作品

概要

作者心音
作品名隣に彼がいる。アルバイト編〜長門side〜
カテゴリー消失長門SS
保管日2014-04-23 (水) 00:24:02

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

キョン君が同棲してくれることになったその日の夜、私はさっきからリビングで雑誌のようなものを読んでいる彼が気になっていた。
話しかけたくても真剣に考え事をしているようで邪魔するのは悪いし...
多分考え事の原因は私なんだろうけど。
「なに、読んでるの?」
好奇心に負け、聞いてみる。
「ん?あぁ...求人雑誌だ。俺もこの部屋に住む以上、食費光熱費その他もろもろは半分払わないといけないだろ?親はそういうお金は自分でなんとかするって条件のもと同棲を認めてくれたんだしな。」
彼は嫌な顔ひとつせず、考え事を中断して私の問いに答えてくれた。
やっぱり優しい。多分私にだけじゃなくて誰にでも優しく接してるんだろうけど。
え?求人雑誌?ってことは......
「アルバイト...するの......?」
「まぁ、そういうことになるな。」
「どれくらい...?」
「学校もあるしな...土日の2日間と平日の放課後を3日くらい...5時間週5回くらいが妥当だろうな。」
週5回5時間で1週間25時間。
平日放課後もってことは帰ってくるのは夜になってしまう。文芸部にも来れないかもしれない...
「......やだ。」
気がつくと口を動かしていた。
やだなんて言ってもキョン君が困るだけなのに...
「へ?」
「アルバイト...しちゃ、やだ...」
それでも私の口は言葉を続ける。
明らかに彼は対応に困っている...
「な...なんでだよ......」
...このまま続けると彼に嫌われてしまうかも。
そんな考えがよぎるが私の言葉は止まらない。
「あなたと過ごす時間が...減っちゃう。放課後も土日もいないなんてやだよ...」
「いや...でも......」
「ひとりに...しないでよぉ......」
そう言うと私はキョン君に抱きついた。
私は彼を困らせたいわけではないのに。
彼が私と生活するためにアルバイトをすると言ってくれてるのにそれを私のわがままで拒否している。
嫌われたくない。でも、ひとりは...嫌......
キョン君は私を軽く抱き返して、頭を撫でてくれた。彼に頭を撫でられるのは私の至福のひととき。
キョン君に嫌われたら、もう撫でてくれなくなるかも。アルバイトされたら一緒にいられなくなっちゃう。私の頭の中で自問自答が続けられる中、彼は優しい声で説明しだした。
「そうは言うがな、生活費がないと生活出来ないだろ?あ、勘違いするなよ?俺は有希と一緒にいたくないなんてことはない。むしろ一緒にいたい。だから、その為には生活費を稼ぐためにアルバイトをする必要があるんだ。分かるだろ?」
わかってる。ありがとう。アルバイト頑張って。
そう、言えばいいものを。
「あなたの理屈はわかる。でも、嫌。」
私の口から出たのは小さい子どものようなわがまま。
このままでは本当に彼に呆れられてしまう。
私は彼に一緒にいて欲しいだけなのに。
あ、私が...彼の生活費を出せばいい。
親からは物凄い量の生活費が振り込まれている。
極力私が不便をしないように。
彼の分の生活費を入れても全然余裕があるはず。
「そもそも、何故あなたが生活費を出す必要があるの?」
とりあえずとぼけてみる。
彼は「そこからかよ」みたいな顔をしつつ、それでもしっかりと説明してくれた。
「今までは有希1人分だった食費や光熱費は俺が同棲することで増えることになるだろ?つまり、有希の負担が増えちまう。同棲する場合は生活にかかるお金を出し合うのが基本的だ。つまり、」
