作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんの夢
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-11-11 (土) 23:15:35

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「来て……」

 

ダメだ……
かなり有難い申し出だが、享受する訳にはいかない。

 

「どうして?」

 

どうしても、だ。
こういうことをするのは、
お前に対して申し訳ない気がするし、
何より自分の気持ちに……

 

「大丈夫……誰も見ていない」

 

あぁ……そりゃそうだろうな。
ここにいるのは間違いなく俺とお前だけだろう。
でも、誰も見ていないと思っても神様は見てるって、
昔の偉い人が言ってるかもしれないんだぜ?

 

「問題ない……」

 

いや、俺としては問題ありまくりだ。
ここで何をやっても法的には問題ないだろうが、
本当にナニかやってしまうと、
明日からどの面下げてお前に会えばいいのか分からん。

 

「私のこと嫌い?」

 

「いや、そんなことはないぞ」

 

ぶっちゃけ、俺の理性は崩壊寸前だしな。
俺だって健全な男子高校生だし、お前は可愛いし。
正直言ってさっきから身体の中の良からぬものが、
溢れんばかりの勢いなんだ。

 

「じゃあ……」

 

「だから、それはダメだ」

 

俺は懸命に理性を奮い立たせる。
よし、とりあえず状況を把握して落ち着こう。
このままだと俺は踏み外してはいけない所に堕ちそうだからな。

 
 
 

数時間前、俺は自分の部屋で、
寝巻き代わりのシャツを着てベッドに潜り込んだ。
シャミセンと添い寝するのももう慣れっこだ。
明日になればまたハルヒの五月蠅い声を聞くことになるのか……やれやれ。
そう思いながら俺は眠りに落ちた……

 
 

……はずだった。

 
 

気付けば何故か俺はこんなところにいた。
まるで以前ハルヒと閉鎖空間に閉じ込められた時のようだが、
今回はそんな超自然的な力は関係していない。
なぜなら……

 
 

……これは俺の夢だからだ。

 
 

どうしてそんなことが分かるかって?
簡単なことだ。

 

まず、俺はこんな感じの夢をここ3日程見続けている。
次に、今日も俺の目の前にありえない人物がいる。
更に、そいつがはっきりこう言ってるんだ……

 
 

「そう……これは夢……」

 
 

そう言って目の前の長門はネグリジェ1枚で歩み寄ってきた……

 
 
 
 

「ちょっ、長門!落ち着け!」

 

「私は異常ない。落ち着くのはあなたの方」

 

俺だって出来れば落ち着きたいが、そうもいかない。
第一、長門のあらわな姿を見て落ち着ける男がいるだろうか、
いやいない。

 

「私はあなたの潜在的な意識が生み出したもの……
つまり本物の私ではなくあなたの願望の現れ」

 

確かにここは俺の夢なんだから、
お前は本物の長門ではなく、俺の作り出した偽の長門……
ってことになるな。

 

それにしても、
可愛い女の子が夢に出てくるってのは、
健全な男子高校生としては至極真っ当だと思うが、
よりにもよってこんな格好の長門を作り出すなんて、
俺も相当やばい人種なのかもしれない……

 

だが、ここで本当に手を出してしまえば、
いよいよ俺は最低人間となってしまう。
ミジンコ以下だ。
俺はなけなしの根性を発揮して、
何とか理性を保つことにした。

 

よし、とりあえずコレは夢なんだから、
さっさと目を覚ませばいい。
頑張るんだ俺!!

 

「無駄……」

 

いきなり出鼻をくじかれた。
長門よ……何事もやってみないとわからんだろ?
まぁ、夢の中での目の覚まし方なんか見当もつかないが。
そう反論する俺に、目の前の無口少女は解説した。

 

「あなたはここ数日寝不足気味。
よって熟睡しているため、少々のことでは起きない」

 

そういえば、昨日も一昨日もお前が夢に出てきたおかげで、
寝不足だったな……
くそ、じゃあまだまだ夢から逃れられないのか。
だが俺はそこで一つの可能性を見出した。

 

「長門……」

 

「何?」

 

いつものように長門はミリ単位で首を傾けた。
俺の想像とはいえ、恐ろしいくらい本人にそっくりだな……
そう思いながら俺は宇宙人製アンドロイドに尋ねる。

 
 

「今……何時だ?」

 
 

「5時38分27秒41……」

 

長門は淡々と答えた。
こいつのことだから、
これは原子時計よりも正確な時間だろう。

 

だが、おかげで俺にも勝機が見えてきた。
あと1時間もすれば、俺は確実に起きることができる。
たとえどんなに爆睡していたとしても、だ。

 
 

なぜなら……妹が起こしに来るからだ。

 
 

あのスーパー目覚まし娘は、
俺がどれほど深い眠りに陥っていようとも、
一瞬で引きずり出すほどの力を持っている。
つまり、あと1時間で俺はこの夢から逃れ……
そこまで考えて、俺はある疑問に思い立った。

 
 

果たして長門から1時間逃げ切れるのだろうか?

