作品

概要

作者Thinks
作品名ある放課後のこと
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2006-08-09 (水) 18:45:45

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場
 

SS

 

 さて、昼休みに長門とハルヒが睨みあった、昼休みの後の放課後のこと。
 そのことでも語るか。なかなか良いものも見ることが出来たからな。
 
 正直、部室に行くのが恐ろしかった。ハルヒと長門がガチで喧嘩している。
 背中にシャーペン攻撃を受けつつ、そんな光景を頭に繰り広げてしまったからな。
 ところが、だ。俺が恐る恐る、普段はしやしないノックなんぞもやってみてからドアを開いた先の光景は、いつもの部室の光景だった。
 違うと言えば、朝比奈さんがセーラー服のまま、って事くらいなのと、古泉がいなくて、変わりに鶴屋さんがいることくらいのものである。
 良く見ると十二分に変更点があるが、不思議と違和感がないのは、俺が、割れたガラス、壊れたパソコン、ぶ厚い本を凶器と化して投げるハルヒ、散乱するボードゲーム類なんぞを想像していたからであろう。
 
 って、鶴屋さん。放課後になってまでこんなところで何をしてらっしゃるので?
「ふっふっふ。良く逃げ出さずによく来たね〜。ま、そこに座るっさ!」
 う、鶴屋さん、何かが違う。両の手を腰に当て、不敵に笑っておられる。
 その迫力に負けて席に座ったら、隣に長門が座ってきた。何か始まるのか?
 
「で〜はみなさんっ、おっ立会い〜!たった今から判決を言いわたすにょろっ!」
 判決?誰の?何の?とりあえず罪状と罪人の名前を教えてくれ。
「そ。判決。今回のあんたの不始末は、鶴屋さんにすべて任せることにしてみたの」
 ハルヒが不満足気にそう漏らすが、不始末とは聞き捨てならん。
「あたしが不始末って言ったら不始末なのよ!」
……ここは堪えておこう、、。不始末と言われるのは気分が悪いが、恥ずかしい行為であったことは認めるからな。
 妹と長門をかぶらせたってのも長門に失礼だ。
 ん、長門、どうした。俺の顔に何か付いてるか?
「………なんでもない」
 
 
「では判決っ!」
 右手を高々と上げて主文を読み上げる。、、って、それじゃ選手宣誓ですよ、鶴屋さん。
「まずキョンくん!キミは今から、小泉君の刑だっ!」
 は?
「ハルにゃんには有希っこの刑っ!有希っこにはみくるちゃんの刑!みくるちゃんにはハルにゃんの刑を申し付けるにょろっ!」
 
 派手な効果音が鳴ったような気がした。
 しかし全く意味が解かりませんよ、鶴屋さん。
 「簡っ単に言ってみるっさ!みんなで真似っこするにょろよっ!」
 ありがとうございます。わかりましたよ鶴屋さん。こんな俺にも。
 って古泉の真似事を俺にしろと?それはいくら鶴屋さんの命令でも、断固として、、、
「ふっふっふ〜、キョンくんっ!これは命令じゃなくて判決っ!拒否はできないのさっ!」
 
 ここまでやって堪えきれなくなったのか、鶴屋さんは大爆笑を始めてしまった。
 ハルヒはこの判決をどう理解したのかと顔を拝んで見たら、大口開けて呆然としている。
 こいつのぽかーんとした顔なんて初めて見た。
 どうやら理解不能の命令を食らう事なぞ、一度もなかったのだろうな。いかにもハルヒらしい。
 ざまーみやがれ。その顔を俺らは、この一年近くの間、何度もしてきたんだよ。
 
 朝比奈さんはと言うと、早々にこの判決のコンセプトを理解したご様子で、朝比奈さんなりに難しがったり怒ってみたり、何かに向かって指を刺したりしてみたりしている。
 やってみたかったんですか、それを。
「いえ、長門さんはもっとやる気で、よ?ゆ、有希を見てたら、あたしもやらなきゃって思うわけよ?」
……いかん、朝比奈さんが壊れた。
  
 俺が何とか朝比奈さんを修復するべく、アレの真似は無理ですよとか言う話を切り出そうとしていた時に、
「…これを、着てみたい」と、言ったのが、長門である。
 いつもなら専用テーブルで本読みに徹しているガチガチの文学少女であるはずが、これまたいつもなら、部室専用メイド様が華麗に着こなしているメイド服に興味を持ったご様子で、、、。
 また、なんで?
「着てみたいから」
「有希っこ!最後に、ですぅ、って言ってみるっさ!」
 鶴屋さん、意外にマニアックなことを仰いますが、長門は、そんな萌え台詞、話しませんよ?
 
