作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんとキス
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-25 (月) 21:12:38

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

いつものように学校から帰った俺は、
いつものように飯を食って、
いつものように妹とシャミセンをあしらって、
いつものように風呂に入り歯を磨き、
いつものようにベッドにもぐりこんだ……はずだ。

 

だが、俺は今ありえない場所にいた……

 

「何でまたここに……」

 

そう、俺の目の前には……

 
 

どこまでも暗い灰色の世界が広がっていた……

 
 
 
 

さて、とりあえずボーっとしていても仕方がない。
何とかして脱出口を探さなければ……
にしてもまた無人の学校に来るとはな。
誰かいないのか?
ちょっと叫んでみるか。

 

「おーい、誰かいないか?」

 

まぁ予想通り誰の返事も返ってk……

 

「なに?」

 

「うおっ!?」

 

思わず変な声が出ちまった。
誰もいないと思っていたら背後に無表情の宇宙人が立ってたんだからな。
というか後ろからいきなり声を掛けるのは止めてくれ。

 

「ごめんなさい……」

 

いや、別に長門が悪いわけじゃないぞ?
むしろ、お前がいてくれてかなり気が楽になったよ。

 

「そう……」

 

長門は俺の言葉に少しだけ安堵の顔を浮かべた。
といってもピクセル単位なのは相変わらずだが……
でもこの表情もたまりません。
……って今はそれどころじゃないな。

 

「それで、長門。聞きたい事があるんだが……」

 

俺の質問が終わる前に長門は答えた。
長門はついに心を読めるようになったのか……

 

「ここは涼宮ハルヒが構築した閉鎖空間。
あなたは寝ている間にここまで移動させられた。
ここにはあなたと私の二人だけ」

 

服が何故か制服になっているのも、
ハルヒ空間の仕様なのか?
俺の寝巻き代わりスウェットはどこに……

 

「それは私の嗜好」

 

え?今なんて……

 

「なんでもない……ただの妄言。
それよりここからの脱出を図る必要がある」

 

ものすごく気になるんだが……
まぁいい、今はそんなことを気にしてる場合じゃないしな。

 

「何か脱出方法はあるのか?」

 

「ある……」

 

さすが長門!!
俺には出来ないことを平然とやってくれる。
そこに痺れる憧れる。

 

「じゃあ、さっそく……」

 

「ただし、推奨はしない……」

 

何でだ?
ここから出たくないってのか?
お前とこのままここで二人きりってのは……たまりません。
いかん、理性を保て俺!!

 

「あなたに……弊害が起きるかもしれない」

 

だが、それしか手がないんだったら……
そういう俺に長門は少し首を振って答えた。

 

「他に手段があるかもしれない。
今から二人で探すべき」

 

そう言って長門は俺に手を差し伸べてきた。
……手をつなげってことか……?
いくら周りに人がいないからって、
お前と手をつないで歩くってのは……
健全な男子高校生として、なんと言うか緊張する。

 

「二人で手分けしt」

 

「この空間では何が発生するかわからない。
二人で一緒に探す方が安全。さらに手をつなぐことで、
お互いが離別することを防ぎ……」

 

長門の怒涛の反論に折れた俺は、
手をつないで探索に出ることにした。
若干手が汗ばんでるのは……許してくれ。

 
 
 

軽く探索した結果、
どうやらハルヒとここに来たときと同様に、
学校を中心とした閉鎖空間に俺たちは閉じ込められたようだ。

 

「さて……どうしたもんかね」

 

前回脱出した時は……思い出したくないな。
今すぐに舌噛んでやりたくなるしな。

 

「……」

 

長門もさっきから、黙ってついてくるだけだ。
別にこれと言って何かあるわけでもなさそうだ。

 

「仕方ない。校舎を探してみるか」

 

そう言うと俺は長門の手を引いた。
このぬくもりだけで落ち着けるんだから、
俺の頭もずいぶんお気楽なもんだ。

 
 
 

校舎に入った俺たちは、
とりあえず団室に向かうことにした。
長門が『涼宮ハルヒに関係する場所に何らかの手がかりがある可能性が高い』
って言ってたからな。
この学校であいつに関係が深い所といえば、
教室と団室と食堂くらいだろう。

