作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんの笑顔
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-22 (金) 18:35:49

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

※ヤンデレ注意

 
 
 
 
 

放課後のSOS団室。
いつものようにSOS団専属メイドの朝比奈さんの煎れてくれたお茶を飲みながら、
古泉の白石を大量虐殺していた俺はふとあることを思いついた。

 

「長門の笑った顔を見てみたいな……」

 

部屋の隅で静かに読書をしていた美少女宇宙人は顔をわずかにこちらに向けた。
少し困惑した顔をしているのは気のせいだろうか。
それにしても、また思ったことを口に出しちまった。
この癖は何とかしなければ……

 

「……」

 

すまん長門、今のはただの妄言だ。気にしないでくれ。

 

「……そう」

 

それだけ言うと長門はまた読書に戻った。
まぁこの横顔が見れるだけでも俺は幸せ者なんだろうな。

 

「僕も長門さんの笑顔には興味がありますよ」

 

白石を置きながらニヤケ面が喋る。
どうでもいいがそこに置くとまた大量虐殺の布石になると気付いてないのか?

 

「わ、私も興味あります〜」

 

朝比奈さんがオドオドしながら言う。
大人になってもこの無口少女が苦手みたいだし、この人に長門と普通に喋らせるのは無理かな?

 

「ここは一つあなたが笑わせてみればいかがですか?」

 

……断る。
鶴屋さんの爆笑小説を読んでも長門は無表情だったんだぞ?
それにクリスマスに見せたように、俺のセンスでは失笑を買うだけだ。
思い出すだけで投身自殺を図りたくなる。

 

「あ、でも鶴屋さんはおもしろかったって言ってましたよ〜」

 

鶴屋さん『は』って……結構グサリと来ますよ、朝比奈さん。
しかも鶴屋さんなら箸が転がっただけでも大爆笑するでしょう。

 

「鶴屋さんの小説で無理だったんだ……長門を笑わせる奴なんてハルヒくらいじゃないか?」

 

「どうでしょう……確かに涼宮さんなら無理矢理にでも笑わせそうですが……」

 

そうだな、あいつなら長門の口を裂いてでも笑わせかねん。
ちなみにあいつは今掃除当番でいない。だからこんな静かなんだな。
……ってそうだ!

 

「長門……ちょっといいか?」

 

俺は今思いついたことを長門に耳打ちした。
長門の髪からいい匂いがする。
いかん、今はそういう場合じゃない。
理性を保ちながら俺は長門に尋ねてみる。

 

「別に……いい」

 

あっさり本人の了解を得た。
無理矢理やったら首が飛びそうだからな。物理的に。

 

「……一体何をお話で?」

 

今からちょっと長門の笑顔を見せてやるよ。
俺がそういうと古泉が少し驚いた顔をした。朝比奈さんはもっと驚いた顔をした。
まぁ俺がそっちの立場にいれば驚いた顔しただろうよ。

 

「じゃあ長門行くぞ……」

 

コクリと頷く長門。
そして俺は長門の両頬に手を当てた。

 

ゆっくりと両手に力をこめる……
長門の頬も心なしか温かい。
初めての経験だもんな。こいつでも緊張するんだろう。

 
 

そして俺はゆっくりと顔を近づけ……

 
 
 
 

……長門の頬を上に引っ張り上げた。

 
 
 

「……確かに口角は上がってますが……」

 

「それは笑顔とは言わないんじゃ〜?」

 

やっぱり無理があるか。
でもこれはこれで笑顔に見えな……いな。
何より目が笑ってないもんな。

 

「……」

 

あースマンそんな目で見ないでくれ長門。
俺が悪かったこの通りだ。

 

「いい……」

 

そう言ってちらりと俺の後ろに目をやる長門。
何だ?誰かいるのか?
しかし振り返ってみても誰もいない。
俺は長門に何が見えたのか聞いてみようと思い顔を戻した。

 

「どうしたんだ、長門?」

 

しかし長門はただ一言、

 

「何も……」

 

と言って読書に戻った。
まぁ長門がこういうのなら何もなかろう。
そう思った俺は再び古泉の白石を無限地獄に叩き込む作業を始めることにした。

 

いつか長門の満面の笑みを見てみたいね……
ハルヒの奴が来たらお願いしてみるか。
あいつなら神様パワーでできるだろう。

 
 
 

しかし、俺の望みもむなしく、その日ハルヒは中々姿を現さなかった。
日が傾き、そろそろ長門の本を閉じる音=本日の営業終了の合図が聞こえる時間になって、
ようやく元気一杯ドアを蹴飛ばす音が聞こえた。

 

「ごっめーん!!遅くなっちゃったー!!」

 

その表情から1ミリも謝罪の念が感じられんぞ。
悪徳政治家でももっとうまく演技するぜ。

 

「ハルヒ……残念だが、今日はもう店じまいの時間だぞ」

 

後ろで長門が本を閉じる音を聞いた俺は、
ハルヒに告げる。
いつも遅刻は罰金だとかぬかしてるくせに、
自分は適応外なのかこの団長さんは。

 

「わかってるわよ。だから『ごめん』って言ったじゃない」

 

小学生かお前は。
ゴメンですむなら警察は……これも小学生だな。
まぁこいつには何を言っても無駄だろう。
何か被害を受ける前に帰ったほうがよさそうだ。

 

「じゃあ、今日はもうおしまいにするから、とっとと帰りなさい!」

 

どういう言い草だ、そもそもなんで遅刻したお前が……
と、文句を言いたくなるのをぐっとこらえる俺。
ここは言葉通り退散するに限る。
触らぬハルヒに祟り無しだ。

 

そう思った俺は古泉と共に部屋を出た。
中から朝比奈さんが着替えをする音が聞こえる。
この状況で暴発しない俺を褒めてやりたいね。

 

『みくるちゃーん!またおっきくなったじゃな〜い!?』

 

『ひゃっ!?す、涼宮さん、やめてくだしゃい〜!!?』

 

……我慢だ、俺!!

