作品

概要

作者いつまでも新米
作品名イメージソング・フロム・SOS団第三章:3
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2011-01-31 (月) 09:48:02

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口登場
ミヨキチ不登場
佐々木登場
橘京子不登場

SS

 

 近づく物全てを吸い込むブラックホールのごとく、企画中に近づいてきた人を次々と引きずり込んだ涼宮ハルヒは、朝俺に見せたコンセプトの書いた紙に、鶴屋さんと喜緑さんと朝倉の分を書き足した後、それぞれに見せ付けながら興奮した面もちで演説をぶっている。

 

 俺はと言えば、心配そうな長門を安心させるべくいかにも眠くないかのように振る舞っていた。
 その意味じゃハルヒに感謝だな、アイツの相手をしてれば眠くはならない。

 

 しっかし本当に何かを忘れているような気がするんだがな。

 

 長門が本を閉じる合図で帰り支度をし、まとまって学校をでた際に俺は古泉に何か引っかかっている気がすることを告げた。

 

 もちろんハルヒは前方で鶴屋さんと喜緑さんと朝比奈さんという美少女上級生三人組を相手に楽しそうにしている。

 

「あなたの引っかかっている、というのは『涼宮さんが作った曲』ということではありませんか?」
 あ。
「やっと思いあたりましたか。
 以前のバンド活動に関する話題が何度も出てきたのに、あなたが全く反応しないので記憶消去でも起きたのかと思いましたよ」
 スマン。
 なぜ忘れてたんだろうな。
「それだけ『歌う』ということがプレッシャーになっていたのか、それとも単なるど忘れか。
 あなたの性格からして、我々に全てまかせて知らぬフリを決め込むというのは考えにくかったので、忘れているのだろうという結論のもと我々三人で話し合いをしました」
 本当にスマン。
 で、なんだけ、あの非物質なんたらだかのヤツ。
「非物質拡散性振動型感知音波」
 お、長門。
 聞いてたのか。
 ソレだソレ、どうなんだ?
「涼宮ハルヒの作成した楽曲である以上、今回も同様の事態またはそれに類する事態が起きる可能性は非常に高いと思われる」
 大丈夫なのか?
「前回は事態が発生するまで認識することができなかった為あのような直接対決という形を取らざるを得なかった。
 しかし今回は事前に起こりうる事態が予測できる為、対策は容易。
 あなた達に危害が及ぶことはない」
 お前自身にはどうなんだ?
 お前自身に危ないことはないんだろうな?
「不測の事態が起こらなければ、私に危害が及ぶこともない」
 不測の事態って?
「………例えば。
 私が対策を講じる為に情報操作を行った際に、それ以上の力をもって楽曲が抵抗してくるなど」
 それって、結構可能性高いんじゃないか?
「私一人なら。
 しかし喜緑江美里と、多分朝倉涼子がいる。
 問題はない」
 そうか、三人がかりなら大丈夫そうだな。
 だが、無理はするなよ。
「わかった」
「今あなたが聞いたような話をしたんですよ」
 そうか、重ね重ねスマンな、話し合いにも参加しないで。
「いえいえ」
 そう言って古泉は前方の団体に近づいていった。

 

