作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと謎の女の子
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-31 (木) 15:39:50

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

放課後のSOS団室。
いつものように朝比奈さんが煎れてくれたお茶を飲みながら、
俺は古泉にあふれんばかりの黒星をプレゼントしていた。
たまにはこういうのんびりした空気もいいよな……
といってもハルヒが教室の掃除という強制の奉仕活動を終えれば、
このささやかな幸せはなくなってしまう……幸せってのはかくも儚き物か。

 

しかし本日の俺の小さな幸せを奪ったのは、SOS団のボスではなく……
団室に根を張る無口美少女宇宙人の一言だった……

 
 

「あなたには……妹がもう1人いる?」

 
 

長門が疑問文を使うなんて……皆既日食より珍しいだろうな。
ありがたやありがたや……っておい!?

 

「……すまん……何だって?」

 

「私が確認している事実によれば、あなたには妹が一人いたはず」

 

あぁそうだ。俺には妹が一人いる。
もうすぐ小学校最高学年だと言うのに遊園地のジェットコースターの身長制限に
毎回引っかかりそうになる妹がな。

 

「お前の認識は正しいぞ長門。俺には妹がいる。お前も会ったことあるだろ?」

 

「会った」

 

なぜかあいつもハルヒによってSOS団の準団員になってるからな。
俺のような待遇に会ってないのが不幸中の幸いだ。

 

「しかし昨日私は2人仲良く歩いているあなたの妹たちを見た」

 

「……」

 

この3点リーダは俺のものだ。
俺の知る限り、妹はただ一人だ。親に離婚暦もないし、
何より、妹が2人いることを兄である俺が知らぬはずがない。
これを朝比奈さんが言ってるなら『見間違いですよ』の一言ですむんだが、
目撃者は長門だ……長門がそういうなら間違いないんだが……しかし……

 

「ちょっと有希それホント!?」

 

うおっ、ハルヒっ!?
一体いつの間に……というかいつから話を聞いてたんだ?

 

「本当。見間違いではない」

 

あぁ……なんか話がよじれそうだな……

 

「それってドッペルゲンガーじゃないかしら?」

 

縁起でもない事を言うな。ドッペルゲンガーを見たら死んじまうんだぞ?
しかも長門いわく、その『もう一人の妹』と俺の妹は仲良く歩いてたんだ。
即あの世行きでもおかしくないじゃねーか。

 

「ドッペルゲンガーではない」

 

長門もいちいち言わなくてもいいぞ。ちゃんと分かってるさ。
ドッペルゲンガーなんてせいぜい他人の空似だろ。
だが俺は長門が続けた言葉を聞いて事の重大さを知った。

 
 

「もう一人のあなたの妹は、あなたの妹を含め、誰とも似ていない容姿だった」

 
 
 
 

長門の言葉を聞いて俺はそのとき初めて戦慄というものを味わった。
それまで俺は長門が言う『もう一人の妹』はハルヒが生み出した幻だと思っていた。
大方俺の妹が一人で歩いてるのを見て不憫に思い、もう一人妹がいれば……
なんて感じに考えて、たまたまそれが実現したんだと。
だがその場合新しく生まれた『もう一人の妹』は、ハルヒのイメージから生まれたのだから、
大概SOS団の面子の誰か……の小さい頃の容姿となるはずだ。
ハルヒがわざわざ知らない人間をイメージするとは考えにくい。

 

「本当に誰にそっくりでもなかったのか?」

 

「髪型、目の位置、歩き方など250通りの要素で確認した。けれど誰とも類似しない」

 

もしかしたら、その子が成長すればこの中の誰かに似るんじゃ……

 

「15年先までシミュレートした。しかし私の知る中では該当するものはいない。
ただ……」

 

「ただ……何だ?」

 

長門が言い難そうにしている。何だ?今度はどんな問題があるんだ?
その娘がまた対有機生命体用の何たらインターフェイスなんじゃないだろうな?

 

「あらゆる角度から観察した結果、その少女は……」

 

俺は長門が何を言うのか想像していた。
楽しい想像が浮かばないのはなんでなんだろうね?

