作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんとにらめっこ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-10-18 (水) 21:29:12

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

突然だが、『にらめっこ』という遊びを知っているだろうか?
お互いに向かい合い、相手を笑わせたほうが勝ちという、
シンプルながら奥が深いものだ。

 

「だ〜るまさん、だ〜るまさん」

 

俺は飲み物を乗せた盆を持って階段を上がっていた。
さて、何故俺がこんな子供の遊びについて語っているかというと、
それには多種多様、千差万別の理由があって……

 

「に〜らめっこし〜ましょ、わら〜っちゃだめよ」

 

そもそも、子供の遊びというものはプライドも何も考えずに、
純粋に楽しくやるものであり、そんなものは粗大ゴミに捨ててしまった俺のような、
健全な高校生はしないわけで……

 

「あっ ぷっ 」

 

つまり、何が言いたいかというと……
まぁとりあえず、目の前の俺の部屋のドアを開ければ分かるさ。
はい、オープン。

 
 

「ぷっ!!」

 
 

「……何やってんだお前ら?」

 
 

そこには向き合って座る2人の少女がいた。

 
 
 
 

「あ、キョンくん!それな〜に?」

 

お前の大好きな果汁100%のオレンジジュースだ。
お気に入りのネコのコップも持ってきてやったぞ。

 

「……」

 

ちゃんとお前の分もあるぞ。
俺はそう言いながらコップを二人に手渡す。
ついでに俺のコップにも注いでおく。

 

「ありがとう……」

 

どういたしまして。
お前の口に合うかどうか心配だけどな。

 

「ぷはー!おかわりー!!」

 

早い!早すぎるぞ妹よ!!
お兄ちゃんはもっと味わって飲んで欲しいぞ。
あと、口を袖で拭くんじゃありません!

 

「それにしても……妹が急に呼び出してすまなかったな」

 

今朝早く、妹が長門を呼び出したらしく、
休日ということで惰眠をむさぼっていた俺が目を覚ますと、
二人がかりで顔を覗き込んでいた。

 

「いい……」

 

こちらも既にコップが空になっている。
俺は二人のコップを再び黄色い液体で満たしながら、
さっきと同じ質問をした。

 

「で、何やってたんだ?」

 

すると、目の前の見た目は幼女、中身も幼女、
でも一応小学校高学年の少女から、予想はしたが想像しづらい答えが返ってきた。

 
 

「えとね〜有希ちゃんとにらめっこしてたの〜」

 
 
 

「にらめっこ?」

 

「そう……」

 

まぁ、扉からもれる妹の声で何をしてるか予想はしていたが……
だが、お前がにらめっこしてるところが想像できん。

 

「なんでまたそんなこと……」

 

「しょーぶしてるの」

 

「勝負?お前と長門が?」

 

俺の質問に二人は頷きで答えた。
どうやら我が妹は無謀にも長門に勝負を挑んだらしい。
この文学少女に勝てる人間など、この地球上を探してもいるかどうか……
ハルヒなら何とかなるかな?

 

「勝負は分かったが、何故にらめっこなんだ?」

 

もっと他に無いのか?
オセロとかチェスとかトランプとか……
いかん、古泉のボードゲーム好きがうつってるな。

 

「ん〜なんとなく」

 

そうか、なんとなくか……
まぁボードゲームで妹が勝てる気はしないけどな。
だが、この無表情がデフォルトの宇宙人が笑うことがあるとは……

 

「現在5勝2敗1分……」

 

長門は淡々と戦績を発表した。
やはり、長門が勝ち越してるようだ……っておい!

 

「……お前……2回も笑ったのか?」

 

「3回。引き分けは二人同時」

 

長門は首を振りながら答えた。
妹も分かるようにいつもより大きく振っている。

 

それにしても長門を笑わせるなんて……
どうやら俺の妹は鶴屋さん以上のポテンシャルを秘めているらしい。
いろんな意味で将来が楽しみだ。

 

「でも、有希ちゃんつよいんだよ〜?」

 

そりゃ、長門だからな。
というか、お前と鶴屋さんはこのゲームには確実に向いていない。
そこは断言してやる。

 

「さっきの有希ちゃんの顔なんかね〜」

 
 

その時、妹が俺の視界から消えた。

 
 

「……言っちゃだめ」

 

長門の声に驚いて、そちらを振り向くと、
俺の目に異様な光景が飛び込んだ。

 

「お、おい長門!?」

 

長門が俺の妹の口を手で塞いでいる。
人質のようになっている当の本人はキャッキャッと喜んでいるが。

 

「と、とりあえず離してやってくれないか?」

 

「……わかった」

 

ものすごい『渋々』っぷりだな。
今にも『ぶー』と言いそうな顔をしながら、
長門は俺の妹を解放した。

 

「言っちゃだめ」

 

先ほどと同じセリフを繰り返して、
長門は妹に念を押した。

 

「うん、わかったー」

 

これ以上無いというほど信用できないな。
まぁ俺も気になるし、本人がいない所でゆっくり……

 

「でもさっきのりょうてつかった有希ちゃんのかお……」

 
 

その瞬間、再び俺の視界から妹が消えた。

 
 
 

同じようなことを5回ほど繰り返した俺たちは、
キリがないので話題を変える事にした。

 

「ところで……なんで勝負なんかしてたんだ?」

 

あまり勝負勝負と連呼すると、
もし半径200m以内にハルヒがいれば、
喜んで飛んできそうで困る。

 

