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作者 | ID:rj0eALEi |
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作品名 | vs幻想ホラー |
カテゴリー | 長門SS(一般) |
保管日 | 2006-08-19 (土) 08:45:01 |
キョン | 登場 |
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キョンの妹 | 不登場 |
ハルヒ | 登場 |
みくる | 不登場 |
古泉一樹 | 不登場 |
鶴屋さん | 不登場 |
朝倉涼子 | 登場 |
喜緑江美里 | 不登場 |
周防九曜 | 不登場 |
思念体 | 不登場 |
天蓋領域 | 不登場 |
阪中 | 不登場 |
谷口 | 不登場 |
ミヨキチ | 登場 |
佐々木 | 不登場 |
橘京子 | 不登場 |
その存続問題により機関誌を発行することになった、我が文芸部。
なんということだ。本は読めど書いたことなど一度も無い。
あの忌々しい生徒会長め、やっかいな課題を放り投げてくれる。
SOS団員や準団員、そのほか色々な人が手伝ってくれるので、
ひとまずコンテンツ不足だけは免れそうなのが幸いである。
製作に入る上で涼宮ハルヒの提案によりくじ引きで決定された私の小説の主題、
幻想ホラー。なんじゃそら。意味が解りません。
一体何を書けというのだ。皆目見当も付かない。
いっそ朝倉涼子にゴーストライターを頼もうと思ったのだが、
空気を読まない朝倉涼子は何を書いてくるかわからない。自分でやるしかない。
ノートパソコンを起動させ、テキストエディタを立ち上げる。
長門有希、はじめてのしょうせつ。少し緊張してきた。
さて、書けと言われて書けるなら誰も苦労はしないだろう。
もちろん私も例外ではなく、キータッチはちっとも進まない。
とりあえず幻想っぽい登場人物を出してみたり、
とりあえず幻想っぽいセリフを喋らせてみたら、
とりあえず幻想っぽいお話が出来たりした。しかしホラー分が不足している。
一体どうしろというのだ。私は怖い映画とかは嫌いなのだ。怖いから。
とりあえずホラーっぽい棺おけを出してみたり、
とりあえずホラーっぽいセリフを喋らせてみたら、
とりあえずホラーっぽい部分は補充された。
読み返す。書いた自分でもわけがわからない。いいやこれで完成で。
そもそも私は純愛小説の方が書きたいのだ。私にその役が回ってきていれば、
唯一の文芸部員、でも実は宇宙人、無口なところがチャームポイントの女子高生と、
クールな態度がたまらない、でも優しさ溢れる素敵な男子同級生との仲睦まじく微笑ましい、
見たもの誰もがその二人の仲を推したくなる素晴らしいものを書き上げるのに。
ちなみにその設定は全て架空のものであるから、そこんとこよろしく。
ふと彼の作品が気になった。彼は難しい顔をしてキーボードから音を立てる。
彼に課せられた題は……恋愛小説。英語で言うならラブロマンス。
彼に完全創作で恋愛モノが書ける想像力があるとは思えない。
よって、書き上げる内容は体験談、もしくはそれに準ずる出来事だろう。
ごくり。生唾がくだる。これはもしかして、国宝級の宝ではないのだろうか?
彼が送ってきたドキドキ青春物語。酸いも甘いも詰め込まれた、彼の過去。
いけない、想像しただけで私の中で情報爆発が起こってしまいそう。広がるファンタジー。
(ごめんなさい)心の中で呟き、私はノートパソコンを再度操作する。
今彼のパソコンとはLANで繋がってすらいないが問題ない、
宇宙人的パワーで彼のパソコンに侵入する。宇宙人に生まれて良かった。
エディタに綴られた、彼の全てが今ここに──……!
……なに、このミヨキチってのは。読んでるだけで腹が立ってくる。
純粋無垢な彼を騙し取り二人きりで映画館だと? 私は図書館しか行ったこと無いのに。
あげくお洒落な喫茶店で食事とは。代われ、今すぐ私と代われ。代わってください。
この後に続くであろうオチを確かめるため、涼宮ハルヒが彼に襲い掛かっている。
直接彼に問いただすまでも無い、私は最後のファイルをクリックする。
そこに書いてあった、ことの真実。「ミヨキチは当時十歳」私の中を衝撃が走った。
なんということだ。──彼はロリコンだったのか! 私は愕然とした。
対等の同級生視点から接していたのは、それは間違いだったのだ! ああ、私のばか!
そうして機関誌にまつわるごたごたも終わり、平穏な日々がまた訪れた。
放課後、彼が部室に入ってくる。「よう」彼の無邪気な挨拶。私は、恥を捨て勇気を絞り。
「……こんにちは、おにいちゃん」
「……長門、熱でもあるのか。 それともハルヒか? なら俺に妹属性は無いと伝えないと……」
──拝啓、ミヨキチ様。ホンジュラスは、好きですか?