作品

概要

作者G.F
作品名有希の誕生日@近未来
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-01-14 (日) 10:54:47

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

設定参照
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今日は私の公式年齢23歳・実年齢11歳の誕生日。
去年の9月に生まれて初めて家族というものを持ってから初めての誕生日になる。

 
 

外出先からたまたま立ち寄った公園のブランコを揺らしながら、ふと回想にふけった。
「お前の誕生石、確かガーネットだったよね」
去年の誕生日に夫…まだ二人とも大学生だったけど…がそう言ってプレゼントしてくれたのが…ガーネットの指輪。
「バイトで貯めた金で買った安物」といっていたが…夫の心がこもっていてうれしかった。
その指輪はそのまま「婚約指輪」となったんだっけ。
今年はいったい何をプレゼントしてくれるかな…今から楽しみだな。

 
 

「パン!」
外出先から戻り、リビングルームに入ると、夫と古泉君と鶴屋さん、江美里さんとみくるさんと涼子が左右から一斉にクラッカーを鳴らした。
「有希お義姉ちゃん、23歳の誕生日、おめでとう」
義妹がプレゼントを手渡してくれた。
「感謝する。ありがとう」
早速開封して開けてみる。
「こ…これ…」
「そう。ガーネットのネックレス」
聞いてみると…義妹が私の誕生石がガーネットである事を「ウィキペディア」で調べて、宝石店の広告を見ていたところ、「あなたの小遣いだけじゃ買えないからね」とハルヒがいくらか出資したという。
「俺が幾らか出資しようかといったところ、ハルヒが出すからっていうから拍子抜けしちまったよ」
夫が苦笑していた。
「ハルヒ…」
私はハルヒのいる台所のほうを向く。
「いいえ…少しでも…高校時代のキョンへの仕打ちの償いになれば…と思って…」
ハルヒが台所から出てきた。
彼女が今にも泣き出しそうな顔つきになっているのは玉葱のせいだけではなさそうだ。
「キョン…本当はここで言うべきことじゃないかもしれないけど…いつも喫茶店で『遅れたから罰金』と称して奢らせていて本当にごめんなさい。あたし…キョンのことが本当に心の底から好きだったんだから…だから…キョンの優しさに甘えていたかったの。でも…結局、キョンにとっては…迷惑でしかなかったんだよね」
涙声で夫に謝るハルヒを目の前にして、私は夫と顔を見合わせる。
「いいよ…それも過ぎ去りし高校時代の思い出の一つだよ」
夫はハルヒの肩に手をやった。
夫が許してくれたことで、ハルヒは感極まったのか泣き出してしまったようだ。
「だから…お前も泣かなくていい。泣いてるとお前らしくないから。いや、マジで」
「そうね…そうだよね」
ハルヒは涙を手で拭きつつ笑顔を見せた。
本当に誰にでも優しい夫。幾らか優しすぎの面はあるけれど…。
私…こんな夫を持って…今、最高に幸せです!

 
 

リビングでは宴たけなわ。
私はふと…夫のすそを引っ張り、ともにバルコニーへ出て、夜空を見上げた。
オリオン座、牡牛座、大犬座、小犬座、双子座、兎座、鳩座、エリダヌス座、竜骨座、艫座、羅針盤座、帆座…
冬の夜空の星が瞬いている。
もっともエリダヌス座やアルゴー船の関係の星座は私だからこそはっきりと見えるのであって、人間の視力だと見づらいかもしれないけど…ね。

 

(作者註:エリダヌス座は全体的に1〜3等星クラスの明るい星が多い冬の夜空でも珍しく4〜6等星クラスの暗い星ばかりで天界の川である「エリダヌス川」を構成する。「エリダヌス川の果て」に該当するアケルナルのみが1等星。ギリシャから見るとアケルナルが地上ぎりぎりの位置に来るため、ちょうど「エーゲ海に注ぐエリダヌス川」に見えるらしい。それほどではないにしてもアルゴー船関係の星座こと竜骨・艫・羅針盤・帆の四星座も、全体的に暗い星が多く、わずかに竜骨座のカノーブスのみが一等星。これもギリシャから見ると「エーゲ海に浮かぶ船」に見えるようだ)

 

この広い銀河の星々のどこかに…私の故郷があり、そして私のお父さん(=情報統合思念体・主流派)がいる。
「お父さん…」
私は声に出して呼びかけた。
今から11年前の今日、この日…それまで人間でいう脳髄に該当する器官しかなかった「娘」の身体を「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」として構成してくれたお父さん…
「キョン君と一緒にこのままずっと地球上で暮らしたい」という「娘のわがまま」を何も言わずに聞いてくれたお父さん…
そして…キョン君がプロポーズしてくれた日に「キョン君と一緒に人間・有希として生きろ。そのためにはこれはもう必要ないはずだ」と、娘が時として暴走する原因ともなった「閉鎖空間発生能力」を身体から取り外してくれたお父さん…
「お父さん…私、今、キョン君と一緒に頑張っています。
…私、今、キョン君と一緒にいられて幸せです。
…だから…高い空の上から、これからもずっと、私とキョン君を見守っていてください」
夫が後ろから肩を抱いてくれた。
私は、こみ上げてくる涙を抑え切れなかった。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:54 (2735d)