作品

概要

作者江戸小僧
作品名TFEIの初仕事
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2007-01-03 (水) 14:14:58

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「今日集まっていただいたのは、他でもありません」
 ほら、長門。他人が喋ってる時にそんな風にパクつくのは失礼だろう。
「別に集まってない。2人が勝手に来ただけ」
 おいおい。急に来たからって、お仲間にそれは冷たいだろ。見ろ、2人とも悲しそうな顔してるぞ。
「そうそう、これを忘れてたわね。はい、長門さん」
「そうでしたわ。明けましておめでとうございます」
 お年玉か。すっかり日本に馴染んでるな、この方々は。ん、何それ?
「どう? この弓状列島で男子高校生と呼ばれる有機生命体の調査のために、キョン君が昨夜自分の部屋に篭った後ででどう過ごしてるか全て記録してみt」
 てめえ、どうやって盗撮しやがった!
 俺は朝倉の手からSDカードらしきものを奪い取った。
「あら、嫌なの? 私には有機生命体の恥の概念が良くわからないんだけど」
 やめろ、本気じゃなくても焦るって。長門、そんなもの欲しそうな顔するんじゃありません。ほら、見ろ。また無視されて喜緑さんが暗くなってくじゃないか。
「そうですよね。私ったら殆ど出番ないし、皆さんイメージカラーでしか見てくれてないし」
 そんなことありませんって。あ、ほら、昆布巻き美味しいですよ?
「……」
 うわ、いや、そんなつもりじゃないんです。お願いですから機嫌直してください。
「どうせ私は髪の毛ネタしか言ってもらえないキャラですから」
 いじける喜緑さんのご機嫌が直るのに、暫くかかった。
「さて、続きをどうぞ」
「そ、そうですね」
 喜緑さんは輝く緑色の髪を揺らすと、コタツから半ば立ち上って力強く叫んだ。
「今年は、私も目立ちたいんです」
 えー、とですね。
「無駄」ボソッ
「うん、それ無理」ボソボソ
 だからそうはっきり言うなよ、お前ら。ん、いや、何でもありません、何でも。
「どうやれば目立つか、皆さんの知恵をお借りしたいんです」
「ま、何でもいいからやってみるべきなのは確かね」
 この女子アナみたいに上品そうな外見と正体不明な内面を併せ持つ方にお前は何をやらせようってんだ。
「それは地球人の男の子代表のあなたがアドバイスするのが一番よ」
 やれやれ、他人任せか。しかし、目立つ方法ねえ。眉毛で朝倉に勝る者はいないし、眼鏡のON/OFFで見せる2つの顔の魅力は長門だけのものだ。エロカワイイなんてのはこの方にはどうかと思うし、うーん、どうしたものか。
 袖に羽毛のような微かな圧力がかかった。
「漁業関係者のためにワカメ大使を務める」
 ぶふっ! 長門、そんな事を耳元で囁かないでくれ。雨合羽に長靴姿の喜緑さんを想像しちまうじゃないか。
「だめ?」
 だから! ほら、また喜緑さんがダウナー光線吐きまくってるぞ。
「じゃ、こんなのはどう?」
 頼むぞ、朝倉。
「チェーンソー貸してあげる。あれ、結構人気みたいよ」
 なあ、お前らって本当はすっごく仲悪いんじゃないか。
 喜緑さんは上目遣いに俺達に訴えかけた。
「もうちょっと上品なものが嬉しいのですが」
「あー、では、3人でユニットを組むというのは如何ですか?」
「胸がなきゃ無理よ」
「芋眉は時代遅れ」
 こいつらの親玉って、ホントに俺達より進化してるのか?
「長門さんは無口で万能。朝倉さんは委員長で何でもキレる。私も、そんな外見以外のイメージが欲しいんです」
「……」
「……」
 2人とも黙ってしまった。俺も言葉に詰まる。外見以外のイメージねえ。
「あー。じゃ、地上最強の美女ってのはどうですか? 片手で車持ち上げたり」
 喜緑さんの額がヒクヒク動く。
「それは何からの連想ですか? スカイダイビング中に事故に会った女教師の事ですか、それとも実験中の事故でガンマ線を浴びた怒れる緑色の巨人の事ですか?」
 いけね、そっちのネタは忘れてた。つーか、良くご存知ですね。やっぱり緑色のものは全て気になるん…いや、なんでもありません。
「でも、人外の力を誇示するのは面白そうですね」
 え、そんなのでいいんですか?
「素顔を隠せれば問題ありません」
 そう言うと、喜緑さんは真剣な顔で考え込む。
