作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと動物園
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-09-02 (土) 15:24:09

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

俺は今街を一つ越えた所にある動物園に向かうため電車に乗っている。
もちろん一人じゃないぞ?そこまで寂しい人間ではない。

 

俺の左には既にハイになっている妹がいる。
実はこないだの大雨で遠足行けなかったのがショックだったらしく、
見かねた俺が今度連れてってやると約束したら大はしゃぎしていた。
……この元気が今からずっと持続するのだろうか?
妹の原動力を発電に使えば、火力発電ともおさらばだな。

 

そして俺の右には……何故か長門がいる。
妹と駅に向かってる途中でばったり会った……というより待ち伏せされていた。
本人は『たまたま』とか言ってたが、
私服にバスケットを持って駅前で立ってる時点でどうみても待ち伏せです。
本当にありがとうございました。

 

でも長門と一緒に動物園に行くのも悪くない。
むしろ大歓迎だ。
肩口を開ける意外と大胆な私服を着ていた文学少女は、
正直たまらない。何がたまらないのかは秘密だ。
とくに白い肌とか……

 

「ねぇキョンくん〜どうぶつえんにパンダさんいるかな?」

 

妄想の世界に陥る俺を妹が救い上げてくれた。
ありがとう、もう少しでおにいちゃんは取り返しのつかないことになっていたよ。

 

「ん?あぁ、あそこの動物園にはパンダがいたはずだ」

 

確か2頭のジャイアントパンダが飼育されていたはずだ。
名前までは覚えてないが……

 

「じゃあパンダさんだっこできるかな〜」

 

「どうだろうな〜お前じゃ逆に抱っこされるんじゃないか?」

 

正直なところパンダは目も歯牙も鋭く大変凶暴なので、
妹がパンダに近づかないようにしたい。
まぁ動物園には柵というものがあるから大丈夫だとは思うが。

 

「じゃあ有希ちゃんならできるかな〜」

 

「できる……」

 

長門さん!?どうひいき目に見ても無理ですよ!?
ジャイアントパンダの体重は100kg近いんですよ!?
0.1t爆弾ですよ!?
長門さん2人半前くらいはありますよ!?

 

「大丈夫……」

 

いや、でもこの妹のキラキラ顔を見ると言い辛いが、
さすがの万能美少女の長門さんでも……
まさか宇宙的謎パワーですか?

 

「素でできる……」

 

そうですか……

 
 
 
 

さて、実は妹の左にはもう一人女の子がいる。
妹の大親友、ベストオブベストフレンドのミヨキチだ。
妹を動物園に連れて行く約束をしたら、
『ミヨキチも一緒に連れて行きたい』と駄々をこねたのだ。
ミヨキチも行きたそうにしていたので一緒に連れてきたわけだ。

 

ミヨキチらしく、自分の分の入園料や交通費は自分で出すといっていた。
謎の活動で財布の中身が加速度的に減っている俺にとってはありがたい申し出だ。
しかも自分の分のみならず、妹の分のお弁当まで作ってきてくれた。
動物園の中で適当に買い食いしようと思ってたが、これなら妹の分の昼飯代は浮きそうだ。
どうせなら俺の分も作って欲しかったけどな……

 

ただ駅で待ち伏せていた長門を見て、ミヨキチが驚かなかったのが気にかかるんだが……

 

「どうしたんですか?キョンお兄さん?」

 

突然声を掛けられて驚いた。
見るとミヨキチだけでなく、妹も長門も俺の顔をじーっと覗き込んでる。
は、恥ずかしい……

 

「いや、何でもない、よ」

 

「そう……?」

 

心配そうな顔をする3人。
そんな目で見つめられると困るんですが……何とか心配させないように……

 

「え〜とだな、そう、昼飯のことを考えてたんだ」

 

「もうおひるごはん?きょんくんまだはやいよ〜」

 

「そうは言ってもだ。お前にはミヨキチのお弁当があるし、
この中で弁当を持ってないのは俺だけだ。
昼飯抜きではもしかしたらパンダさんに会えなくなるかもしれないだろ?」

 

本気で心配そうな顔をする妹。
その心をいつまでも忘れないでくれるとお兄ちゃん嬉しいぞ。

 

「大丈夫」

 

妹の純粋さに心を打たれていると、長門が声を掛けてきた。
大丈夫って何がだ?

 

「あなたの分もある」

 

そういって長門は目の前においてあるバスケットを指差した。

 
 
 
 

動物園についた俺たちは、とりあえず色んなところを回ってみた。
ちなみに長門の持っていたバスケットは俺が持っている。
長門なら軽々と持つだろうが、俺はそこまで気がきかない男ではないからな。
だが、何だこれ……めちゃくちゃ重いんだが……

 

「中身は秘密……それより……」

 

長門はそういって手を差し出してきた。
なんだ?バスケットを返せってことか?

