作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと喜緑さん
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-04 (月) 21:50:54

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

ある日の放課後、体に染み付いた習性により、
SOS団室に向かっていた俺は途中で長門に出会った。

 

「よぉ、長門。何してんだ?部室はあっちだぞ?」

 

いつもなら団室で本を読んでいるはずなのに、
本当に何してんだ?
そう考えていると長門がいつもの遠くで落ちた針の音みたいな声で言った。

 

「呼び出し……」

 

……ふむ、できれば二度と聞きたくなかった言葉だな。
で、やっぱり行き先は……

 

「生徒会室か?」

 

コクリと頷く長門。
また古泉が余計なことを……って当の本人はどこだ?

 

「違う……」

 

違うって何がだ?
SOS団文芸支部長のお前が呼び出されたってことは
また古泉の仲間の不良生徒会長がなんか言ってきたんじゃないのか?

 

「違う……今回彼らは関係ない」

 

もう一度否定する長門。
だったら何で生徒会室に呼び出されてるんだ?
俺が当然の疑問を思い浮かべていると、長門が意外な人物の名前を口にした。

 

「私を呼び出したのは……喜緑江美里……」

 
 
 

俺と長門は二人で生徒会室に向かって歩いていった。
別に付き添う必要も無いが、まぁたまにはこういうのもいいだろう。
何より『呼び出し』が気になってしょうがなかったからな。
ところで……喜緑さんてあの書記の先輩か?
確かお前たちの仲間のヒューマノイド……何とかの。

 

「そう私たちの仲間の一人。
目に優しい色の髪をした対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス」

 

あれ?俺そこまで言ったっけ?
確かに目に優しそうだが……いろんな意味で。

 

「あの髪の毛は光合成が可能な仕様。彼女の髪は植物」

 

マジか!?

 

「マジ」

 

いくらなんでもそれは……

 

「それに彼女は魔性の女。生徒会長も篭絡している」

 

「おいおい……それはさすがに無いだろう」

 

「そうですよ?二人とも相思相愛ですから」

 

相思相愛かはともかく、喜緑さんのイメージに合わない。
ていうか長門は『魔性の女』なんて言葉を知ってたのか。

 

「甘い。彼女はああ見えて私たちの中では一番腹黒い。」

 

「あら、そうですか?」

 

「そう」

 

えらくはっきり言うな。
よっぽどひどい目にでもあったのか?

 

「私はそんなこと無いと思うけどな」

 

「いや、彼女はまさに悪魔」

 

「そこまで言うなんて……長門さんも酷いですね」

 

俺もそう思いますよ喜緑さん。
むしろあなたはどっちかっていうと朝比奈さんに通じるものが……

 
 

・・・あれ?・・・

 
 

「俺たち二人で話してたよな?」

 

「そう……」

 

長門が返事をする。
心なしか顔が青いぞ、長門よ。

 

さっきから背後にもう一人分声がするんだが……
だが、怖くて後ろを振り返れない。
長門も固まっている。仕方ない、ここは勇気を出して聞いてみよう……

 
 

「あの〜喜緑さん?いつからそこに……?」

 

「そうですね………」

 

後方から暖かい声が聞こえる。
周辺の空気は冷え切ってるけどな。

 

「長門さんが私の髪の毛を植物呼ばわりした頃から…かしら」

 
 
 
 

俺と長門と喜緑さんの3人は今生徒会室にいる。
後ろから突如……じゃないずいぶん前から存在していた悪魔から
逃げ出そうとした俺たちだが、あっけなく捕まってしまったからだ。
体の動きを止めるのは反則だと思いますよ喜緑さん。
ちなみに俺たちは二人とも正座している。

 

「長門さんたら……」

 

喜緑さんが長門に話しかけている。
森さんといい、この人といい美人のお姉さんの笑顔が怖い今日この頃だ。

 

「キョン君と楽しくお話しするのはいいけど……もっう少し内容は選べなかったのですか?
まぁ長門さんが私のことを日頃どう思ってるか、よく分かりましたが」

 

「あれは……冗談」

 

もっとマシな言い訳を思いつかなかったのか!!
こういう時に宇宙的パワーを使ってくれ!!
あからさまにバレバレだろ!!

