作品

概要

作者いつまでも新米
作品名イメージソング・フロム・SOS団第三章:2
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2011-01-31 (月) 09:45:12

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口登場
ミヨキチ不登場
佐々木登場
橘京子不登場

SS

 

 ホームルームがつつがなく終了し、放課後と相成った。
 なぜこのようにただグダグダするためだけに生徒を集めるのだろうか。
 多分授業日数とかの問題か、単に生徒を早く解放したくない先生の意地悪なんだろう。
 まぁ文句言ってもしょうがないから別にいいけど。

 

 横を歩くハルヒの演説に適当な相づちを打ちながら部室に向かっていると、部室のドアの向こうから非常に元気な笑い声が漏れてくる。
 この声は…
 ハルヒが躊躇せずドアを開くと叫んだ。
「鶴屋さん!来てたの!」
「いよっすハルにゃん!
 ちょろんとお邪魔してるよ〜。
 実はみくるからレコーディングの話を聞いてね〜。
 面白そうだから話を聞きに来たんだよ〜。
 あ、キョンくんもおいっす〜」
「こんにちは、鶴屋さん」
 やはり鶴屋さんだったか。
 この一個上で金持ちだけど、一切イヤミなところのない人格者な先輩なら、確かに今回の話を面白がっていることだろう。
「SOS団のイメージソングなんてワクワクするじゃないか〜。
 やっぱり一番気になるのはみくるのだよね〜。
 出来上がったら是非聞かせておくれよ〜」
「もう、鶴屋さんたらぁ」
 朝比奈さんが照れたように合いの手を入れる。

 

 その向こうでは、相変わらず長門が読書をしている。
 古泉は…まだ来てないな。
「お呼びですか?」
 呼んでない!
 名前を呼べばすぐ来るなんてお前はどこぞの変身ヒーローか!
「そんな、ヒーローだなんて…僕は一介の超能力者ですよ、フフッ」
 言わなくとも情景は浮かぶと思うが、前半は天を仰いでわざとらしい嘆息、後半は俺の耳元に息を吹きかけるかのような距離で、だ。
 えぇい顔が近い!

 

 さっきから珍しく十秒ほど黙っていたハルヒがおもむろに口を開いた。
「ねぇ、鶴屋さん。
 鶴屋さんもレコーディングに参加しない?
 予定が合えば、だけど」
 なんと、コイツ、鶴屋さんまで巻き込もうというのか。
「気持ちは嬉しいけどあたしなんかが入っていいのかい?
 SOS団の正式団員じゃないにょろよ?」
「良いに決まってるじゃない!
 鶴屋さんは大事な名誉顧問よ。
 それに、SOS団には有力な外部協力員がいるというのも大きなアピールポイントだわ!」
 まぁ否定はしないが。
「嬉しいこと言ってくれるねっ!
 なら、お姉さん張り切っちゃおうかな!」
「やったわ!SOS団の五人以外にも曲が欲しかったのよ!」
 ま、鶴屋さんなら俺としても大歓迎だがな。
「じゃ、鶴屋さんも二曲ね!」
  マジでか。
「おいおい、いきなり入ってもらって二曲歌えってのはちょっと失礼じゃないか?
 それに、そんなに沢山曲作れるのか?」
「曲数は問題ないわ。
 バンド活動でやったのが意外に面白くてあの時やった曲以外にも結構継続して作ってるのよ」
 なるほど、いきなり何曲も作れるのかと思っていたらそういうことか。
 ん?
 そう言えば昨日は気づかなかったがなんか忘れてるような…。

 

 ダメだ、頭がクラクラする。
 顔をしかめて首を振っている俺をみた鶴屋さんは、何事かを察知したかのようにウィンクを一つ放ると、
「ねね、ハルにゃん。
 レコーディングということならさ、音楽の先輩なENOZのみんなに話を聞きに行かないかいっ?
 まぁみんなも本格的なレコーディングはしたことないだろうから羨ましがられちゃうかもしんないけどさっ!」
「いいわね、鶴屋さん!
 もしみんながあんまり羨ましがるようならあの人達もレコーディングに参加してもらいましょ!」
「決まりだねっ!」
「ということだからちょっと行ってくるわ!
  古泉くん、昨日のメールの通りで今のところ変更はないわね?」
「はい、今のところは」
「ならみんなに話しといて!
 じゃ、行くわよ、鶴屋さん!」
「おっしゃー!」

 

 全くあの二人のバイタリティの源はなんなんだ。
 同じ人間とは思えん。
「元気だな。
 しかしENOZは卒業しちまったメンバーがいるんじゃなかったんですか?」
「うん、そうなんですけどぉ先に卒業した先輩達の後を追って大学で再結成するために、休止扱いにして、財前さんたちは別のバンドの手伝いをしてるんですって」
 なるほど。
「しかし、鶴屋さんに気を使われちまったな、ふぅ」
「先ほどから気になってましたけど、具合でも悪いんですか?
 とても調子が悪いようにお見受けしますが」
「いや、眠いだけ…」
「私のせい」

