作品

概要

作者いつまでも新米
作品名イメージソング・フロム・SOS団第四章:3
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2011-01-31 (月) 10:51:58

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 そこは、山の中に佇む洋館だった。
 ハルヒならSOS団ミステリーツアーをやりたいと言うような…
「素晴らしいわね!
  レコーディングとは別に、ぜひSOS団ミステリーツアーを行いたいわ!」
 やっぱりか。

 

 古泉は…いたいた。
 おい、まさかミステリーを用意したりしてないよな?
「できれば用意したかったんですが、今回は無しです。
 クローズド・サークルの洋館では孤島の二番煎じになりかねませんし。
 鶴屋さん次第では一応夏休みの中後半に外国の古城でミステリーツアーもありえますから」
 そうだ。
 それでちょっと前にみんなでパスポートを取りにいったんだった。
 その話はまた今度だな。
「今回は山中の散策や天体観測で我慢していただきましょう」
 そうだな。

 

「いらっしゃい、久しぶりだね」
 荷物を持って館に近づくと、入り口には田丸圭一さんが立っていた。
「どーも。
 いつもいつもお世話になるわね!」
 ハルヒ、もう少し礼儀にのっとった挨拶をしなさい、できるくせに。

 

「スタジオは地下に作ってあるんだ。
 見たければすぐ案内できるけど、どうするかい?」
「そうね、じゃあ部屋に荷物を置いたらすぐいきましょ。
 使っていい部屋は?」
「二階だ。
 どの部屋を使ってもらってもかまわないよ。
 201〜210号室の各部屋はベッドが二つでベッドになるソファーが一つ置いてある。
 211〜220号室はベッドが一つだ」
「女子は人数が半端だから私と長門さんと江美里さんの三人で一部屋使うわ」
「わかった。
 妹ちゃんは誰がいい?」
「みくるちゃんとこー」
「よろしくお願いしますー」
「ならあたしはハルにゃんとだねっ!
 よろしくっ!」
「よろしく、鶴屋さん!」

 

 すんなり決まって結構だ。
 201〜203は女子、一部屋あけて205が俺と古泉だ。

 

 荷物を置いた俺たちは早速スタジオに向かった。

 

 全く、機関てヤツは底が知れんな。
 テレビなんかでたまに見るスタジオと同じものがそのままあった。
 俺たちの前にはつまみの無数についたミキシング・マシーンが鎮座し、その正面に張ったガラスの向こうにはいくつものアンプとギター、ベース、キーボードそしてマイク。
 少し奥まった所にはドラムがあり、
 脇に入った所にはマイクのみの部屋もある。

 

「本格的、というかプロ使用じゃねーか」
「やるからには徹底的に。
 機関の方針です。
 中途半端で涼宮さんの機嫌を損ねるよりはましですよ」
 しばらくスタジオに圧倒されていたハルヒの目が爛々と輝きだし、いつもの百ワットの笑顔をいっぱいに浮かべると叫びだした。
「素晴らしいわ!!
 『趣味』っていうレベルだから、お金があるっていってもそんなに期待してなかったのに、まるっきりプロが使えるレベルじゃない!
 あたし達が使ってもいいの!?」
「ははは、今更使わせないなんて言って納得するのかい?」
「そうよね!
 ありがとう、圭一さん!」
「なに、お役にたてれば幸いさ」

 

「よし、早速やるわよ!」
「何をするんだ?」
「まず、あたしが作ってきた曲のプロトタイプを聞いてもらうわ。
 で、自分の歌う曲のイメージを掴んでほしいの。
 その後、あたしと一対一で歌詞を作るわ」
「歌詞はできてないのか?」
「なんとなく作ってあるけど、これもプロトタイプね。
 歌う人と一緒に改良していくの」
「なるほど」
「じゃあジャンジャンいくわよ!」
 そういうと、ハルヒはミキシング・ルームからスタジオへ入っていった。
 キーボードを弾くつもりのようだ。
 圭一氏がミキシング・マシーンをいじっている。

 

 そうだ、長門。
 変てこなことは起こらなそうか?
「問題ない。
 集合場所で古泉一樹を待つ間に涼宮ハルヒの持つ楽譜を調べたが、特に憂慮すべきことはなかった」
 そうか。
「そう、今回の合宿で涼宮ハルヒの力が発現することはないと思われる」
 なるほど、ありがとうな。
 俺の言葉に長門が頷く。

 

「いくわよ〜!
 最初は有希のから!」

 

 それからハルヒは大体ワンコーラス分ずつ曲を弾いていく。
 その数十四曲。

 

 どの曲もそれぞれにピッタリで種類も様々といった感じだ。
 毎度のことながらコイツには舌をまく。
 多彩にして多才だな、ハルヒ。

 

「これで全部よ!
 どう?」

 