 
 
 

俺が自分の中の良からぬ物との戦いを初めて5分後、
中から制服姿の朝比奈さんと長門が出てきた。

 

「あれ?ハルヒはまだ中ですか?」

 

俺は小柄な上級生に尋ねた。

 

「え〜と、涼宮さんは中でやることがあるからって……」

 

つまりもうしばらく待て、というわけか。
遅刻した上に待たせるとは、どんな大物なんだあいつは。

 

中でガサゴソしていたハルヒが出てきたのは、
それからさらに5分後だった……

 
 
 

「なぁ長門……」

 

学校を出てすぐの坂道を下っていた俺は、
先ほどのことを思い浮かべ、横を歩く長門に声を掛けた。

 

「なに?」

 

少しだけこちらに顔を向ける長門。
ちなみにハルヒ率いるほかの面子は、
前を歩いているため会話は聞こえてないようだ。

 

「お前も……笑うことがあるのか?」

 

「ある」

 

即答だな、おい。
ってそれなら見せて欲しいのだが……

 

「今は笑顔が適する状況ではない。
何もない状況で笑顔になることは不適切だと思われる」

 

まぁ、何もない所でニヤニヤしてる奴がいたら不気味だが……
それでもお前の笑顔ならいつでも見たいぜ、俺は。

 

「そう……」

 

俺の言葉に長門は小さく頷いた。
そして俺に聞こえるくらいの声でこう言った。

 
 

「あなたにも……いつか見せる……」

 
 

そうか……そいつは楽しみだな……

 
 
 
 

さて、部室に設置してた隠しカメラの映像を見ようかしら。
あたしがいないときにキョンが何をしてるか知りたかったのよね。
団長不在のSOS団雑用係の様子をじ〜っくり見させてもらうわよ……

 

……って、なによ……古泉君とずっと囲碁してるだけじゃない……
つまんないわね……音声もくぐもってるから何言ってるかわからないし……
見るの止めようかしら?

 

それにしてもさっきからみくるちゃんキョンに近づきすぎね……
明日からキョンの半径2m以内に近寄らないでって命令しとかないとね。
もちろんみくるちゃんの煎れたお茶はあたしがキョンに運んであげるから、
何の問題もないでしょうし……
そうだ、キョンの分はあたしが煎れて上げようかしら。
きっとキョンは泣いて喜ぶわ!!

 

……って、あれ?
キョンが囲碁を中断して立ち上がってる……
まだ勝負ついてないんじゃ……って何で有希の前に立ってるの?
そんなに近くに立っちゃダメじゃないキョン。
あたしに黙って他の娘に近寄るなんて許さないんだから……

 

ねぇなんで耳打ちなんかしてるの?
あたしにだってそんなことしたことないじゃない。
言ってくれればいつでもやらせてあげるから今すぐ有希から離れてよ。

 

なんで有希の顔を触ってるの?
そんなに女の子の身体触りたいならあたしにお願いすればいいのに。
キョンになら顔だけじゃなくて胸だって触らせてあげるよ?
だからその女に近づかないでよ。

 

なんで顔近づけてるの?
そんなにその生き物の顔が珍しいの?
団長に黙って珍奇な生物見つけてんじゃないわよ。
早く離れなさいよ。離れろって言ってるでしょ。
なんでそんなに顔近づけてんのよ。まわりも止めなさいよ。
古泉君もみくるちゃんも何つっ立たってんのよ。

 

だめ、それ以上近づかないで。
離れてよ。それ以上近づいたら唇がそのメス猫の顔につくでしょ?
それともキョンはネコ萌えなの?
それならあたしが明日からネコ耳つけてあげるから……
だから……それ以上近づかないで……

 
 

やっと、キョンが『それ』から顔を離した。
許せない。キョンは明日おしおきしないと……
あたしがいるのに……
あ、でももしかしたらキョンもいろいろたまってるのかな?
そうね、そうじゃないとこんなことしないわよね。
それならそうと言ってくれればいいのに……
意外と恥ずかしがり屋なのね。
しょうがないわね……明日はカワイイ下着付けていかなきゃね。

 
 

あれ?
今画面の中の有希と目が合っ……
!?ど、どうして有希がこっち見て……
もしかしてカメラに気付いてたのかしら!?

 

じゅあさっきのはわかってて……
気付けば持っていたリモコンが壊れていた。
早く画面を止めたいのにどうして?
そして進んでいく映像の中であたしは見てしまった……

 
 
 

画面の中の有希が、あたしのほうを見て……

 
 

勝ち誇ったように笑っているのを……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:30 (2736d)