「大丈夫、問題無い。あなたは払わなくていい。そもそも私が一緒に住んでって言ったんだから...私が負担する必要がある、はず...」
彼の正論を私の屁理屈が遮る。
ほんとに...キョン君を困らせたいんじゃない......
彼に勘違いはされたくない...
「そうは言ってもなぁ...流石に悪いし気が引けるんだが」
「私はあなたにいてほしい。アルバイトをせずに、私とずっと一緒にいてほしい...これは、私のわがまま......お願い。」
私はずるい。
キョン君は優しいからお願いされると断れないのを知っていて、お願いしてしまう。
「......わかった。」
「ほんと!?」
ほら。断らなかった。
というより、「断れなかった」だ。
彼はなんで、こんな迷惑ばかりかけてる私のそばにいてくれるの?
朝倉さんに頼まれたから?キョン君は実は朝倉さんが好きで、その頼みを仕方なく守ってるの?
もしかして、私の告白を受けてくれたのも断れなかったから?
嫌な想像ばかりしてしまう間にも彼は言葉を続ける。
「あぁ。ただその代わり、家の仕事は全て俺に任せてもらうぞ。流石にただで何もせずに住み込むわけにはいかんからな。」
私の心配のしすぎだったかな?私のことが好きじゃないならそもそも同棲なんてしないし、お金を稼ぐためにバイトもしないし、家事だって私に押し付けてれば済むし。
というより家の仕事全部って...
「...それって......下着の洗濯とか...も?」
男の子に下着を干したり畳まれたりするのはちょっと、いやかなり恥ずかしい...
でもキョン君になら、いい...かな?
「あ...そう、だよな......はは...じゃ、じゃあ洗濯だけは有希に任せようかな...」
洗濯権獲得。
うん。やっぱり恥ずかしいし、よかった。
「...そう。あ、あとご飯作るのは交代ごうたいがいいな」
「へ?なんでだ?」
「その...私の手料理も...食べてほしい、から......」
なに私はこんな恥ずかしいことを言ってるんだろ...彼も何か考えてるみたいだし、私にこんなセリフ似合わないよね...
「あ、それから掃除も...というより全部当番制でいいと思う。」
「まてまて。それじゃあ俺は本格的にただの居候じゃないか。それはちょっと駄目だ。」
「私は...あなたがいてくれるだけでいいから......」
あぁぁああ!
なんでこんな言葉が出てくるかな!!
多分今日の夜に思い出してベッドの上でバタバタする運命だろうな...
「そうだ。じゃあもういっそのこと2人で一緒に家事をするか!それならお互い家事ができるし一緒にいれるだろ?」
「...いい考え。」
「よし。決まりだな。というか元々何のはなしだっけ」
そうだ。なんだっけ...
「えっと...生活費の話...あなたがアルバイトをするって言ってたから......」
「あぁ、それだったな。というか本当にいいのか?食費や雑費は単純計算で倍に増えるし...光熱費はそんなに変わらんだろうが......」
彼はもう私が払うことに関して納得したようだ。
これで彼と一緒にいれる...
「...いい。もともと私ひとりが暮らすには充分すぎる生活費を親から与えられている。本やゲームを買うお金も入れてだけど...毎月余るから貯金もあるし......」
「そっか...いや、俺も正直バイトはしたくないしありがたいんだがな。なんだろう...女の子に貢がせてる感じがしてなんか抵抗があるんだが......」
そんなこと...私が無理言ってるんだから......
「大丈夫、私は気にしてないから...むしろ私の方こそお金であなたを買ってるみたいで抵抗がある......」
「ふふっ...じゃあやっぱりバイトしようかな。」
「.........いじわる。」
「冗談だよ。このままいくとこの繰り返しで会話が終わりそうにないからな。」
よかった。鬱陶しがられないかちょっと心配だけど彼と一緒にいられる。

