作品

概要

作者心音
作品名隣に彼がいる。初日のお風呂編〜長門side〜
カテゴリー消失長門SS
保管日2014-04-23 (水) 02:42:38

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

キョン君が同棲してくれることになったその日の夜。レトルトカレーとキャベツの千切りサラダを食べた私達はリビングでのんびりとしていた。
彼の分は育ち盛りだろうから4人前のカレーを用意したのだけれど、食べられないようなので2食分は冷蔵庫に入れてある。
明日朝食に2人で食べよう。
そう考えているとお風呂が沸いたらしく、アラームが鳴った。
「あ。お風呂沸いたみたい...」
「ん?あぁ。有希の部屋なんだし先に入っていいぞ。」
私が先...か。でも、キョン君と離れたくない...もしかしたらお風呂からあがったらいなくなってるかもしれない。
あるはずもないのにそんなことを考えてしまう。
やっぱりおかしいのかな...
するとこの沈黙に彼が反応して尋ねてくる。
「自分が入った後の残り湯に俺が浸かることに抵抗があるのか?もしそれだったら俺はシャワーだけでも...」
そんなわけない。
「あっ...あの......そうじゃ、ない。」
その...言いにくい、けど...
「えっと...離れたく、ない。」
「いやいやいやいや!一緒に入れと?無理だ!」
水着でも着ればいいだろう。
お風呂に水着を来て入るのも違和感があるけど、最近は水着着用の温泉とかあるし...
「でも...恋人......だし...恥ずかしいけど」
やっぱり水着を着るにしても恥ずかしい...
彼も恥ずかしいのかあからさまに慌てている。
「でも、ほら。流石にまずいだろ?俺たちはまだ高校生だ。」
「やっぱ...私と入るのはいや......だよね」
「そうじゃない。ならこうしよう。有希が風呂に入ってる間、ずっと脱衣所に居てやるから。な?頼む。それで妥協してくれ。」
それなら...いいかな......
キョン君は勝手にどっかに行ったりはしない。
そう思ってても不安が拭えない私。
「...じゃあ、お願い...」
手のかかる奴だと思われたかな...

 

「俺は後ろ向いてるからな。」
そう言って彼は私に背を向けて脱衣所の床に座り込んだ。
「その...振り返らないで、ね......」
「わかってるさ。」
即答。
もちろん裸を見られるのは恥ずかしいし嫌なんだけど、こうまで振り返らないと即答されるのはそれはそれでちょっと...
胸も小さいしなぁ...やっぱ男の人は大きい方が好きなんだよね......
「じゃあ...お先するね。」
「おう。」
彼に一言言ってからお風呂場に入る。
よくよく考えたら、彼は脱衣所に何も持ってきていなかった。
私があがるまでずっと座ってるのかな...
早くあがらないと。
私はいつもの1.5倍速くらいで身体と頭を洗い、湯船に浸かる。
彼を待たせてる以上、少し温まったら戻らないと。
「...いる?」
何を聞いてるんだ私は。
いるに決まってるじゃないか。
「ああ。ちゃんといるぞ。」
そう思いつつもどこか心配だった私は、彼の返事で胸を撫で下ろす。
この貧相な胸を...はぁ......
「...そう。退屈、でしょ?ごめんね...すぐあがるから......」
「いや、気にしなくていいぞ。ゆっくり浸かってるといい。」
「...ありがとう」
「なに、気にすんな。」
そうは言っても、今も何もせず座り続けてるんだろう。
「......今、何してる?」
何もできないだろうけど...
「さっきの格好で座ってる。」
......やっぱり。
もう、あがろう。
「ごっ...ごめんなさいっ...もう、あがるから!」
まだ完全には温まってないが彼を待たせるわけにはいかない。
私は急いで浴槽から出ると、びちょびちょのまま脱衣所に出てきた。
私がバスタオルで身体を拭いていると、私が予想以上に早くあがったのだろう。
「別に気を使わなくてよかったんだぞ?確かにちょっと退屈ではあったが」
と言ってくれた。
「ごめんなさい......あっ」
反射的に謝ってしまったが、重大なことに気がついた。
「ど、どうした?」
「着替え持ってくるの忘れてた...」
「あー...取ってこようか?」
「......大丈夫、取りに行く」
一応用意してきた着替え一式はリビングに置いてあるが、男の人に下着とか持ってきてもらうのは...
まぁキョン君なら別にいいけど......
「えっと...バスタオル巻いて、行く...一緒に、来て」
「わかった、行こう」
「あっあの...恥ずかしいから、あんまり見ないで......」
「極力そうするよ」
極力、といいながら彼は一度も私の方を見ることはなかった。やっぱりこの胸じゃ男の人は興味ない、かな...