 

 ん?
 入り口付近で固まって話をしていた俺たち三人が振り返ると、その視線の先にはものすごく責任を感じて申し訳なさそうにしている長門がいた。

 

「長門さんの?」
「何かあったんですかぁ?」
「………」
 端から見れば今にも泣き出しそうな長門を見て、俺はやっぱりと思った。
「昨日の夢はやっぱりお前だったんだな、長門」
「………そう」
 そんなに申し訳なさそうな顔するなよ。
 気にしてないからさ。
 ん?どうした古泉。
「昨日何かあったんでしょうか?
 良ければお聞かせ願えますか?」
 だってさ。
 いいか?長門。
「………いい」

 

「実は…」
 長門の許可がでたので昨日の一連の流れから俺の夢の話を古泉と朝比奈さんにかいつまんで説明した。

 

「…というわけなんだ」
「なるほど、そういうことでしたか」
「そう、彼が体調に異常をきたすほどの寝不足にみまわれたのは私の責任。
 私のわがままが引き起こしたこと」
 だから別に気にしてないってのに、全く。
「長門さんの歌声とは、そんなに綺麗なものだったのですか?」
「あぁ、かつて船乗りをその歌声で誘惑したというセイレーンですら裸足で逃げ出すんじゃないかってぐらいの美しさだった」
「それは是非ともお聞きしたいですね」
「それは明後日のカラオケでのお楽しみだ。
 な、長門」
「…あれは少しやりすぎた」
「どういうことだ?」
「あの曲も歌詞も歌手も私にぴったりだった。
 歌っていた時は一種の快感すら覚えた。
 故に私の感情と共に情報生命体としての構成情報もメロディーにのって流れ出してしまった。
 だからあなたは私から光が差しているような幻視などを体感した。
 これは去年の末に私にラブレターを渡してきた彼と同じような症状」
「中河か…。
 じゃあアレか、俺は昨日必要以上に感じ入りすぎたってことか?」
「そう」
「でも、お前の感情を感じたことなんかは嘘じゃないんだよな?」
「そう、あくまで私の構成情報が感覚を増幅させただけ」
「なら昨日のは無駄じゃなかったってことでいいんだよな。
 で、アレはもうやらないってことか?」
「アレは純粋な私の気持ちのみではないものであるから、封印するのが得策と思われる」
「そっか、ならそうしろ」
「わかった」
 そういうと、長門は例の高速早口を唱えだした。
 俺に確認するまでまってたのか。
 律儀なヤツだな。

 

 おっと、今度は成り行きを見守っていた朝比奈さんが口を開いた。
「えっとぉ、長門さんは、お歌が上手に歌えるようになったのが嬉しくてキョンくんの夢にお邪魔したってことですよね?」
「そうみたいですね」
「ふふ、長門さんも可愛いところがありますね」
「全くです」
「でも私が彼に迷惑をかけたのは事実。
 私はいかなる罰をも受け入れる覚悟がある」
 まだこんなこといってやがる。
「あのな、長門。
 俺は迷惑なんてこれっぽっちも思ってないぞ。
 あのお前の歌声はいつまでも聞いていたいと思えるほど綺麗だったし、楽しそうなお前を見られたのも嬉しかった。
 確かに寝不足は多少きつかったが、お前は普段わがままを言わないんだからたまには好きなことをするべきだ。
 そのために付き合うことを迷惑だなんて俺は思わないし、みんなも思わない。
 自分の歌を誰かに聞かせることを楽しいと思えたなら、毎晩でも俺の夢に出てこい。
 徹夜は厳しいが、毎日何曲かずつなら負担にもならんしな。
 むしろこちらから頼んで聞かせてもらいたいくらいだ。
 だから、そんなに気にやむなよ」
 やっぱり寝不足で少しハイになってるようだ。
 いつもなら恥ずかしい言葉がスラスラでてくる。
「そうですよ、長門さん。
 キョンくんの言うとおりです。」
 朝比奈さんも援護射撃をしてくださる。
「僕たちが長門さんにかけている迷惑に比べたら、一体僕らはどんなお返しをしたらいいのかわからないくらいなんですよ」
 おぉ、古泉まで、たまには良いこと言うじゃないか。
 俺たち三人の言葉に納得したのか、長門の表情が明るくなってきた。
「ありがとう」
 どうやら一件落着らしい。

 

