作品

概要

作者心音
作品名隣に彼がいる。記憶喪失編
カテゴリー消失長門SS
保管日2014-04-24 (木) 01:55:08

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

有希ちゃん視点のお話です。
......................................................
春休みも残り3日。
こないだの1件(キョンの優しさ編参照)のおかげで余計にキョン君に甘えてしまうようになった私は、座って漫画を読んでいるキョン君におんぶされるような形でしがみついていた。
こうするとキョン君の読んでる漫画も覗き込めるし。
ちょっと恥ずかしいけど...
「キョン君」
「ん、なんだ?」
「えっと...呼んでみた、だけ...」
「そうかい。」
セリフだけ聞くとそっけなく流されているようにも聞こえるけど、彼の優しさがこもっているのがわかる。
「あ、そうだ。俺喉渇いたからお茶飲もうと思うけど、有希もいるか?いるなら持ってくるが...」
「このまま、連れてって」
「はいよ。」
キョン君はそう言って立ち上がる。
が...立ちくらみを起こしたらしく前のめりに倒れた。
ガツンッと鈍い音がしてキョン君は顔を床にぶつけ、さらに私のおでこが彼の後頭部に直撃する。
「...うぅ......」
私はしばらく痛みで動けなかったが彼にのしかかったままだと気づき、謝ってから降りた。
「ごめんっ.........キョン君?」
返事がない。
「あの...えっと、生きてる、よね?」
ただのしかばねのよ......
いやいやふざけてる場合じゃない。
私はどうしたらいいか分からずただひたすらにキョン君の背中をさすっていた。
ついこないだ(キョンの優しさ編参照)も、キョン君を押し倒して後頭部を床に叩きつけたのに...
なんで私は彼を傷つけるようなことばかりをしていまうのだろう。
私がこのまま連れてってなんて甘えかたしなければ...
「ん......」
泣きそうになって背中をさすっていると彼が声をあげた。
「キョン君...!?」
「うぅ...」
「キョン君...ごめんなさい......私...のせいで......」
相当痛そうにしているキョン君に謝り続けるが、どこか様子がおかしい。
目を見開いた彼は私の部屋をキョロキョロと見回している。
「えっと...ここ、どこだ?」
「へ?ここは私の部屋...だけど?」
「......君は、誰...?」
目の前が真っ暗になった。
いわゆる記憶喪失というやつなのだろうか...
こないだも後頭部をぶつけたし、今日も......
「えっと...ながと、ゆき」
「長門さんか...」
「あ、あの...有希って呼んでいい......」
「ゆき、か。わかった。で、君の部屋って言ったよな...俺たちの関係はなんだ?友達か?」
「えっと...彼女......」
「彼女...か。悪いんだが全く覚えていないんだ。」
「何か他に覚えてることは、ない?」
「覚えてること...北高の生徒、両親と妹がいて...猫を飼ってる。あと.........帰宅部。」
帰宅...部......
文芸部で過ごしたことも忘れちゃったの...?
図書カードのことも、入部してくれたことも、告白して、付き合って、私のために同棲を始めてくれたことも.........
「忘れ...ちゃったの......?私のことも、私と過ごした時間のことも......私を気遣ってくれたことも...思い出せない......の.........?」
悲しみと後悔が限界まで達して、私の目から涙が溢れてくる。私の、せいで...
キョン君はその私の姿を見て悲しそうな顔でおどおどしていたが、やがて口を開いた。
「すまん!ちょっとした悪ふざけのつもりだったんだ...あまりにいい音で顔をぶつけたからちょっと記憶をなくしたフリをして有希を驚かそうと思っただけで......」

 

.........へ?
「ホントごめん!泣くとは思ってなかったんだよ...悪気はなかった......」
っていうと...
「......嘘、だったの?」
「.........悪い。」
「............ばか...」
「ごめんな、機嫌直してくれよ...」
「本当に...びっくりしたんだから......私のせいでキョン君が記憶喪失になっちゃったかと...」
もう押し倒さないように、ゆっくりと彼の胸に身体を預ける。
「泣かせるつもりじゃなかったんだぜ...?今回は俺が全面的に悪い。悪ふざけでもしていいこととダメなことくらいあるよな......」
「でも...よかった......」
「...泣き止んでくれよ......」
「ギュッてして...なでなでして...キス、して......私がいいって言うまで離さないで...じゃないと泣き止んであげないっ......」
キョン君は私の言葉に従い、左手で私を抱きしめて右手で私の頭を撫でる。
「有希...」
「キョン...君。」
一度お互いの名前を呟いてから、口づけをする。
彼は私の言ったことを守り、私がいいと言うまで唇を離すことはなかった。

 

「今日は...悪かったな。」
夕飯どき、彼の口からもう何度目かもわからない謝罪の言葉が告げられる。
「もう...それはいい。それより、私の方こそごめんなさい...私がこのまま連れてってなんて言ったから......」
「はは...あ、別に有希が重かったわけじゃないんだぜ?立ちくらみを起こしただけで...でも後ろに倒れなかっただけでもよかったよ。」
彼は...いつも私のことを優先に考えてくれている...
記憶喪失の件は別として、キョン君が痛い思いをしたのは私が悪いのに。
「...ね。何か私にして欲しいことない?」
「して欲しいこと、か...なんでまた。」
「その...私のせいでキョン君が痛い思いをしたから...何か私にして欲しいことはないかなって。」
彼はしばらく私を見つめて考えたあと、口を開いた。
「特に、ないな。強いて言えばこれからも俺の隣にいて欲しい。俺に甘えていて欲しい。それだけかな...」
「そんなこと...言われるまでもない......」
私は彼の胸に頭をすり寄せ、そう呟く。
後日。彼が倒れた直後に返事をしなかったのは演技ではなく本当に意識がなかったからということが判明してまた私が泣いて謝ることになったのだが、それはまた別のお話。

 


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Last-modified: 2014-04-24 (木) 01:55:08 (1274d)