作品

概要

作者G.F
作品名長門有希の臨死…
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-12-28 (木) 20:11:41

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

その日の昼休み。私はいつものように1人で文芸部室(つまりSOS団の団室)で本を読んでいた。
そろそろ五時間目の授業に…と思って立ち上がろうとすると…どういうわけか足に力が入らない。
その上、昼間だというのに急激に回りが暗くなっていった。
「うふふ…有希ちゃん、お久しぶり」
その声は…と声のするほうを見たら朝倉涼子がそこにいた。
死んだはずなのにどうしてそこに現れるの?と思ったら…回りに火の玉が飛んでいる。
その上顔の色がまるでグリーンのペンキを頭から被ったような緑色。
「私だけが地獄にいるのも寂しいからあなたを迎えにやってきたのよ」
冗談じゃない!如何に死に損ないとはいえ…まだ死にたくないわ!
「私の姿が見えるのならばあなたはもうすでに死んでいるということよ」
え?
「あなたは今、私が取り殺した」
どういうこと?
「…ほら…観念して来なさい。こっちへ来なさい」
いやだ…助けて…
死にたくない…
拒みたいけど拒めない…何故…
そして…私の手は…涼子に引かれていった。

 
 

「大変ですぅ」
我々3人より早く来ていた朝比奈さんが団室を指差して腰を抜かしてガタガタ震えている。
よほど何かあったのに違いない。
そして…俺たちは団室を見て唖然とした。長門が倒れているんだから。
「長門!どうしたんだ!長門!長門!」
外傷は見当たらないようだ。
俺は貧血でも起こしてぶっ倒れてそのままという可能性を考えて保健室に連れて行ってやろうと(いわゆる「お姫様抱っこ」というのはハルヒの視線が怖いのでやめにしといて)小脇に抱えるつもりで手首を取って唖然とした。
「…朝比奈さん」
「ふゎい?何でしょうキョン君」
あの〜、長門の左胸に手を当ててやってください。
「えっ?こうですか?」
そういうと朝比奈さんは左胸に手を当てた。
「えぇ〜っっ!心臓が動いてないですぅ〜」
な、俺でさえ吃驚したんだから朝比奈さんだとこの通り…って何言ってるんだ俺は?
「ハルヒ!大至急AEDを取りに行ってきてくれ!」
バシッ…これは俺が足蹴にされる音。
「ほぉ〜、あたしに命令とはいい度胸ね」
「長門が死に掛けているのにいい度胸もクソもあるか!これは緊急事態だぞ!緊急事態」
俺は本気で怒った。
まったく…友達が死に掛けているというのに…こいつ何を考えてるんだか。
「わかったわよ。取りに行ってくればいいんでしょ?行ってくれば」
ハルヒは膨れ面で出て行った。
シャー…これは長門のセーラー服のファスナーを下ろす音である。
…ごくり
緊急事態だ。緊急事態。しょうがないから…俺はそう念じながら長門の服を脱がせていた。
「こらエロキョン!有希が抵抗出来ないのいいことに服を脱がせるな!」
バシッ!また後ろから蹴りが入る。
無論ハルヒだ。手に保健室で借りてきたAEDを持っている。
こらハルヒ!お前わかってるのか!AEDは上半身だけでも脱がせないと使えないんだぞ!
「まあまあ、涼宮さん、これは緊急事態なんですから」
って古泉!お前の顔もにやけすぎだ、にやけすぎ。
「まあまあ、涼宮さん、何ならお外でお話しましょうか」
朝比奈さんが機転を利かせたのか、あと一歩で頭頂から噴火寸前という険しい顔のハルヒをなだめて外へと美味いこと拉致してくれた。
…ありがとう朝比奈さん、いつも感謝してますよ。

 

私は抵抗できないままに虚空に登っていく涼子に手を引っ張られていく。
しかし…私は反対に足を引っ張るものがあるのに気がついた。
「長門!行くな!行っちゃ駄目だ!」
この声は…
「あ〜ら、キョン君じゃない。これまたお久しぶり」
キャッ!(ぽっ)私の騎士(ナイト)!やっぱり来てくれたのね!(はぁと)
「あ!貴様!朝倉涼子!何がお久しぶりだ!」
「うふふ」
涼子はそう不気味なまでの薄ら笑いを浮かべていた。

 
 