「すごいですぅ〜」
「あたしの曲もあったよ〜」
「さすがハルにゃんだねっ!」
「優しい曲でしたね」
「私気に入っちゃったわ、ありがとう涼宮さん」
「何というか、自分の曲というのは照れくさくも嬉しくもあるものですね」
「正直すごく良かったぞ、ハルヒっ」
 全員大絶賛で間違いなし。
「大したもんだ、こんな曲を作れるんだから」
 圭一氏も驚いている。
「へへん、あたしにかかればこんなもんよ!」
 いつものハルヒ節だが間違いなく嬉しそうだ。

 

「それじゃあ207号室を製作室にしましょう。
 有希、あなたから歌詞の内容を詰めるわよ!」
「わかった」

 

「他のみんなには歌詞の原型を渡しておくから、気になるとこを修正したり、思い付いたワードを書き足したりしといてね」
 そう言い残し、歌詞の書いてあるとおぼしき紙束を俺に押し付けると長門をつれて風のように去っていった。

 

「やれやれ。
 おい、歌詞配るぞー」
 おぉ、みんななかなかに真剣な面もちだな、だが。
「自分たちの部屋で読まないか?
 ここで突っ立ってるのも意味ないだろ」
「そうですね」

 

 ということで、それぞれに与えられた部屋で歌詞の検討という運びになり、俺は古泉と二人なわけだが、この歌詞もなかなかのものだな。
 俺がよくアイツにツッコんでる言葉だったり思ってることなんかが現れてる。

 

 
「『日常を壊すなよ』か」

 

 他の人の歌詞がこんなに完成されているか知らんが、俺のは修正の必要は無さそうだ。
 だがまっさらではハルヒに『真面目にやれ』と怒られるだろう。

 

「…とすると」

 

 俺は一つ思いつき、ペンを走らせた。

 隣では古泉が唸っている。
「お前の方はどうだ?」
 すると、古泉は歌詞を俺に見せながら
「内容は超能力的な力を持った主人公が、人知れず世界を守っているような感じなんですが、どうにもしっくりこなくて…」
 どれどれ?
 あぁ、なるほどな。
 確かに内容はそんな感じだ。
 でも確かに古泉っぽくありながら少し違う感じがする…。
「僕はこういうのが苦手なものでして…。
 全く、弱ってしまいます」
 うーん………あ、そうか。
「何かわかりましたか?」
 おう。
 この歌詞の主人公な、自分で自分に語りかけるというか、自らの主義主張を高らかに歌い上げる感じだろ?
 コレをお前風にしたいなら、第三者に語りかけてる風にすればいいんじゃないか?
 それも説明口調で。
「なるほど、そうかもしれませんね」
 それから、どうせ機関の人間が買い占めてくれるなら『閉鎖空間』てワードぐらい入れてみるのもいいかも知れんぞ。
「そうですね。
 許可がでたら入れてみたいと思います。
 それでは、あなたのを見せて頂けませんか?」
 おう。
「普通、日常、尋常。
 涼宮さんはあなたの話を無視しているようできちんと聞いているようですね」
「そうみたいだが、だったら尚更腹立たしいだろ」
「どちらでも同じ気がしますが」
「アイツにとってはな」

 

 その後もハルヒは何人かと詰めを行ったようで、残っているのは俺と古泉だけだと。
「今日はもう疲れたから、アンタたち二人は明日にしましょう」
「わかりました」
「へいへい」
「夕食はまだかしら。
 あたしお腹へったわ」
 ここでタイミングよく新川執事が入ってきて夕食の時間だと告げた。

 

 あの孤島の晩餐会を彷彿とさせる素晴らしい料理の数々だが、今回はあの時と違い山の幸だ。

 

 くじ引きで隣になった長門に
「歌詞の詰めが終わったなら見せてくれないか」
 と言ったら
「ダメ、レコーディングまでのお楽しみ」
 と言われてしまった。
 向かいの席の朝倉が何か言いたそうにしていたが、無視だ無視。

 

「キョン、ちゃんと歌詞を練ってるんでしょうね」
 反対側の隣にいるハルヒが話しかけてきた。
「おう、歌詞自体は俺が手を加えようがないほどうまくできてたんでな。
 ちょっと趣向を変えてみたぞ」
「へぇ〜、どうやら真面目にやってるみたいじゃない。
 古泉くんは?」
「初めは非常に苦労しましたが、彼のおかげで随分歌詞を身近に引っ張ってこられました。」
「キョンが?
 アンタもたまには役にたつのね」
「ほっとけ」
 俺はいつも頑張ってるのさ。
 …お前のしらない所で。
「うん、古泉くんのも楽しみにしてるわよ!」
「承知しました」
「それにしてもおいしいな〜」

 

 ………

 