 

私はリビングにある着替えを取り、キョン君に後ろを向いてと伝えた。彼は先程のように後ろを向いて座り、私は彼の後ろでパジャマに着替える。
が、急にキョン君が慌てだした。
「どうしたの?.........っ!!」
そう。私の前にキョン君がいて、後ろを向いているキョン君の目の前には窓ガラスがある。
当然夜だから外は暗い。となると...
「.........見た?」
窓ガラスには裸で、下着をはくため前かがみになってる私の姿が映っていたのだった。
「...見ました。」
「............どこまで、見た?」
「えっと...全部、見ました......ごめんっ」
「いい...不可抗力、だから...」
「...悪い。」
そう言うと彼は床に伏せた。
もちろん彼は悪くない。気づかなかった私も私だし、何より彼は私が映ってることに気がついたあとすぐに顔を伏せていた。
でも、見られた...貧相な胸も。...下も。

 

「もう、大丈夫...」
消え入りそうな声で着替えが終わったことを伝える。
体育座りで顔を伏せている私は恥ずかしさのあまり泣き出しそうだった。
キョン君はそんな私の後ろに腰を降ろし、抱きしめてくれる。
「ごめんな...顔あげてくれよ...」
「...顔見られるの恥ずかしいもん......」
「悪かったって...」
「あなたは...悪くない、から」
そう。別に裸を見たあなたを責めているわけでもないし、ましてや怒ってもいない。
ただ単に恥ずかしいだけ。
キョン君はいつもの優しい手付きで頭を撫でてくれたが、今の私にはその幸せを堪能する余裕がなかった。
「なんだ、髪びちょびちょじゃないか。風邪引くぞ。乾かしてやるから」
そっか。身体はしっかり拭いたけどその後着替えがないことを思い出して、すぐに取りに行ったから頭は全然乾いてないんだ...
「...うん。」
「ドライヤー、どこある?」
「そこの戸棚。上から二つ目のとこ...」
私は顔をあげずに近くの戸棚を指差す。
こんな無愛想な女の子と居ても楽しくないよね...
「あぁ、これか。ほら、そこまでコンセント届かないんだからこっち来てくれよ。」
無理。そっちに行ったらキョン君に顔見られちゃう...
「...恥ずかしい」
「ったく...」
「ごっごめんなさい!」
私は反射的に顔をあげて謝る。今度こそ完全に怒られてしまった。もう愛想つかされたかもしれない。
だが彼はちょっと悲しそうな顔をして、
「いや...別に怒ったわけじゃないんだが...ちょっと強い言い方に聞こえたかな。悪かったな。」
と言ってくれた。良かった...怒ってなかった。
「あ、ううん。大丈夫...」
私も出来る限り愛想よく返事をする。

 

彼はそれを聞くと、私の後ろに回り込んで私を抱き抱えた。
「うわっ...軽すぎだろ......もっと栄養のあるものたくさん食べた方がいいぞ?」
「あっあの...降ろして......」
「ダメだ。」
「うぅ...」
恥ずかしい。
彼は猫を抱っこして運ぶかのように私を運んでいる。本当に重くないかな?
彼はコンセントの近くに胡座をかくと、その上に私を降ろして髪を乾かし始めた。
「髪すっごいさらさらしてんな...俺の髪とは全然違うや。」
これは、褒めてくれてるんだよね...
「......ん...」
「くすぐったいか?」
「ぁ...ちょっと、だけ......」
「そうか。でもちゃんと乾かさないと風邪引くからな。」
「うん...」
くすぐったさも、慣れたら心地良い...
私は彼の胸にもたれかかって目を閉じていた。
「ほら、乾いた。」
どうやら終わったらしく、彼が私の髪から手を離す。ちょっと名残惜しい...もっと撫でて欲しかったな。
「...ありがと......」
お礼を言ってから立ち上がろうとするが、その前にキョン君に抱きしめられていた。
「あっ...その...はな......」
「はな?」
「......さなくても、いい。」
「そうかい。」
腰に回った彼の腕に少し力がこもる。
そんなに抱きしめられたら...私も甘えたくなる......
「んぁ......あなただけ抱きしめるのはずるい...」
私はそう言ってゆっくりと身体を反転させ、キョン君に向かい合うようにするとそっと抱きしめた。両手両足を使って。