 

「違う……そうじゃない……」

 

ムスッとした顔をする長門。
何が言いたいかわかってるよ……だけど心の準備とかそのいろいろ……

 

「……いや?」

 

喜んで!

 

そして俺と長門は手をつないで歩き出した。
横でミヨキチが微笑ましそうに見ている。
俺の肩に乗ってる妹もキャッキャッ言ってるし
相当恥ずかしいんだが……まぁ幸せだからいいか。

 
 

園内を歩いている時に気付いたんだが、
どうやらこの動物園には両生類の類はいないらしい。
……まぁ別に見たいわけじゃないが……
あれ?長門さん何かがっかりしてないですか……?

 

「カエル……」

 

……実は見たかったのか?
今度朝比奈さんにまたカエルの着ぐるみ着てもらえ。

 

「そうする……」

 
 
 

朝比奈さんがメイド服の上から着ぐるみを着せられへとへとになった話はまた後日......

 
 

ちなみに妹はどの動物を見ても素直に感動していた。
お兄ちゃんとしては純粋すぎて涙が出るよ……

 

でも『あれシャミのお友達かな〜』ってヒョウやジャガーを指差すのは止めなさい。
もしハルヒに聞かれたら、シャミセンが感動のご対面をさせられかねん。
シャミセンもきっと違う意味で涙が出るだろうしな。
ちなみに長門いわく、ヒョウとジャガーは模様や体型が微妙に違うらしい。
俺には分からないがな……俺に分かるのはシャミセンとライオンの違いくらいだ。

 
 
 
 

うろうろしていたらいつの間にか昼になっていたらしい。
俺としてはそろそろ腹が文句を言い出しそうなんだが、
妹は全然気にしてくれない。
お前は俺の肩の上にいるから平気だろうが、
その分俺は疲れるんだぞ?

 

若干疲れている俺を見かねたのかミヨキチが助けてくれた。

 

「ねぇ、二人であっちに行ってみない?」

 

「ミヨキチと?うん、いく〜」

 

ありがとうミヨキチ。
あと、わかってると思うが……

 

「わかってますよキョンお兄さん。悪い虫が来たら追っ払ってあげますから」

 

キミは本当に小学生か?
俺が言いたかったのは動物に餌をあげないように見張ってて欲しいってことなんだが……
まぁいいか、ミヨキチならちゃんと見ててくれるだろう。
俺と長門に頭を下げて、妹のあとを追うミヨキチを見てそう思った。

 

さて二人は自由行動をとらせるとして、
俺と長門はどうするか、だ。とりあえず腹も減ったし……

 

「長門、そろそろ飯にしないか?腹が減って死にそうだ」

 

「そう……じゃあ」

 

そういって長門は俺の手を引いて歩き出した。
ちょっ、長門さん?恥ずかしいんですが……

 

長門は俺をベンチまで連れてきた。
昼飯を食べる場所もちゃんと見てたのか。さすがだな。

 

「だが、長門……お前の弁当を分けてもらって本当にいいのか?」

 

「いい……」

 

確かに持ってみて分かったが、そのバスケットには尋常じゃない量が詰まっている。
おかげで俺の左手の感覚がないからな。
右手は柔らかさと暖かさでいっぱいだが。

 

「でもお前ならそれくらい一人で食べれるんじゃ……」

 

「大丈夫。最初から2人分……」

 

言い終える前に、しまった、という顔をする長門。

 

……やはりそういうことか。

 

「朝お前が駅前にいたのは待ち伏せてたんだな?」

 

「違うたまたま……」

 

今『最初から』って言ったじゃねーか。

 

「言ってない」

 

バレバレの嘘をつくんじゃない。

 

「大丈夫……情報操作は得意……」

 

コラ……

 

「……ごめんなさい」

 

いや、別に怒ってないぞ。

 

「本当?」

 

そんな目で見られると理性が……
耐えろ!耐えるんだ俺!!

 

「あぁ、本当だ。むしろ弁当を作ってもらって感謝したいくらいだ」

 

「そう……」

 

嬉しそうな顔をする長門。
この顔を見られるなら何でもいいか。
どうせミヨキチ辺りが長門を呼んだんだろう。
それより今は長門の手作り弁当を食べることにしよう。

 

「じゃあ長門、俺もう食べていいか?腹ペコなんだ」

 

「……どうぞ。」

 

そういって長門はバスケットを渡してくれた。
それじゃあいただきます。ところで中身は何が入ってるんだ?