「駄目だ!」
いくら通電しても長門の心臓は止まったまま、一向に動く気配を見せない。
「電極の繋ぎ方が間違っているわけじゃなさそうですよね」
ああ、俺はこう見えてAED使用の訓練を受けたことがあるからな。
「畜生!どうすりゃいいんだよ!」
俺は泣きたい気分だった。長門…嘘でもいいから生き返ってくれよ…
「これはもしかすると…」
そういって長門の頭脳とパソコンとの間を脳波測定の導線を思わせる線で繋ぐ古泉。
「長門さんの身体が身体だからやれるようなものです」
一方、ハルヒはどうも中の様子が気になっているようで、朝比奈さんと話をしながらしきりにこっちを覘こうとしているようだ。
朝比奈さん!頼みます!頼みますからハルヒの注意をこっちからそらしておいてください!
俺は朝比奈さんとハルヒのいる方に一生懸命合掌する。
長門の正体がハルヒにばれた日には長門はハルヒに「ほぉ〜、機械人形の分際でよくもあたしのキョンに手を出そうとしたわね」と生体解剖・分解されたその上焼却処分にされてしまうだろう。そうなると情報統合思念体主流派氏が黙ってないだろうが…でも「あのハルヒ」ならそれくらいやりかねない。
あ、そういえば空の彼方のどこかからくしゃみの音が聞こえるような聞こえないような、そんな気が…。

 

「いいわよキョン君、あなたも有希と一緒に行きたいなら有希と一緒に地獄へと連れて行ってあげるわ。それがあなたの本望だろうから。有希。いい道連れが出来たようでよかったわね」
良かったわねもクソもない。
私は唖然とした。どういう女なんだろう…この女は…私を取り殺しただけじゃ飽きたらずに彼まで取り殺そうとしているとは…
「朝倉!長門の手を放せ!」
「うふふ…放すもんですか」

 
 

「わかりましたよ。彼女の心臓が動かない原因は恐らくこれです」
俺は古泉の方を見た。
「これは…」
画面にはあの朝倉涼子が高笑いしているアニメーションのアスキーアートが浮かんでいる。
「どうやら朝倉ウィルスとでもいうべき存在ですね」
朝倉ウィルス?
「早い話が朝倉涼子の怨霊が長門さんに取り付いて蘇生を妨害しているようです」
ありうる!あの朝倉ならありえそうだ!
「念のためにこのウィルスプログラムを調べてみましたが…バグらしいバグがどこにも見当たらないようです」
「バグがないウィルスプログラム?」

 
 

「さあ、二人ともおいで」
嫌だ…まだ死にたくない…だけど彼も巻き込みたくない…
「朝倉!長門から手を離せ!」
キョン君!私、頑張る…
…だけど力が入らなくなる。
「長門さん!頑張ってください!」
古泉君!
「長門さぁん!行っちゃ駄目ですよぉ!」
みくるさん!

 
 

って古泉!お前は何で昆虫のCGなんか作成してるんだ!
「まあまあ、これが朝倉ウィルスに対する切り札になるんですから」
そういうと古泉は俺たち五人のCGを出現させた。
「フィロウクレイニア・パラドクサを涼宮さん、ヘラクレスオオカブトをキョン君、ギラファノコギリクワガタを僕、ジョロウグモを朝比奈さん、そしてスズメバチを長門さん」
古泉は昆虫のCGをドラッグ&ドロップで合成していく。
おいこら!ハルヒがカマキリ(それもアフリカ原産の『ボウレイカマキリ』)で長門がスズメバチなのはなんとなくわかるが何でよりによって朝比奈さんがジョロウグモなんだ!朝比奈さんが見たら泣くぞ!どうせならアゲハチョウにしろ!アゲハチョウに!
「まあいいでしょう。ここにいる我々二人以外に知る人はない」
しかしだな…いくらなんでも趣味が悪すぎやしないか?出来上がったものを見て俺は唖然とした。
「これは……」
そう。幼稚園児から小学校の時に見たあの五人一組のヒーロー番組のヒーローにあまりにもそっくりだったからだ。
「これも長門さんの身体が身体だからできるようなもんですよ」
古泉はいつものにやけ顔をますますにやけさせている。
「じゃ行きますよ!レディ・ゴー!」

 

