作品

概要

作者心音
作品名隣に彼がいる。キョンの優しさ編
カテゴリー消失長門SS
保管日2014-04-23 (水) 10:48:43

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

有希ちゃん視点のお話です。
......................................................
キョン君と同棲を始めてから数日が経過し、春休みも残り少なくなってきた。
ただ、新学期に入る前にどうしてもキョン君について知っておきたいことがある。
それは彼の優しさのこと。
彼の好きなところはたくさんあるが、私はキョン君の優しいところが一番好き。
その優しさに惹かれて告白まで至ったわけだが...
私が最近不安になっているのは、彼が優しすぎるというところ。
いつも私に気を使ってくれるし、私のお願いは断ったことがない。
そのせいで私の知らないところで苦労してるのではないか。表には出さないけど迷惑ばっかりかけてる私に呆れていないか。
それと...私の告白を受け入れたのは断ると私が傷つくからじゃないか......
もしそれならはっきりと言って欲しい。
言われるのはつらいけどキョン君が裏で苦労してると考えるのはもっとつらい。
言ってくれたら改善もできる。
告白のことがもし断れなくて付き合ったのなら、キョン君のことを考えると身を引いたほうがいいのかもしれない。
そう思ったからこそ、昼食を食べ終わったあとキョン君に話があると切り出したのだが......もうかれこれ5分くらい沈黙が続けている。
彼は急かしもせず私を見つめて、私が話し始めるのを待っている。
こうしてる間にも、話があると言ってきて一向に話さない私にイライラしてるのかもしれない。そう思うと怖くなって...自然と涙が溢れ出ていた。
「ど...どうしたんだ!?どっか痛いか?」
私は俯いて涙を零しつつ、首を横に振った。
「そんなに深刻な話なのか...有希が言えるタイミングで話してくれていいからな。何時間でも待ってやるから、ゆっくり気持ちを落ち着けるといい。」
今度は首を縦に振る。
テーブルが涙で濡れていく。
言ってしまえば楽になる...返答しだいでは落ち込むかもしれないが。でも、言わないことには前に進めない。

 

「そっち...行ってもいい?」
「ん?あぁ、おいで。」
私はゆっくり立つとテーブルの周りをフラフラと歩き、キョン君の胸に思いっきり飛び込んだ。
文字通り、飛び込んだ。
そのままキョン君を押し倒す形になり、彼の後頭部はノーブレーキでフローリングの床と衝突した。
相当痛かったに違いない...でもキョン君は優しく抱きしめて、頭を撫でてくれていた。
「......ごめんなさい。」
「気にするな。どうしてそんな風になっちゃったんだよ...なんか悩みでもあるのか?......あ、いや別に急かしてるんじゃないぞ?」
今この状態なら彼の顔も見えないし言いやすいかもしれない...
「ちょっと、変な話...なんだけど......」
「ああ。」
「その...気を悪くしないで、聞いて欲しい。」
「わかった。」
今の格好はさっきと変わらず、私がキョン君を押し倒してそれを彼が抱きしめている感じだ。
「その...あなたは、私に優しい。それは...なんで?」
「難しい質問だな...なんでって言われると、好きだから...かな。」
「私はあなたの優しいところが一番好き。そこに惹かれた...」
「ああ。」
「でも...あなたは......優しすぎる。」
「...というと?」
「私をいつも気にかけてくれる...心配してくれる。私が知らないだけで、裏でたくさん苦労してるんじゃないかって...」
彼は相槌を打たない。続けろという意味でいいだろう。
「迷惑ばっかりかけてる私に...呆れてないか、疲れを感じてないかって......」
彼はまだ何も答えない。最後まで言っちゃおう。
「それに...あなたは私のお願いを断ったことがない......私の告白を受け入れてくれたのも、私の同棲の誘いに乗ってくれたのも...断ると私が傷つくから、断らなかったんじゃないかって...断れなかったんじゃないかって......」
そこまで言い切ると、私の目からぼろぼろ涙が溢れてくる。
彼の着ていたTシャツはびちょびちょだった。
「有希のしたかった話は、それで全部か?」
「...うん。」
彼はそれを聞くと大きく息を吸い込んで言った。
「そんなこと、間違っても考えんなよな...なんでお前に優しいかって言われたら好きだからだ。最初に図書館でカードを作った時のこと...有希の告白のときにも聞いたが。あれはただの親切心でしたことであって、今の有希に向ける優しさとは別だ。」
「俺がお前を気にかけるのも、心配するのも、全部俺が好きでやってることだ。有希のことも好きだし、有希に優しくするのが...好きなんだ。」
「確かに周りから見たら、苦労と呼べるものもあるかもしれない。ただな、俺は有希と接してる間『苦』なんてものを感じたことは一度もない。」
「呆れてないか?疲れてないか?そんな言葉、そっくりそのままお前に返すよ。有希を気にかけてばっかりの俺に呆れてないか、疲れてないかってな...」
その言葉を一文字たりとも聞き逃さないように受け止める。こんなに泣いたのは恐らく初めて...でも、まだまだ涙が止まらない。
「俺だって人間だ。感情もあるし、性格が合わない人間も少しだがいる。周りの人間みんなに優しく出来るようなそんな大物には俺はなれない。」
「俺が有希の頼みを断ったことがないのは、可能な限り有希の願望を実現させてやりたいから。でもな、あの告白を受け入れたのは...俺も有希のことが好きだったからだ......」
「だから...そんなこと考えなくていいんだ。確かに朝倉に別れ際、有希のことを頼むと言われた。でも今俺が有希を気にかけているのは俺の意思だ。...そんなことで、不安にならなくていいんだ......」
そこまで言うと、彼は口を閉じた。
私は彼の身体を、潰れるんじゃないかというほど抱きしめていた。自分にこんなに力があったなんて驚きだ。
「キョン君......キョン君.........」
上手い言葉が出てこず、ただひたすらに彼の名前を呼び続けた。