「そういえば」
「………?」
「お前、喜緑さんのこと苦手にしてるみたいだが何かあるのか?」
「…!?」
 静かに驚いたり静かに焦ったりするなんて、いつも思うが器用なヤツだよな。
「どうなんだ?」
「………喜緑江美里は…私をからかうことを楽しんでいる」
「なんだそりゃ」
「彼女もまた、人間と関わることで自身の自我と感情を確立させつつある。
 彼女の性格は見た目の通り穏やかで気の利く性格であると思われる。
 概ねは」
「概ねは?」
「…そう。
 彼女はその性格とは別に嗜虐心のようなものにも目覚めた模様」
「し、嗜虐心!?」
 嗜虐心て、ヒドい人じゃないか?
「あなたが思うほど酷いものではない。
 あなたにもわかりやすい言い方をすれば…」
 そこで言葉を選ぶようにちょっと押し黙ると
「『少し意地悪』」
「意地悪?ってどんな風にだ?」
「例えば、私が答え難いような質問をしてそれに困る私を眺めて楽しそうにしている」
 …それは確かに意地悪かもしれんな。
「そうですか?」
 そうですよ。
 長門は自分の言葉で話すのが苦手なんだから、少し気を使ってやらないと。
「やっぱり有希ちゃんの言うように優しいんですね」
 いや、別に優しいとかじゃなくてですね、喜緑さん…って。
 き、きき、喜緑さん!?
「あら、今までお気づきにならなかったんですか?
  少しショックですね」
 い、いつからいらっしゃったのでしょうか?
「そうですね。
 『そういえば、お前喜緑さんのこと苦手にしてるみたいだが』辺りからですかね」
 最初からじゃねーか!
 あ、いや、じゃないですか。
「有希ちゃんは私のことをそんな風に思ってたんですね」
「…事実は事実」
 お、長門が開き直ってる。
「ヒドいわ。
 私は有希ちゃんと楽しくお話ししたいだけなのに」
 喜緑さん、絶対今も楽しんでるでしょ。
「というか。
 長門が答えられないような、ってどんな質問なんですか?」
「あぁ、それはあなた…あら?
 有希ちゃん。
 どうしたのその手は」
 目にも留まらぬ速さで長門が喜緑さんの口に手を当てようとしたのを、喜緑さんがフワリと受け止める。
「喜緑江美里、それ以上喋ることを…」
「あら、私は『あなたたちSOS団についてどう思うか』って言おうとしたんですよ?」
「…!?」
「SOS団について聞かれたらいけないことでもあるんでしょうか?」
「それは…」
 うーん、やっぱり喜緑さんの方が一枚も二枚も上手だな。
 長門が翻弄される姿なんて初めて見た。
 どうやら長門はなんだかわからんが早とちりをして、それはまさに喜緑さんの用意した罠だったらしい。
「まぁまぁ二人とも」
 ここは長門を助けてやるか。
「変なことを聞いた俺が悪かったんですよ。
 長門は喜緑さんとかと違ってまだまだ感情表現が苦手なんだから、ちょっとは手加減してやってくださいよ」
「あら、あなたがそう仰るならそうしますわ」
 やれやれ。
 長門は悔しそうだが、どんどん人間らしくなっていくのを見るのは嬉しい限りだ。

 

 そんなこんなでいつもの分かれ道についた俺たちは各々の方向に去っていく。
「みんな、明後日のカラオケは大事なんだから、きちんとうまく歌える曲を選んでおくのよ!
じゃ!」
「またみんなと面白そうなイベントに関われて嬉しいよっ!
 よろしく〜!
 ほんじゃ、行くよ、みくるー」
「あ、はぁい。
 じゃあねキョンくん」
「長門さんの歌も気になりますが、僕としてはあなたの本気が一番聞いてみたいですね。
 涼宮さんも期待していますから、お願いしますよ。
 それでは」
「私までSOS団の活動に参加することになるなんて思いませんでしたが、こういうのも楽しいですね。
 朝倉さんには伝えておきます。
 ではさようなら、キョンさん。
 ほら、有希ちゃんも挨拶しなきゃ」
「………」
 字面じゃわからないが長門はちゃんと長門なりの会釈をしてくれたぞ。
 さようなら喜緑さん、朝倉によろしく。
 …それからやっぱりあなたもその名で俺を呼ぶんですね。

 

 つーかなんで俺は全員を見送る立場にいるんだ?
 まぁこの時間はキライじゃないが。

 

 なんとなくみんなが見えなくなるまでその場でぼんやりすると、帰宅した。

 

 次の日は何も特筆すべきことはなかったな。
 あ、そう言えばハルヒが
「あんた毎回遠出の度に妹ちゃんを置いていこうとして失敗してんのよね。
 どーせ今回もそうなるんだから、妹ちゃんが行きたくて親御さんが許可してくれるなら始めから連れてきちゃいなさいよ」
 と言ってくれたので、早速帰宅後その事を報告すると妹は狂喜乱舞、親は快諾ととんとん拍子に話が進んだ。
 俺の成績が思いの外良かったのもプラス材料の様だ。
 そりゃそうだろう。今まで特に触れなかったが、あまり成績が悪いままだと佐々木と同じ予備校に通わされるかもしれないという情報をどこぞから入手してきたSOS団団長と読書係の二人による付きっきり(部室で)の指導の賜物により、今までは谷口と共に赤点スレスレの低空飛行を続けていた俺の点数は飛躍的な進歩を遂げた。
 教科によっては倍以上の点数になったものもあるってんだから、案外やればできるってのは本当なのかもしれないな。

 

 まぁ、今までが悪過ぎただけなのかもしれんが。

 

 というわけで、一年次からすれば奇跡のような成績表を頂いた二年生一学期の終業式の日も終了し、明日はいよいよハルヒによる歌唱力チェック大会だ。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:48 (2711d)