作品

概要

作者いつまでも新米
作品名イメージソング・フロム・SOS団第四章:4
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2011-01-31 (月) 10:56:05

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 深い眠りについていた俺を叩き起こしたのは、いつものアノ感覚だった―――

 

 ぐほっ!
「キョーンくん!
 朝だよー?」
 一瞬自分が自宅から遠く離れた山中の洋館にいることを忘れてしまうかのようないつもの一連の動作を正確になぞった俺たち兄妹は、隣に目をやり未だ夢の中にいる爽やかスマイルくんを捕捉した。

 妹よ。
「なにー?」
 わかってるな?
「うん」
 よし、行け!
「えーい!」
 出たぁぁぁぁ!
 F(フライング)I(イモウト)P(プレス)!

 

「あぅっ…!」
「こいずみくん!
 朝だよー!」
「お、おはようございます…」
「えへへー」
 妹は高らかなVサインを掲げると、嬉しそうに部屋の外へ駆けだして行った。

 

 さて、感想を聞いてみるか
「どうだ?古泉?
 俺が毎朝味わっている特性目覚ましは」
「うぅ…こ、個性的な起こし方をなさる妹さんですね。
 おかげで目は覚めましたが…」
 年々体重が増えて俺も苦労してるのさ。
「どうだ?明日も頼んでみるか?」
「け、結構です」
「なら俺より早く起きるんだな」
 古泉はいささか真剣な面もちで答えた。
「わかりました」

 

 俺たちが着替えて部屋を出、食堂に向かうとすでに他のメンバーは揃っていた。
「あら、キョンも古泉くんも重役出勤とはいい度胸ね」
 と言い放ったハルヒはニヤニヤと笑っている。
「妹ちゃんは優しく起こしてくれたでしょう?」
「えぇ、大変はっきり目が覚めました」
 コイツは今までにない経験だったろうからよっぽど驚いたんだろうな。
「あら?妹ちゃんが起こすのはキョンだけだと思ったんだけど…」
 しまった!
 余計なこと言うなよ、妹!
「あのねー、キョンくん起こしたら、『古泉も同じように起こせ』って言われたからこいずみくんも起こしたんだよー」
 ぐ、ささやかなはらいせのつもりが。
「あらぁ、キョン?」
 なにかな、ハルヒさん。
「自分も寝坊しておいて、無理やり起こされた腹いせに古泉くんも同じ目に合わせようなんて随分人間が小さいじゃない?」
 か、完全に読まれている!
「これはバツを与えなくてはいけないわねぇ〜…そうだわ!
 前に作った『ハレ晴レユカイ』をバラード調で歌ってもらいましょう!
 もちろんシングルカットよ!」
 ぐぁっ、なんてこった!
「もちろん罰ゲームなんだから拒否権は存在しないわよ!」
 はぁ…墓穴を掘るとはこのことか。
 まぁいい、今は朝飯だ。
 席順は昨日と一緒。
 着席して、今まで忘れていたことを思い出した。

 

 皆さんのファッションをチェックしてなかったのだ。
 だが、弁明させてもらいたいのだ。
 なぜ忘れていたか、そして思い出したか。
 それは、昨日は長門がいつものごとく制服で、本日は世にも珍しい私服なのだ。
 足首ぐらいまである長めで白のワンピース。
 スカートの部分がめちゃめちゃふわっと広がる感じで、肩の所にかるくフリフリが付いている非常に可愛らしいものになっている。
 俺がしばし見とれていると、液体ヘリウムのような目が不揃いな前髪の下から不思議そうに見つめている。
「長門…どうしたんだそれ」
「私が着せたのよ」
 朝倉が横から口を出す。
「長門さんたら、せっかく私服もってるのに『別にいい』なんていって着ないんですもの。
 で、どう?」
「あ、あぁ、すごく似合ってる」
「でしょー」

 

 そういって笑う朝倉は、紺のタンクトップにポニーテールという。
 健康的な二の腕とうなじが眩しいっ!
 というか…やっぱりコイツはポニーテールが似合うな。

 

「朝っぱらから鼻の下のばしてんじゃないわよ、エロキョン!」
 不機嫌そうにそう言いはなったハルヒは、白黒の横縞Tシャツのうえに黒の半袖パーカーで腕には見慣れた腕章が付いている。
 昨日は付けていなかった腕章には『超敏腕プロデューサー&超大型新人』と書かれている。

 

「でもでも、長門さんかわいいですよ〜。
 やっぱり元が整ってますからね〜」
「うんうん。
 有希っこはもっと洒落っ気を出すべきっさ!」
 そうやって頷きあう二人の上級生。
 朝比奈さんはピンクのポロシャツの胸元がはちきれんばかりになっている。
 しかも、ツインテールとは…。
 これはこれで…たまりません。
 鶴屋さんは作務衣?をデザインしたような和の装いで、爽やかな鶴屋さんの雰囲気にぴったりあっている。

 

 そして、最後にみんなを微笑ましげにみている喜緑さんは、柔らかそうな生地の半袖Yシャツ(色はもちろん黄緑)に身を包み、コーヒーをすすってらっしゃる。

 

