作品

概要

作者語り手見習い
作品名とある二人の追憶
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-10-08 (日) 02:35:50

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場
 

SS

 
 

・・・・・・・
・・・・・
・・・

 

栞を見つけた俺はすぐに家を出た。
少し早い位だったがあいつのことだ、約束の時間のずっと前から俺を待っているだろう。
無論俺もあいつずっと待たせる気はさらさらない。
というわけで必死こいて坂道を登っているというわけだ。
しかし、長門もなんで待ち合わせ場所を学校にしたんだろうな?
公園とかマンションとかの方が単純な距離から言ってお互い楽だと思うんだが・・・
まぁ、そんなことを考えているうちに校門の前に立つ長門の姿が見えてきた。
本当、あいつはいつから待ってたんだか・・・なんだかちょっと申し訳ないな。
あー、待ったか?
少し後ろめたい気分になりつつ尋ねると長門はふるふると首を振った。
「五分前に来たばかり、あなたが責任を感じる必要はない」
うっ、心を読まれた!?今日日宇宙人は読心術まで使うのか?
というかなんだこの会話は、デートの待ち合わせじゃないんだぞ、俺。
少し混乱している俺を尻目に長門は校門をよじ登り始めた。
というかスカートはいてそういう動作をするのはやめてくれ、目のやり場に困る。
「・・・・・・?」
いつの間にか向こうに到達していた長門はいつまでも動こうとしない俺を不審に思ったのかこちらを見て首を(俺に分かる程度に)かしげていた。
いや、なんでもない。
俺は校門をよじ登るべく淵に手をかけた。

 

その後、長門はまた無言で歩き出した。
俺としてはそろそろ呼び出された理由を知りたいのだが・・・
しかし長門の後姿からはどことなく話しかけることがはばかられるようなオーラが出ていた。
仕方ない、黙ってついてくか。
そのままもくもくと歩き始めた長門(と俺)は桜の木の下で立ち止まった、とはいっても
まだ花が咲くには時期が早いのかつぼみしかなっていなかった。
「・・・・・・」
しばらく沈黙、長門相手の沈黙には慣れたつもりだったのだがさすがに気まずい。
しかし、沈黙に耐えかねた俺が口を開く前に沈黙を破ったのは長門だった。
「あなたに伝えなければならないことがある」
何か嫌な予感がする、またハルヒ絡みか?
「そう、そして古泉一樹の機関も朝比奈みくるが所属する組織もまだこの事態に気づけていない」
気づけてない?
「そう、でも時機に気づく」
それは分かった。で、何が起こっているんだ?
このとき、ある程度の事態は覚悟していた俺だったが次の長門の一言で思わず俺の頭は停止しちまった。

 

「昨夜、情報統合思念体及び私と喜緑江美里以外のヒューマノイドインターフェースの消滅を確認した」

 

なっ。
絶句する俺を他所に長門は続ける。
「それだけではない、私が持つ情報操作能力や古泉一樹の超能力、朝比奈みくるの時間跳躍能力も全て失われた」
ちょっと待て、待ってくれ、頭の理解が追いつかん。
つまりどういうことなんだ?というかどうしてそんなことに・・・
「おそらく涼宮ハルヒが宇宙人や超能力者に対し興味を失ったことが原因だと思われる」
ハルヒが?あいつがおまえらに対して興味を失ったって?
「そう、涼宮ハルヒは現状に満足している。おそらく昨夜、完全に興味を失った」
満足?
「そう、涼宮ハルヒは私たち、SOS団と過ごす日常に満足している。だからこそ情報統合思念体のインターフェースが消滅した現在でも私は存在を継続できている」
なるほどようやく理解が追いついてきた、つまるところおまえや古泉たちは何の特殊属性もない一般人になったってことか。
しかし・・・なんで喜緑さんもなんだ?ハルヒはそんなに喜緑さんのキャラが気に入ってたのか?特別気に入ってるようたようには見えなかったが・・・
「理由は二つ、まず一つは彼女が微量ながらもSOS団と繋がりがあったこと、もう一つは私が彼女が消えないよう情報改変を行ったから」

すこし驚いた、というか未だにおまえらがどういう関係なのか分からんのだが・・・
仲良かったのか?
長門は少し考えていたようだがやがて口を開いた。
「彼女とはあなたに出会う前より交流があった、消えてほしく無かった」
そうか。
「そう」
正直に言おう、この時の俺は少し嬉しかった。
SOS団が結成されるまでの三年間、こいつがたった一人では無かったというのが分かったからだ。(俺と朝比奈さんが一度訪ねに行ったこともあったが、あくまで一度だ)
しかし・・・長門たちが一般人に、か。
なんか妙に感慨深いな、だがまぁあいつらに特殊属性があろうと無かろうとそんなに大した変化は無いのかも知れん。SOS団の日常のには、な。
当人たちにとっちゃ大有りなんだろうが・・・
そんなことを考えつつ長門を見ると何か言いたそうにこちらを見ていた。
って、まさかまだ何かあるのか?今日一日ですでに通常の一年分の驚愕を味わったんだが・・・まだ何かあるというのか。
で、どうなんだ?
「この事をあなたに伝えていいかどうか分からない」
そんなにやばいことなのか?
「場合によっては。けれど私はあなたに伝えたいと思っている」
「・・・・・・」
自分の顔は自分で見れない、だがこの時俺は確かに微笑んでいたと思う。
俺には長門の言いたいことは見当もつかん、ひょっとして滅茶苦茶やばいことかもそれん、だが俺は本心からこう言った。
お前の好きにするといいさ長門。
こいつもたまには我侭を通してみてもいいだろう、と思ったのさ、俺はな。
「・・・ここ数日の間、私は人の恋愛感情について調べていた」
・・・なんだって?
「恋愛感情」
どうやらまだ驚かされることになるらしい、くどいようだがもう一度聞こう、恋愛だって?
「そう」
なんでまた?
「以前、朝比奈みくるの友人に私の持つ感情について尋ねたところそれは恋愛感情だと言われたから」
鶴屋さんにだって?っておまえ私の持つ感情って・・・
この時の俺は混乱の極みにあった、そりゃそうだろう、つまり長門は恋をしているということだ。
って恋?koi?鯉?
「結果、結論に至った、私は・・・」
次の一言は俺の頭を問答無用で機能停止においこんだ。

 

「あなたが好き」

 

長門の目は真剣そのものだった。
まて、いい加減落ち着け、俺。
長門が、俺のことが好き?
「あなたは、私のことが好き?」
そう言うと長門は俯いてしまった、その時の長門が消え入りそうなほど儚かった。
頭が、冷えた気がした。
いいか?俺?よーく考えろ。ごまかしは無しだ、おまえは・・・

 

長門のことをどう思ってる?

 

長門は、SOS団の仲間で、頼りになるやつで、でも不器用で、最近感情を見せるようになって俺はそんな長門を娘の成長を嬉しく思う父親のような心境で見てて・・・
本当にそうか?俺は長門を仲間としか、娘のような存在としか思ってなかったのか?
もう一度だけ聞いてやるぞ、俺。
お前にとって長門はどういう存在だ?

 

考えてみれば簡単なことだったんだろう。

 

次の瞬間、俺は長門を抱きしめていた。

 

俺はこいつを守りたい、このどうしようもなく不器用な少女を、できることなら・・・ずっと傍でな。

 

「長門・・・好きだ」

 

・・・・・・・
・・・・・
・・・

 
 

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:34 (2704d)