 

「あ。そういえば、お小遣いは?」
そうだ。彼はバイトをするつもりだったし、親からのお小遣いもなくなるのだろう。
つまり私が一緒に居たいわがままでアルバイトするのを止めたから...彼はお小遣いが......
「小遣いか...前までは高校生にしてはそこそこ多い額を貰ってたんだが、生活費を稼ぐためにバイトをするって母さんに言ったからバイト代から引くことになってるな。だからまぁバイトしないんだったら小遣いはない。」
やっぱり...私のせいだ。
「えっと...じゃあ私の毎月のお小遣いを半分あげる......」
これが妥当だろう。
私は遊びに行く友達もいないからお小遣いを使うのはゲームや本を買うときだけだ。生活費の残りがお小遣いになるわけだが、毎月の生活費が多過ぎる為必然的にお小遣いも多くなる。
毎月使ってはいるが、半分以上残るので貯金にまわしている。
その分をあげていいだろう。
「いやいや、なんでだよ。ここは引かないぞ。お前が俺に小遣いあげる必要はない。そのお金は自分が買いたいものを買えばいいじゃないか。」
拒否されるとは思ってたけど。
「でも...あなたも高校生...欲しいものもあるだろうし友達と遊びに行ったりとかも......」
「んー。欲しいものは別にないからな...有希がいるし。あと友達とも遊びに行かないぞ。有希と一緒にいたいからな。」
.........録音してればよかった...
彼がこんなこと言ってくれるなんて......
脳内にきっちり保存しておこう。
「...でも、私がバイトをしないようにお願いしたんだし...そのせいでお小遣いがないなら私があげるべき......」
「だーかーら。確かに高校生としては小遣いくらいほしいけど、有希に負担がかかるくらいならいらないさ。」
毎日のように思うけど、やっぱりキョン君は優しい...いつも私の負担のことを考えてくれている。
迷惑しかかけない私のことを。
そんなキョン君が私のお金を心配してくれてるんだから私だけお金を使うのはダメだろう。
「...じゃあ、私もお小遣い使わない」
「有希も欲しいものあるだろ?ゲームや本だって大好きじゃないか。」
それはそうだけど。でも。
「私も、あなたがいるから欲しいものはない...」
さっきのキョン君の言葉をそのまま返してみる。
これが恥ずかしいセリフだと気づく前に、私はキョン君に抱きしめられていた。
「っ...あ.....んぁ」
彼は温かい。そして大きな体で私を包み込んでくれる。抱きしめられると、安心して自然と甘えるような声を出してしまう。
彼の胸に頭をすり寄せる。
嫌がってる感じはなさそうだしちょっとこうやっててもいいよね...?
彼の鼓動が聞こえ心地良い...
「...わかった。じゃあ小遣いは2人で使うことにしようか。有希のお金だから、管理するのは有希でいいだろ?」
キョン君は納得したというよりは半ば諦めたような感じでそう告げた。
「うん。それでいい...」
同意の意思を示す。
恐らく彼はこう言っておいて使わないつもりなのだろう。彼がお金を使うまで私も使わないことにしよう。

 

「じゃあ、そろそろ晩御飯食べようか。何がある?」
そうだ。いつもならもう晩御飯を食べ終わってるくらいの時間だ。
確か今家にあるのは...
「レトルトカレー、お米、キャベツ。あと牛乳。」
「...それだけかよ......体に悪いぞ。今日はカレーにして、明日食料品とか買いに行くぞ。」
私の体まで気にかけてくれてる。
明日からはちゃんと食べないと。
「...うん。じゃ、作ろ」
戸棚からレトルトカレーのパックを5個取り出す。男の子がどれくらい食べるかわからないけど育ち盛りだし、私の4倍くらいは軽く食べちゃうんじゃないかな。
もしかしたらそれでも足りないかもしれない。
とりあえず彼には4パック分出しておいて、足りないようだったらまた追加しよう。
ご飯は6合くらいあれば足りるかな?
彼にはキャベツを千切りに切ってもらおう。
これからは毎日キョン君と2人でご飯作れるのかな?
同棲を許可してくれたキョン君とお義母さんに感謝しつつ、私はエプロンを装着した。

 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2014-04-23 (水) 00:24:02 (1276d)