作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんとお勉強
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-29 (火) 18:12:21

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

※下につちのこさん画の挿絵が添付されています。

 
 
 
 

俺は今長門と二人きりで部室にいる。

 

「そう、そこ……」

 

「ここに入れ……本当にいいのか長門?」

 

窓から差し込む夕日が長門の顔を照らす。
ほんのりと赤みを増す長門の頬。

 

「いい……むしろそうしてほしい」

 

「わかった……」

 
 

そして俺は長門の言うとおりに……

 
 
 
 
 

文字式に先ほど求めた数字を代入した。

 
 

「で、この式は成立すると」

 

「そう。それで検算すればうまくいくはず」

 

「ふむ……あ、ほんとだ。ありがとな長門。
求めた数値がxかyか分からなくなってたんだ」

 

「いい……それよりあなたは冷静になるべき。あなたの間違いの45%はケアレスミスが原因。
検算をすることでその内の90%のミスが除かれると思われる」

 

……俺のテストの赤点の原因の4割はそんなことなのか。
って何で長門が俺の点数や答案を知ってるんだ?

 

「そ、そうか……わかった。今度から気をつけることにするよ」

 

「そう……」

 

心なしか嬉しそうな長門。
この顔を見たらさっきの疑問なんか吹き飛んじまったよ……

 
 
 

俺たちは今部室で勉強している。
といっても今更長門が勉強することなど何もないのは周知の通りであり、
勉強しているのは実質俺一人というわけだ。
ちなみに長門は読書の傍ら臨時の家庭教師をしてくれている。
まったく……器用な奴だ。

 

しかし何で俺が勉強なんか……まぁ原因は一つしかないが。
事の発端は例に漏れず、あの迷惑団長様が言ったどうでもいいことだった。

 
 
 

世はまさに世紀ま……じゃない受験シーズン。あちこちで頑張っている先輩方の姿を見ると、
世紀末の方がまだマシなんじゃないかと思えてくる。
しかしまだ俺は1年生。大学なんて先の話だ。

 

「ねぇキョン」

 

「何だ?」

 

「あんたどこの大学目指してるの?」

 

……お前だけ10秒前の俺のモノローグを読み直せ。
俺はまだそんなことを考える気はない。

 

「でもあんたのとこのお義母さんが言ってきたりしないの?」

 

うっ、痛いところを……
確かにウチの母親はフリーフォール並みに急降下の俺の成績を見て、
さりげなく俺の目の届くところに塾のパンフレットを置いたりしている。
最近はあまりに露骨すぎるので俺も露骨に無視してるわけだが……
ってハルヒ今ちゃんと『お母さん』って言った?何か混ざってなかった?
気のせいか?変な既成事実作ってないよな?

 

「まぁ……ウチの親は国公立に入れと言ってくるだろうな」

 

まだ幼い妹の今後のために、兄には金がかからない所へ……
ていうか出費を抑えたいだけだろうけどな。
今は国立も授業費が高いってことを知らないんだろうか?

 

「国公立って具体的にどこよ?」

 

「どこでも……どうせなら近場がいいな。」

 

「ここからなら……O大かK大?」

 

OかKか……いや、入れるならどっちでもOKなんだがな。別に洒落じゃないぞ?

 

「でもあんたの成績じゃどっちも無理ね」

 

ぐっ、ズバッと言ってくれる……反論の余地がない自分がくやしい、でもかんj……
などと馬鹿なことを考えてると急にハルヒが叫んだ。

 
 

「よ〜し!こうなったらSOS団の皆でキョンの成績を上げるわよ!!」

 
 

……かくして『キョンの成績鯉のぼり作戦』が開始された。
できればそこは『うなぎのぼり』にしてほしかったんだが……

 
 
 

ハルヒの用意したくじによって、SOS団員扮する家庭教師の担当が決まった。
長門が数学、ハルヒが英語と国語、朝比奈さんは社会、古泉が理科。
ハルヒが2教科担当するのは『団長だから』だそうだ。

 

かくして俺は月曜日から金曜日まで放課後勉強付けの毎日を送る羽目になった。
ちなみに次のテストまで団活動は週末の謎探しを除きお休みとなった。
まぁ俺は休みがなくなっちまったわけなんだが、塾よりはマシか。

 

そうして冒頭の光景に戻……る前に各教師陣の授業風景をご覧いただこうか。

 
 
 
 

〜涼宮先生の場合〜

 

ハルヒの授業はとにかく疲れる。
家に帰る頃には精神的にも肉体的にもボロボロだ。まだ雑巾の方がきれいだぜ。
1分間に10回の『あんた本当に馬鹿じゃないの?』を聞いたときには、
窓からノーロープバンジーをかましたくなった。

 

ただし、学習の面では分かりやすく、頭に残りやすいという
教師の鑑のような感じだった。つくづくコイツの万能っぷりには感心させられる。
感謝はしたくないが、それでも俺の脳はかなり成長したと思う。