 

どのくらい時間が経過しただろうか...私の感覚だと恐らく10分くらい、抱きしめながら彼の名前を呼んでいた。
ようやく涙も止まり、真っ赤になった顔をあげる。
いつもの、私の大好きな笑顔を浮かべた彼が優しくハンカチで顔を拭いてくれた。
「話を聞いてくれて、ありがとう...」
「いいって。これから俺にして欲しいことがあったら遠慮なく言えよ?迷惑だなんて絶対に思わないから。」
「そう...じゃあ、頭を撫でて欲しい」
「そんなことでいいなら1日何時間でもしてやるさ。」
「思いっきり泣いたから、疲れた...腕枕して、頭を撫でて欲しい。私が寝るまで...撫でていて欲しい......」
「ここで寝るのか?机どかせば絨毯の上に寝れるだろうがそれでも結構硬いぞ?」
「いい。」
「そっか。」
彼は一旦私を降ろして起き上がると、机を部屋の隅に移動させて戻ってきた。
「ほら。ここ寝ろ。」
彼が仰向けに寝て、左手を横にまっすぐ伸ばしている。
私はキョン君の方を向いて寝っ転がり、そっと彼の左手に頭を乗せた。
彼はそれを見届けると、空いた右手で優しく包み込むように私の頭を撫でた。
「おやすみ...」
そうつぶやいて、キョン君の腰に手を回す。
「あぁ、おやすみ。有希。」
私はこの幸せをもう少し味わっていたかったが相当体が疲れていたらしく、すぐに意識は消失した。

 

どのくらい寝ていたかは分からないが、目が覚めた私はまだキョン君に抱きついてるまだだった。彼の鎖骨あたりに顔を埋めていたので彼はまだ私が起きたことに気づいてはないようだが、私が寝てたにも関わらず未だに私の頭を撫でてくれていることを考えるとそこまで時間は経過していないのかもしれない。
彼が頭を撫でるのをやめるまでずっとこうしていたかったがずっと腕枕したまま撫でてくれている彼に悪い気がしたので名残惜しいけど起きることにした。
「お、有希。おはよう。よく寝てたな...」
「おはよう...今、何時?」
「今は...7時過ぎ、かな......」
「えっ!?」
私は飛び起きて窓の外を見る...薄暗い。
お昼ご飯を食べ終わって話をしたのが1時半くらい...多分寝たのは2時くらいだったと思う。
「えっと...ずっと頭撫でてくれてたの......?」
「あ、まぁな...」
「ごめんなさい...腕、疲れたよね......」
5時間以上もずっと手を動かし続けていたなら相当疲れているだろう。私が頭を乗せていた左手も赤くなってるし...
「だから、俺が好きでやってたんだ。気にするなよ。」
「えっと...うん...ありがとう。」
「ああ。」
キョン君は笑顔で許してくれたしお礼になにか出来ないかなと考えたところで、彼の頭を床に叩きつけてしまったことを思い出した。
「あっ...あの......頭、ごめんなさい...」
「ん?はは...確かにちょっと痛かったかな。」
彼に座ってもらって、後頭部を確認する。
内出血を起こして腫れてるようだった...
「ごめん...なさい......」
腫れてるところをそっと撫でてみると、彼の体が軽く跳ねた。触ると痛かっただろうか...
「触ったら...痛いかな?」
「んー...まぁ少しだけ」
「...ぅ.........」
「なっ泣くなよ!もう痛みもだいぶ引いたし、別に怒ってもないから...」
「やっぱり...あなたは優しすぎる。たまには怒っても......いい」
「俺はこれくらいされたところで怒りはしないさ。まぁ...俺が有希に怒ることは絶対ないだろうがな。」
私は後ろから彼の首に両腕を回し、彼の頬に頬擦りをする。
温かい。
くすぐったそうにしているキョン君を肌で感じながら、私は全身で幸せを満喫していた。
私はその日から彼の優しさに関しての不安で悩むことはなくなり、今まで以上にキョン君に甘えるようになってしまった。
キョン君はそんな私をいつも受け止めてくれる。
私の大好きな笑顔と、その持ち前の優しさで。

 

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キョン視点は気が向いたら書くけど多分書きません。

 


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Last-modified: 2014-04-24 (木) 17:19:16 (1211d)