作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと悪ふざけ 皆がハッピーなエンド 2
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-25 (金) 21:10:18

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

まさかおふくろが町内会の旅行に行ってるとは思わなかった。
結局晩飯はありあわせだ。妹が文句言ってるが気にしない。
お前の嫌いなピーマンを少し食ってやるから我慢しろ。
コラ、全部俺の皿に移すんじゃない。朝比奈さんみたいになれないぞ。
でも本当に朝比奈さんみたいになって悪い虫が寄ってきては兄として困るけどな。
古泉みたいな奴が手を出してきたら、文字通り釘を刺しに行きそうだ。

 
 

晩飯を食いおわり、自分の部屋でシャミセンに乗られながらくつろいでいると、
携帯が鳴った。着信は……またしても長門だった。
何だ?またドッキリか?と一瞬思ったが、誰あろう長門からの電話だ。
出ないわけにはいくまい。

 

「どうした長門?」

 

『……』

 

長門の表情鑑定士1級の俺でも、3点リーダだけで長門の感情は分からない。
今度から『もしもし』くらい言ってくれるよう頼んだほうがいいな。

 

「……長門?」

 

『返事をきk……』

 

「キョンくーん!!おふろはいろ〜」

 

妹よ静かにしなさい!ただでさえ小さい長門の声が聞こえないじゃないか!
風呂なら後で一緒に入ってあげるから!

 

『……今すぐ私の部屋に来て』

 

それだけ言って長門の電話は切れた。ハルヒといい長門といい、
電話のマナーがなってない気がするのは気のせいか?それとも俺だけにこんな態度なのか?
だがそんなことを考えている場合ではない。
内容は全然聞き取れなかったが、あの長門が『今すぐ』と要求してきたのだから、
俺はライオンから逃げるシマウマよりも必死に走らねばなるまい。
玄関でまとわりつく妹をアイスクリームで釣って引き剥がし、俺は自転車を走らせた。
途中何が起こるのかを想像してみたが、皆目見当もつかなかった。
また4月みたいに長話を聞かせられるのか、それとも何か事件か……?

 
 

競輪選手のようなタイムで長門のマンションについた俺は、長門の部屋のナンバーを押した。
いつもならここで沈黙の開錠があるのだが、今回はインターホンにつながらずに鍵が開いた。
なにやら不安になるが行かねばなるまい。
あぁ、何か変な汗が……
エレベーターの中でも不安でたまらない俺。今度はどんな問題だ?

 

部屋についた俺を出迎えてくれたのはなんと制服ではない長門だった。
白いワンピース……これほど似合うのは女性はこの世でほとんどいないだろう。
俺がしばし野に咲く一輪の花のような少女に見とれていると、その少女は手招きをした。

 

「……入って」

 

そうだ、俺が呼ばれたのは長門のマンションではなく長門の部屋だ。
ゴールまではもう少し距離がある。俺は誘われるままに長門の部屋に入った。
相変わらず殺風景な部屋。でも最初に来たときより物は増えている。
こいつも少しずつ人間らしくなっている証。
俺は一年中出ている長門コタツに座った。

 

「それで……何があったんだ?」

 

「……返事」

 

「え?」

 

一瞬あっけにとられる俺。返事?一体何の?
俺何か変な質問した?

 

「違う。そうじゃない」

 

すこし怒り気味の長門。といっても俺に分かる程度だが。

 

「さっきの私のお願い」

 

……あれはドッキリでは?

 

「私のあなたに対する気持ちは虚偽ではない。私はあなたと恋人になりたい」

 

また変な汗が出始める俺。
つまり長門さんはアレはドッキリでなく本心だとおっしゃるわけですね。

 

「そう」

 

そして長門は少し声を小さくして言った。

 

「早く返事を聞かせて欲しい」

 

懇願するような目で俺を見る長門。というかそんな顔できたのか長門。
どうみても可憐です。本当にありがとうござ…いかん理性を取り戻すんだ俺。

 

「あ〜長門。その……なんだ……」

 

何かのマンガの主人公みたいに話しながら突破口を探そうとする俺。
しかしそんな俺に対し、長門は

 

「早く」

 

と少し声を張って言った。
あの無感動無表情の長門が俺じゃなくても分かるくらいの悲痛な顔をしていた。
長門が声を張るということは、普通の人間にしてみれば大声で叫ぶようなもんだ。
俺だってもうだいぶ長い付き合いだからそれくらいは分かる。
そうだな……俺も男だ……心を決めなきゃな。

 

さっき考えたはずだ。さっき決めたはずだ。
俺はあの『ドッキリ』の看板が出る前に決めていたはずだ。
それを言えばいい……だけだ。

 

「長門……俺は……」

 

ダメだ。いざとなったら緊張で口がうまく動かない。
長門の顔から眼を背けたくなる…ダメだ。ちゃんと長門の顔を見ろ。
眼を開け!何を閉じてるんだ!…覚悟を決めろ!よし!
俺はいつのまにかつぶっていた両目を開け長門のほうを見た。

 

「お前が……」

 
 
 

……さっき考えたはずだ……
一瞬脳裏に浮かんだはずだ……
まず『その可能性』を考えたじゃないか……

 

自分が情けなくなる。

 

覚悟を決めて見た長門。
その長門のあどけない顔の後ろに……

 
 
 
 
 

……『ドッキリ』の看板を持ったSOS団員たちがいた……

 
 
 
 

後に聞いたところ、パスタを食いに行った時にハルヒがこの計画を思いついたそうだ。
やっぱり古泉の財布を気遣わずに俺も行っておけばよかった......
古泉め……恩をあだで返すとは……明日のポーカーは超ハイレートでやってやるからな。
俺が来る30分前から既に長門の家で3人とも隠れてたらしい。
一部始終見られてたのか……さて、拳銃はありませんか?

 

結局恥ずかしさや恥ずかしさや恥ずかしさで俺はその日一睡もできなかった。
あのあと長門の部屋で盛大にからかわれたことを思い出すたびにハサミで喉を突きたくなる。
まぁ、当のハサミは妹に貸したまま返ってきてないが。

 
 

それでも俺は次の日もSOS団室にいた。
朝比奈さんが『キョン君て意外とロマンチストですね〜』とか訳の分からないことをいうし、
ハルヒは『キョンごときがあたしや有希とつりあうと思ってるの?』とか笑顔で罵倒するし、
古泉は『何故か今日は運がいいんですよ』とポーカーでぼろ勝ちするし…

 

まぁ長門が本当に申し訳なさそうな顔をしていたので、俺は何とか笑顔を取り繕った。
長門だって本心であんなことを言ったんじゃないだろうし、長門を困らせたくはない。
長門に負担をかけるのは筋違いだろ?俺はそう思ってるぜ長門。

 

本当にそう思ってるんだぜ長門。だから帰り際に渡された本に
『午後7時 光陽園駅前公園にて待つ 今度こそ返事を』
なんて栞を挟むのは止めてほしかったぜ……

 
 
 
 

Fin.

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:12 (3093d)