 夕食も和気藹々と済み。
 入浴の時間となった。
 山中の洋館ということで、もちろんのごとく露天風呂である。
 女風呂との間は竹垣と岩によって隔てられてはいるが、隣あっている関係のようだ。
 女子組の騒ぎ声が聞こえる。
 身も心も癒されるというものだ。
「やはり露天風呂はいいですね〜」
 同感だな。
「何事もなく平和。
 気の合う仲間と一つの目標に向かって前進し、息抜きに目一杯遊ぶ。
 正直思うんですよ。
 目を背けられない大きな問題があるとはいえ、僕らは非常に恵まれている、と。
 僕らの背負う属性を除けば、こんな青春を満喫したような学生生活を送れている人なんてめったにいないでしょうね。
 初めてSOS団に連れてこられた時は正直面倒なことになったと思いましたが、今の僕は涼宮さんに出会えて幸せだと言えます。
 もちろん涼宮さんだけでなく、あなたも長門さんも朝比奈さんもですよ」
 ほう、珍しいな。
 お前がそこまでの本音トークをするとは。
 だが、同感だな。
「同感とは?」
 言わせる気か?
 俺もSOS団のみんなに会えて幸せだってことさ。

 

 ……………
 ここで止まればまだ被害は少なかった。
 ……………

 

「俺はみんなが大好きだ」

 

「聞いたわね!みんな!」

 

 何!?
「はっはー、油断したわね、キョン、古泉くん。
 珍しく二人が真剣かつ楽しそうな声で話してるのが聞こえたから聞き耳を立ててみれば、とんだお宝発言だわね!」
 やられた。
「ハルヒ!てめぇ、盗み聞きしやがったな!」
「ふふん、この距離で聞くなと言う方が無理というものよ!
 なんだかんだいって、やっぱりSOS団が好きなんじゃない!
 安心しなさい!
 二人の忠義の心はしかと受け止めたから、これからも馬車馬のごとくこき使ってあげるわ!」

 

 ぬかった…。
 旅は人を解放的な気分にするというが、どうやら俺はいらぬところまで解放させてしまったらしい。

 

「仕方ありませんね」
 …古泉。
「悪口を聞かれたわけではありませんし。
 諦めましょう」
 …そうだな。
「僕はそろそろ出ようかと思いますが、あなたは?」
 まだしばらく入ってくよ。
「わかりました。
 では、また」
 そう俺に告げた古泉は、どこか吹っ切れたように上がっていった。

 

 どうやら隣の女子組も次々と上がっていくらしい。
 もう全員上がったのかな?
 俺も上がろうか…。
「入ってる?」
 ん?この声。
「長門か、入ってるぞ。
 お前もまだ入ってたんだな」
「そう」
「「………………」」
 どうしたんだろうか。
「長…」
「こちらへ」
 へ?
「この竹垣の方へ」
 なんだかわからんが行ってみよう。
「来たぞ」
「もっと奥へ」
 風呂の奥ってことか?
 竹垣沿いにさらに進む俺。
「ここ」
 おっと。
「ここがどうかしたか?」
「ここが一番隔たりが少ない」
 む、そういうことか…ってまてよ。
「何故だ?」
「あなたの近くで話がしたかった」
 おおぅ、直球だな。
「なんだ?」
「先ほどのことについて」
「…SOS団が好きとかそういうのか?」
「性格にはSOS団の構成員涼宮ハルヒ、古泉一樹、朝比奈みくる、そして私、長門有希に対して好意をもっているという主旨の発言について」
 …何がききたいんだ?
「あなたはSOS団が好き?」
 あぁ。
「涼宮ハルヒは?」
 まぁ好きだろうな。
「古泉一樹、朝比奈みくるも?」
 もちろん。
 朝比奈さんなんか言うに及ばずだ。
「…私も?」
 なんか微妙に質問の雰囲気が違う気がするが…えぇい、かまうか。
「当たり前だろ。
 お前を嫌いになる要素がどこにある」
「そう」
「「………………」」
「…私も、SOS団が、あなたが好き」
 ウッ、ちょっとドキッとした。
 冷静になれ、俺!

 

 長門が何事か言っているが、どんどん声が小さくなっていく。
 俺は聞き取ろうと耳を澄ました。
「あなたの私への…」

 

 ガラッ!!!!

 

「有希!大丈夫!?
 のぼせて倒れてたりしない!?」
「遅いから様子をみにきました。
 大丈夫ですか!」
 うぁぁ!…ハルヒと古泉か…。

 

「平気」
「だ、大丈夫だ」

 

「まったく、心配させないでよね」
「本当ですよ」

 

「申し訳ない」
「スマン」

 

「いくらなんでも長風呂過ぎよ。
 でましょ、有希。
 古泉くん!そっちのバカキョンも大丈夫ね!?」
「はい、問題ないようです。
 さ、でましょう。
 森さんが風呂上がりのデザートを用意してくださいました」
「あ、あぁ」
 なんなんだか聞きそびれちまったな。
 まぁその内機会があるだろう。

 

 古泉に急かされる様に風呂から出た俺は、みんなと合流しおいしいデザートを頂いた後、古泉持参のボードゲームで一盛り上がりした。

 

 思いっきり遊んだ俺たちは、各々の部屋に戻り、夢の世界に旅立った。

 

 目をつむってすぐに長門があらわれ、子守歌を一曲歌うと静かに去っていった。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:49 (2708d)