「だってキョンくんがへやでてってひまだったんだもん」

 

そりゃ、俺だって着替えたりしなければならんからな。
お前だけならともかく、長門の前で着替えるのは恥ずかしい。
長門だって見たくないだろう。

 

「そんなことはない。むしろ喜んd」

 

「とにかく、長門も普段疲れてるんだから休ませてやれ」

 

なんとなく長門の言葉を遮らないと大変なことになりそうだったので、
半ば強引ににらめっこの流れを断ち切る。
横から半端なく『ながとビーム』が飛んできているが気にしない。

 

「え〜でも〜」

 

でもじゃない。

 

「だって〜」

 

だってじゃない。

 

「それだと有希ちゃんのかちになっちゃう」

 

これ以上やっても差が開くだけだ。
2軍の万年最下位チームが大リーグで勝つよりもお前の勝率は低い。

 

「長門の勝ちでいいだろ」

 

「私の……勝ち?」

 

誰が見てもそうだぞ、長門。
というか嬉しそうだな。
そんなにうちの妹に勝てたのが嬉しいのか?

 

「え〜」

 

わがまま言うんじゃない。
お前ももっと長門を労わってやれ。

 

だが、妹の一言に俺は猛烈にいやな予感がした。

 
 

「じゃあ、かった有希ちゃんにはしょうひんだね」

 
 

……商品?賞品?
確かに勝負事には必須ともいえるが……
一体何を賭けたんだ?

 

そんな俺の疑問に、妹はあっさり答えた。

 
 

「かったひとがキョンくんのおよめさんになるの!!」

 
 

……へ?

 

呆然とする俺の横で、
長門が静かに寄り添ってきた……

 
 

その後、俺は3時間かけて何とか長門を説得した。
長門がポケットから婚姻届とはんこを出した時には、
心の底から焦ったけどな……

 

ただ、長門がいつもより色っぽく「あなた」と言った時に、
少しだけ意識が飛んだことを付記しておく。

 
 
 
 

今朝、彼の妹から電話がかかってきた。
何か話があるらしい。
未来の義妹の頼みを断るはずは無い。
なにより、彼の家に行けるのだ。

 

彼の家に着くと、
かわいい義妹が迎え出てくれた。
どうやら彼はまだ睡眠中らしい。

 

私は義妹を伴って寝顔を見に行った。

 
 

……至福……

 
 

彼は目を覚ますと、私の顔を見て驚いた。
いつもよりおめかししたのに気付いたのだろうか?
ちょっと…かなり嬉しい。

 

しかし、着替えをするといって出て行ってしまった。
結婚するまで貞操を守るつもりかもしれない。
意外とストイック。

 

彼のいない部屋で義妹と二人。
少し寂しい、と思っていると義妹が口を開いた。

 
 

「ねぇ……有希ちゃんはキョンくんのこと好き??」

 
 

確認するまでも無い。
わたしは大きく頷いた。

 

「結婚するの?」

 

もちろん。当然。規定事項。
ちゃんと婚姻届とはんこは肌身離さず持っている。

 

「じゃあ……有希お義姉ちゃんだね!」

 

……有希……お義姉さん……

 

思考能力が半減。
やはり、式のブーケトスは彼女に向けて行おう。
そのための情報操作もしておかなければ。

 

「でも、なんでまだ結婚しないの?」

 

残念ながらこの国の制度では、
彼はまだ結婚が出来ないらしい。
以前情報操作で書き換えようとしたが、
許可が下りなかった。
情報統合思念体には幻滅させられる。

 

「早く有希ちゃんがお義姉ちゃんになってほしいな〜」

 

同感。
やはりこの義妹はかわいい。
5人目の子供の名前はこの子に決めてもらおう。
ちなみに1人目と3人目は彼に、2人目と4人目は私が決める予定だ。

 

「そうだ!」

 

私が考えていると、彼女は唐突に叫んだ。
もう名前が浮かんだのだろうか?5年ばかり早い。

 

「こうすればいいよ!!」

 

そう言って彼女は『作戦』を語りだした。

 

……『にらめっこ』……興味がある。
それに彼と結婚するための作戦だ。
拒否する権利は誰にも無い。

 

私は即座に賛同した。
後は彼を待つだけ……

 

それにしても『にらめっこ』には興味がある。
まだ彼は来そうにないし、
一度だけやってみたい。

 

「いいよ〜」

 

女の子が生まれたら彼女のような子になって欲しい。
男の子なら彼だ。
お義父さまもお義母さまもこんな子がいて幸せだろう。

 

彼女の許しを得た私は、生まれて初めて『にらめっこ』をやった。
どうやら可能な限り『変な顔』をすればいいらしい。
掛け声と共に、私は表情を作……

 
 

「……お前ら何やってんだ?」

 
 
 
 

オマケ

 

「なぁ……そういえば長門のにらめっこの顔はどんなのだったんだ?」

 

長門が帰った後、
俺はさりげなく妹に聞いてみた。
知的好奇心って奴だ。

 

「んとね〜」

 

その時、俺のケータイが鳴り出した。
おそるおそる取り上げる俺。
着信?怖くて見れるわけがない。

 

「も、もしもし?」

 

若干声が裏返った。
そんな俺に電話の主は静かにこう言った。

 
 
 

「カマドウマと朝倉涼子……どっちがいい?」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:36 (3087d)