作品

概要

作者書き込めない人
作品名ニュース見てカッとなったSS 『機械』
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-01-30 (火) 00:33:34

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

珍しく谷口のアホが47度の熱を出したとかで欠席し、
さらに珍しくSOS団も休業となったので、
俺は国木田と二人で下校していた。

 

「あ、そうだキョン」

 

「なんだ?」

 

「今朝のニュース見たかい?厚労相の……」

 

あぁ、そういえば朝のテレビで何かやっていたな。
確かどこぞのお偉いさんが『女は産む機械』とか何とか言ったんだろ?

 

「そう、それ。ひどい話だよね」

 

「まったくだ」

 

別にフェミニストを気取っているわけではないが、
もう少し言いようがあったんじゃないかと思う。
それ以上に、そんなニュースを見た妹が、
『そういえば、どうやってこどもができるの?』と質問してきたらどうしようと、
懸念の気持ちで一杯で、一杯だったからこそ背後から忍び寄る気配に気付かなかったわけで……

 
 

「……でも私は」

 
 

「あっ、長門さん!」

 

背後からの奇襲のような声と、
国木田の驚く声にやや度肝を抜かれた俺は、
その原因となった寡黙な少女に声を掛けた。

 

「長門?どうしてそんな所に?」

 

「あなたたちがたまたま私の前を歩いていただけ。
別に後をつけていたわけではない」

 

「いや、そんなことは思ってないが……」

 

と、そこで俺は初めて目の前の宇宙人の表情が暗いことに気付いた。
いや、こいつはいつも明るいとは言えないが、
何となく雰囲気が暗い。

 

横にいた国木田も何か感じ取ったらしく、
『あ、そうだ。買いたい物があったんだ。また明日』と、
わざとらしさをまったく見せ付けない演技で席を外してくれた。

 
 

「で、どうしたんだ」

 

「なにが?」

 

「いや、何か話したそうだったからな……」

 

俺の質問に少し考える素振りを見せた長門は、
3呼吸くらい置いて話し出した。

 
 

「先ほどのあなたたちの話……」

 
 

「さっきの……閣僚の発言の話か?」

 

「そう、それ」

 

「アレが一体……」

 

俺の疑問に答えることなく、
長門は淡々と話し出した。

 
 

「有機生命体と機械は構造が違う……だから女性は機械ではない……」

 
 

「あぁ、そうだな。だけどそれがどうし……」

 
 

「でも……私の身体は有機生命体の構造と大きく異なっている。
言ってみれば機械と同じ……」

 
 

「!?それは違うぞ、長門」

 
 

「違わない。だから私は……」

 
 

「違う!」

 
 

「!?」

 
 

気付けば俺は長門の小さな両肩をつかんでいた。
周りからどんな目で見られてるか分からないが、
今はそんな場合じゃない。

 

「お前は機械なんかじゃない。普通の女の子だ」

 

「でも……」

 

「確かに普通は身体貫かれたら死んでしまうだろうし、
情報操作を行ったりはしないだろう。
だけど、そんな『普通の女の子』がいないって断言できるか?」

 

悪魔の証明だか神の証明だかと同じだ。
探せばどこかにいるかも知れない。
現に目の前に一人いるじゃねーか。

 

「それは……」

 

「それに人間ってのは定義をいろいろ持ちたがる生き物だからな。
お前の『女性』の定義が絶対の価値観になるとは限らないだろ?」

 

「……」

 

「もし世界中の人間がお前を『機械』だと思っても……」

 

自分で言ってても恥ずかしいが、
今はそんなことを言ってる場合じゃない。
それに俺が少し体がむず痒くなる程度で、
目の前の小さな文学少女の憂鬱が晴れるならお安い御用だ。
そう思い、俺は長門にひとこと言ってやった。

 
 

「俺の目にはお前は『普通の物静かな女の子』にしか映らないからな」

 
 

とりあえず周囲に誰もいないことを願う。
もしハルヒがいれば俺は死刑は免れないし、
朝比奈さんがいれば真っ赤な顔で卒倒してるだろうし、
古泉がいれば明日からウザイこと間違いないし、
谷口がいれば奴に止めをさすことになりかねない。

 

そんな馬鹿なことを考えたり、考えなかったりしている俺に、
先ほどより少し明るくなった長門はこう答えた。

 
 

「そう……」

 
 
 

「ありがとう」

 
 
 
 

オマケ

 

「やぁ、キョンいいもの見せてもらったよ」

 

ちょっ、国木田お前……

 

「誰にも言うつもりはないから安心して。
応援させてもらうよ、長門さん」

 

「ありがとう、頑張る」

 

って、長門まで……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:03:00 (2625d)