「着てみたいから。…ですー」
 
 長門よ、、。おまえもか、おまえもなのか。
 
「……………」
 ハルヒはそんな光景にさらに呆然としてまさにオブジェと化していた。
 しかし目はやたら輝いている。なぜだ。
 そんなハルヒを
「よっこいしょっ!ありゃ、ハルにゃんかっるいねぇ。うらやましいっさ〜」
 脇を抱えてひょいっと持ち上げて、割と乱雑に長門の指定席に移動させ、どこから取り出したかメガネをかけさせて本を持たせ、完成形に持ち込む鶴屋さん。
 どうやら、上告をしようとしたのは俺だけかと頭を抱えかけた俺の横に、長門がとてとてと歩いてきて、こんな事を言う。
 
「わらって。…ですー」
 何だ、その無理やりとって付けまくった語尾はともかく、、、胸の前に構えた腕は。
「朝比奈みくるモード。…ですー」
 なんだそりゃ。萌え言葉、と言うものは淡々と語られても、だな、……悪かないな。意外に。
「ゆ、有希っこ!はまりすぎっ!ぶっ、ぶわっははははっ!」
「こ〜ら〜、キョ〜ン〜!あ、えっと、古泉くん〜。い、いつものように笑なさ〜いよ?」
 何やってんですか、朝比奈さん?そんなに指差さなくても良いですよ。って言いますか刺さってますが。
「あ、謝りませ、っと、謝らないんだからぁっ?」
 
………いかん、何だこの空気は。
 
「…着替えるから、外に。ですー」
 長門が淡々と朝比奈さんモードで述べた後に、胸にメイド服を抱えてたどたどしく左右に体を振っている。
………いらん事を憶え過ぎている。割と楽しいSOS団だが、長門には悪影響もあると理解した。
「こらぁ!はやく、でてけなさ〜い」
 朝比奈さんにもな。
 さて、どうするか。
 この空気の中では、俺も古泉モードに突入せねばならんのだろう、そうなのだろうが、だ。
 俺のプライドが激しく邪魔をするのだが。
 
「…きゃー。見ないでー」
「解りましたよ、涼宮、、さん、長門、さん。それでは颯爽と出て行くことにしましょう。ふっ」
「そ、それでいいのでよ!さっさと出ていってけ〜」
「うはっ!キョンくん、じゃなかった小泉くんもノってきたねぇっ!」
 はぁ。そうでしょうか。そんな気はしませんがね、、、って気色悪い。
 
 鶴屋さん的ハイテンション空間から何とか脱出した。これはハルヒの空間よりも数段手ごわい。
 プライドがまだ、1デシリットルほど残っていると感じられる間に出られた、それは俺の実力なわけだ。
 
 が、速攻、連れ戻される事になる俺である。
「終わったわよ!早く入ってりなさいよ、きょこ、古泉くん〜」
 ハルヒモードに陥った朝比奈さんの腕で、できるったけ勢い良く開けたと思われるドアの中へ。
 
 再度入ってしまったその場所では、ハルヒが意識を取り戻していたようであったが、
「…お帰り。なさい、ですー」
「おせぇぞ、古泉、、ぶっ!くくく」
 そんな台詞の中で、鶴屋さん(in俺モードであると思われる)と肩を振るわせながら、長門テーブルでメガネをかけて本を読んでいる振りをしている。
 ハルヒ、、、?
「………絶妙…ぷっ!」
 なにやってんだ、おまえ。
「挨拶くらいするにょ、ぶっ!」
 だから鶴屋さん、なんなんですかその無理やりな低い声は。
「だから、挨拶だよっ!」
 
……結局、ハルヒと鶴屋さんの視線に圧倒され、残り少ないプライドを放棄しつつ寸劇を開始する、俺。
 
「こんにちは、みなさん」
 手を大きく広げて、俺なりに爽やかに、、、笑ってみた。
「よっ!」       
 手を上げる鶴屋さん、俺の反応なんだろう。
「こんにちわ、ですー、古泉、くん」    
 抑揚のない、長門の朝比奈さんモードである。メイド服が案外似合っているぞ。
 ここは、あえて間違えて、俺の名前で呼んでくれないか。この際キョンでも良い。頼むから。
「遅かったでわね〜」 
 全くハルヒ言葉に慣れていない朝比奈さん。
 精一杯のキツい眼差しでもって俺を睨んでおられ、黄色いリボンと、丸文字で「臨時」と書かれた腕章を装備中である。細かいな、、。
「…………」
 あくまで長門の役を演じているハルヒ。しかし今にも笑い転げそうな感は否めない。
 おまえ、メガネも似合うのな。直すな直すな。ずれてねえって。
 しょうがない、こいつをちょっと弄ってやるか。
 
「長門さん、今日は何の本を読んでいるんですか」
 派手に片足を上げて足を組んで座ってみる俺。
「………メイド萌え本」
「ほう、興味があります。僕にも読ませていただけませんか?」
 なんか、自分でやってて変になってきた。
「……興味、あるの?」
「当然ですよ。長門さんが読んでいる本ですよ?非常に興味がありますね」
 大きく手を広げて無理やり笑ってみる、俺。
「………あ、あなたに、似合うと、おも、、ぷっ!」
「ぶはっ!」
「ぷあ、あっははははは!もう、もう勘弁してよ鶴屋さん!」
「わっはっは!キョンくんおっかしいい!あっはは、みんなで楽しくなれたら、それがいいっさ!」
 
