作品

概要

作者おぐちゃん
作品名エンドレスエイト異聞 〜八千三百二十一回目〜
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-20 (日) 00:43:02

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる不登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「うっわー、すごい風ねー」
 ハルヒは子供のようにはしゃいでいた。
 外は嵐。よりによって俺たちの街を直撃した台風が、横殴りの雨を降らせている。
「早めに有希んちに集合かけといて正解だったわ。
 いやー、やっぱ七階だと風強いわねぇ」
 不謹慎なヤツである。この台風で被害を受けてる人もいるだろうに。
 まあそれほど大きい台風でもないけどな。ニュースのアナウンサーの口調も、さしてせっぱ詰まったもんじゃなかった。

 

 今日は八月三十一日。俺たちはこのループを脱出する方法をあれこれ試してみたが、ハルヒのどことなく満たされない表情はそのままだった。
 俺たちSOS団員は、ハルヒの気まぐれで長門のマンションに呼び出され、嵐の中の第二回合宿を行っているのだった。
 ハルヒはセーラー服を着ている。俺たちも一応、制服を着てきてはいた。しかしおそらく、このままループを脱出して九月が来ることはないだろう。
「あなたの観測に同意。このループでは、涼宮ハルヒは満足していない」
 そばにいた長門が、ハルヒに聞こえないよう小声で言った。
「どうすりゃいいんだかな。いっそ古泉作戦を発動するか」
「?」
 小首をかしげて怪訝な顔をする長門。
「いや、ハルヒを抱きしめてI love youとでも言ってみろって、古泉がな」
「…………」
 なんだよ長門。にらむなよそんなに。

 

 結局、午後十一時に就寝することになった。ハルヒは遊び足りなそうだったが、明日から学校だと言って押し切ったのは俺だ。
 ……古泉の読みでは、この世界は二十四時ちょうどにリセットされる。
 俺はただ、その瞬間を静かに迎えたいだけだった。

 

 時計が十一時五十分を指す頃。長門が、俺のところにやってきた。
「眠れないのか?」
「…………」
 長門はかぶりを降りつつ俺の隣に寝転がると、そっと俺の手を握った。
「お、おい長門」
「あと九分二十一秒」
 長門は俺の瞳を見つめながら言う。
 なんのつもりか知らんが。あともう少しの事だし、長門のしたいようにさせてやろう。
 ……隣の寝床から古泉の含み笑いがするが、あえて無視。俺は長門の手を握り返した。

 

 俺の目の届くところに、秒の単位まできっちり合わせた時計がある。リセットまで残り三十秒。
 いままでの俺は、どんな風にこの瞬間を迎えたんだろう。
 自分のベッドで? 長門とこうして? いや、ハルヒと二人きりなんていうシチュエーションだって、絶対にあり得なかったとは言えない。
「…………」
 ごめんな長門。今は、お前の手のぬくもりだけを感じていよう。
 時計の針が進む。
 十秒前。
 五秒前。
 三、
 二、
 一、
 ゼ

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:08 (2704d)