 

「冗談の割にえらく熱がこもってたようですが?」

 

「あれは……彼と話してるとつい気持ちが高揚して……」

 

そういうのは他の場面で言って欲しいぞ長門。
もし二人きりの部室で言われたら、俺はルパンダイブくらいやりそうだ。

 

「あら、そうなのですか?長門さんはおマセさんなんですね。
じゃあやっぱりアレは冗談だったのですね?」

 

喜緑さんに言い訳が通用したと思って顔が少し明るくなる長門。
お前はそういう顔をしているほうがカワイイが、
喜緑さんの目がまったく笑ってないことに気付いて欲しい。
あんな嘘が通用するのは幼稚園児とウチの妹くらいだ。

 

「まぁ長門さんへのお仕置きは家に帰ってからすることにして、
本題に入りますね」

 

あ、この人ひどい。
視界の隅に天国から一気に煉獄まで叩きつけられた顔をする長門が見える。
『お仕置き』が気になるが、今はそれよりも本題の方だ。

 

「何か……ハルヒの周りに異変があったんですか?」

 

うるうると涙目になってる長門が気にかかるが、
俺は薄緑色の髪の上級生に尋ねる。

 

「いえ、目下の所、彼女の周りにはとくに目立った変化もありません。
例の『機関』が気に掛ける閉鎖空間も少なくなってます」

 

いつものように柔らかな顔で話しかけてくる喜緑さん。
どうかその顔を長門のほうに向けてやってください。

 

「実はそれとは別にお尋ねしたいことがありまして……」

 

なんだ?美人のお願いなら聞かねばなるまい。
ていうか聞かないと俺もどうなるか分からない。
なんせ相手は長門がおびえるほどの人だぜ。

 

「ハルヒ関係ですか?」

 

「いえ、そうではありません」

 

それじゃあ何だ?早く言ってくれ。
俺は喜緑さんの言葉を待った。

 

「実は…」

 
 
 
 

「彼へのプレゼントを選ぶのを手伝って欲しいのです」

 
 

・・・はい?

 

「あぁ彼って言うのは……」

 

「あの生徒会長さん……のことですよね?」

 

呆気にとられながらも俺は言う。
さっき自分で言ってたしな。

 

「そうです、よくご存知で」

 

まぁ今重要なのは人物ではなく、行為の方だ。
喜緑さんは今なんて……

 

「ですから、その彼の誕生日にプレゼントを差し上げたいのです」

 

宇宙人は人の心が読めるんですね。
わざわざお答えありがとうございます……じゃなくて!

 

「どうしてそんな……」

 

「あら、人間ではない私たちがこんなことをするのはおかしいですか?」

 

そんなことはない。これは断言できる。
それに俺から見れば喜緑さんも長門も立派な人間だ。

 

「ふふ……ありがとうございます。よかったわね長門さん」

 

さっきの穏やかな顔で長門に向かって言う。
長門も顔が明るくなっ……

 

「でもあなたは後でお仕置きですからね」

 

うわ、この人マジひどい。
再び地殻深くまで叩きつけられたようになる長門。
また目が潤んできてるな……

 

「でも私男性とお付き合いしたことが少なくて、どうすればいいのか分かりません」

 

ウソつけ。コンピ研の部長さんはどうした。
やっぱり魔性の女というのあながち間違っては……
などと口が裂けても言わない。

 

「あら、言いたいことがあればどうぞ」

 

こ、心を読まれた!?
スンマセンホントスンマセン!!
何とか話を進めなければ……

 

「え〜、そうだ、なんでそんな話を長門を呼び出してしようと思ったんですか?」

 

「実は……彼の正体を知ってる人が少なくて……」

 

そりゃ生徒会長が喫煙していると知ったら学校中大騒ぎだろう。
あの生徒会長の正体を知ってるのは俺と古泉くらいだ。
鶴屋さんもうすうす気付いてるんじゃないかな?
まぁ長門と喜緑さんなら全てまるっとお見通しだろうしな。

 

「それで長門さんを呼び出せば、あなたか例の超能力者が付いてくるでしょう?」

 

