作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと誕生日
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-25 (金) 23:28:36

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「おに〜ちゃん。朝だよ〜」

 

いつもと何かが違う朝。何か違和感を感じる……
俺を起こしに来たのはいつもと同じ母親製の目覚ましマシーンの妹だ。
だが何かが……違う。

 

「どうしたの〜?早く起きないと遅刻しちゃうよ?」

 

あぁ……それは分かってるんだ……だが何かこう違和感が……

 

……そうか!起こし方だ!昨日はフライングニープレスからアーチェリーバックブリーカーという
どうみても妹の体躯では不可能な技を使い俺を起こした妹が、
今日はやさしく『おに〜ちゃん。朝だよ〜』などと……んっ!?

 

「お、お前!今俺のことなんて!?」

 

「おに〜ちゃん、って言っただけだよキョン君」

 

アンビリーバボー……いつもキョン君、キョン君と呼ばれ悲しい思いをしてきた俺だが……

 

ついに念願の『おにいちゃん』と呼んでくれる妹を手に入れたぞ!
 そう、関係ないね。
 頼む、譲ってくれ。
rァ殺してでも奪い取る。
な、何をするだー!ゆるさん!

 

さて寝ぼけた頭もスッキリしたところで妹に聞いてみよう。

 

「で、何をたくらんでるんだわが妹よ?突然『おにいちゃん』などと言いよって」

 

「おにいちゃん……今日が何の日か忘れたの?」

 

今日……おにいちゃんのカレンダーには謎の団活のせいで日曜がないから、
今日が何日だろうと別に……

 

「あ……」

 

そこで俺は気付いた。今日が何の日か。そして妹の突然の「おにいちゃん』の理由もわかった。

 

今日は俺の……十何回目の……

 

「やっと気付いたの〜?今日はキョン君の誕生日だよ〜」

 

「そうだったよ。最近忙しくて忘れてた」

 

忙しいのは我らがSOS団の鬼軍曹……ならぬ鬼団長が原因だが。
しかし自分の誕生日に気付くゆとりすらなかったとは……

 

「それで誕生日のプレゼント代わりに俺を『おにいちゃん』って呼んでるのか?」

 

「そうだよ〜今日一日キョン君のことを『おにいちゃん』って呼んだげることにしたの」

 

さっきから所々『キョン君』になってるが気にしないで置こう。
せっかく『おにいちゃん』て呼んでくれるんだからな……
俺にとっちゃ何よりのプレゼントだよ……って今日だけか妹よ。
おにいちゃんちょっとがっかりだぞ……

 
 
 

学校についた俺は早速ハルヒに捕まった。
どうでもいいが廊下で待ち伏せするのは止めてくれ。
突き刺さる視線は同じクラスの連中の分で充分。もうお腹いっぱいだ。

 

「聞いたわよ〜キョン!」

 

「何をだ?また転校生でも見つけたのか?」

 

「とぼけったって無駄よ〜。あんた今日誕生日なんですって〜?」

 

満面の笑みでハルヒは睨む。表情が矛盾してるぞハルヒ……っておい。
何でハルヒが俺も忘れてた誕生日を知ってる!?一体誰がこいつに……

 

「さっき国木田の奴が教えてくれたのよ〜。あんたの友達にしては
アホの谷口と違って役に立つわね。」

 

国木田……なんてことをしてくれた……誕生日くらい平穏に過ごさせてくれ。
俺は阪中とニコニコしながらこっちを向く国木田に恨み言の一つも……と思ったがやめた。
目の前のハルヒのシリウスのような笑顔を見たらどうでも良くなったからな。
ただ国木田と阪中がいつの間にあんなに仲良くなったのか分からんのだが……

 

「んで?なんか俺にプレゼントでもくれるのか?ハルヒ?」

 

「何で神聖なるSOS団長のあたしがあんたにプレゼントを上げなきゃいけないのよ」

 

団員をなんだと思ってるんだろうね、この団長様は……
まぁ余計なことを言い出す前にさっさとこの話は切り上……

 

「でもそうね〜プレゼント上げてもいいわね〜」

 

……嫌な予感がする……
くそっ、誰だハルヒにプレゼントなんていらんことを言ったのは!
ぶん殴ってやるから今すぐでて来い!

