作品

概要

作者G.F
作品名結婚式ですよ長門さん 番外 Haruhi Side Story
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-12-25 (月) 21:16:40

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

設定参照 SS集/427 SS集/428

 

この日が来るのはわかっていた。

 

あたしのキョンが遠くへ行ってしまう日が…他の人…まったく知らない人ならともかく…よりによってあの有希と結婚する日が…

 

…来なければいいと思っていた。
でもついに…ついに来てしまった。

 

キョン…あなたはどうしてわかってくれなかったの?
あれはあたしの愛だったのに…
あたしは…あたしはあなたを愛していたからあんな事やこんな事もしたのに…あなたはその事をわかっていると思っていた。愛あればこそのことだったのに…それがあたしの…あたしの思い込みに過ぎなかったなんて…

 
 

あたしを失望のどん底に陥れたのは鶴屋さんからの電話だった。
「キョン君と有希ちゃんが…今年の九月に結婚することになったにょろ」
更に…あたしの気持ちに追い討ちを架けるように…よりによってあたしの勤務先のホテルで披露宴を行うという。
その上…あたしには結婚式の招待状さえも来なかった。
ねえ…どうして?どうしてみんなあたしだけ仲間外れにするの?どうして?どうして?どうして?
有希を…キョンの愛が有希へ傾きかけているのを知って以来、露骨なまでに有希をいじめたから?
あたしとしては…キョンの愛が有希に傾いているのを繋ぎとめたかっただけなのに…
…結局、キョンの愛は有希へと行ってしまった。
もうあたしに戻ることはない。
「どうして…どうしてよぉ…」
気がついたらあたしはベッドで号泣していた。
「有希…ひどいよぉ、キョンを独り占めしないでよぉ…あたしも…キョンと一緒に暮らしたいよぉ」

 

あたしはそれ以来職場でも家でもキョンと有希のためにしてやれる事を考えていた。
そうだ。
…結婚式を盛り上げてやることだけはできる。
何と言っても私は「世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒ」じゃない。
たかが「結婚式」一つ盛り上げられないでどうするのよ。
そして有希にも今までの仕打ちを謝ろう。このチャンスを逃したらもう一生ないかも知れない。有希はこのあたしを骨の髄まで恨んでいるだろうから許してもらえないかもしれないけれど…

 

「あ、所要がありますのでしばらく外へ行きます」
そしてあたしは…あたしの足は…キョンと有希の結婚式場の丘の上のプロテスタント教会へと向かっていた。

 
 

皆から仲間外れにされて…初めて有希がどんな思いだったか気がつくなんて…。
「こんなことになるなら…成人式のときにちゃんと謝っておけばよかった…」
「後悔先に立たず」とはよく言ったもので…よく考えてみたら有希に謝るチャンスは他には成人式のときしかなかったんだから…そういえばその成人式のときなんだけど…高校のときのことを謝ろうと有希を探していたら…キョンが有希とイチャイチャしているのを見てしまって…結局ムカついて折り返して…そのまま謝らずに帰ってしまったんだっけ。
「…どうぞ」
あたしがホテルのロビーのソファーで高校時代を思い出して涙を流しつつ深い物思いに沈んでいると、すぐそこの自動販売機で買ったらしいジュースを指し出された。差し出す手を見てはっとした。薬指に新品の指輪をはめているということは…
「話は…みくるさんから聞いた」
振り返ると青いドレスを身にまとった有希だった。披露宴の席から抜け出してきたのだろう。

 
 

ハルヒが教会の外で一芝居打っていたその経緯をみくるさんから聞いたそのとき…私は…負けた…と思った。
「負けた?あなたが?冗談じゃない。負けたのはあたし。あなたは勝ったのよ」
いいえ…私は…今までの私に対する意趣返しとしてあなたをとことんまで苦しめてやるつもりだったの。
だからわざとこのホテルを披露宴会場に選んだのよ。当然、夫・キョン君や他の人は反対したわ。中でもみくるさんは顔面蒼白状態だったわ。他のホテルならともかく…あの涼宮ハルヒの勤務先だから何をされるかわかったもんじゃないって…でも私が押し切って決めたの。
愛読のミステリーを引用して「自分が一番疑われることはわかっているのにパーティーの御馳走に毒など入れる馬鹿はいないはず」ってことで説得して(もっとも毒を入れられていたところで人間にしか見えないけれど本当は人間でいう脳髄に該当する器官を除く全身の99パーセントが機械の身である私には毒は通用しないんだけどね…おっと、これはキョンと古泉君、みくるさんのみが知る私の秘密。ハルヒには内緒なんだけど)…そうして披露宴を見せびらかして…だけど…どうやらあなたの方が役者が一枚上手だったみたいね。
「あなたがあそこ(=教会の庭)にいるということ自体が…既に想定外だった」
でも…私はあなたが夫を奪いに来たかと早合点して…私から夫を奪い取るための最後の手段を行使しにきたかと思ったの。ちょうど夫と昨日見た映画の「卒業」みたいに…そうしたらあなたの口から嗚咽しつつ出た言葉は…

 

『有希…私の…私の分まで幸せになってね』

 

そして泣きじゃくって一生懸命謝るあなたに私の心はやっと氷解した。

 
 

え…それってつまり…
「これにてあなたへの復讐計画は無に帰した」
有希…復讐計画だなんて…恐ろしいこと考えてたのね。
「…ハルヒ…家政婦としてうちに来ない?」
え?何か言った?
「住み込みで。そうすればあなたもいつでもキョンの顔を見れる」
え?あたしが?とんでもない。迷惑じゃないかしら?
「過去のことは…全て水に流すから」
有希…それじゃ…許してくれるのね。
「あなたと私は運命共同体。かつて同じ男を愛した二人だからこそ一緒に生きられる。そう思った」
有希はそういうとあたしのおでこにキスして立ち去った。
…なんだかショックから意外と早く立ち直れそう。
「有希…ありがとう。あたしなんかのために…」

 
 

「…というわけで…ホテル辞めて家政婦に転業しましたぁ」
そして今、あたしはかつてSOS団の団室でみくるちゃんがまとっていたあのメイド服を着てキョンの家にいる。
「ほげ?」
「キョン、何よ、その『ほげ?』ってのは」
有希、今までいじめた分だけ今度はあたしが守ってあげるからね。
「キョン!有希を泣かせたらその時は死刑よ、死刑!死刑だから!」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:50 (3093d)