作品

概要

作者おぐちゃん
作品名ぼくらの七日間戦争 第一話
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-31 (木) 23:21:02

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる不登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「おいーっす!」
 部室の扉を思い切り開けて、右手を挙げて大きな声で挨拶。
「……」
 反応ゼロ。あによ、有希しかいないじゃん。
「声が小さーい! もう一度、おいーっす!!」
「…………ぉぃーす」
 うーん、他のみんながいないといまいちねぇ。キョンがいればきっちり突っ込んでくれるのに。
「有希。あんた一人?」
「そう」
 有希は、化粧品と帝国がどうとかいう文庫本を読んでいた。相変わらず読むの速いわねこの娘。
 部室の窓からさす光に照らされた有希の姿は、まるで印象派の絵画みたいにきまっている。うーん、この娘なら絵のモデルとか向いてそうね、じっとしてるの得意だし。今度美術部に売り込んでみようかしら。
「…………」
 ふーん。肌もきれい。有希ってば夏も真っ白だったから、日焼け対策とかきっちりしてるんでしょうね。やっぱ焼かない方がお肌にはいいのかなぁ。
 すべすべのほっぺをぷにぷにしてみた。
「なに?」
「あ、ごめん有希。ちょっとあんたの肌を見てただけ。ごゆっくり」
 そう言うと有希は、また本を読み始めてしまった。……動じない娘ね。
 ついでだからいろいろ調べちゃおう。
 有希の髪は、キューティクルもつやつやで、絹糸みたいにサラサラだ。伸ばせば綺麗なのに、もったいないわね。ちょっと癖があるけど、こう後ろで束ねれば可愛い……いや、やっぱ却下。
 後ろに回り込んで、服の上から胸を触ってみる。ちょっと小ぶりだけど、この娘にはこれくらいがいいわね。このおすまし顔とスレンダーボディには、みくるちゃんみたいなおっぱいはちょっと似合わない。
 足もすらっとしてて、鹿みたいって言うのかしら。肌もすべすべ。コンビニ弁当ばっか食べてるくせに、なんでこんな健康的なのよ。
 ついでにスカートの中も確認。お、今日はミントブルー?
 ちなみに有希はずっと本を読んでた。スカートめくっても平然としてる。
 ……ここまで反応がないのも面白くないわね。なんて思ってたら、扉を誰かがノックした。
「入んなさい」
 確認するまでもない。このだれたノックの仕方は、あいつ以外にいないから。
「うーす」
 思った通り、キョンがのそのそ入ってきた。そうだ、ちょっと面白いことを思いついた。
 なので、キョンのネクタイを引っ張って階段まで連行。団長の名において命令を下した。

 

 さて。いま、部室にはキョンと有希の二人きり。あたしは扉の前で聞き耳を立てている。
 キョンがあたしの指示通りにしたとして、果たして有希はどうなるのか。
 ま、シカトされるのがオチね。かわいそうなキョン。
「ひゃうんっ!?」
 え?
 どたどたと音がした。そして、扉が勢いよく開く。
 鞄を抱えた有希が、ぎくしゃくと部室から出てきた。
「有希? どしたの」
「…………きょうは、かえる」
 有希はあたしと目を合わせようとせず、早足で去っていった。
 ……………………
「あんた。何やったのキョン?」
 キョンは、部室の中で呆然と突っ立っていた。
「い、いや……お前の言うとおりに」
「嘘つけぇっ!」
 延髄めがけてハイキック。ち、防がれたか。
「いや、嘘じゃねえって! ちょっと耳たぶに息吹きかけただけだって!」
 ──ぜっったい嘘。だってあの娘、おっぱい揉まれて平気だったのよ?
「このエロキョン! 有希に一体どんなやらしいことしたのよ!!」
「お、俺は無実だ──っ!」
 ダッシュで逃げようとするキョンの襟首を捕まえ、そのままグランド勝負に持ち込んだ。
 この女の敵めっ! この前覚えた腕ひしぎ逆十字を味わうがいいわ!

 

 次の日、有希はいつものように部室にやってきて、いつものように本を読んでた。
 昨日キョンに何されたのか、あたしは厳しく問いつめたけど、答えてくれなかった。
「心配ないわ有希。あたしの目が黒いうちは、あんたに手出しはさせないから!」
「そう」
「…………したくてもできねぇよ」
 首からつるした右腕をさすりながら、キョンが言った。
 なによ。ちょっと力入れすぎただけじゃない。ちゃんと謝ったわよ、あたし。
「痛そうですね。大丈夫ですか?」
 古泉君の言葉に、キョンが言う。
「ちょっと痛めただけだ、すぐ治る。ただ、箸が使えん」
「それは大変ですね。じゃあ、お昼ご飯は僕が食べさせてあげましょうか?」
 古泉君が耽美なオーラをまとって言った。相手が馬鹿キョンじゃなきゃポイント高いわよそれ。
 でもまあ、あの怪我はあたしの責任でもあるわけだし。仕方がないから、あたしが食べさせてあげなくも
「──わたしが、食べさせる」
 ……ちょっと有希。だめよそれは。またあいつにエロいことされたらどうすんの。
「だいじょうぶ」
「大丈夫、じゃないわよ! いい、あんたはしばらくキョンと二人きりになっちゃだめ!」
「…………」
 有希は黙ってあたしをにらみつけてきた。

 

 これが、そのあと一週間に渡るあたしと有希の戦争のはじまりだった。

 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:19 (2730d)