作品

概要

作者
作品名とある〜待ち合わせ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-10 (日) 01:44:33

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

とある 駅前のロータリー  小柄な少女が待ち合わせをしている。 
良くある微笑ましい光景に見えるが、小柄な少女が宇宙人ってのはそう無いはずだ。
 
俺がなんで待ち合わせをしている長門を、物陰から見ているかというと。
あろうことか、長門の待っている相手とは国木田であり、どう考えてもデートである。
事の発端は、昼休みに長門が五組に現れた時から始まった。
 てっきり俺に用があると思った俺が席を立つと、山根がとんでもない勢いで
長門のところへダッシュする。山根は朝倉がカナダへ転校してから、観測対象を長門へ
変更したらしい。アイドル研なのかインターフェイス研なのか良く解らん。
山根はつまらなそうな顔で俺の所ではなく国木田のところへ行き、国木田が不思議そうな顔で
長門のところへ行く。二人は階段の踊り場で少し話をすると、それぞれの教室へと戻る。
小さなふたりの会話は傍目に見ても可愛い物だが、俺は心中穏やかではない。
「なぁ、お前って長門と良く話をするのか?」
出来るだけ平静を装って聞いてみた俺に、国木田が返してくる。
「 うぅん この前、文芸部室で少し話したくらいかな 」
「長門が自分から話すのって珍しいんだぜ。なんて言って来たんだ? 」
国木田は、「別に」とか「なんでもないよ」などと話す気がない。
しつこく聞いても無用な誤解を生むと思った俺は、それ以上何も言えなかった。
 
 じゃあ何故俺がここに居るかというと、ふたりが踊り場に行ったのを知ってたって事で
だいたい想像つくだろう。会話のすべてを聞いた訳ではないが、土曜。駅前十時。これだけ聞けば
だいたい解る。谷口や山根なら速攻阻止だが、国木田は中学から知っているし、悪い奴でもない。
あいつとそう云う仲だと言われりゃ、別に俺はどうこう言う立場じゃないしな。
 国木田が10分前にやってきた。長門と少しの会話の後、歩き出す。
俺も気付かれないように後をつける。こりゃまるでストーカーだな。
ふたりはたいした会話もなく歩き出す。国木田は普段着だし、長門もいつものセーラー服だ。
お前ら、もう少し服装を何とかしたらどうだ? コートにサングラスの俺が言ってもしょうがないが。
 
 ふたりは雑貨屋に入り、次に靴屋に入る。なんてことない時間の使い方だが、気になるのは長門が
ぽつりぽつりと自分から話し掛けることだ。国木田の奴もまじめな顔で応えている。
そうこうしてるうちに昼になり、ふたりはファミレスに入って行く。ここで国木田は驚く事になる。
そりゃそうだろう。目の前の小さく細っこい少女が、自分の三倍近くの量をぺろりと平らげるんだ。
長門が北校の制服を着てなけりゃ、中学生カップルのようなふたりが店を後にする。
少しはなれた場所でコーヒーを啜っていた俺も慌てて後を追う。なんだか情けなくなってきた。
 しかし、人間慌てては良い事はないな。勢い良く店を出た俺は、まだ店の前で次の行き先を
考えていた長門に見つかっちまった。
ちらりと振り返った長門は、コートにサングラスの不審者に気付くと国木田の手を引いて走り出す。
反射的に二、三歩進んで、俺は追うのをやめた。
 ごめんな、長門。 こんな風にされたら誰だって嫌だよな。
国木田は良い奴だから、仲良くやってくれ…
 
休みの明けた月曜は、出来れば学校に行きたくなかった。国木田は、俺があの日後を歩いているのに
気付いていない様だった。放課後、俺はさらに重い足取りで部室に向かう事になる。
ハルヒは掃除当番だ。頼む、誰か居てくれ。そう思いながらドアを開けた俺を出迎えたのは
長門ひとりだった。どうでも良いが何でこう居て欲しい時にいないんだ古泉。
どうして良いか解らない俺は、無愛想に椅子に座ると何をするでもなくボーっとしていた。
 
「……話がある 」 
そう言って、長門がこちらにやってくる。
 
「 あぁ 」
俺は次に長門から出る言葉に戦々恐々だ。後を付けていた事をなじられるか、キモイとかウザイとか
言われるのか。出来れば前者にしてくれよ。おまえがキモイとか言うのはこんな状況でも聞きたくない
だが長門の口から出た言葉は、どちらでもなかった。
 
「おたんじょうび… 」
あぁ、あいつの誕生日か。本人に直接聞けば良いのに。確かあいつは射手座だと言ってたから……
いや待て、まったく俺は中年のオヤジか? そうだよな、普通の高校生なら忘れたりしないよな。
 
「 …おめでとう 」
そう言って小柄な少女は、俺の胸のあたりに可愛くラッピングされた包みを差し出す。
 
「 …ありがとう 」
娘から誕生日のプレゼントを貰う父親とは、こんな感じなのだろうか。
…そんなの言い訳だな。素直にうれしいぜ、長門。
それとな、もし良かったら、国木田とした買い物をしたり、飯食ったりってのを
俺と、してみないか。
 「…する 」
小さく頷くと、長門は俺を見上げ、あの時のやさしい顔を、俺にくれた。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:24 (2705d)