作品

概要

作者G.F
作品名11年目のラプソディ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-02-15 (木) 19:43:18

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

設定参照
SS集/427 SS集/428 SS集/430 SS集/439 SS集/445 SS集/447 SS集/449
SS集/450 SS集/451 SS集/455 SS集/468 SS集/479 SS集/485 SS集/487
SS集/492 SS集/499 SS集/502 SS集/507 SS集/510 SS集/512 SS集/517
SS集/521

 

さて授業終了。
俺は次の時間は授業がない。
いつものように職員室に教科書と閻魔帳を置いて、保健室のドアをノックして…
「…有希、俺」
「…入って」
いつものように保健室に入って、俺専用のコップで我が愛しの妻・有希の淹れたエスプレッソを飲んで「至極の幸福」を満喫していると、そこへドアをノックする音が。
「よろしいですかぁ?」
声の調子及び独自の喋り方ですぐ解る。書道の非常勤講師・朝比奈さんだ。
「…構わない」
朝比奈さんはドアを開けて一瞬ビクッとしたようだが…入ってきた。
「ひょっとして…ご夫婦でお取り込み中だったんですかぁ?」
「いえ別に…」
そういえばこの間、喜緑さんが来たときもこんな会話が交わされてたっけ。
有希はコーヒーカップを出し、朝比奈さんにもエスプレッソを勧める。
「ところで…キョン君、有希さん…覚えてます?お二人の初めての出会いとなったあの日のこと…」
「…そりゃ…どっちの日のことです?」
俺と有希は顔を見合わせた。
それというのも…朝比奈さんだけが知っている俺と有希の「初めての出会いとなった日」というのは2通りあるからだ。
一つは…8年前、つまり俺がこの北高に入学した年の4月。
そう。SOS団結成を決意したハルヒが無理矢理に俺を引っ張って文芸部室へ来た日のこと。
そこで分厚い本を読んでいた「特徴のあるショートカットの眼鏡を掛けた小柄な女の子」というのが…そう。いうまでもなく有希だった。
そして…もう1つというのが…
「私が言ってるのは『11年前の七夕の日』のことですよ」
朝比奈さんが苦笑している。
そう、俺と有希、それから朝比奈さんのみが知っている「俺と有希の本当の初めての出会いの日」が「11年前の七夕の日」なのだ。
つまり逆にいうと奇しくも同じ日がハルヒと俺の「本当の初めての出会いの日」でもある。
ただ、もっともハルヒに関して言えば…「ジョン・スミス」と名乗ったからということもあろうが…あいつは未だに「東中の校庭でこき使った北高の制服の男」=「ジョン・スミス」が俺だということに気が付いていない様子だ。
そればかりか最近では「ジョンはあたしの永遠の憧れの人」とまで言い放つ始末だ。
もう真実は教えられないな…と、俺と有希は顔を見合わせて互いに苦笑した。
だいたいあいつ、未だに有希と涼子さんと喜緑さん=宇宙人、朝比奈さん=未来人、古泉=超能力者だということにすら気が付いてないくらいだからな。
「因みにあの日の『もう1人の私』というのが…実は去年、賭けをやった直後の私だったんですよぉ」
その賭けの「賞品」というのが「バカラのクリスタルグラス」で、「万が一枠」=「涼子さん」に掛けた喜緑さんはともかくとしても、朝比奈さんはどうしてもそれが欲しかったらしい。
そこであのすぐ後、直行で11年前の七夕の夜に出かけて…「高校時代の朝比奈さん」を眠らせた上で俺にハルヒを手伝うように指示した、というわけだ。
朝比奈さんはああ見えて案外「負けず嫌い」だし、ハルヒの俺に対する気持ちは充分に理解していたというから、当人にしてみれば「これで勝ったも同然ですぅ」とほくそえんでいたに違いない。
そう考えると…俺が涼子さん、喜緑さん、朝比奈さんの3人の前で初めて有希を「有希」と呼んだあの日…三人に詰め寄られてしどろもどろになってしまった俺に助け舟を出そうと有希が「彼に…プロポーズされた」と言ったその時…「えぇーっっ?キョン君は確か…涼宮さんと…」と唖然とした理由も解る。
結局「有希」に掛けていた鶴屋さんによって「バカラのクリスタルグラス」はまんまとせしめられてしまった、というわけだ。
それでも鶴屋さん本人は「まさか勝てるとは思わなかったにょろ」と謙遜しつつ笑っていたが。
「私…結局…そうと知らずにお二人の橋渡し役…キューピッド役までやっちゃってたんですよね」
そういえば朝比奈さんは…俺がハルヒにこき使われたその後、TPDDをなくしてしまった。
そして…俺が思いついた手段というのが…そう。「有希が去年の誕生日まで住んでいたあのマンションへ行く」だった。
有希なら何とかしてくれる…そう思ったからだ。
結局…奇しくもその時が…有希と俺との初対面…になった、というわけだ。
そして有希が…「俺と朝比奈さんを部屋に入れて、時の経過を凍結させる」という手段で助けてくれたんだっけ。
「そういえば…有希って…あの時分から全然変わってないんだよな」
そう言ってしまって…俺は、有希の目が俺を睨んでいるのに気が付いた。
しまった!当人の一番気に障ることを言ってしまった!頼む!有希、許してくれ!
今日、風呂に入ったとき、俺が身体を隅々まで洗ってやるから…な、この通りだ!
「…そう」
しかし有希は次の瞬間、いつものように俺にだけわかる微笑を浮かべた。
「…あのときの私と今の私には違っている箇所がある」
さて…?違っている箇所というと…?
「何故か着ていた北高の制服」と「白衣及び私服」で「服が違う」のは当たり前だが…。
「…私の顔を見ればその答えは自ずから解るはず」
顔を…といわれて俺はまじまじと有希の顔を見つめる。
そういえば…思い出したぞ!あの時の有希は…いや、あの時だけじゃない、突然豹変した涼子さんから俺を守ってくれたその時まで…眼鏡を掛けていた!
「眼鏡してない方が可愛いと思うぞ。俺、眼鏡属性ないし…」
有希は…俺のこの台詞で眼鏡を掛けるのをやめたんだっけ。
「…私…男の人に『可愛い』と言われたの…あのときが初めてだったから」
有希はほのかに顔を紅潮させる。
そうだよな…恋した人に「眼鏡してない方が可愛い」と言われたら掛けなくなるもんな。
「今年もまもなく…あの日が近づこうとしてますね」
朝比奈さんにそう言われて俺はカレンダーを見た。
「…そう」
「そのようですね」
そう…今年の7月7日まで…あと2週間。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:09 (3093d)