作品

概要

作者おぐちゃん
作品名ぼくらの七日間戦争 第五話
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-22 (金) 00:07:12

登場キャラ

キョン不登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 夜が明けた。
 わたし達は、彼の家族とともに朝ご飯を頂くことになった。
「はいキョン。サンマ」
「……オクラ」
「ちょっと有希。青いもんばっか食べさせちゃ、力出ないでしょ」
「オクラのねばねばは……体にいい」
 わたしと涼宮ハルヒで、右腕の使えない彼に食事を食べさせる。これにもずいぶん慣れてきた。
 彼もなじんできたらしく、わたし達のお箸から器用に食事をついばんで食べている。
 ああ、彼の茶碗が空になってしまった。
「……おかわり」
 わたしが茶碗を持って立ち上がると、彼が後ろから呼びかけた。
「すまん長門。ねこめしにしてくれるか」
 …………? ずいぶん変わったものを食べるものだ。
 しかしここは彼の自宅。彼の流儀にけちを付ける権利はない。
 わたしはねこめしを盛った茶碗を、彼の前に置いた。
「……………………」
 沈黙。そして4.3秒おいて、
「ぶっ、ぶあはは、はひいいいっ!?」
 ──涼宮ハルヒが笑い始めた。鼻から米粒が飛び出てくる。窒息寸前の笑い方だ。
「あははひはああ、ゆっ有希、ねこめしってのはキャットフードの事じゃなくてねっ」
 ……理解不能。この家に、「ねこめし」という言葉に該当するものは他にない。
 それともドライフードではなく缶詰の方なのだろうか。
「あーあはあー死ぬかと思ったぁ。待ってなさい有希」
 笑いから立ち直った涼宮ハルヒは、食卓を立つと真新しい茶碗にご飯を盛りつけた。
 その上からかつお節をふりかけ、しょう油をたらす。
「ねこめしってのはこれよ。はいキョン」
 涼宮ハルヒは茶碗を彼の前に置くと、わたしの方を見て得意げに笑った。
 ……だが、その笑顔は次の瞬間凍り付いた。
「すまんハルヒ。これも違うんだが」
「え? だって、ねこめしって言えばこれでしょ??」
「いや。うちでねこめしって言うと、あれのことなんだ」
 彼は黙って妹を指さす。……彼女は、ご飯にみそ汁を混ぜたものを食べていた。
「おみそ汁? 何それ、ネコと関係ないわよ?」
「知らん。うちじゃそう言うんだから仕方ないだろ」
 涼宮ハルヒは、二種類の「ねこめし」の間で目を泳がせながら黙り込んでしまった。
「……ま、食ってみるか」
 彼はそう言って、左手でぎこちなくスプーンを握り、涼宮ハルヒ流ねこめしを食べ始めた。
「ふうん。ま、こういうのもアリだよな」
「そ、そうでしょ。あたしはこれで育ってきたんだから」
 その台詞は大げさではないかと思われるが。しかし、この二つのメニューは興味深い。
 わたしも実際に試してみることにしよう。ご飯をおかわりして、みそ汁をかける。
「しょう油、とって」
 さらにかつお節としょう油をかけてみた。折衷派ねこめしと名付ける。いただきます。
 ……ユニーク。ネギと茗荷の味が米によく合う。ただし、しょう油は余計だったか。
「……………………」
 気がつくと、周囲が静まりかえっていた。
 ──何か、間違ったことをしたのだろうか、わたしは。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:28 (2711d)