作品

概要

作者いつまでも新米
作品名イメージソング・フロム・SOS団第四章:2
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2011-01-31 (月) 10:46:50

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「お待たせしました」
「全然よ!
 新川さんも森さんも今日はありがとう!」
「いえいえ」
「大したことではありませんわ」
「さ、グズグズしないで乗り込むわよ!」

 

 古泉は森さんの車か、じゃあ俺たちは新川さんだ。
 行くぞ、長門。
 俺の言葉に頷いた長門が三列シートの二列目に乗り込む。
「あぁ〜、露骨ね〜。
 やっぱり長門さんには優しいんだ、キョンくんは〜」
 クソッ、朝倉め。
「喜緑さん、三列目でいいですか?」
「えぇ、構いませんよ」
「長門さんの隣がいいから江美里さんが三列目ね〜」
 お仕置きだ。
 俺は二列目に乗り込むとすぐにドアを閉め新川さんに
「出しちゃってください、アイツはここまでの荷物持ちなんで」
 と告げた。

 

 ―――五分後。
 荒い息の朝倉が三列目に座っていた。
「ゼェゼェ、キ、キョンくん、あ、あなた、結構、陰険、なのね、ゼェ」
 ふん、余計な口を叩くからだ。
「ははは、少年は手厳しいですなぁ。
 ですが、女性は大切に扱うものですぞ」
「あら、素敵ね、おじさま。
 でも、あなた私が乗り込むメンバーだってわかってて発車したでしょ」
「おや、これは失礼。
 面白そうだったもので」
「もう、ま、いいわ。
 私もちょっとやりすぎたし」
 スマン、俺もやりすぎた。
「…ふぅ。
 あなたって、本当に毒気を抜かれるわね」
「…それが彼の良いところ」
「あら、長門さん。
 それ、ノロケ?」
「違う、事実を述べただけ。
 それに私と彼は一般的に惚気と呼ばれる行為を行う関係ではない」
 …長門、事実だがなんかそのピシャリと突きつけるように言われると傷つくぞ。
「有希ちゃんも変わりましたね。
 あなたたちと出会う前だったら、人を誉めたり、感情を表したりしませんでした」
 喜緑さんが感慨深げに言う。
「俺はまだ出会って一年ちょいですけど、確かに長門は変わりましたよ」
「あなたたち人間は不思議ですね。
 一緒にいるだけで私たちのような情報生命体に変化をもたらすんですから」
「俺たちが不思議なんじゃありません。
 それが当然の成り行きなんだと思います。
 俺は、単なる情報だけじゃ知性とは呼べないと思ってます。
 偉そうなこと言うようですが、知性と感情は不可分なものだと思いますよ。
 だから喜緑さんたちの親玉なんかより黄緑さんたちの方が進化してると思うし、何より、俺からすれば長門も朝倉も喜緑さんも人間です。」
「あらあら。
 やっぱり『鍵』だと言われるだけありますね。
 皆さんに好かれるわけです」
「すいません。
 喜緑さんたちからしたら失礼な話ですよね」
「いえ、むしろ嬉しいことだと思いますよ」
 え?
「人間の感情というものを理解してから、私達の正体をはっきりと認識してからも生命体としての成り立ちで線を引かずに付き合ってくれる人の大切さに気づきました。
 しかし、そんな人は殆どいません。
 あなたはそんな珍しいタイプの人なんですよ」
「なんつーか俺としては特別なことをしてる気はないんですが…」
「それが肝要なんです。
 相手の属性で隔たりを作らない。
 だからこんなあらゆる要素の中心にあなたがいるんですよ」
「…そんなもんですかね」
「えぇ、ですから、これからも長門さんをお願いしますね」
「喜緑江美里…」
「有希ちゃんは黙って。
 これは、情報統合思念体としてではなく、有希ちゃんの家族としてのお願いです」

 

 やれやれ。
 そんなの今更じゃないか。
 俺たちSOS団は呉越同舟、一蓮托生なんだ。
 なんの力もない俺にできることといえばコイツらを気にかけることだけ。
 そう腹をくくったからここにいるんだ。

 

「…もちろんですよ」
「あぁ、よかった。
 いずれきちんとお話ししてみたかったんですけど、なかなか機会がなくて」
「?」
「だって有希ちゃんの…」
「喜緑、江美里…」
 おぉう、長門から怒りのオーラが立ち上っている。
 俺と朝倉は気圧されて身動きがとれない!
 新川さんは…微笑ましい、みたいな顔してらっしゃる!
 機関と思念体は消極的対立関係にあったはずだが、相手の組織のエージェントが三人も後ろにいて笑っていられるこの人は何者なんだ!
 喜緑さんも、なぜ平然と微笑んでいられるんだ。
 ていうか。
「な、長門」
「なに」
「な、何を怒って…」
「怒ってない」
 怒ってるじゃないか。
「喜緑江美里、それ以上言わないで欲しい」
「あら、冗談のつもりでしたのに」
「彼は重要な人物。
 混乱を招くようなことを言うべきでない」
「おや?混乱するのは彼だけですか?
  むしろスッキリしてしまったりして」
 しばらく睨み合って(睨んでたのは長門だけだが)いたが、先に折れたのは長門の方だった。
 身に纏っていた怒りのオーラが消える。
 急にしょんぼりしたような声で、
「言わないで欲しい」
 というと黙り込んでしまった。
 圧力から解放されたオレはたまらず口を出す。
「喜緑さん、なんだかよくわからないですけど、言わないでやってください。
 俺も聞きませんから」
「ふぅ、有希ちゃんは、もう少し融通をきかせることを覚えるべきですね。
 こんなのは思ったより単純な話ですのに。
 昨日あれだけやってまだ踏ん切りがつかないんですか?」
「だから長門さんなんでしょーに。
 江美里さん長門さんを苛めすぎよ?」
「あら、なら涼子ちゃん、かわる?」
「長門さん、任せるわ」
「…酷い」
 そうやって三人は笑いだした。
 …もっとも長門は雰囲気だけだが。
「罪作りですな、キョン様は」
 どんな解釈をしてたんですか、新川さん。
 …つーかあなたもソレですか。
 最初は少年って言ってたのに。
 さてはアレは素がでましたね、いいですよ、少年で。

 

 その後、三人のガールズトークに時々ツッコんだり、質問に返したりしている内に、俺は眠ってしまったらしく、長門の、
「目的地に到着。
 起床を」
 という声で目覚めることになるのだった。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:49 (2711d)