作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと目薬
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-30 (土) 18:40:22

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

退屈な授業を終え、
朝比奈さんの煎れてくれるお茶を飲みながら、
長門のページをめくる音をBGMに、
古泉のキングを孤立化させていく……
やっぱりこういう平穏な時間てのが一番いいな。
ほい、チェックメイト。本日3個目の黒星を進呈だ。

 

「涼宮さんは遅いですね」

 

駒を並べながら古泉が言う。
まだやる気か?懲りない奴だな。

 

「あいつなら掃除当番だ」

 

仕方がないので、俺も駒を並べてやる。
ハルヒが来るまでの間に、あと2つほど星が増えそうだ。
ハンデに両サイドの3駒を除いて……

 

「……痛ッ!?」

 

俺は突然右目に痛みを感じた。
刺すような、それでいて不快な……

 

「ど、どうかしたんですか!?大丈夫ですか!?」

 

あぁ朝比奈さん……あなたに心配してもらえるのなら、
この命でも安いもんですよ。

 

「……」

 

長門も本から目を放して、
俺に分かる程度に心配してくれている。

 

「目に何か入ったのですか?」

 

お前に心配されてもあまり嬉しくないぞ。
どさくさ紛れに顔を近づけるのは止めてくれ。

 

「いや、ちょっとゴミが入っただけだ。問題ない」

 

そういって俺は何とかゴミを取り出そうとした……
くそ、瞬きしても取れねぇ。
だんだん痛くなってきたし……

 

「古泉、目薬持ってないか?」

 

俺は目の前でいつもより8割減のニヤケ顔を見せる超能力者に聞いた。
何なら目のゴミを取り除く超能力があると嬉しいぞ。

 

「残念ながら……今日は持ってませんね」

 

そういって肩をすくめるエスパー。
俺もコンタクトで目が乾いたりしないから持ってない。

 

「朝比奈さんは?」

 

先ほどからオロオロしている可愛らしい上級生に聞いてみた。
どうでもいいですが、未来に目薬ってあるんですか?

 

「わ、わたしも持ってません……ごめんなさい……」

 

いえいえ、いいんですよ朝比奈さん。
いくらメイドの格好をしていても無い物はないですから。
でも新川さんや森さんなら何でも持ってそうな気もしますが……

 

「長門は……持ってないか」

 

俺は少しだけ残念そうな顔で首を振る読書好き少女の方を見る。
こいつなら、体内に入った異物は宇宙的パワーで排除するだろう。

 

しかし、そろそろいい加減に痛みがひどくなってきた。
感触では、何かが刺さってるのではなく、
ただ目に付いてるだけだと思うが……いかんせん気持ちが悪い。
さてどうしたものか……
思わぬ強敵に出会い悩む俺に救いの手が差し伸べられた。

 
 

「大丈夫。私に任せて」

 
 

さすが長門……例の呪文か何かで除去してくれるのか。
感激した俺は二つ返事でお願いした。
何より長門のやることに反対する気は毛頭ないしな。

 

「少し……我慢して……」

 

そう言いながら長門は俺の頭を持って、
両手の親指で右目を見開かせた。

 

「な、長門……?」

 

「すぐ終わる。じっとしていて。」

 

長門の言うことだから、本当にすぐ終わるんだろうが……
毎度の事ながら、先に何をするか言って欲しいんだが。
そんな俺の思いを無視して長門が顔を近づけた。

 

ちょっ、唇が近いんですが……
まさかゴミをフッ、って吹き飛ばすつもりですか?
頼むから力加減してください、長門さん。

 
 

だが、この無口少女は俺の予想のはるか斜め上をいくことをしてくれた……

 
 
 

……ぺろ……

 
 
 

「!?」

 

な、何だ!?今何が起こった!?
長門の顔が近づいて、唇が近づいてきて、口が開いて、
中から舌が……舌!?

 

「な、長門!?」

 

いまだ俺の頭に手を添えたままの宇宙人は、
俺の狼狽を無視して、淡々と告げた。

 

「眼球の検査、および洗浄を行った。
あなたの眼球を刺激していたのは、まつげと判明。
よってこれを取り除くことで痛みがなくなると推測」

 

あぁ、まつげね。
そりゃ痛いな……じゃなくて!!

 

「今……舐めた……のか?」

 

視界の隅で顔を真っ赤にする朝比奈さんが見える。
古泉も若干表情が硬い。

 

「洗浄と除去が一度に出来る手段をとった。
点眼液がないため、私の唾液で代用した」

 

少し早口で説明する長門。
まぁ、長門のことだから、
唾液を目薬に変えてくれたんだろうが……

 

「……嫌だった?」

 

心配そうな顔をする長門。
いや、全然嫌じゃなかったぞ。
むしろ何かに目覚めそうだったよ。

 

「痛みも不快感もないしな……助かったよ」

 

「そう……よかった」

 

いつもより多めに安堵の表情を見せる長門。
と言っても俺に分かる程度だが……
まぁここは長門に感謝すべきだろ?

 

「あぁ、ありがとな」

 

「いい……またいつでも言ってくれればいい」

 

そう言って長門はまた読書を始めた。
……『また』があったら今度は目薬注してくれるのかね……

 

俺としては舐めてもらう方がいいなんてことは、
とりあえず口に出さないで置くことにしよう。

 

けっこう気持ちよかったことも俺だけの秘密だ。

 
 
 
 

P.S.

 

翌日から長門が俺の顔を見るたびに、
舌をちょろっと出して『どこか痛む所はない?』と聞いてくるようになった話はまた後日……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:32 (2735d)