作品

概要

作者おぐちゃん
作品名ぼくらの七日間戦争 第六話
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-10-04 (水) 00:08:29

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「……ねえ有希。しりとりしたいとか思わない?」
「べつに」
 有希はそう言って、化粧品と地球がどうたらいうタイトルの文庫本のページをめくった。
 キョンは右腕を診てもらいに病院に行ってしまった。ついて行こうかと言ったら、なんかすごい勢いで断られた。
 で、あたしは今有希と二人で、キョンの部屋であいつの帰りを待っているというわけだ。
「…………」
 この娘はいいわよね。本があれば少なくとも退屈はしないし。
 退屈しのぎに家事の手伝いをしたけど、おば様とあたしと有希の三人がかりだと、一日分の仕事もあっさり終わってしまった。ま、おば様が喜んでたからいいか。
 やっぱり女手は多い方がいいわね。子供生むときは女の子にしよう、うん。
 とりとめもないことを考えながらぼへーっと座っていたら、急にひらめいた。
「そうよ! せっかくのチャンスじゃない!」
 あたしは有希が座っているベッドの下に頭を突っ込んだ。
 うーん、ぱっと見には無さそうだけど。
「なに、してるの」
 ベッドの上から有希の声。
「決まってんじゃない。エロ本探してんのよ」
 キョンだって健全な男子高校生だもの、そう言うもの持ってておかしくはないわよね。
 ベッドの下は空だった。そう言えば、シャミセンはここがお気に入りだって妹さんが言ってたっけ。妹が突撃してくるところにエロ本は隠さないわよね。
 あたしはベッドの下から抜け出てきた。さて、次はどこ?
「……プライバシーの侵害」
 有希がやる気無さげに言った。
「いいから有希、そこどきなさい」
 有希が立ち上がるのを待って、ベッドのマットレスを引っぺがした。
 ハズレ。うーん、ベッド周りにあると思ったんだけど……。
 そのとき、有希がある一点を凝視しているのに気付いた。
 有希が見ているのは、学習机に付いた本棚。そこには参考書や教科書、辞書なんかが並んでいる。
 ……でもおかしいわよね。辞書は机の上に出てるのに、ケースだけが本棚に入ってる。
 あたしは辞書のケースを引っ張り出した。
「ビンゴ」
 辞書のケースからは、中とじの雑誌とマンガが何冊か出てきた。表紙を一目見ただけで、十八歳未満お断りだとわかる親切設計。
 あたしは、セーラー服の女の子がパンチラしてるマンガを手に取った。頭悪そうなタイトルに、なんて読むのかわからない当て字の作者名。
 と、いつの間にか有希があたしのそばに来ている。
「プライバシー侵害じゃなかったの?」
「これは、リサーチ」
 なによ。あんただって、キョンがどんな趣味か興味あるんじゃないの。
 あたし達はキョンのベッドに仲良く腰掛けて、妖しいマンガのページをめくった。

 

 医者からは、念のためあと二〜三日は腕を使うなと言われた。
 ま、俺は医者の忠告はちゃんと聞く人間だ。医者の言葉を無視して星飛雄馬みたいになりたくはないしな。
 親にただいまを言って二階に上がる。そして自分の部屋のドアを無造作に開けた。
「……え? キョ、キョンっ!?」
 ベッドの上では、ハルヒと長門が仲良く本を読んでいた。
 ………………待てお前ら。その本は。
「ちょ、ハルヒ! なに人の部屋あさってんだよ!」
 怒鳴られたハルヒは、一瞬俺の顔をぽかんと見て固まった。しかしその後、俺に負けじと大声を上げる。
「……あ、あんたこそ何よ! こんなモノ読んで!」
 ハルヒが、手にしたマンガを俺に突き出してきた。
「出てくるの女子高生ばっかじゃない! それに、更衣室とか部室でやらしいことして!
 あんた、あたし達女子をそんな目で見てたのね!」
 ──反論できん。
 あー、それはだなハルヒ。そのマンガはいわゆる学園ものであって。そう言う場面が多いのは不可抗力なのだよ。大いなる宇宙の意志と言ってもいい。
「何言ってんの、とにかくこれは没収! こんなの高校生が読んじゃだめっ!!」
 うお、ハルヒが正論を言っている。しかしお前だって興味津々で読んでたろうに。
「ハルヒお前何の権利が──」
 そこまで言って、俺は言葉に詰まった。

 

 いつの間に部屋を出ていたのか。ドアをくぐって、長門が入ってくる。
 上半身にはいつもの北高セーラー。だが下半身はスカートではなく、ブルマをはいている。
 足にはいているのはいつもの黒い靴下ではなく、太腿まである白いニーソックス。
 …………長門先生。絶対領域がまぶしいです。

 

「な、な、なん、」
 ハルヒがみるみるうちに真っ赤になっていく。
 そりゃそうだろう。この格好は、ハルヒが手にしているアダルツマンガに出てくるヒロインの衣装なのだ。
 度重なるすれ違いの結果、お互いの思いを確かめた主人公とヒロインは、夕暮れの教室で以下略。なぜ下半身がブルマなのかは、頼むから宇宙の意志に聞いて欲しい。
「なによその格好わああああああ!!」
 ハルヒが茹であがったタコのような顔で怒鳴る。
「暑いから着替えた」
 涼しい顔で返す長門。長門はその格好で俺のベッドの上に女の子座りすると、文庫本を読み始めた。
「ぬっ、脱ぎなさい! こんなやらしい格好してたら、キョンに襲われちゃうんだからっ!」
 俺の社会的地位を危うくしそうな暴言を吐きながら、ハルヒは長門を小脇に抱きかかえた。
 そのままダッシュで俺の部屋を出る。ハルヒの背中と長門のお尻が、ドアの向こうに消えた。

 

 しめた。ハルヒの奴、俺のエロマンガを没収するのを忘れたようだ。
 俺は机の裏にあるもう一つの隠し場所に、見つかったアイテムを厳重に隠した。
 ……はあ。こっちの隠し場所が見つからなくて、本っ当に良かった。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:33 (3093d)