 
 

結局、ハルヒは授業が終わるまでなにやら悪巧みをしていたようだった。
誕生日くらいは平穏でいさせてほしかったんだが……

 
 
 
 

放課後、こっそり帰ろうとした俺は校門で待ち構えていたハルヒに捕まり、
首根っこをつかまれて、あえなくSOS団室に引きずりこまれてしまった。
普通に手を引くというマネができんのかお前は。

 

「やっほー!みんないるー?」

 

見れば分かるだろう。宇宙人に未来人に超能力者が揃い踏みじゃねーか。
いつもながら律儀に集まることもないのにご苦労なこった。

 

「今日はSOS団ミーティングの予定でしたが……」

 

もちろん俺はそんなことを聞いてない。覚えもない。
これもいつものことだ。

 

「キョンが誕生日なので、パーティすることにします!!」

 

物凄いスマイルと音量で叫ぶハルヒ。かなり近所迷惑だぞ。
といってもこのいかれたスピーカーに文句を言いに来る人間は皆無だが。
誰か修理してくれないか?俺には無理だ。

 

「わぁ〜キョン君の誕生日って今日なんですかぁ?」

 

そうですよ朝比奈さん。あなたに祝ってもらえるなら今日が命日になっても構いませんよ。
おおキョン……死んでしまうとは情けない。……うん、やっぱりもう少し長生きしたいな。

 

「これはこれは……おめでとうございます」

 

顔が近いぞ古泉!お前に祝われても、呪われた気しかしないぞ。
いくら俺が馬鹿でもこの程度の漢字で間違えたりはしないぞ。
「双璧」の「璧」と「壁」を間違えたりはするが。

 

「……」

 

相変わらず沈黙で喋る長門……めずらしくこっちを見てるがなにやらきょとんとしている。
あまり見られると照れるんだが……

 

しかしパーティって……高校生にもなって誕生日ケーキか?
そんなやつ今時いな……はい、すいません。ここにいます。
妹が楽しみにしてるんだから仕方ないだろ!まぁ俺も少し楽しみにしてなくはないが。
だが今はそんな呑気な事を考えてる場合ではない。

 

「祝ってくれるのは嬉しいんだが…...パーティなんてどこでするんだ?
この部屋でやるとまた生徒会からイチャモンがつくぞ?」

 

「別に生徒会なんかどうでもいいんだけど、確かにココじゃ狭いわね〜」

 

俺にとっちゃどうでもいいことではないんだがな。もう小説はこりごりだ。
などと危惧する俺をよそにハルヒは何か思いついたようだった。
そして満面の笑みをたたえ……

 

「じゃ、有希の部屋でやりましょ!」

 
 
 

俺は今長門と二人で長門の部屋にいる。
ハルヒが「キョンが主役なんだから買出しは私たちに任せなさい!』とか言って、
朝比奈さんと古泉を連れて行ったからだ。
本来は長門も連れて行く予定だったらしいが、長門が部屋の用意を理由に辞退した。
おかげで俺は寒空の中一人ぽつんと待つ必要がなくなって一安心だった。

 

後に聞いた話では、そのとき俺を連れて行く長門をハルヒがすごい顔で見てたらしい。
見てみたいような見たくないような……

 

あいかわらず殺風景な部屋ですることもない俺は、
電話帳のような本を読んでいる長門に話しかけてみた。

 

「なぁ長門」

 

「何?」

 

「この部屋……もうちょっと家具を置いたりしないのか?」

 

「必要ない」

 

……まぁ必要になれば例の魔法で即出せそうだが……

 

「だけどカーテンくらいは着けてもいいんじゃないか?
これじゃあ外から丸見えだぞ」

 