 二人は限界点を突破してしまったようである。
 腹を抱えて笑う二人を眺めているのは、
「ふ、二人とも、なにやってるんのよ〜!」
 まだ少し、空回りした気合を持った朝比奈さんと、
「あたし、なにか、したんですかー」
 お盆を抱えて、そんなことを言うメイド服な長門。興醒めを喰らって頬杖をつく俺。なのであった。
「有希っこ、最高!ひー」
 
 
 散々笑い倒した後に鶴屋さんが言うには、楽しくなけりゃ面白くないっさ!とのことであり、ハルヒも昼休みの事をすっかり忘れて、メイド長門にメガネをかけさせて写真を撮り倒している。
 
 被写体の長門は、不思議そうに袖を上げたり首を傾げたりしているだけなのだが、それが良かったりする。
 パソコンにNagatoフォルダができるのは確定だな。 写真館を作るのなら全力で阻止するぞ。と、新たなる決意を胸に抱く俺に、
「こうじゃなかったら君たちじゃないからね。うんうん!いいねえっ!」
 鶴屋さんが上機嫌で話しかけてきた。まぁ、俺は、この方の機嫌の悪い顔を見たことがないのだが。
「ありがとうございます」としか言いようがない。本当に助かりました。
「いいんだよっ!それよりさっ、有希っこ、めがっさ可愛くないかいっ!?もって帰るなら今しかないっさ、キョンくんっ!」
 そんなことを言ってまた笑い始める鶴屋さん。
 やれやれ、僕には全く勝ち目がありませんよ。って、まだ古泉をやってるぞ、俺。
 朝比奈さんも、何か楽しそうにリボンを直してみたり、腕章をぽんぽんと叩いたりしているので、これはまぁ、全てが鶴屋さんの意のままになったと見るべきであろう。
 
 ここで俺は、鶴屋さんも太鼓判を押すメイド長門を、改めて眺めてみる事にした。
 長門の事だ、もう二度とそんな気分になる事もなかろう。眺めるなら今のうちだ。
 うん、背丈は同じくらいだからサイズはぴったりのようだな。しかし胸には何か入ってるっぽい。
 見た目、胸が大きい感じであってだな、、、。
 落ち着いて深呼吸した後で、顔を良く見てみる。
 と、フレームもレンズも細めのメガネをかけていて、碧眼、、、である。
、、、うぁ、のぼせてきた。
 
「カラーコンタクト持っといて良かったわ!可愛いわよ有希〜♪」
 おまえの仕業か、ハルヒ。
「ね、ねっ!似っ合うでしょ!もうたまんないわよね、外人さん萌えよ!」
 まあそれは、、全く否定できんのだが、なんと言うか、ハルヒ。おまえの萌えは少々極端だぞ。
 もっとこう、奥ゆかしき萌えと言うものをだな、追求してみてはどうだ。
 
「よ〜っし、あたしもこの服、着てみよ!」
 ハルヒが、突然そう叫んだかと思うといきなり脱ぎ始めたので、久しぶりに部室の外に飛び出た。
 俺の話なんぞ、一年経とうがなんだろうが、どうでもいいんだな、おまえは。
 
「そう、ですー」
 うお、長門っ!
「………?」
 いや、何で外に出てきてるんだ?
「これを、脱ぎたくない。ですー」
 そうか、、、で、長門。もう良いんだぞ?
「………?」
 
 その姿での「疑問のポーズ」が、どれほどの物なのか、が、本人には解っていないらしい。
 
 そう言えば、さっきハルヒが言っていたが、長門、おまえ本当に外人さんみたいだぞ。
「外人さん……」
 そう言うと、長門は少し考える風に、人差し指を額に当てた。
 朝比奈さんの癖を真似ているのだろうな、まだ。
 
 
「Please Command to do Anything,Master?」
 
 
 なんだって?
 俺は長門が発した言葉を、二度三度と頭の中で反復させて、通知簿に記載された数値以上の言語理解能力でもって、何とかこう答えてみた。
 
「ぎぶみー、わんかっぷ、おぶ、てぃー」
「 I Copied」
 
 部室のドアが開いた後、外人さんなメイド長門は、俺に紅茶を一杯淹れてくれた。
 通じてた、か。良かった。普通の茶で良かったんだけどな。
 
 口癖の真似合いはもう終わっているのだが、朝比奈さんが鶴屋さん語講座を受けているため、
「毎日聞いてるのに、むずかしいにょろぉ〜?」
 などと、レアな朝比奈さんボイスとゲラ笑いで結構騒がしい。
 
 そんな中でも長門の英語は好評のようで、ハルヒや鶴屋さんにとことことお茶を運ぶ度、
「有希!さっきのもう一度お願い!にょろお!」
 ってな具合で、何度も言わされているようである。
 
「Please Command to do Anything?」
 
 何か一言足りないっぽいが、いまだに意味が良く解らんので良しとしとくか。
 あ、古泉。おかえり。悪かったな。
 
 
                                    おわり。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:02:01 (2714d)