 

しばらく身体をすり寄せて満足した私は、キョン君から顔を離した。
「次は、あなたがお風呂に入る番。」
「お、そうだったな。じゃあ...」
キョン君は言葉を続けようとしていたが、私が遮った。自分の唇を、彼の唇に押し付けて。
恋人になってからしばらく経つけどキスをしたのは初めてだった。
「ぷはっ...えっと...これは......その...」
どうしよう...理由も何も考えずにやっちゃった...
嫌がってはなかったからしても良かったんだろうけど......無言のキョン君に、とりあえず取って付けた言い訳をしておく。
「そう、お礼。同棲してくれる、お礼...」
「そっか。じゃあこれから毎日お願いしようかな」
「あなたが...それでいいなら......あ、あなたからも...毎日して欲しい......」
「わかった。」
そう言うと、今度は彼からキスをしてくれた。
彼に抱きしめられたり撫でられるのは大好きだけど、キスはそれ以上に好きになりそう...
10秒くらいキスを続けていた唇を離したキョン君は固まっていた。あ、私が上にいるから動けないのか...そう思ってキョン君から降りるが、彼は一向に動く気配を見せない。
「どうしたの?お風呂、入らないの?」
「ちょっと...今、立てないんだよ......」
「...足痺れちゃった?......重かったかな...?」
「い、いや全然重くなかったぞ。別に足が痺れたわけじゃなくて...その......」
「?」
足が痺れてるわけでもないのに立てない理由...?
...分かんない。彼はさっきからちょっともぞもぞしながら恥ずかしそうにしてるけど...
「......あ」
そっか...抱きついたりキスしたりしたから...... 
とっさに私は目を逸らす。
「あ、えっとこれは...」
「大丈夫、生理現象...気にしてない......」
「......そうか」
恥ずかしいけど、ちょっと嬉しい...かも......
複雑な気分......
「んじゃ、風呂入るか。俺が入るときはどうするんだ?やっぱ脱衣所にいるのか?」
「そう、する。」
「そっか」
そう言ってキョン君が立ち上がる。
「........もう、いいの...?」
「っ...あ、ああ。」
キョン君は着替えを、私は暇つぶし用に本を持ってお風呂場へと向かう。
「...じゃあ後ろ向いててくれ。」
「わかった。」
先程の彼のように、脱衣所の床に座る。
服を脱ぐ音が後ろから聞こえてくる中、私は持ってきた本を開く。
全然集中出来ないけど。
服の脱ぐ音がしなくなり、数秒の沈黙が訪れる。
さっき彼に裸を見られた。
今私の後ろには(恐らく)裸であろう彼。
私は後先考えずに後ろを振り向いていた。
「さっきの...仕返し......」
驚愕の表情を浮かべる裸の彼を1秒にも満たない間眺め、バッと目を逸らす。
...見ちゃった。
でも良く考えれば、彼が私の裸を見たのは不可抗力。それもガラスに映ったものを。
私は故意に見てしまった。それも直接...
怒られても仕方がない。
「は、はは...ならおあいこだな。今ので許してくれたってことでいいんだろ?」
幸い彼に怒りの感情は感じ取れず、むしろ私が裸を見られたことに関して怒ってると思っていたようだ。私は恥ずかしさのせいもあり言葉が出ず、代わりにコクコクと何度も頷く。
キョン君はそれを見届けるとお風呂場に入っていった。
私はもう一度本を開き、水の音に耳を傾けながら読書しようと思ったが脳裏に焼き付いた彼の裸が邪魔をして読むことはできなかった...

 


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Last-modified: 2014-04-24 (木) 03:05:20 (1099d)