作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと反抗期
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-03 (日) 17:58:18

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

ある日の放課後、俺と長門はSOS団にいた。
他の連中は朝比奈さんの衣装の買出しだ。
そんなもん買う金があるなら、喫茶店のおごりを……
と思ったが、朝比奈さんの衣装にはそれだけの価値があるので何も言わないことにする。

 

とりあえずこのささやかな静寂を楽しんでいると、
長門が突然変なことを言い出した。

 

「人には反抗期があると聞いた」

 

何だいきなり?
俺の疑問をよそに長門は続ける。

 

「1〜3歳の頃に第一反抗期、そして思春期に第2反抗期が来ると聞いた」

 

あぁ、普通はそうなんだろ。
もっとも俺は3歳の頃の話は覚えてないし、
思春期真っ盛りの今でも妹に癒されてるから反抗期もなさそうだが。
ちなみに妹は第一反抗期もなかった。

 

「私も作られてから3年」

 

……何だか言いたいことは分かるが、その……

 

「私も反抗期をしてみたい」

 

いや、したいしたくないじゃなくて……
狼狽する俺の瞳を見て長門は止めの一言を言った。

 

「……だめ?」

 
 
 

只今SOS団室では長門有希絶賛反抗期中だ。
せめてもの譲歩として、俺は長門に二つ条件をつけた。

 

まず、ハルヒ達に反抗するなということ。
いきなり反抗期になった長門を見て、ハルヒが何をするか見ものだが、
間違いなく被害が拡大するからな。
被害者は俺だけでいい。

 

次に、気の済むまでやれということ。
長門の願いだ。自由にやってくれるのが一番だ。
こんなことで長門の欲求を満たせるなら安いもんだ。

 

長門はこの2つの事を忠実に守っている。
しかもいつもと同じように黙々と本を読んでいる……
これだけなら本当にいつもと同じなんだがな……
俺はここ数分の出来事を思い起こす。

 
 

長門が反抗期になったらしい。
なんせ今自分で『今から反抗期モード』とか言ってたからな……
ただどうみてもいつものように本を読んでるだけなんだが……

 

「おい、ながt」

 

「うるさい黙れ」

 

「!?」

 

な、長門さん!?
豹変しすぎではないでしょうか?

 

「ごちゃごちゃうるさい。黙れ」

 

いつもの口調で言うから真剣味がない。
ていうかコレまたドッキリ?

 

よく見ると長門は微妙に眉を吊り上げている。
怒った顔もかわいいな……
ぼんやりそんなことを考えていると長門が手を差し伸べてきた。

 

「な、なんだ、長門?」

 

「お茶」

 

「へ?」

 

「お茶入れt……お茶入れろ」

 

今言いなおしましたよね?
まぁいいか。本人が反抗期なんだ。
俺はお母さんのように振舞うべきだろう。

 

「どうぞ」

 

俺は長門にお茶を入れてやる。
もちろん朝比奈さんのものより数段劣るのは分かってるが。

 

「……」

 

長門は無言で受け取る。
おいおい……反抗期の子供ならここで『不味い!』とか言ってその茶碗投げつけないと。
俺だってちゃんと身構えてるし、火傷しないようぬるくしてやってるんだぞ、それ。

 

「ごちそ……早く下げて」

 

結局全部飲んでしまった……
お母さんは嬉しいよ。

 
 
 

そんな感じで長門の反抗期は今も続いてるんだが……
はっきり言おう。長門に反抗期は無理だ。

 

「おい、長門……」

 

「う、うるさい、黙れ」

 

だから向いてないぞ?
第一、反抗期ならもっと親に罵詈雑言をだな……

 

「う、うるさい。この……ヘタレ」

 

うっ、今のはちょっとグサッときた。
今度は精神攻撃で反抗か?すごい威力だぜ
確かにいつも助けてもらってばかりだしな……

 

「意気地なし。優柔不断。シスコン」

 

ぐわっ、これが長門の奥義『三・連・殺』か!!
無表情で言うから余計ダメージでかくなるぞ。
全国のお母さんは反抗期の子供にこんなこと言われるのか。
本当にお疲れ様です。

 

「はぁ……長門にそこまで言われたら返す言葉も無いわ。
そこまで嫌われてたなんて思わなかったよ……」

 

重爆のような精神攻撃を受けて俺は憂鬱になった。

 
 

だが、長門がそんな俺に小さな声でこう言った。

 
 

「違う……好き」

 

そういって長門は俺に抱きついてきた。
頭の中が真っ白になる。

 

「なが……」

 

「黙って」

 

長門は俺の唇に人差し指をおく。

 

長門に言われなくても俺は喋れそうもないぞ。

 

「好き、大好き」

 

長門は繰り返す。

 

「あなたのことが好き」

 

「どうしたんだ長門……反抗期じゃなかったのか?」

 

「……さっきのあなたの言葉への反抗」

 

なんだそりゃ。

 

「あなたが『私があなたを嫌ってる』と言った。だから私はそれに反抗した」

 

それは『反抗』違いだぜ。
だが俺はここで少し意地悪してやる。

 

「反抗期なら俺のこと嫌いじゃないのか?」

 

「それは違う……反抗期は相手が嫌いだからするわけではない」

 

……まぁ親をそこまで憎んでる奴なんかめったにいないしな。

 

「ところで長門……」

 

「何?」

 

「反抗期はもういいのか?」

 

長門は小さく頷く。

 

「いい……もう満足した」

 

「じゃあもうあんなこと言わないでくれ……けっこうへこむから」

 

「ごめんなさい」

 

普通に謝る長門。すまん冗談だ。
それにお前の言葉攻めなら世界中のMが喜ぶぞ。
俺も大歓げ……すまん妄言だ。

 

「じゃあ長門の反抗期は終わりだな」

 

「終わり」

 

抱きしめる力が強くなる。
正直たまりません。

 
 
 
 

最後に、長門が俺に小さく耳打ちした。

 

「でも、今のは第一反抗期。また十年後に第二反抗期がしたい」

 

……あぁ十年後でも百年後でも相手してやるよ

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:22 (2622d)