作品

概要

作者G.F
作品名そして1年5組
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-01-30 (火) 20:48:44

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

設定参照
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「全ては…ここから始まったんだっけ…」
始業式を終え、いよいよ午後からは入学式を控えた日。
俺はあの懐かしい1年5組の教室の教壇から教室を見回していた。
あの時と比べて少子化が進んでいるとはいえ…8年前と全然変わっていない配列。
今日から…俺はこのクラスの担任だ。
「そう…谷口があそこにいた。国木田はあそこにいた。そして俺とハルヒはあそこにいた…」
浮かんでは消えていく思い出のみんな。
そこへドアの方から聞き覚えがある声がした。
「キョン君」
俺は声のした方を見た。
「妹さん、私が担任だと知って顔面蒼白状態だったわよ」
どうも聞き覚えがあると思ったら古泉の奥さん、つまり涼子さんだった。
顔面蒼白って…案の定そうだったか。
ま、そりゃ仕方ないだろ。だってあいつの苦手科目は数学。そしてそれは涼子さんの科目だからな。
そういえば…あいつ、涼子さんが家に来るたびに顔面蒼白になっていたな。
まさか「成績が悪い」とかそういう事をこの兄や父母に言いにきたと思ったんじゃないだろうな。
実際はあいつの義姉…つまり我が愛しの妻・有希…に会いに来てただけなのにな。
ま、兄としてはトラウマになっていない事を祈るしかないか。
「吃驚させるなよ。また襲いに来たかと思ったぞ」
そう、突然、豹変した涼子さん…旧姓・朝倉…にナイフで襲われたのもこの教室でのことだった。
そして絶体絶命のところを有希…旧姓・長門…が駆けつけて助けてくれたんだっけ。
「あはは…ご冗談を。あのナイフはもう持ってないから安心して」
持ってないって…考えてみりゃそりゃ当たり前だな。
持っていたら銃刀法違反(ただし「ポケットに入れている」など「いつでもすぐに使える状態」にあることが前提だが)でしょっ引かれるわけで…。
「そうそう…涼子さん…確か涼子さんはあそこにいたんだったよな」
俺は涼子さんが一ヶ月足らずとはいえそこに確かに座っていた席を指す。
「キョン君…私がいた席を覚えていてくれてたんだ…」
涼子さんが感涙している。
「私…入学してから一ヶ月もたたないのにすぐにカナダへ引越しが決まっちゃったから…」
「そういえば…」
涼子さんはあの時…有希に情報結合を解除されて一時的に粉末になってしまったのだが、それでも「朝倉涼子」という人物の存在そのものは消されておらず、カナダへ引越ししたことにされてたんだっけ。
もっとも…だからこそこうして帰ってきたのだけど。
「キョン君…あの時は本当にごめんなさい。でもあれでわかったのよ、有希の気持ちは真剣だ…って」
「ん…でも…確かその時は『ハルヒが怒るかどうか確かめたかった』とかいうようなことを言っていたような気が…」
「それもある…でも一番の目的はあんたの奥さんをちょっとからかってみたかっただけなのよ」
有希をちょっとからかってみたかったって…あんた…それならわざわざナイフなんか使わなくても充分だったような気が…。
ま、おかげで解ったんだけどな。あいつの顔は「眼鏡してない方が可愛い」って。
当の本人は「眼鏡の再構成を忘れた」とかいってたけど…。
「キョンくぅん、職場で不倫は駄目よぉ。あれ以上可愛い子はないと思われるほど可愛い奥さんがいる身でありながら、それも大の親友の奥さんと…」
どこかで聞いたような声で俺は振り向く。
「喜緑さん!」
そこでは副担任の喜緑さんが腕組みしてニヤニヤしていた。
何時の間にそこに?全然、入ってきたような気配がなかったんですが。
「この様子、有希にアップロードしちゃおうかな〜」
あんた…俺と涼子さんを脅す気ですかい?
「冗談よ、冗談。うふ…あなたたちがそんなこと出来るような人じゃないのはわかってるから」
わかってるならいいんです。わかってるなら…。
それで安心しましたよ。あいつ、かなり焼餅焼きのところがあるから…。
ハルヒと有希の性格に似たところがあるとしたらそれは「嫉妬深い」ってところだからな。
「そういえば…副担任が喜緑さんだと知って妬いてましたよ。あいつ…」
「やっぱり?」
「仕事なんだからしょうがないと言って聞かせときました」
そうでも言わんとあいつのことだから…保健室から毎日、喜緑さんにアクセスしかねないからな。
そういえばあいつ、去年も涼子さんが俺のクラスの副担任だと知って妬いてたな。
「キョン君…案外ロマンチストなのね」
涼子さん、よくわかってらっしゃるじゃないですか。
「涼子、ロマンチスト…っていうと?」
「2年目の担当クラスがかつての自分のクラスだったからってことで来てたみたいなんだ」
「なるほど」
さて…保健室で我が愛しの妻の顔を見てから飯食いに職員室に戻るとするか。
今年入学してくる生徒の中に…かつてのハルヒみたいな奴がいないということを祈りつつ…俺はかつての自分のクラスを後にした。
まあ、そういう奴がいたらその時はその時でSOS団に入団することを薦めるんだけどな。
そういえば俺、そのSOS団の顧問でもある。
現・団長は俺の妹。副団長は吉村美代子、通称ミヨキチ。
二人とも今年は最上級生だし、6月ごろにはそろそろ引退させて新団長と新副団長を選出しなければ…と思っている。
当の本人たちはまだ続けていたいようだけどこればかりは仕方ない。
実は…俺たちの卒業後に「正式な同好会」として認められてたらしい…と、この間うちでハルヒに話したら「何であたしたちの在学中には認めてくれなかったのよ!」と俺の襟首をつかんで凄く怒ってたっけ。
有希がその横ではらはらしてた。
まあ、有希としては「ハルヒは俺に怒ったんじゃない」ってことはわかっているらしいんだけどな。
正式な同好会として認めてくれなかった生徒会の連中が悪いんだし。
「そういえば…有希がいたクラスは覚えてるよね?」
廊下で喜緑さんが話しかけてくる。
「ええ。6組でしょう?」
「当たり」
「6組といえば俺の担当クラスは1年生では5組と6組だけ、5組では現代国語、6組では古典なんです」
「そうなんだ?」
「ええ…俺の担当クラスですがね、1年生が2クラス、2年生が1クラスだけなのに何故か3年生が4クラスもあるんですよ」
「そうそう、確か私のクラスも国語表現がキョン君なんだよね」
三人で保健室の前に来て俺は立ち止まった。
「じゃ、愛妻の顔を見てから職員室に行きますので」
喜緑さんと涼子さんにしばしの別れを告げた後、俺は保健室のドアをノックした。
「有希、俺」
「…入って」
愛しの妻の返事に、俺は保健室のドアを開けた。
白衣姿の有希が俺だけに解る微笑を浮かべて迎えてくれた。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:00 (2708d)