作品

概要

作者書き込めない人
作品名長門さんと悪ふざけ 長門さんがハッピーなエンド
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-24 (木) 22:46:49

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

ハルヒ(+俺)ドッキリ大作戦!!から数日後の放課後のことでである。
パブロフの犬よろしく部室に向かった俺は、もはや第2の故郷といえるSOS団のドアをノックした。
中で着替え中の可能性のある麗しの天使である朝比奈さんのためだけに行っているノックだが、
今日は専属メイドさんの返事は聞こえなかった。

 

「……」

 

鍵はあいてるのだから中には人がいるはずであり、
そして三点リーダで返事をする人物と言えば……

 

「長門……だけか?」

 

そう我らがSOS団が誇る万能無口娘である。どっかで聞いたフレーズだな。
俺の問いかけに対し、コクリと頷いた長門を見て、
まぁ長門と二人きりと言うのも悪くない、むしろいい、
心地よい沈黙を味わうことが出来るしな。
最近は家にいても学校にいても周りが騒がしいからな……
などとぼんやり考えていると、意外なことに長門が話しかけてきた。

 

「……返事」

 

一瞬あっけにとられる俺。返事?一体何の?
俺の問いかけに対する返事はさっきの頷きじゃないのか?

 

「違う。そうじゃない」

 

すこし怒り気味の長門。といっても俺に分かる程度だが。

 

「この前の私のお願い」

 

……このときの俺はさっきとまったく正反対のことを思っていた。
長門と二人きりになってる場合ではなかった......
そういえば、ドッキリの日の夜、長門から『返事を聞かせてくれ』と電話があった。
その時、俺はなんと答えて言いかわからず、苦し紛れに、

 

「長門……こういうことは電話ではなく相手と面を向かって言うものだと思うんだ。
お前にもその方が……なんと言うか伝わりやすいだろ?だから今は返事を待ってくれ」

 

とか何とか返事をした。長門は本当に俺に分かる程度にしぶしぶと言った声で、

 

「……わかった……」

 

と一応了解してくれたわけだが……
しかし、それから今日まで俺と長門が会ったのは団活動だけであり、
そのたびに誰か他の連中、最低でも古泉がいたので、返事をする機会はなかった。
……そうだ!古泉だ!奴が来ればこの状況は……

 

「古泉一樹は来ない」

 

心を読まれました。さすが長門、俺には出来ないことを平然とやってくれる。
そこに痺れて憬れることもないが今はそんな場合じゃない。

 

「朝比奈さ……「朝比奈みくるも涼宮ハルヒも鶴屋さんも坂中さんも今日は来ない」」

 

先手を取られました。さすが長門俺には……だからそんな場合じゃない。

 

「早く返事を聞かせて欲しい」

 

懇願するような目で俺を見る長門。ていうかそんな顔できたのか長門。
どうみてもたまりません。本当にありがとうござ…いかん理性を取り戻すんだ俺。

 

「あ〜長門。その……返事の件なんだが……」

 

何かのマンガの主人公みたいに話しながら突破口を探そうとする俺。
しかしそんな俺に対し、長門は

 

「早く言って!」

 

と少し声を張って言った。
あの無感動無表情の長門が俺に分かるくらいの少し悲痛な顔をしていた。
長門が声を張るということは、普通の人間にしてみれば大声で叫ぶようなもんだ。
俺だってもうだいぶ長い付き合いだからそれくらいは分かる。
そうだな……俺も男だ……心を決めなきゃな。

 
 
 

彼を見るたびにエラーがたまっていた。
たくさんの本を読むうちにコレが『愛情』だということを知った。
だけど、それは『知った』であり『理解した』ではなかった。
その時までは。

 

「涼宮さんと彼の関係は中々進展しませんね」

 

ある日、彼と涼宮ハルヒがSOS団の活動に必要なものを買いだしに行っているときに、
古泉一樹がこう言い出した。

 

「そうですね〜周りから見ればじれったいですよね」

 

朝比奈みくるがメイド衣装のまま言う。ちなみに彼と涼宮ハルヒが買出しに行ってる物の中に、
『牛乳』があったが、彼女ならば出せる気もする。特に他意はない。

 

「そうだ、二人のために一芝居打ちませんか?」

 