 
 

参考までに巨大カマドウマは古泉の力もあったが、瞬殺。
朝倉でさえものの数分で勝負がついた。

 

そんな長門相手に1時間……
次第に心に焦りが広がるのが分かる。
そんな俺の気持ちを嘲笑うかのように、
長門はかなりの所まで近づいていた。
くそ、こうなれば何としても逃げ切……

 

「無駄」

 

その言葉と共に、
俺の周囲の状況が一変した。

 

「……マジかよ……」

 

いつの間にか俺たちは四方を壁に囲まれていた。
まさか長門がここまでアグレッシブだったとは……
いや、この長門は本物ではなくあくまで俺の想像の長門であって、
きっと本物の長門は今頃自分の部屋で寝てるか本でも読んでるかしているわけで、
この長門はそうではなく……
ええい、そんなことはどうでもいい!
とにかく今はこの状況を何とかしなければなるまい。
そう焦る俺に長門が話しかけてきた。

 

「何故逃げるの?」

 

「いや、だからそれは……」

 

言いよどむ俺の目の前には、
いつの間にか長門が迫っていた。
そして俺の顔を覗き込むようにしてこう言った。

 
 

「やはり……私のことが嫌い?」

 
 

眼前の物静かな少女は心なしか……
いや、確実に悲しげな顔をしていた。
やっぱり……夢でもこんな長門は見たくないな……

 

そう思った俺は、
目の前の少女を改めて見て、こう言った。

 
 

「あぁ……長門のことは、好きだ」

 
 

「じゃあ……」

 

「でも、俺が好きな長門は、
夢の中にいる長門じゃないんだ……」

 

……頼むからそんな悲しげな顔をしないでくれ。
胸をアーミーナイフでチクチク刺されてる気分だ。
まさかと思うが、ここに奴はいないよな?

 

「……」

 

「俺が好きなのはいつも部屋で静かに本を読んでいたり、
いつも頼りになったり、意外と表情豊かだったりする長門なんだ。
だから……なんだ、その……」

 

くそ!やたらと恥ずかしいぞおい!
というか目の前にいるのは俺の妄想が作り出した長門なんだから、
これはいわゆる壮大な自作自演……

 

ええい!だからそんなことはどうでもいい!
とりあえず男として、ここは一言言っておかなければならんだろ。

 
 

「いつか、ちゃんとお前にそう言うから……
だから、今は逃げさせてくれ」

 
 

何やらチキン感たっぷりの俺の言葉に、
長門はしばし黙っていたが、

 

「……そう」

 

と短く言うと、
目の前の少女の幻影は少し笑顔でこう言った。

 
 

「待ってる……」

 
 

え、待ってるってなn……

 
 

そこで俺の意識は途絶えた。

 
 
 
 

「キョンくん!あっさだよ〜!!!」

 

「ぐっほぉ!?」

 

あ、朝からフライングニープレスを首に決めるとは……
お前はどこの悪魔将軍だ?

 

まぁ、夢から覚ましてくれたこいつには感謝すべきだろう。
あのままだと多分逃げ切れず、俺は朝から苦悩する羽目になってただろうからな。
そう思いながら俺は朝の支度をすることにした。

 
 

ところで、ここで腑に落ちないことがいくつかある。

 

まず、長門の夢を見るようになってから、
寝不足になったことだ。
夢を見てるってことは寝てるってことで、
寝不足になるわけが無い。

 

次に、夢の中の長門が正確な時間を教えてくれたことだ。
夢の中なのに、正確な時間が分かるのか?
しかも俺の夢の登場人物である偽の長門が、だ。

 

最後に、いくらなんでも3日目にして女の子をネグリジェ1枚にするほど、
俺は落ちぶれているのか?ってことだ。
我が名誉のために言わせて貰うが、
そんなことはない!断じてない。ないぞ。ないはずだ。多分。

 
 

まぁ、この辺の疑問はまた放課後にでも頼れる宇宙人に聞いてみればいい。
そう思いながら、俺は学校への上り坂を歩き始めた……

 
 
 

P.S.

 

やはり、いきなりあのような薄着は、はしたなかったのだろうか?
彼を寝不足にさせてしまっている事もふまえて、
今後の反省点とすべきだろう。
いや、そもそも夢の中と錯覚させて、
彼と既成事実を作るこの作戦自体がダメなのだろうか?

 

でも、もういい……

 

彼は約束してくれた。
私に想いを伝えると……
だから私は待てばいい。

 

そうすれば、これから先は二人で……

 

そう思いながら私は学校に向う事にした……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:42 (3093d)