作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと雪見大福 2
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-26 (土) 13:07:19

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

一つの雪見大福をめぐって睨み合う二人の少女。
間にはさまれて肩身の狭い思いをしている少年。
傍から見れば……

 

「まるで修羅場のようですね」

 

とうとう俺の考えを読めるようになったか超能力者よ。
どうせならこの状況も超能力で何とかできないか?

 

「あわわわわ……」

 

朝比奈さんはオロオロしすぎですよ。まだピノが半分以上残ってますよ。
早く食べないと溶けますよ。

 

それにしても……この空気はやばい。
嫌な汗がだらだら出てくる。空気中の酸素がみるみる減っている気がする。
とりあえずこの環境を何とかしなくては……

 

「わかったわかった。俺は1個で充分だから二人で分けて食べればいいじゃねーか。
子供みたいに喧嘩するんじゃありません」

 

「うぅ……わかったわよっ!」

 

「……」

 

……ふぅ。何とか二人とも分かってくれたか。
これで一安心……などと安堵しきった俺の前でまたもや火花が散った。

 
 
 

……なんと二人とも俺が刺しっぱなしにしてたフォークをつかんでいる。
あの〜フォークなら半分に折るなりしていただいて結構ですよ〜

 

「あたしがこのフォーク使うんだけど」

 

「コレは私が使う。あなたは先ほどのアイスキャンディーの棒を使えばいい」

 

こ、これは冗談じゃなく修羅場ってる気が……
ヤバイヤバイヤバイヤバイ……ここから逃げ出したい。
そう考えてる俺を尻目に古泉がまた余計なことを言い出した。

 

「まぁまぁ二人とも……ここはひとつ彼に選んでもらってはいかがですか?」

 

な、何をいうだー!許さん!
明日から超ハイレートの賭けチェス三昧の日々を送りたいのかお前は!?

 

「そうねぇ……」

 

にやりと笑うハルヒ。うわっ、こえぇ。

 

「有希もそれでいい?」

 

「いい……」

 

いやいや、俺がいくない!まったくいくないぞ!
そんな俺の悲痛な叫びもむなしく、二人は決断を迫ってきた。
相変わらず俺の拒否権は発動しないわけか……

 
 
 

震えながら雪見大福をフォークに突き刺した俺の眼の前には、
眼を閉じて口を開けてる二人の顔があった。
朝比奈さんが「せっかくだから『あーん』てやってみたらどうでしょう?」なんて
空気を読まないことを言ったせいで俺は更なる窮地に立たされてしまった。

 

……くそ……こうしてみるとどっちも可愛すぎる……
このまま両方お持ち帰りしたい気分に駆られる……ダメだ落ち着け俺。
有希見大福だけに長門か?
それとも先に手を出したハルヒか?
古泉や朝比奈さんに……っていう選択肢は無理そうだな。
古泉にはやりたくないし、朝比奈さんは今にも気を失いそうだ。
大丈夫ですか朝比奈さん?と気遣ってあげたいが、今はそれどころではない。
だが実は俺の心の中ではどちらを選ぶかすでに決まっている……
ただその選択肢が許されるかどうかが問題なんだ。

 

視界の隅で古泉がなにやら目配せしている。
悪いが今の俺はお前に構ってやる余裕はな……

 

その時、俺の視線に気付いた古泉があるジェスチャーをした。
それを見た俺は選ぶべき答えを決定した。

 
 
 

ありがとよ……古泉。
今月分の負けはチャラにしてやる。

 
 

そう眼で言った俺は覚悟を決めた。

 

「よし。じゃあ入れるぞ……」

 
 
 
 
 

どきどきする……
キョンはあたしと有希のどちらを選ぶのだろう?

 

キョンのアイスを見て
「残り一個のアイスをキョンのフォークで食べれば……関節キス!?」
っていうことに気付いた時は天にも昇る勢いだったけど、
まさか有希も同じこと考えてたなんて……

 

せっかく味合わずに一気にアイスを食べたってのに……
でも有希が同じこと考えてるのはうすうす気付いてた。
やっぱりあたしの最大のライバルは有希しかいないわね。
みくるちゃんや鶴屋さんならなんとかなりそうだけど、
有希は本当に手ごわい。
キョンと有希の間にある見えない絆が本当に……怖い。

 

キョンが有希を選んだらどうしよう……
ヤバイ……ちょっと泣きそう……我慢、しなきゃ。
そう考えてると不意にキョンの声がした。

 

「じゃあ入れるぞ……」

 

来た!ついにこの瞬間が……

 

「はい、あ〜ん……」

 

本当にキョンが「あ〜ん」してる!
見たい!見たい見たい見たい!でも眼を開けるのが怖い!

 

いくら待っても私の口の中には何も入ってこない。
まさか!?
私は勇気を振り絞って眼を開けた。

 

そして……その光景を見て驚いた。

 
 
 
 

キョンがアイスを入れたのは……

 
 
 

私の口じゃなく……

 
 
 
 
 
 

キョン自身の口だった……

 
 
 
 
 

古泉が自分の口に物を放り込むジェスチャーをしたときは感動したね。
「これやるよ→はい、あーん→やっぱあーげない!』
ってのはこれ以上無いほどベタな展開だ。
だがベタな展開に逃げることでこの場の選択をチャラにしてしまえる。
この空気を和らげることが出来る。

 

ただ長門が露骨に不満そうな顔してるし、
ハルヒにいたっては俺に吐かそうとしているのが辛いところだが……
頼むから口に手を突っ込むのは止めてくれ。

 

まぁなんだ、いずれ選ばないといけない選択かもしれないが、
今はまだその時期じゃない。
だから今回くらいは逃げさせてくれ。
……次回は必ず選ぶから。な?

 
 

P.S.
次の日に長門が雪見大福を買ってきた話はまた後日……

 

「え〜と長門さんこれは?」

 

「雪見大福……」

 

それはわかってるんですが……
もしかして頂いてもよろしいんでしょうか?

 

「1個は残しておいて……」

 

……頼むから、もう少し我慢してください……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:13 (3093d)