 こうしてみると美少女揃いだが、衝撃度も加味して長門がナンバーワンだろう。
 次点に朝倉だな。
 やはりポニテは…。
「こら、エロキョン!」
 うわ!
「いくらなんでもボケ過ぎよ!
 さっさと朝食を済ませなさい!
 午前中でアンタと古泉くんの分の歌詞も詰めちゃいたいんだから!」
 わかったよ。
 相変わらずのパワーだな。
「んで、午後は最終チェックよ。
 その歌詞で決定ってなったらメロディーを練習してもらうわ。あたしはみんなが歌の練習をしてる間に曲の足りない所を詰めていくわ!」
 りょーかい。
「うん」
「わかった」
「わかりました」
 などなど、各々から返事を頂いたハルヒは満足そうに頷くとコーヒーを一気に飲み干し
「んじゃ、あたしは製作室にいるから。
 最初は古泉くんね。
 準備ができたら歌詞もって来て頂戴」
「わかりました」
 というやりとりを終えると風をまいて去っていった。

 

 すでに食事を終えた女子組のみなさんも一人また一人と部屋へ戻っていく。
 俺もさっさと飯をくっちまうかな。
 バイキング形式か…。
 ん?どうした、長門。
「パンにするならクロワッサンを食べるべき。
 とても美味しい」
 そうか?
 ならそうするか、サンキュー。
「いい。
 一般的に、食事はみんなでとるのが良いとされる。
 明日の朝食はあなたも古泉一樹もみんなと同じ時間に食べることを推奨する」
 そうだな。
 頑張って早起きするよ。
 お、スクランブルエッグも食うか。
「希望するならば私が起こしに行ってもいい」
 組み合わせはおかしいが汁物は味噌汁にするか。
 って、長門、そりゃあ悪いから自分で頑張るよ。
「そう、頑張って」
 おう。
「あらぁ?朝から仲がいいわね」
 なんだ朝倉。
 そのチェシャ猫みたいな笑みは。
「チェシャ猫?」
「ルイス・キャロルの創作した物語『不思議の国のアリス』に登場する不思議な猫のこと。
 常に不気味な笑みを浮かべ、アリスを惑わすようなセリフを吐く」
 さすが長門。
「失礼ね。
 私はそんなに不気味かしら?」
 というかいやらしい笑みを浮かべてたな。
「ますます失礼よ」
 安心しろ、俺はチェシャ猫好きだから。
 朝倉は訝しげな表情で
「それって誉めてる?」
 いや、お前のことは誉めてないな。
「もう」
 ははは、で、何のようだ?
 拗ねたような表情を浮かべた朝倉は
「あなたと長門さんをからかおうと思ったんだけど煙に巻かれた気分だわ」
 といってどこぞへ去っていった。

 

 早速座って食べ始めたが、長門、ずっと俺の横にいるがどうした?
「午前中は特にすることがないのであなたと一緒にいることにした」
 俺と一緒にいても退屈だろうに。
「そうでもない」
 確かに長門は少し楽しそう…いや嬉しそうか?な表情を浮かべている。
 まぁ長門が楽しいならいいか。

 

 いつのまにか古泉もいなくなり、食堂には俺と長門の二人きりだ。

 

 最近コイツと二人でいることが増えたので再確認してはいたが、長門は美少女だ。
 それはこのように私服を着ている姿を見ることで改めて認識させられる。

 

 きめ細かく滑らかな肌。
 全てを吸い込みそうな瞳。
 それを縁取る長い睫。
 強靱で強大な力を秘めつつも華奢な体。
 不揃いに切られた髪の毛。

 

 イ、イカンイカン。
 つい見とれてしまった。
 しかし、最近ふとした拍子に長門のことを考えている自分がいることに気づくが、さて、俺は長門のことが好きなんだろうか。

 

 正直な話、恋愛感情に関して、俺はよくわからない。
 好きな人は?
 と聞かれれば『朝比奈さん』と答えることはできるが、
 恋人にしたいのか?
 と問われれば否と答えるしかない。

 

 なんというか朝比奈さんは友達として近くに居られればそれでいいといった感じだ。
 ではハルヒは?
 確かにアイツのことは好きだが、やはり恋愛感情というと違う気がする。
 アイツは…そうだな、親友、悪友、そんなところだ。
 佐々木もそうなるんだろうな、悪友ではないが。

 

 そして長門。
 誰よりも頼りになるが、誰よりも守ってやりたいと思える仲間。
 もちろん好きだ。
 恋愛感情は?
 そこがはっきりしないが、ハルヒや朝比奈さんのようにきっぱり否定はできない。

 

 保留かな。

 

「どうしたの?」
 ん?

 

 気がつくと俺は固まったまま思考の海を泳いでいたらしい。
 「あなたは二分七秒の間静止状態にあった。
  何か思考していたと思われる」
 あ、あぁ。
 長門の心配そうな顔を眺めながら、自分が何を考えていたのかを思い出した俺は赤面し、即座に首を釣りたくなった。
 何を考えてんだ俺はっ!

 

「スマン、長門!」
「…?」
「あ、いや、俺歌詞の詰めがあるから部屋戻るわ!」
 不思議そうな長門を尻目に、トレイを戻した俺は一目散に部屋へ駆け戻った。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:50 (2713d)