 

団室についた俺たちは、
扉を開けようとして……

 

「……ダメだ。鍵がかかってやがる。
どうする?」

 

ドアノブをガチャガチャしながら、
俺は横でじっと眺めている長門に尋ねた。

 

「職員室の窓を割って、中から鍵を取ってくればいい」

 

……お前にしては結構過激だな。
でも確かにハルヒと来た時も窓ガラス割ったから、
問題ないだろう。

 

「じゃあ取ってくるか」

 

そして俺たちは職員室に向かっていった。
後で気付いたんだが、長門なら鍵くらい余裕で開けれたんじゃないのか?
もしかして俺と長く歩きたかった……とか?
いや、それはないな。下手な希望を持つんじゃないぞ俺。

 
 
 

職員室から失敬した鍵を使って団室に忍び込んだ俺たちは、
何か手がかりがないか探すことにした。
こういうときは本棚の本の中にヒントの栞があるもんだが……
今回はその栞を用意してくれる人がすぐ側にいるので、
探しても無駄だろう。

 

「長門、そっちは何かあったか?」

 

「……」

 

団長席に座っていた長門はパソコンと机に向かっていたが、
何もなかったらしく首を振った。

 

「そうか……なら教室の方に行ってみるか?」

 

パソコンでのヒントも、
いつも長門がくれるのだから、本人の前で探しても意味がない。
俺の提案を聞いて長門はそよ風に揺られた程度の幅で頷いた。
もちろん俺のほうに手を差し伸べながら、だ。

 
 
 

1年5組の教室についた俺たちは、
さっそく机の中や黒板を調べてみた。
一番何かありそうなハルヒの机を長門に任せて、
俺はほかの奴の机を調べていた。
谷口……筆箱ごと置き勉するなよ……
それとも忘れてるのか?

 

「ふぅ……」

 

一通り何かあるか探してみたが、
残念ながら何も見つけることは出来なかった。
そもそも何を見つければいいのかも分からない。

 

「……」

 

長門もさっきからハルヒの机でなにやら探していたが、
何もなかったらしく俺の隣にやってきて座った。
こいつも疲れてるのだろうか?
しかし、これだけ探して見つからないって言うことは、
長門が言った物のほかに方法はないのだろうか?
もしそうだとしても、長門だけでも出してやれないだろうか?

 

「なぁ長門……」

 

「なに?」

 

長門がこっちを向く。
吸い込まれそうなほどきれいな瞳が俺の姿を映す。

 

「さっきお前が言ってた方法だけどな……
俺はともかく、お前には何か悪い影響が出るのか?」

 

「私には何も問題が発生しないと思われる」

 

そうか……それはよかった。
このまま探し続けても名案が浮かぶわけでもないし、
この閉鎖空間ならいつかあの青い化け物がでるかもしれん。
長門なら何とかしそうだが、それでも無事だとは限らない。
それなら……

 

「じゃあ、お前の考えた方法で脱出するか」

 

俺の言葉に少し驚いた顔をする長門。
お前のそんな表情は貴重だな。

 

「でも……あなたに……」

 

「なに、お前が無事にここから出れるならいいさ。
このままここにいると神人が出てくるかも知れないしな」

 

「……」

 

長門は少し躊躇っていたようで、
なかなか言葉を発しなかった。

 

「……100%成功するとは限らない……」

 

「大丈夫だ。お前なら絶対失敗しない。
それに信頼の置けるお前の言うことなら何だってしてやる」

 

もし長門が『1+1=3』と言っても余裕で信じるどころか、
今までの自分の認識などはるかかなたに捨て去るくらい、
俺はこの文学少女のことを信頼している。

 

「……わかった」

 

俺の決意に後押しされるように、
長門も覚悟を決めたようだ。

 

「よし……じゃあ、そろそろお前の作戦を教えてくれ」

 

俺にどんな災厄が降りかかるのかは知らないが、
長門ならリカバリーしてくれるだろう。
ナイフで刺された傷もあっという間に完治したわけだし。

 

「ここから脱出するためには……」

 

俺は静かに長門の次の言葉を待った。
握っている手が震えてるのは気のせいだ。
だが、一体どんな危険なことを……
ビクビクしながら待っていた俺に長門はただ一言こう告げた。

 
 

「……涼宮ハルヒの時と同様のことを行う」

 
 

「……へ?」

 

また変な声が出ちまった。
とりあえずボケッとしてる場合じゃないぞ俺!!