古泉一樹がいつもの微笑で話す。脚本を書きたそうな顔をしているので、
彼にはそういった趣味があるのかもしれない。あの推理劇もまずまずであったし。

 

「おもしろそうですね、それ」

 

朝比奈みくるが頷いている。そのたびに体の一部が揺れている。別に思うことは……ない。
私の体はコレが一番だし、彼も見た目より中身を見る人間だ。……そのはず。

 

「こういうのはいかがでしょうか」

 

古泉一樹が提案をした内容によると、
まず、彼と涼宮ハルヒを一度別々に離し、そのときに『キョンの恋人』を名乗る女性と
涼宮ハルヒを口論させる。でっちあげの交際写真などを見せ、涼宮ハルヒの気持ちを揺らがせ
再び戻ってきた彼に思いを打ち明けさせる……という計画らしい。
『それは涼宮さんに酷ですし、人道的にも……』というメイドに対し超能力者は、
『障害を乗り越えてこその愛ではありませんか?』といつもの表情で言った。

 

その言葉を聞いて『それもロマンチックかも知れませんねぇ〜』と惚けてる未来人は置いといて、
古泉一樹にどうしても聞きたいことがあったので私は尋ねた。

 

「この『キョンの恋人』は誰が?」

 

『キョンの恋人』と聞いたとき、実は私の中のエラーが異常増幅した。
抑えきれないものが体の中から出ようとする。

 

「それは『機関』から誰が適任者を……」

 

「それでは万が一と言うこともある」

 

私は反論した。『万が一』というものは分析せずに出した数値だ。
何が『万が一』?何故こんな衝動的なことを?私が悩んでいると、古泉一樹はこう言った。

 
 

「それでは……長門さんにお願いできますか?」

 
 
 

この計画では騙すのは涼宮ハルヒだけということになるが、
どう分析しても彼も騙すことになるのは間違いない。しかし『キョンの恋人』という文字が
私の思考を支配していった。

 

モシカシタラ……

 

気付いた時には私は『キョンの恋人』役になっていた。
ちなみに古泉一樹は涼宮ハルヒに怪しい知恵を吹き込む役と彼の足止め役。
未来人は私が役に立たないどころか向いていないと判断したのでお役御免となった。

 

そして計画について考え、彼のことを思ううちに私は……
唐突にあの感情を『理解した』。

 
 
 

『ドッキリ』の最中の私は『キョンの恋人』役ではなかった。
本当に『キョンの恋人』として振舞っていた。
あとで古泉一樹に褒められた微笑も演技ではなかった。
彼との電話の中で私は言い知れぬ快感に酔った。
エラーは膨大なものとなっていたが気にしなかった。

 

しかし所詮コレは劇。私が本物ではないと言うことは明らか。
だから私はわざとクライマックスで幕を下ろした。
あの『ドッキリ』看板を予定より早く出したのはそのためだ。
彼が涼宮ハルヒと親しくしている所を見ると以前とは違うエラーが増幅した。

 

私は彼に選択してもらうことにした。
私か涼宮ハルヒか……彼を悩ませることはしたくなかった。
彼は優しいから本当に悩んだのだと思う。普段からはおくびにも出さないけど。
彼に迷惑をかけたくなかった。けど私の中のエラーも歯止めが効かないところまで来た。

 
 

今、この部屋には私と彼の二人しかいない。
古泉一樹に『ドッキリの主演女優としてのギャラ』と称し、涼宮ハルヒが奢らせに行ったからだ。
今頃は未来人と3人で喫茶店でも行っているだろう。
そして私は彼に返事を聞くことにした。
彼にまた迷惑をかけるかもしれない。いや、もうかけてしまっている。申し訳ない。
私の中のエラーは莫大な量となっている。自分ではどうしようもない。
思わず彼に助けを求めてしまう。いけない。彼に迷惑をかけては……でも助けて欲しい……
眼から何かがこぼれる。頬を伝う水分が何か分からない。雨?でもここは室内。

 

時間にしてほんの数秒。わたしの体内時計は正確。
でもわたしの生きてきた中でもっとも長い数秒。その数秒の苦しみの中で彼の声が聞こえてきた……

 

どんな冷たくなった雪でさえ溶かしてしまいそうな暖かい声が……

 
 
 
 

「言ったろ……長門……お前の願いなら何があっても最優先で叶えてやる……てな」

 
 
 

Fin.

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:12 (2734d)