作品

概要

作者おぐちゃん
作品名県立北幼稚園 第六話 『彼女の夢』
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-19 (土) 14:48:07

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 今日もやってきました、お昼の給食の時間。
 子供達にとっては楽しい時間であるが、俺にとっては戦いの時間でもあるのだ。
「うわ、ぴーまんはいってたよぉー」
「にんじんだー……あまいのじゃないとたべられないよお」
 口々に不満を言う子供達。無理もない、このくらいの子供にとって野菜は鬼門だ。俺だって子供の頃は好き嫌いが多かった。
 だが保父となった以上、俺は鬼にも悪魔にもなろう。
「こら。残しちゃだめだぞ」
 俺の言葉に渋々従い、子供達は嫌いな野菜を食べていく。
 さて。問題はこの子達だな。
 俺は有希ちゃんの席に行った。やっぱり、ピーマン肉詰めが丸ごと残っている。
「有希ちゃん。ほら、体にいいんだから食べなさい」
「…………ぅぅ」
 有希ちゃんは、筑波のガマガエルの如く固まり、うっすら汗さえかきながらピーマンを見つめていた。
 一方、向かいに座った涼子ちゃんは、野菜をものともせず給食を口に運んでいる。
 ……?? なんか、涼子ちゃんの給食、いくら食べても減ってないぞ?
 ってよく見ると、となりに座った江美里ちゃんが、自分の嫌いなものを涼子ちゃんのお皿に放り込んでるじゃないか。
「江美里ちゃん。ちゃんと自分で食べなさい」
「ちぇっ」
 っと、有希ちゃんを忘れちゃいけない。固まったままの有希ちゃんに声をかける。
「ちゃんと食べないと、大きくなれないぞ?」
「……なれなくて、いい」
 有希ちゃん早くも敗北宣言。だが、俺とて引くわけにはいかん。
「大きくなれないと、お嫁さんに行けないぞ?」
「…………!」
 有希ちゃんが、ミリ単位で眉をひそめる。
 大きく深呼吸。そして有希ちゃんは、ピーマン肉詰めをまとめて口に放り込んだ。
「あれれ」「あーあ」
 呆れる涼子ちゃんと江美里ちゃんを尻目に、有希ちゃんはむきゅむきゅとピーマンを噛み下すと、一息に飲み込んだ。
「………………ごちそうさま」
 有希ちゃんはそう言うと、空っぽになったお皿を片づけに向かった。
 そうか。有希ちゃんも女の子なんだな、お嫁さんが夢だなんて。
「有希ちゃん。大きくなったら、誰のお嫁さんになるの?」
 俺の言葉に、有希ちゃんが固まる。なんか赤くなっているようにも見えるけど。
「──ないしょ」
 蚊の鳴くような声でそれだけ言うと、有希ちゃんはダッシュでこの場を離れた。
 涼子ちゃんと江美里ちゃんは、こっちを見て笑っていた。俺、変なこと聞いたか?

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:07 (2711d)