 

だが長門の発言は俺の想像のはるか斜め上を行くものであった。

 

「……ものすごく……美人だった」

 
 
 
 

俺は長門が何を言っているのかまったく理解できなかった。
多分今鏡を見ればかなりの間抜け面が見れるだろう。

 

「……何だって?すまんがもう1回言ってくれないか?聞き逃したみたいだ」

 

コクリと頷く長門。こんどはちゃんと意識を保つんだぞ俺。

 

「その少女はあらゆる面で同年齢の一般女性の美的水準をはるかに凌駕している。
身長は150cm前後。体型はスレンダー」

 

美的水準て……谷口みたいなことを言わないでくれ。
しかし俺の妹って設定ならせいぜい10代前半だよな……
10代前半でそれなら成長したら楽しみだな……じゃなくて!
あやうく浪漫飛行に出るとこだった。

 

「ま、まぁ容姿に関することはいいんだ……他になんか情報はないのか?」

 

「他?」

 

首をかしげる長門。もっと見ていたいがそうもいかない。

 

「えぇと……例えば……そうだ!」

 

俺は唐突に思いついた。
いらん時によく働く俺の脳に感謝しなきゃな。もう少しテスト中にも働いて欲しいものだがな……

 

「どうしてその娘が俺の妹だって分かったんだ?」

 

「簡単なこと」

 

長門はこともなげに言う。
頼むから宇宙的パワーを使ったとか言うのは無しだぞ。

 

「その少女があなたのことを『キョンお兄ちゃん』と呼んでいた」

 

……なんだそれ……

 
 
 
 

しばし呆然としていた俺をハルヒの声が現実世界に引き戻してくれた。
ありがとうハルヒ助かったよ……ついでにそのネクタイも手離してもらえるとありがたい。

 

「わかったわよ〜キョン……」

 

俺を睨みつけるハルヒ。
あれ?何で俺今こんな目にあってるんだ?何か苦しいぞ?

 

「……わ、かった、って、何が、だ……?」

 

「その『もう一人の妹』の正体よ!!」

 

頼むからその手をどけてくれ。肺に充分な酸素がいかない。
あ、なんかきれいなお花畑が見える……

 

「正、体……って、な、んだ……」

 

俺はお花畑の横で川遊びをしたくなる衝動をこらえ聞いた。
でもこの川の向こう岸きれいだな〜渡ってみようかな。

 

「その女の子……あんたの彼女でしょ!!この……ロリコン!!!」

 

ハルヒがそう言い放つ頃には俺は川の真ん中辺りまで来ていた……

 
 
 
 

お花畑と船頭さんに別れを告げ、現実世界に戻ってきた俺は、
ハルヒの曲解を聞いていた。

 

「あんた……団長に内緒で彼女作るなんて……しかも『お兄ちゃん』なんて呼ばせるなんて」

 

おいおい……戸愚呂弟でもそんなオーラは出ないぜ……
お前の脳内設定で余計な殺気を立てるな。

 

「何馬鹿なこと言ってるんだ……人を勝手に変質者呼ばわりするんじゃない」

 

朝比奈さんがお前の言うことを真に受けて引いてるじゃないか。
結構ショックなんだぞ。

 

「どうかしら……そういえばあんたと妹ちゃん妙に仲がいいしね〜」

 

そりゃそうだろう。実の兄妹なんだからな。
実際に妹がいる人なら分かるだろうが、実の妹に劣情を抱くことはない。

 

いまだにジト目で見るハルヒとおろおろしてる朝比奈さんを置いといて
俺は長門と古泉の方に向かった。

 

「だが……実際問題その女の子は何者なんだ?」

 

古泉は肩をすくめる。『機関』とやらも把握してないのか、それとも放置してるのか。
長門は……コラ。お前から話を振っておいて読書してるんじゃありません!

