作品

概要

作者G.F
作品名ハルヒの誕生日@近未来
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-02-04 (日) 14:03:24

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

設定参照
SS集/427 SS集/428 SS集/430 SS集/439 SS集/445 SS集/447 SS集/449 
SS集/450 SS集/451 SS集/455 SS集/468 SS集/479 SS集/485 SS集/487
SS集/492

 
 

(SS集/492と同じ日の1時間後がスタート時点です)

 

さて、今日はハルヒの24回目の誕生日なのだが…

 

妹のクラスでの「国語表現」の授業を終え、一旦職員室に戻った後、俺は保健室のドアをノックした。
「有希、俺」
「…入って」
その返事で保健室に入る。
我が愛しの妻・有希はいつものように「俺だけに解る微笑み」を浮かべて迎えてくれた。
「さっき…江美里さんが来てた」
有希はそう言うと戸棚から俺専用のコーヒーカップを出し、エスプレッソを注いでくれた。
「…コーヒー…飲んで」
…そういえば…こいつ何時からコーヒーに転換したんだろう?
俺があのマンションのあの部屋を訪ねていくと必ず「お茶」だったような気がするが。
…ということは去年の一月、つまり有希の誕生日の翌日からだ。
あの日から有希は「花嫁修業」も兼ねてということで俺の家で同棲を始めたんだっけ。
中学校や高校の教師の独自の役得という奴で、今の時間、俺は授業がない。
小学校教師になった谷口に話したら「畜生!俺も中学校か高校にすればよかった!」と悔しがってたっけ。
ま、専門科目だけ教えればいい中学校や高校と違って小学校は全科目教えなきゃいけないからな。
それでも、体育だけはあいつが同じ学年の全クラス担当していると聞いたが…。
まあ…あいつのことだから「別の意味」も入ってるんだろうけどよ。
「さて…有希、今日が何の日かわかってるか?」
「解っている」
じゃ、言ってみろよ。
「今から24年前、涼宮ハルヒがその母親の胎内から生み出され、この世に産声を上げた…それが今日」
…意味合いは確かに間違ってないが…そういう回りくどい答えしか出来んのか、お前は?
俺はそう突っ込んでやりたいところをぐっとこらえて切り出した。
「鶴屋さんとこのカウンター席、7人分あるからちょうどいいよな」
「7人?」
「ハルヒ、俺、お前、古泉、朝比奈さんに涼子さん、喜緑さんで7人だろ?カウンター内の鶴屋さんを足せば8人になるが」
もっとも鶴屋さんのバー「クレイン」にはカウンター席しかないのだが。
「知っての通り妹は今年、受験生だし…だから…適当な場所が鶴屋さんとこしかないんだよ」
兄としては受験勉強に励む妹の気を散らすわけに行かない。
こう言っておけば有希もまさか「私のときは家で祝ったのに…」なんてすねるわけにはいかないだろう。
そして…俺は携帯電話を取り出して鶴屋さんの番号を呼び出した。
「あ、鶴屋さん?俺、そう、キョンです。今日6時から7人分お願いしたいんですが…空いてます?」
『今日ねぇ…』
仕事の関係上しょうがないと思うのだが…さすがに今の時間は眠そうだ。
『あ…めがっさ大丈夫にょろ』
OKが出た。
『ところでどうしたの?』
「だって今日、ハルヒの誕生日ですから…うちでやると妹の気が散るかも知れないんで」
『なるほど…妹ちゃん、今年、受験生だもんねっ。頑張ってと伝えといてねっ』
「伝えておきます」
『私からも…ハルにゃんにプレゼント、用意しとくね』
「それじゃ…6時からお願いします」
鶴屋さんのOKが出たので俺は「招待すべき人」にメールを入れた。
もちろん当の本人であるハルヒにも…あいつの喜ぶ顔が目に見えるようだ。
「因みに俺、集合時間にわざと30分ほど遅れていくから…な」
「何故?」
「あいつのあの言葉を久々に聞きたいんだよ」
そう。「おっそいわねぇ、罰金!」だ。
「だから…他の人には内緒だぞ」
「…解った」
その「罰金」として…あいつの誕生石の指輪を国木田の勤務先の宝石店で買うか。
あいつの誕生石は…喜緑さんに教えてもらった。
ダイヤモンドとクォーツの2種類だ。
今のあいつなら別にダイヤモンドじゃなくてもクォーツでも充分喜びそうな気がする。うん…

 
 

キョンの家の近所に最近、引っ越してきた若い奥様と世間話していたら…携帯にメールが入った。
その奥様には…「あたしはこの家に住んではいるけれど、あくまでもメイドであってここのご主人の奥さんじゃありません。ここのご主人の本当の奥さんはご主人と同じ勤め先の高校の保健室の先生をやっている小柄なショートカットの人です」と言ってあるからまさか「本当の奥様」と間違えているはずはないと思うけどね。
見ると…相手はキョンじゃないの。

 

「ハルヒの24歳の誕生日パーティのお知らせ。
本日6時から。
バー『クレイン』にて。キョン&有希」

 

キョンと有希ったら…わざわざあたしの誕生日を鶴屋さんのお店で祝ってくれるなんて…。
…あたし、それだけでもう嬉しい。
…今のあたし、本当だったらキョンと有希に「誕生日を祝ってもらう資格」なんかないかも知れないんだから。
だってそうでしょ。
「キョンの奥さん」はあくまでも有希なんだし…あたしはキョンと関係があるとしても「元カノ」でしかない。
その上、有希は…キョンとの結婚式のときまでずっとあたしのこと、恨んでいたんだから…もしあそこで謝りに行かなかったら…有希はあたしのこと、一生恨みっぱなしだったかも知れないし…。
更に言うと…如何にこの家で暮らしているとはいっても「妻」ではなくて「メイド」という身分なんだし。
一応…有希は「キョンの第二の妻」として認めてくれているようだけど…ね。
「ありがとう、キョン、有希…」
…よーし、このお礼として、今日はお風呂で…思い切ってサービスしちゃおうかな、なーんてね。

 
 

夫がコーヒーを飲み終えて出て行った後、私は複雑な思いで再び、鏡に映った私を見つめる。
確かに「争奪戦」に勝ったのは私。
でも…ハルヒは…そのためにその後の運命を狂わされてしまったのだから…。
こういうことに「もし」は禁物なのかも知れないけれど…もし夫がハルヒを選んでいたら…私はどんな人生を歩むことになるのだろう…。
そう思って…体内に内蔵されているコンピュータとサーバーを駆使してシュミュレートを試みてはみたんだけど…
…一つとして納得が行くものがない。
…まあ当たり前なのかも知れない。
だって…仮想はあくまでも仮想に過ぎないのだから。
いや…運命を狂わされたのはハルヒだけじゃない。
考えてみると…美代子ちゃんもそうなのだから…。
可哀想なのは…ハルヒよりもむしろ美代子ちゃんだ。
私とハルヒの二人の争いに巻き添えにされた形で…その後の運命を狂わされてしまったのだから…。

 
 

俺は保健室で有希と予め打ち合わせしておいた通り、わざと30分遅刻で「クレイン」のドアを開けた。
ハルヒ、有希、朝比奈さん、古泉、涼子さん、喜緑さん、それからカウンター内の鶴屋さん…十四の瞳が一斉に俺のほうを向く。
「おっそいわねぇ」
ほら来た。
「…罰金!」
「おう、払ってやるぜ!ほら…ハルヒ!お前の誕生石であるクォーツの指輪だ!」
そういうと…俺はカウンター上に指輪の箱の入った包みを滑らせた…。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:03 (2713d)