ドサッ
私の騎士と古泉君とみくるさんが協力して引っ張り、かくして私の身体(正確には霊魂)は涼子から完全に引き離された。
「ちっ!」
涼子は悔しそうだ。
「朝倉涼子!死してなお長門を苦しめようとする貴様のようなクソ女は絶対に許せない!俺たちはこの場でお前を倒す!」
きゃっ!それでこそ私の騎士よ!
「クソ女だってぇ?よくも言ったなぁ」
涼子は般若の形相になった。
「どうやって倒すんですか!キョンさん」
「あれじゃ分が悪いですよぉ」
そこへ現れた影が。
「は〜い、涼宮ハルヒ・ただいま到着〜」
ハルヒ!?
「みんな!これを!」
ハルヒが私たちにさしだしたものはテレビの戦隊物のそれのようなブレスレット。
「うふふ、何だと思う?涼宮戦隊SOS団・変身ツール・その名もインセクトブレスレットよ!」
「涼宮戦隊」ってのは気に入らないけど…ありがとうハルヒ!私たちはそれを左腕に巻きつけた。
「選ばれし昆虫よ!我らに力を与えよ!チェンジ!S/O/S!」
そして私たちの身体には強化服が装着された。
「希望のパラドキサ!レッドマンティス・ハルヒ!」
「情熱のヘラクレスオオカブト!グリーンビートル・キョン!」
「勇気のギラファノコギリクワガタ!ブラックスタッグ・一樹!」
「魅惑のジョロウグモ!ブルースパイダー・みくる!」
そして私は…そうよ。
「知性のスズメバチ!イエロービー・有希!」
そして私たちは各自専用の武器を手に朝倉涼子の方へ向かっていった…。

 
 

アニメーションアスキーアートの朝倉涼子が苦悶の表情になったかと思うとやがてガタガタと崩れ落ちていき、かと思うとウィンドウが閉じた。
「要するにどこにもバグがないプログラムに対抗するならこっちがバグを生じさせてやればいいんですよ」
あっ、それでお前、「バグ(昆虫)」を俺たちのCGに混合させて…
「どうやら僕の駄洒落がお分かりになられたようですね。それでは僕はこの辺で失礼します」
っておい、古泉、お前もまだいた方がいいぞ。ほら…ハルヒがあそこでじっと恨めしそうに見てるじゃないか。
「朝比奈さんには涼宮さんに邪魔させないようにちゃんと言ってありますよ。
それに…」
それに…?
「眠り姫を起こすのは王子様の役割ですからね」
意味ありげな一言を残して立ち去る古泉。ハルヒの視線が怖い!いいかハルヒ!言っておくが今の台詞は俺が言ったんじゃないぞ!古泉が言ったものだからな!
「ま、今回ばかりはしょうがないわねぇ、ちっ」
ハルヒは部室の様子がどうにも気がかりな様子だったが立ち去ったようだ。
朝比奈さんが入ってきた。
俺は改めてハルヒがいなくなったのを確認後、AEDのスイッチを入れる。
「今度こそはうまくいきますように」
何といっても朝倉ウィルスは除去されたはずだから…
「…」
心臓が動き出し、長門はゆっくりと目を開けた。
「…?」

 

あの…何で私、裸で机の上に寝てるんでしょうか?(ぽっ)
「良かった…お前、心臓が動いてなかったから心配だったんだぞ!」
彼が涙声になって言った。
心臓が動いてなかった?
「このまま死んじゃったらどうしようかと思いましたぁ」
みくるさんもうれし泣きしているようだ。
じゃあ…私、死んでたの?そう聞こうとして私は思い出した。
「朝倉涼子が突然現れて…私を連れ去ろうとした」
そして私はみんなと一緒に涼子を撃破し、ここに戻ってきたんだっけ。

 

「すまない。迷惑をかけた」
おっと、誰も迷惑だなんていってないぜ、長門。
ハルヒの迷惑よりはまだましだよ。
「あ、あの…それでは私、この辺で失礼します。ついでにこれも保健室に返しておきますから」
朝比奈さんが赤面しつつ去った。
「それでは…私も失礼する」
「おっと、お前はもう少し横になっていた方がいい」
「何故?」
アイドリングが今懸かり始めたばかりだから。
「大丈夫。俺もついてるから」
言っとくけどこれは生き返ったばかりの長門の体調がちょっと心配だったからなんだぜ。本当に…まあこの可愛い宇宙生まれのエンジェルのセミヌードをもうちょっと目に焼き付けておきたかったという下心があったといわれても無論俺は否定はしないし否定をするつもりもないけどな。
「では…お言葉に甘えて」
長門はそういうと目を閉じて幸せそうにしていた。ほんの少しだけど笑顔が浮かんでいるようだ。

 
 

ねえ、キョン君。
「ん…」
「…いえ、何でもない」
「長門…お前、熱でもあるんじゃないのか?顔が赤いぞ」
うふふ…
「この次に私のセーラー服を脱がすのはあなたのお部屋のあなたのベッドでお・ね・が・い(はぁと)」なんて、私、恥ずかしすぎて口が裂けてもいえないわぁ(ぽっ)

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:51 (2732d)