作品

概要

作者おぐちゃん
作品名県立北幼稚園 第四話 『谷口先生の場合』
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-19 (土) 14:44:37

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 有希ちゃんのお父さんから、今日は迎えに行くのが遅くなると電話があった。
 珍しいな軍司さん。普段なら有希ちゃんのためにすっ飛んでくるのに。
 さらに、涼子ちゃんのお父さんも遅くなると言う。そんなわけで、夕焼けに沈むうさぎ組の部屋には、有希ちゃんと涼子ちゃん、そして俺だけが残っていた。

 

 二人に本を読んでやりながらも、俺は痛む肩を気にしていた。
 保父というのは重労働だ。肩こりなんていちいち気にしていられないが、今日は少々しんどかった。
「せんせい、つかれた?」
 と、聞いてきたのは有希ちゃんだ。ううむ、子供に心配させるようじゃ、保父失格かな。
「かたたたき」
 有希ちゃんはそう言うと、俺の後ろに回り込んで、肩をとことこ叩きはじめた。
 ……嬉しいのはやまやまだが、園児の腕力では肩こりはほぐれない。
「もー、だめよゆきちゃん! こーするのっ」
 見かねた涼子ちゃんが、俺の腕を引っ張る。どうやら、うつぶせになれってことらしい。
 寝転がった俺の上半身に、涼子ちゃんが乗っかってきた。
「どう? せんせい」
 足裏で肩のツボを的確に踏んでくる涼子ちゃん。おお、これはなかなか効く。
「…………」
 踏まれる俺を心配して見ていた有希ちゃんだが、俺が気持ちよさそうにしているのを見ると、涼子ちゃんに続いて俺の体に上ろうとしてきた。
 ちょっとタンマ、子供とは言え二人はきついぞ。
「有希ちゃん、足の裏を踏んでくれる?」
「……わかった」
 有希ちゃんが俺の土踏まずを踏んづける。うーん、足腰が疲れたときはこれが効くんだよな。
 二人のマッサージを受けながら、俺はしばらくぼーっとしていた。
 女の子に踏まれながら放心してるなんて、親には見せられないなー、などと思ったその時。
 うさぎ組の扉が開いた。
「WAWAWA忘れ物〜っと      うぉあ!?」
 同僚の谷口だった。
 谷口は困惑した表情でエプロンを直すと、
「失礼。…………ごゆっくりぃぃぃいい!!」
 全速力で逃げ去っていったのだった。

 

 翌日、北幼稚園のみんなは、俺を白い目で迎えてくれた。……転職しようかな。
「ま、人の噂も七十五日ですよ」
 すまんな古泉。今日ばかりはお前が頼りがいあるやつに見えるよ。
「しかし水くさいですね。
 そう言う趣味だと、どうして僕に早く言ってくれなかったんです?」
 古泉はそう言って、俺の手を情熱的に握ってきた。
 前言撤回。おれは音速ハリネズミもかくやという速度でその場を脱出した。
 もう二度と、あいつと二人きりにはなるまい。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:07 (2710d)