「そうです、良いものがありました!」
 ちょっと、コタツの上にいろいろのっかってるんですからこぼさないでくださいよ。
「私達もピンチになった時に姿形を変えてみせれば人気間違いなしです」
 あのー、その歳でスティック振って変身というのはどうかと……
「私達美少女高校生がカッコ良く変形合体するのです。きっと、今年のクリスマスは私達の人形で街が埋め尽くされることでしょう」
 まあ、せめて大きなお友達なら喜ぶかも…って、変形合体?
「ある時は可憐な女子高生。またある時はKカラーのグリーンに輝くカウル付きの美しきバイク。そして、悪と闘う時は変形合体して超合金ロボット。ふふふ、早速申請しなくては。足りない分は勇気で補います!」
 ああ、ついにこの人まで壊れてきたのか。ひょっとしてこの何とかインターフェースはハルヒと直接関わると誰でもエラーを起こすようになってるんじゃないか。
「あら、いいんじゃない」
「ユニーク」
 絶対後悔するぞ。
「そうかな。ロボットになるなんてちょっとカッコいいじゃない。私もこれで正義の味方ね」
「その前に電車になってもか?」
「…何それ?」
 いいか、お約束としてロボットに変形合体するのはメカに変形してからだ。で、このメカってのは大抵良く知られた乗り物だ。お前のイメージカラーは青だよな? それに合う一般的な乗り物と言ったら、やはりその辺走ってる電車じゃないか?
「ちょ、喜緑さん、待って!」
 朝倉は何やら呟き始めた喜緑さんを慌てて止めようとする。
「ふふふ、手遅れです。申請完了、トラン○フォー○!」
 3人を眩い光が包み込んだ。
 やれやれ。
 俺は部屋を改めて見回した。
 ミニサイズの新幹線は朝倉か。型は随分古いが、少なくとも流線形で良かったじゃないか。これもミニサイズのジェット旅客機は長門だな。そうか、タイ航空は尾翼にパープル使ってたんだ。こうして改めて見ると各所の曲線の美しさが良く分かるぞ。
 そして、もう1台、コタツしか家具のない部屋の中でその威容を誇っている。
 モスグリーンの車体と白いカウルが輝かしい4ストバイクの歴史的な名品、スー○ーカブが悲しげにライトをロービームに点けていた。
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
「という夢を見たんだ」
「そう」
 長門は北極海を埋める氷山の如く冷たく透き通った瞳で俺を見つめた。
 カーテンを開け放った窓からは、穏やかな日差しが入ってくる。やはり7階なんて場所は日差しも良く入ってくるもんだ。
 さて、何故俺が2人きりでここにいるのかって。簡単な話さ。
 今年もいつもの面々で初詣に行ったんだが、初夢の話題に長門はなんだかポカンとしていた。で、俺はつい、周りに気付かれないように囁いていた。
「後で詳しく教えてやる」
 考えてみたら初夢の定義なんてこいつが知らない筈ないんだが、ま、その場の雰囲気って奴だ。
 で、こうして俺は長門のマンションで富士とか茄子の話をした後、今年見た初夢の内容を話しているって訳だ。
「それがあなたの初夢?」
「ああ。今年は全く不思議な夢を見たもんだ」
 長門は暫く黙って自分の茶を啜っていたが、やがて思い出したように語りだした。
「私も睡眠という状態にある際に意図せぬ情景を感じることがある」
 ほう、どんなものが見えるんだ。
「昨夜はあなたが見えた」
 そ、そうか。そんな風に真っ直ぐ見つめられながら聞くと照れるな。
「あなたは」
 長門の瞳が硬くなった。
「喜緑江美里が好き?」
 おいおい、何を言い出すんだ。妹やハルヒだってそんな唐突な勘違いはしないぞ。
 長門は見上げるように、訴えるように俺を見つめた。
「あなたは一年を占うべき初夢に彼女の夢を見た」
 いや、そうじゃない。お前の部屋にいる夢さ。とにかく、それは誤解だぞ。
「そう」
 長門の表情専門家の俺の間違いでなければ、長門は数ナノメートル頬を緩めた。
「そういえば、あの2人は今頃何やってんだ」
「朝倉涼子はカナダでおでんの屋台を営業している」
 ホントかよ。
「喜緑江美里は東京」
「東京?」
「築地でワカメ大使の初仕事」
 俺は背中に潮の香りがする風を感じ、思わず振り向いた。
「ふふふ、明けましておめでとうございます。ちょっとお話が」
「あ、喜m」

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:53 (2468d)