作品

概要

作者Thinks
作品名長門有希の日曜日 カレー編
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-20 (日) 21:08:38

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 日曜日。
 今日、やること。もう決まっている。
 まず、お茶を淹れよう。
 
 昨日、いつも購入している缶のカレーが売り切れていた。
 最後の一缶は、朝比奈みくると彼に振る舞った。
 朝比奈みくるは半分も食べなかった。
 あれだけしか食べない、のに、どうして、……成長するのだろう。
 調査する価値がある。彼は、観察の結果、大きな胸を望んでいる。
 わたしにも、欲しい。
 
 少し、落ち着く必要がある。お茶を飲もう。……美味しい。
 
 情報統合思念体に胸囲の倍増を申請した事を、今また思う。
 確かに胸囲の拡張はあった。身長も二メートルになっていた。
 何故、わたしの睡眠中に全体的な拡張を行ったのか、不明。
 即時、拡張の無効を申請した。所謂、無駄骨。
 乳房の増大を、と申請しなければならないのだろうか。
 処置はわたし自らが行うとも申請する必要が………
 
 考慮の対象が異なっている。訂正。
 わたしはカレーが食べたい。出来たらあの味が良い。
 
 空き缶を分析。原材料名。詳細な情報は取得できない。
 製造元に電話で訊く。そっけない対応。もう一度訊いてみる。
 怒られた。何故。
 空き缶は洗浄済み。分析可能な分量は確保出来ない。
 
 仕方が無い、初期から作成する。参考書も、ある。
 
 スーパーで材料を探索。同等の香辛料を希望する。が、発見出来ない。
 仕方が無い、カレールーを買う。二種類を混合させると良いらしい。
 パッケージに作成方法が記述してある。親切。参考にする。
 が、二種類のルー、書いてある作成法が異なる。信用出来るのはどちらだろう。
 製造元に電話で訊く。そっけない対応。
 もう一方に訊いてみる。わりと親切。採用。
 
 内容物の選択にかかる。ここは重要。
 
 迷う。一時間が経過した。
 
「よう、長門。買い物か?」
 遭遇者を彼と認識。
 いけない、何か反応しなければ。
「………」
 突然では何も出来ない。
 そうだ、彼はカレーを作成したことがあるはず。協力を乞う。
「カレーを作成したい、協力を」
 
 彼はしばし絶句。思考中の模様。
「あー、カレーなんて物は誰でも作ろうと思えば出来るもんだと思うのだが、……いやしかし、これを断るわけにはいかんよな。これは長門の部屋に上がるチャンスなのだからして、その後は二人でお食事タイムなんてなことになるわけでだな。いかん、落ち着け、俺」
 
………解り易い人。独り言の癖が全く修正されない。
 


 
 彼が無難に鶏肉にしようと言った。
 今日はチキンカレー。豚肉なのではないだろうか。無難と言うのであれば。
 わたしが以前食した、「熊カレー」や「トドカレー」を作成して見たかった。
 が、該当食肉が発見出来なかった。
 このスーパーには販売物点数の更なる向上を希望する。
 
 チキンカレー…参考書にもチキンカレーがあった。あれを作成しよう。
 
 帰路。購入物を手に、彼が不思議そうに言う。
「なぁ、長門。人参に玉葱を買うのは解るが、玉葱が七個も要るのか?インスタントコーヒーとパイナップルは食後の楽しみか?あと、林檎に南瓜に茄子って?他になにか別の料理でも作るのか?」
 即時、わたしは答える。
「すべて、カレーの材料。すべて参考書通り」
「そ、そうなのか。また変わったカレーだな、、、」
 彼はあの参考書のカレーを食べたことがないらしい。
 わたしも、ない。
 
 帰宅。料理にかかる。
 彼には「座っていて」と示唆。

 玉葱をみじん切りにする。すべて。一個当たり二十五秒。まずまず。
 鍋にみじん切りになった玉葱を入れる。弱火にかけて蓋をして放置。
 人参は半分を摺り下ろす。バターと共に炊飯器にかける。
 鶏肉は骨付きのもの。軽く下味を付けて炒める。
 その後、一口大にした茄子と南瓜、人参を加えて火を通す。
 鍋の玉葱が溶けてきた。いったん掻き混ぜて、また放置。
 