「必要ない」

 

必要ないって……女の子の一人暮らしだ。変質者が忍び込むかもしれないぞ?
俺だって長門の部屋になら忍び込んでみた……いかん、落ち着け俺。

 

「もし不法に侵入してくる人間がいても……」

 

心を読まれた!!すまん長門。今のは妄想だ。軽く流してくれ。
俺は忍び込んだりしないぞ!神でも仏でも誓うから!
って長門さん?……眼が怖いんですが……

 

「この対有機生命体刺殺用朝倉涼子人形が撃退してくれる……」

 

うろたえる俺に対し長門はナイフを持って笑う精巧な人形を持ってそう言った。
……申し訳ございませんでした。

 
 
 

「聞きたいことがある」

 

何だ長門?もう俺は何も変なこと考えてないぜ。
ていうか俺は今トラウマから脱却するのでいっぱいいっぱいだ。

 

「誕生日……って何?」

 

……何といわれましても……誕生日は誕生日ですが。
もしかして……

 

「誕生日を聞いたことないのか?」

 

コクリと頷く長門。宇宙人にも誕生日はあるんじゃないのか?
さっききょとんとしてたのは、『誕生日』を知らなかったからか。

 

「誕生日ってのは……その人が生まれた日だ。」

 

当たり前のことを説明する俺。
長門は微妙に首をかしげる。俺だってどう説明すりゃいいか分からん。

 

「あなたが生まれたのは今から16年前のはず。今日が誕生日ではない。」

 

あぁ〜そりゃそうなんだが……それは生年月日だ。
誕生日は毎年来るもんなんだ。

 

「……そう」

 

我ながら無茶苦茶な説明だが長門は納得したようだ。
しかし誕生日のことで気になることがある。

 

「長門の誕生日はいつなんだ?」

 

いくら宇宙人でも生まれなければ存在するはずがない。
だから長門にも生年月日があるはず。

 

「……」

 

無視ですか長門さん。
それとも自分の頭で考えなさいってことか?
まぁ、無い頭振り絞って考えますか……

 

3年前の七夕の時に既に長門はこのマンションにいた。
つまり長門が生まれたのは3年前の七夕以前。
そして文芸部の会誌の『無題1,2,3』によると、
長門は雪が降るのを見たと書いていたな……
この辺じゃ雪は12月から2月の間くらいしか降らない。
4月の時点で『3年前のハルヒの情報なんとかかんとか』って言ってたから、
12月に生まれてたらつじつまが会わないな。
2択だな……それじゃあ……

 

「2月……ぐらいか?」

 

「……」

 

違うのか?これでも一応無い知恵振り絞ったんだが……
何となく悶々としていると、いきなり長門がこちらを向いた。

 

「あなたが……」

 

「ん?」

 

「あなたがそういうならそれでいい」

 

そういって長門はおもむろに立ち上がり……

 

カレンダーをめくってペンで大きな○を描いていた。

 

俺の発言で誕生日決めるって……いつから俺は長門のお父さんになったんだ?
まぁそれはそれでいいんですが。

 

「祝ってくれる?」

 

……ちょ、そんな顔で見られるといろいろと困る。
祝って欲しいって言うなら、そりゃもう喜んで祝うよ。
何なら今日も祝ってやるさ。今日は俺の誕生日だけど、
長門の誕生日の誕生日でもあるわけだからな。

 

そういうと長門は少しだけ微笑んだ。

 

「そう」

 

正直たまりません。

 

「楽しみにしている」

 

…今年一番嬉しかったプレゼントは長門のこの笑顔だな…
なんて古泉のようなことを考えた自分が少し恥ずかしかった。

 
 
 

P.S.
パーティの最中に目ざとくカレンダーの○をみつけた団長が
「有希の誕生日も盛大に祝うわよ!!」と叫び、
それを聞いた長門が「二人で祝おうと思ったのに……迂闊」と小さくこぼした、なんていう話はまた後日。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:13 (3092d)