 

「……カレー」

 

「え?」

 

呆気にとられる俺の目の前にはバスケット一杯のほかほかご飯とカレーの入った容器があった……

 
 
 

「あなたに気付かれないよう匂いが洩れない細工をした」

 

あぁ……開けてみてのお楽しみ、って奴だな。

 

「ちょっと張り切って作りすぎた」

 

あぁ……だってこれどう見てもご飯が30cm四方の立方体くらい体積あるもんな。

 

「じゃあ、食べて?」

 

あれ?今なんか朝倉的な言葉遣いじゃありませんでした?
若干寒気がするんですが……
だが俺も男だ。長門の作ってくれた手料理を残すわけには行かない。

 

「い、いただきます……」

 
 

1時間後、長門の驚異的な胃袋と俺の意地により、バスケットは空になった。
当分米を食わなくても大丈夫だな。

 

「さてと……」

 

俺はバスケットを片付ける長門に問いかける。

 

「どこか行きたいところはあるか?」

 

実は午前中にあらかた巡ったわけだが、
長門はもう一度行ってみたいところはあるのだろうか?……その、二人で……

 

「……パンダが見たい」

 

妹に感化されたのか?
まぁ長門が見たいっていってるんだ連れてってや……っておい。

 

「長門、パンダはこっちの方が近いぞ」

 

長門が行こうとしてるのは小動物がいっぱいゾーンだ。
確かにそっちの方が長門にあってるが、残念ながらパンダはそっち方面ではない。

 

「こっち……」

 

しかし長門は俺の手をつかんですたすた歩き出した。
……仕方ない、長門の好きにさせるか。
たが、パンダが見たいんじゃなかったのか……?

 
 

5分後、俺は長門が言った言葉の正しさを知る。
確かに長門は間違ってなかった。

 

長門に連れてこられた俺の目の前には
オレンジ色の『パンダ」がいた。

 
 

……レッサーパンダ。

 
 
 

「こいつが見たかったのか?」

 

コクリと頷く長門。

 

「確かにこいつも『パンダ』だな。」

 

「むしろ『パンダ』の名がついたのはこちらが先」

 

そうなのか?

 

「そしてこの個体はこの国の動物園の中で最年長のパンダ」

 

確かに横の説明書きにそう書いてある。
ってこいつ俺たちより年上じゃねーか。

 

「そう……人生の先輩」

 

パンダだから『人生』じゃなく『獣生』だな。
でも俺たちより先に生まれたことに違いはない。

 

だけどどうしてこいつを見たいと思ったんだ?

 

「この『パンダ』なら……持てる」

 

モテる?レッサーパンダにもモテるのとモテないのがいるのか?

 

「そうではない……この子ならあなたの妹でも持てる」

 

……あぁそうか。
行きの電車の中で妹が言ったことだな?

 

「そう……あの時彼女はあなたに否定されて少し悲しそうだった。
だからあなたにこの子を見せたかった。この子なら彼女でも持てるはず」

 

俺は驚いた……
あいつが少し悲しげな顔をしたのは俺も気付いた。
しかしその後またすぐもとの笑顔に戻った。
でもその一瞬の顔に長門も気付いてたのか……
どうやら俺が思ってる以上に長門は『感情』というものを理解しているようだ。

 

「あとで彼女に教えてあげて。私も……あの子の笑顔がもっと見たい」

 

「あぁ、そうするよ……ありがとな長門。」

 

「いい……将来の義妹のため」

 

その件はもう少し待っていただきたいが、
長門が俺の妹のことを大切に思ってくれてるって分かってうれしいぞ。

 
 
 
 

そうして俺と長門は手をつないだままレッサーパンダを見ていた。

 
 

……2時間後に妹に声を掛けられるまで固まっていたのは内緒だ。。。

 
 
 
 

オマケ

 

次の日、昼休みにいつものように飯を食ってたら国木田がこんなことを言い出した。

 

「昨日動物園に行ったら、中学生と小学生の姉妹かな?
ものすごいラブラブっぷりだったよ。お姉さんが妹が何かするたびに『も〜可愛いわ〜』って
抱きついてたよ」

 

それは相当重度のシスコンだな。しかも両方女なのか……

 

「なんか両方ともキョンの家で見たことあるけどね……」

 

そんな奴がウチにいたか?俺には妹が1人いるだけだぞ?
頭の隅でその『姉』の候補が浮かんでるが気にしない。

 

「あと、レッサーパンダの前で手をつないでずっと固まってるカップルが……」

 

俺が急いで国木田の口に弁当のハンバーグを突っ込んだ話はまた後日。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:20 (3093d)