 もう一息。ふう、と息を付くわたしに、彼が声をかけてくる。
「へぇ、おまえ凄いじゃないか。手伝う事は無さそうだな」
 
 しまった。ほとんど片付いてしまった。
「………食材を持って来てもらった。後は、食べることに協力を」
 本当は、二人で料理をするのが良かったのかもしれない。
 カレー製作プログラムには、第三者の介入も考慮すべきだった。
 うかつ。
 
 製作を続行する。
 溶けた玉葱に炒めた具材と摺り下ろし林檎を投入。
 続いてカレールーを投入。掻き混ぜて味を見る。甘さの中に辛味が来る。上出来。
 炊飯器のスイッチを入れ、炊き上がるまでカレーを煮込む。
 
「少し、時間が出来た」
 わたしは彼の方を振り向く。
………彼は炬燵に突っ伏して寝ていた。
 寝顔を観察。これは比較的貴重。涎がポイント。可愛い。
 しばし頬杖をついて眺める。
 プログラムに無い表情の出力を確認。何故だろう。
 


 
 彼は、炊飯器の発したアラームで覚醒した。
「あ、、俺、寝てたな、すまん。ここの所、忙しかったんだ、あ、長門も、か」
「あなた程では、無い」
 彼は、朝比奈みくるの対処で疲れているのだ。
 チョコレートには疲労回復の効果があると言う。
 食べてくれたのだろうか。少しは効果が現れていれば良いが。
 
 パイナップルを真っ二つに切る。
 安定を保てるように、底辺に当たる場所の形状を整え、中身を刳り貫く。
 カレーの仕上げにコーヒーを少量、入れる。
 容器となったパイナップルにカレーを移し、軽くオーブンにかける。
 炊き上がったご飯を皿に盛る。炊いたご飯は五合。
 彼の分は二合半になる。足りるだろうか?
 
「完成」
 私の初めて作ったカレー。
「食べて」
「あ、ああ。パイナップルは器だったのか。中身はこの中か?」
 彼は、その外見に圧倒されている様子だ。意表を突き過ぎただろうか。
「中身は、デザート」
「そうか、じゃあ頂くぞ」
 彼は、パイナップルの器から鶏肉を取り出し、そのまま口に入れる。
 その肉には骨が付いている。伝えるのを忘れていた。うかつ。
「んぎっ」
 骨を噛んだのだろうか。不安。
「な、長門。これ、美味いぞ!?」
「………そう?」
「ああ、こんなの今までに喰ったことが無い。……フルーティで、後で辛くなるのが抜群だ。やるじゃないか長門。俺はおまえがこんなカレーが作れるとは思っていなかったぞ。相も変わらず量は半端じゃ無いが、これなら全部喰えそうだ」
 
 ……何処までが本当に発言したかった事なのだろう。
 しかし、今の彼の顔もまた、今までに見たことが無い。………嬉しい。
 
 あっと言う間に皿を空にした彼は、わたしを観察していた。
 食べている姿はあまり見られたくない。早く食べてしまおう。
 ……しまった、喉に詰まりそう。
「むぎゅっ」
 音が漏れる。
「まぁまぁ。そう焦るなよ」
 彼は笑いながらそう言った。………恥ずかしい。
 水を摂取し、俯いてごまかす。
 
 食べ終わり、少し寛いでから彼は、私に質問をしてきた。
「長門、おまえ、このカレーの作り方を何処で覚えたんだ?良かったら教えてくれ」
 わたしはその質問に、今は台所に有る、参考書を指差して答えた。
 彼は、ページをぱらぱらと捲りはじめる。
 その後、彼はしばし呆然としている。わたしが漫画を読むのが不思議なのだろうか。
 いや、違った。夢中で読んでいる。彼も気に入った様子。
 
 
 ミスター味っ子。非常に参考になる。
 次はクッキングパパのまるごとカレーを作成して見よう。
 彼もきっと、気に入るはず。
 
 また、食べて。
 
 そう想いながら、読書を続ける彼を眺める。
 
 
 彼を見ていると、わたしの思考が特異な状況に陥る。
 ………幸せとは、この様な状況なのだろうか。調査の必要が、有る。
 
 その前に、この胸の増強を、………しまった、牛乳の購入とカレーへの投入を忘れていた。
 
 ………うかつ。
 
 
                    長門カレーは、美ー味ーいーぞーーー!!!(byキョン)

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:09 (3093d)