと、
目の前のクラス委員長は少し考える素振りを見せて、
こう答えた。

 
 

「そうね……わたしも行こうかな」

 
 
 
 

朝倉を加え、6人となった俺たちは、
電車に乗って3つばかり隣の町に向った。
わざわざ電車賃を払ってまで行く辺りが、
ハルヒの行動力の表れだろう。
巻き込まれる身にもなってもらいたいものだが……

 

目的地に到着した俺たちは、
早速お目当ての物をいただける店を探した。
と言っても、地元の特産品なんてものは、
大抵いろんな場所で売ってるものであり、
俺たちはほとんど苦労らしい苦労をせずに、
1軒の定食屋風の店を見つけることが出来た。

 

鉄板が敷かれたテーブルにつくと、
ハルヒは一気にお冷を飲み干して、
お品書きを読み始めた。
そして何やら満足そうな顔をして頷くと、
そばにいた店員のおばちゃんを呼び注文を始めた。

 
 

「えっと、玉子焼き10人前と……」

 
 

ちょっと待て。
お前はいつから数が数えられなくなったんだ?
何で6人しかいないのに、二桁も注文するんだ?

 

……と、普通の常識を持った人間なら疑問に思うだろうが、
生憎と普通じゃない状況ばかり目撃してきた俺にとって、
この程度の数量のズレなど気にもならない。

 

目の前で3杯目の水を飲み干す元気娘と、
他のテーブルの上の焼きそばを見つめている無口娘が、
その程度の量を食べきれないとは思えないしな……

 

20分後、俺の予想通り、
俺たちが1人前を食べ終わる頃に、
ハルヒと長門は3人前を食べ終えていた……

 

ちなみに長門と同じ対有機何とかインターフェイスの朝倉は、
文学系インターフェイスと違い、
1人前しか食べなかった。
いや、1人前は1人で食べきる量なのだから、
当たり前と言えば当たり前なのだが、
やはりこいつも大食いな気がしてならn……

 
 

「ふふ、キョン君……言いたいことがあるなら言っていいわよ?
ほら、人間はよくやる前に……」

 
 

何でもございません。
許してください。
頼むから爪楊枝を押し当てないでくれ。

 
 
 
 
 

「そういえばさぁ〜」

 

爪楊枝を加えたままハルヒが口を開いた。
随分と器用な真似ができるんだな……
お前はどこかの悪球打ちのバッターか?

 

「あたし、タコを見るたびに思うんだけど……」

 

卵と粉で出来た生地にコーティングされたタコを、
見ることができたのかというツッコミはしないでおく。

 
 
 

「やっぱり、宇宙人ってタコみたいな形してるのかな〜?」

 
 
 

いまどき、一昔どころか三昔程前の宇宙人がいるとは思えないが……
というか、食卓にこの軟体生物が上がるたびに、
お前はそんなことを考えていたのか。

 

「……いくら何でもそんなステレオタイプな宇宙人はいないだろ」

 

現に今ここにいる二人の宇宙人には、
触手が生えている様子はない。

 

「そうね……そんな原始的な宇宙人いないんじゃかしら?」

 

やんわりと朝倉が言う。
というかお前自身が宇宙人じゃないのか?

 

「そうかしら?」

 

「そう」

 

別のテーブルのお好み焼きを見ていた長門が短く答える。
こら、あんまり物欲しそうな顔をするんじゃない。

 

「ふ〜ん……じゃあ、二人は宇宙人がどんな姿をしてると思うの?」

 

「う〜ん、やっぱり……」

 

顎に人差し指を当てて、
朝倉が考え込む仕草をする。
間違っても『わたしみたいな感じ』なんて言うんじゃないぞ?

 

そう危惧する俺の想像をはるかに超えることを、
目の前の委員長型インターフェイスは答えた。

 
 

「絶世の美少女なんじゃないかしら?」

 
 

「ブッ!!」

 

思わず横を向いて噴出しちまった。
いや、でもこれは仕方ないだろ。
よりにもよって自分の事を『絶世の美少j……

 

「あら、キョン君?
言いたいことがあるのかしら?」

 

ごめんなさい。
何でもないです。
だからその袖に隠した光るものを仕舞っていただきたい。

 

恐怖に慄く俺に気付かないハルヒは、
不満そうにこう答えた。

 

「う〜ん、それじゃあ在り来たりすぎるわ……
もっと特徴はないの?」

 

「ある……」

 

今度は長門が静かに応える。

 

「例えば?」

 
 

「能力の劣る個体には、一般の人間と比べて大きな差異が発生する……
例えば、著しい眉毛の肥大化……」

 
 

 パキョ……

 
 

俺のすぐ横で割り箸が1膳弾け飛ぶ。
誰のかというと…朝倉が持ってた割り箸だ。
何やらどす黒いオーラが突き刺さるが気にしないしたくない。

 
 

「そうね……普通の女の子とは随分違うかもしれないわね……
胸がないとか」

 
 

 バキッ……

 
 

俺のすぐ前で玉子焼きの乗っていた板が割れる。
誰のかというと……長門が使っていた板だ。
何やらどす黒いオーラが(ry

 

「な〜んでだろ〜谷間が出来ないわ〜たしです〜♪」

 

そんな長門の様子をあざ笑うように、
聞き覚えのあるメロディーを口ずさみながら、
割り箸と板の破片を片付ける朝倉。

 

「もう育たな〜い♪運命様から決められ〜たけど〜♪」

 

とりあえず、
朝比奈さんと俺の対面に座っている古泉も、
その邪気に気付いたようで、
かたや泣き顔、かたや青白い顔をしていた。

 

「貧乳でしょでしょ♪バストがゼロに〜見えるサイズで〜胸がないからまな板なのよ♪」

 

もはや、前方を直視できない。
板の破片を集めてるハルヒは気付いていないだろうが、
横に座ってる無口少女がすごい事に……

 

とりあえず落ち着こうぜながt「情報連結解除」……

 
 
 
 
 

オマケ

 

「ねぇ、他に特徴は無いの?」

 

「う〜ん……あ、そうだ。個体によっては体の一部が変化するのよ」

 

「変化?」

 

「具体的には毛髪がワカメに変化する」

 

「へぇ〜変わってるわね」

 

「そうそう変わって……」

 
 

「ふふふ……」

 
 

「1年5組のクラス委員長と、文芸部部長は可及的速やかに、
生徒会室まで来てもらいましょうか」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:10 (3093d)