 

「それって……まさか……」

 

「……キス……」

 

小さくそういった長門は、
少し目を伏せた。
まさか……恥ずかしがってるのか?

 

「あのときの閉鎖空間と……状況も性質も酷似している。
だから……あのときと同様のことをすれば……可能性は…」

 

なんだが声まで小さくなってるんだが……
ってまてまてまてまて。

 

「いや、それはいいんだが……
俺に出る『弊害』っていうのは?」

 

「あなたが涼宮ハルヒと当該行為をしたことを思い出すたびに、
心拍数、血圧などが異常値を示した。また精神状態も乱れる。
私とその行為をすることで、あなたにそういった症状が出る可能性も否定できない」

 

あぁ〜つまり俺が『恥ずかしい』って思うと……
まぁ確かにあのときのことを思い出すたびに、
拳銃を探したくなるが……

 

「もしあなたが不快に思うなら……別の手段を探す」

 

俺の沈黙をどうとったのかは分からないが、
長門は話を進める。

 

「もし私の顔を見たくないのなら……目を閉じてくれれば……いい」

 

長門は下を向いたまま小さな声で続ける。
こんな長門は見たくない。

 

「もしあなたが……」

 

「長門」

 

俺は長門の話を遮って、
長門の小さく儚げな肩をつかんだ。

 

「長門」

 

俺はもう一度名前を呼んだ。
長門の少し潤んだ双眸が俺の顔に向く。
そんな長門をみて、俺は思っていたことを全て話した。

 
 

「俺はお前のことを信じてる。
お前がやることが間違ってるなんて思ってないしな。
それに……」

 
 

俺の顔を見上げている長門に、
本心からの言葉を言った。

 
 

「お前とできるなら本望だ」

 
 

俺の言葉を聞いて長門は俺に分かる程度に目を見開いたが、
やがて、いつもの落ち着きを取り戻してただ一言、

 

「……そう」

 

とだけ答えた。

 
 
 

「だけどな……目は閉じさせてもらうぞ」

 

俺がそう言うと、長門はまた、
残念そうな顔をした。

 

「勘違いするなよ。
こういうのは、お互い目を閉じてやるものなんだ。
そっちの方が雰囲気がでるしな」

 

本当にそうかは知らないが……
まぁあながち間違っちゃいないだろ。

 

「そう……」

 

長門はそれだけ答えると、
目を閉じて顔をこちらに向けた。

 

これは……俺の方からしろってことか?
かなり恥ずかしいんだが……
でも、長門を待たせるわけにはいかないよな……

 
 

そうして俺は長門と同じように目を閉じ……

 
 

二人は唇を重ねた……

 
 
 
 

「キョンくんおはよ〜」

 

翌朝、妹のフライングボディーアタックでたたき起こされた俺は、
自分が無事帰還したことに感動しつつ、
昨日の出来事を思い出していた。
朝から幸せな気分に浸っていた俺だが、
妹の一言で驚愕した。

 

「あれ?キョンくんなんでせーふくきてるの?」

 

驚いて自分の服を見ると、
確かに制服を着ている。
以前はちゃんと元の服装に戻ったのに……
唖然としていると、ケータイが鳴った。

 

「もしもし……?」

 

『あなたの寝巻きを返すのを忘れていた』

 

それはわざわざどうも……
ところで、何であの時わざわざ制服に着替えさせられてたのでしょうか?

 

俺の当然の疑問に、長門はあっさりこう答えた。

 
 
 

『制服の方が雰囲気が出るから……』

 
 

長門が冗談を言うようになったことに感動すべきか、
俺の貞操の心配をすべきか……

 

朝から無駄に悩まされる羽目になった話はまた後日……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:30 (2625d)