 

ただ、やたらと席を近づけて密着してくるのは勘弁したい。
その……いろいろと我慢するのが大変だったんだからな。

 
 

〜朝比奈先生の場合〜

 

朝比奈さんと二人きり……おそらく北高生の半分=男子全員を敵に回しかねない状況だが、
ここで本能のままに何かしてしまうと、暴徒化した北高男子生徒による集団リンチよりも先に、
凶暴な団長様により俺の生涯はあっけなく幕を閉じるので、我慢。よく我慢したな俺。

 

朝比奈さんの天使のささやきで、人名や地名を言われると
俺のピンク色の脳はイヤでも記憶に残してくれるので、暗記は順調だった。
まぁ『高松塚古墳』とか『延暦寺焼き討ち』などの単語が浮かぶたびに、
朝比奈さんのお顔が浮かぶのにはいろんな意味で困ったが。

 

あと、歴史の年表にはまだ西暦2015年の項はありませんよ?あ、禁則事項なんですか。
重大な事件とかいわれると気になるんですが……

 
 

〜古泉先生の場合〜

 

なぜ生物選択のお前が化学選択の俺を教えてるんだ?
という当たり前の疑問に、

 

「化学の知識なら趣味の範囲でですが、いろいろと存じ上げておりますので。
高校で学ぶくらいの範囲の化学は網羅してますよ」

 

この出来すぎ君が……と僻みたくなった俺を誰が責められよう。
なんだってこの世はこんな不公平に出来てるんだ。
と毒づいたものの、古泉の教え方は普段のわけ分からん話し方とは違い、
中々にわかりやすかった。普段もこんな感じで喋ってくれ。

 

だが、たかが高校の化学にそこまでマイナーな元素は出ないと思うぞ?
メンデレビウムってなんだ?ツンデレの一種か?

 
 

そして長門先生は……

 
 
 

長門の授業はSOS団の教師人の中でも一番よかった。
なんせ俺の中学時代のテストまで分析して指導するんだからな。
これなら時給1万円でも家庭教師してもらう価値はあるぜ。
ただその中学時代のデータとかどうやって入手したか分からないんだが……

 

「何か分からないことがあるの?」

 

気付けば考え事に夢中で手が止まっていたらしい。
俺に分かる程度に不安そうな顔で長門がこちらを見ている。

 

「いや、なんでもない。ただ……ちょっと暗算していただけだ」

 

われながら苦しい言い訳だ。
だが長門はまた読んでいる本に目を落として、

 

「そう……」

 

とだけ言った。
いかんな長門に心配させるわけにはいかない。
もう一頑張りするぞ!……といき込んだ俺はある疑問を思いついた。

 

「なぁ長門」

 

「何?」

 

本から目を上げる長門。読書の邪魔して悪いな。

 

「俺が成績悪いのはハルヒが望んでるからか?」

 

我ながらひどい責任転嫁だ。もちろん本気で言ってるわけじゃないぞ。
ただ疑問に思ったことがあるだけだ。

 

「だってあいつが俺の成績向上を望むなら、それが現実になるんじゃないのか?」

 

「……それは違う」

 

すこし語気を強める長門。やばい怒らしちまったか!?
一応自分の努力不足は分かってると進言する俺。

 

「彼女はあなたの成績向上を望んでいる。」

 

「なら何で……」

 

「それは彼女が、あなたが努力して成績が上がることを望んでいるから」

 

……なるほど。ハルヒの奴は努力しろと言いたいのか。
まぁそうだな。努力しないで成績アップなんておいしい話はないしな。

 

「それに……」

 

長門は続ける。

 

「私自身も努力しているあなたをもっと見たい……」

 

あの〜長門さん?顔が赤いのは夕日のせいですよね?
こっち向いてほしいんですが……

 
 
 

帰り道、俺と長門は二人でとぼとぼ歩いていた。
さっきから長門が顔を合わせてくれない気がするんだが……
まぁいい。俺が何か言ったら返事くらいはしてくれるだろう。

 

「今日も勉強見てくれて……ありがとな」

 

「いい……」

 

静かに返事をする長門。

 

「お前からはいつも教えてもらってばかりだな…」

 

何かあるたびに長門に助言を貰う自分が少し情けない。
俺ももう少し長門に頼らないように……
そう考えてる俺の耳に長門の声が届く。

 

「そうでもない」

 

長門はそっとつぶやく。
俺は何のことか分からずに

 

「え?」

 

と口に出してしまった。恥ずかしい。
だが長門はそんな俺を尻目にこう言った。

 
 

「あなたから教わったことはいっぱいある……いつもありがとう……」

 
 
 
 

P.S.
長門の言葉を聞いて喜んでいる俺に、
「だからもっといろいろ教えて欲しい」と言って
長門が俺を自分の部屋に引きずり込もうとした話はまた後日……

 



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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:17 (3027d)