 

「私には分からない……あなたの妹に聞いてみるべき……」

 

……それもそうだな。まぁ正体が気にならないといったら嘘になるし。
そう思って俺は家に電話をかけた。

 

『もしもしぃ〜』

 

一発で妹が出た。ちゃんと電話に出れるんだな。偉いぞ。
別に兄バカじゃないぞ。

 

「あぁ、俺だ」

 

『キョンくん〜?なぁに〜?』

 

……わが妹ながら素直すぎるぞ。オレオレ詐欺に引っかかりそうだな。

 

「あぁ〜昨日のことなんだがな。お前……誰かと一緒にいたか?」

 

『うん。なんでしってるの〜?』

 

本当に誰かといたのか……何だか緊張してきたぞ……

 

「い、いや……長門が見たって言ってたからな……」

 

『有希ちゃんが〜?ぜんぜんきづかなかった』

 

「で、誰といたんだ?」

 

まるで娘のデート現場を目撃した父親の気分だ。
まぁ俺も妹のデート現場を目撃したら殴りこむかも知れんが……兄バカじゃないぞ?

 

『キョンくんもしってるでしょ〜』

 

俺が知ってる?
お前の友達か?お前がいろんな子をウチに呼ぶから、
俺は至るところで子供にキョンくん呼ばわりされてるぞ。
俺のことをちゃんと『お兄ちゃん』て呼んでくれるのは……

 
 
 

そこで俺は気付いた。
長門が見たことなく、身長150cm前後で、妹と一緒にいて、
俺のことを『キョンお兄ちゃん』と呼ぶ美人の女の子……
脳裏に一人の少女が浮かぶ。
そして俺はその少女の名をとっさに口に出した。

 
 
 

「……ミヨキチか?」

 
 
 
 

その後の妹の会話で、二人は俺のために財布を買ってくれていたらしい。
最近俺の財布が軽いのを知ったので二人でプレゼントに重い財布を……
財布だけが重くても仕方がないが、この際そんなことはどうでもいい。
なんとも泣ける話だ。お兄ちゃんはこんな優しい妹がいて幸せだぞ。
べ、べつに兄バカじゃないんだからねっ!!

 

ちなみにその財布は朝のうちに俺の机に置いといてくれたらしい。
だが、遅刻寸前だった俺はまったく気付かなかった……
お兄ちゃん面目ない。

 

「やさしい妹ちゃんとお友達ですね〜うらやましいです〜」

 

朝比奈さんがうっとりした目で言う。
俺はその顔を見られる自分が羨ましいですよ。
でも朝比奈さんに兄弟はいないのか?朝比奈さんに妹なんかいたら……
これ以上のロリが……想像できません。

 

「ドッペルゲンガーではなくてよかったですね」

 

その言葉はありがたく受け取るが妹は渡さんぞ。
もし妹がお前みたいな奴をつれてきたら、親父と協力して血祭りにあげてやる。

 
 
 
 
 

さて……2名ほど無言の方がいらっしゃるのですが……

 

「ミヨキチ……ねぇ」

 

涼宮さん?いかがなさいました?
いつもの麗しいお顔を見せていただきたいのですが……

 

「あれがミヨキチ……ターゲット情報保存」

 

今ターゲットって言った?言ったよね長門さん?
ちょっ、何でそっぽ向いてるんですか?

 

「大丈夫……あなたは私が守る……ドンナドロボウネコカラモ」

 

今小さくなんか言いました?
前半だけで充分ですよ?

 

「有希……ちょっとあとでその娘の情報、くわし〜く教えてくれる?」

 

「喜んで……」

 

わぁ〜い長門さんが喜んでルー(棒読み)
あぁ……ふたりとも笑顔がとても毒々しいよ……
こんなかたちで長門の笑顔見たくなかったよ……
こうして謎の空気の中今日も何事もなく団活動が終わったのであった。
めでたしめでたし……

 
 
 
 
 

P.S.
ハルヒと長門がミヨキチについて延々と話し合っているのを目撃した話はまた後日……

 
 
 

「ねぇ〜キョン?昼休みどこにいたの?」

 

放課後、いつものようにSOS団室にきた俺はハルヒと長門に詰め寄られた。

 

「べ、別に……いつもどおり教室だよ……」

 

「ふ〜ん中庭や部室のドアの前にはいなかったのね〜」

 

「そ、そうだよ。決まってる……だろ」

 

俺がそういうと二人は笑顔になった。よかったバレてないバレてない……

 

「そう……」

 
 
 
 
 
 
 
 

「嘘だっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:18 (2731d)