そりゃそうだ。何が起きるか心配だからな。

 

「つまり長門さんを呼べば、一緒に彼の正体を知っていて、
プレゼントを選ぶのにいい情報を提供してくれそうな人がやってくると考えたのです」

 

つまり長門で俺を釣ったわけですか。
それは鯛で海老を釣るようなモンですよ。損してますよ。

 

「でも私ほど彼のことを知っている人はいないでしょうね。
彼が時折見せる流し目や、薄く笑った顔も私だけが見れるの……」

 

もしも〜し。喜緑さん?
なんか自分の世界に入ってるぞ……
とりあえずここから逃げるチャンスかな?

 

そういって振り返った俺は恐ろしいものを見てしまった……

 
 

ドアが無い……

 
 

「もうちょっと話を聞いてくださってもよろしいでしょう?
それとも……」

 

いつの間にかすぐ横に喜緑さんの顔があった。

 
 

「朝倉涼子をあなたの部屋に送って欲しいですか?」

 
 
 

その後俺たちは2時間も喜緑さんのノロケ話を聞かされた。
ドアは元通りになっていたため、
途中でハルヒたちが生徒会室に乗り込んできたが、
喜緑さんにやんわりと諭されて帰ってしまった。

 

あぁ、感情が芽生えたのは長門だけじゃないんだな……
それとも喜緑さんはもとからああいう仕様なのか?

 

結局俺たちが開放された頃には閉校時間になっていた。
喜緑さんには俺の方から適当にアドバイスを進言した。
こういうの貰うと嬉しいですよ、とか当たり障りの無いことだ。

 

「なぁ長門……」

 

「なに?」

 

俺は横を歩く長門に話しかけた。
SOS団の連中はとっとと帰ったらしい。薄情すぎるぞ。

 

「喜緑さんてあんな性格だったのか?」

 

カマドウマ退治の依頼に来たときはもっとお淑やかな人だった気がする。

 

「少し……変化している」

 

やっぱりか……
おれが少し考え込んでいると長門が続けた。

 

「彼女の中にも多くのエラーが見られる」

 

何だって!?
そりゃまずいんじゃないのか?

 

「動作には支障はない。ただ以前私が世界改変をしたときに持っていたエラーに酷似している」

 

それって……動作に支障が出るんじゃないのか?
喜緑さんの場合はお前と仕様が違うのか?

 

「わからない……ただ……」

 

長門は淡々と続ける。
俺は長門のほうを見つめる。

 
 

「彼女はあのときの私と違い、そのエラーを全て許容している」

 
 

長門の言う『エラー』が俺たちで言う何にあたるのかはわかっている。
そうか……喜緑さんは自分の中に生まれたその存在を認めてるんだな。
だからあんなに人間くさくなったのか……

 

考え込む俺の顔を長門が見上げる。
どうしたんだ?

 

「私はいまだにあのエラーをどうすればいいか分からない」

 

そうか……

 

「彼女のように許容すべき?」

 

それはお前次第だ。
お前と喜緑さんは違う人間だ。
だけどな……

 
 
 
 

俺はあんなふうに幸せそうに喋る長門も見てみたいと思うぜ……

 
 
 
 

オマケ

 

「長門、お前の家はこっちじゃないだろう」

 

「帰りたくない」

 

「帰りたくないって……一人暮らしのくせに家出か?」

 

「ちがう。帰ったら悪魔にお仕置きされる」

 

あぁ……喜緑さんが言っていたアレか……

 

「大丈夫だって……」

 

しかし長門はブルブルと頭を振る。
かわいいなぁ、もう。

 

「だめ……彼女のお仕置きは……いや」

 

「じゃあどうするんだ?」

 

言ってから、しまった、と思ったね。

 

「あなたの家に泊めて……」

 

その上目遣いは止めてくれ……
そんな目をされて断れるわけ無いだろ。
だがそんなことすれば親の目はともかく俺の理性が……

 

「だめ?」

 
 
 

俺と長門が二人で仲良く家に向かっていると、玄関に人影が見えた話はまた後日……

 
 

「長門さん、あなたのお家はここじゃないでしょう?ふふ…」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:22 (2622d)