「では、涼宮さんが戻ってくるまでに今後の予定を話しておきましょう」
 というと古泉はなにやらホワイトボードに字を書き出した。
 相変わらず汚いな、俺も人のことは言えんが。
 古泉が作業している間に朝比奈さんが話しかけてきてくださる。
「でも、キョンくんすごいです。
 私なんか長門さんに『気持ちを込めたら』なんていってなんの説明もできなかったのに」
「何もすごいことなんかありませんよ。
 朝比奈さんが紅茶の淹れ方や気持ちを込めるってことを教えてくれてたから、長門に答えることができたんですよ。
 歌のことだって俺ができたのは人に聞くだけ。
 俺こそ役にたってませんから」
「うふ、それを本心から言えるからキョンくんはキョンくんなんですね。
 あ、誉めてるんですよ」
「えーと、よくわかんないけどありがとうございます」
「よし…ではよろしいですか?」
 お、準備が済んだようだ。
 たまには真面目に聞いてやるか。
「スタジオのある別荘への出発は来週の水曜日になります。
 滞在期間は十日を予定していますが、今後の涼宮さんとスタッフの方達の意見によってプラスマイナス二日の誤差は許容範囲でお願いします」
「出発までにははっきりするんだろうな」
「はい、それはもちろん。
 現時点で話し合うことは殆どないのでスケジュール表の一例などを持参したのですが」
「どれどれ…」

 

 ―――コンコン。
「あ、お客さんですね。
 はぁ〜い」

 

 む?
 ここに客が来て良かったことなんて殆どなかった気がするが。
「失礼します」
 って喜緑さん!?

 

「お久しぶりですね、みなさん」
 どうしてここへ?
「えぇ、長門さんに用事がありまして」
 長門に?
「喜緑江美里、なんの用?」
「今は涼宮さんはいないみたいですね、ちょうどいいわ。
 実は情報統合思念体が、昨日の夜から今日の朝方にかけてあなたの体に興味深い情報増幅反応が見られたので調査と報告をして欲しいと指令がきまして」
「私にはなんの連絡も来ていない」
「長門さん、気づいてないんですか?
 多分その情報増幅反応のせいで一時的に通信機能に障害が発生したようですよ」
 長門は何かを確認するように暫く目をつむっていたが、得心がいったらしく頷いて目をあけた。
「わかった。
 今日の夜、調査と報告をする。
 協力を」
「えぇ、もちろん」
 ん?話が終わったようだが。
「喜緑さん、長門に何にもマズいことはありませんよね?」
「はい、心配ですか?」
「そりゃあ…まぁ」
「ふふっ、有希ちゃんにいつも聞いている通りですね。
 昨日のこともなんとなくは知ってます。
 本当に涼宮さんといいこの子といい変化があるのはいつもあなたと…モガ」
「喜緑江美里。
 それ以上喋らないことを要請したい」
 な、長門!
 いつのまに。
 つーか長門は喜緑さんに有希ちゃんと呼ばれているのか。
「呼ばれていない。
 今のは彼女のジョーク。
 別にあなたの話ばかりをしているわけではない」
「あら、照れなくてもいいのに、有・希・ちゃん」
「喜緑江美…」
「あれ?お客さん?」
 お、ハルヒが戻ってきたようだ。
 焦ってる長門なんてなかなか見られないからもう少し見ていたいと思ったが、しかたあるまい。
 だが、長門は喜緑さんに弱い。
 このことは覚えておくとしよう。
「お邪魔しています」
「お、えみりんじゃーん」
「あら、鶴屋さんもいらっしゃったの?」
「あなた生徒会よね?
 また有希に何か言いにきたの?」
 ハルヒ、目つきわるいぞ。
「いえ、ただ有希ちゃんの様子を覗きにきただけですわ」
「有希ちゃん?
 様子見?どういうこと?」
「あら、これは失礼。
 私と長門さんは親戚なんです。
 お互いの親の仕事も一緒で、同じマンションに住んでるんですよ」
「あ、そうだったの」
 うーん、喜緑さんの言葉には妙な説得力がある。
「えぇ、以前ここに来た時は長門さんが面倒になるのを嫌がったので黙ってたんですけどね」
「そうだったの。
 有希、そんなの気にすることないのに」
「申し訳ない」
「まぁいいわ。
 そーだ、ねぇ、喜緑さん。
 歌うの好き?」
 おい待てハルヒ!
 まさか…。
「その通りよ。
 で、どう?」
「?えぇ、嫌いではないですよ」
「そう!
 ならSOS団夏期レコーディング合宿に参加しない?
 有希の親戚なら大歓迎よ!」
「それは…!」
 ちなみにこの「それは…!」は長門のセリフだ。
 俺にはなぜだか焦ってるように見える。
「なぁに?有希、どうかした?」
「喜緑江美里は生徒会の仕事がある。
 また三年生なので受験勉強の必要もあると思われる」
「あら、生徒会の仕事は会長と私で殆ど片付けてしまったので、夏休みは結構暇ですよ」
「受験生ってんならあたしとみくるもだけど、えみりんはあたしたちの中でもずば抜けて成績いいから心配ないと思うにょろよ」
「そういえば朝比奈さんも鶴屋さんもかなり成績は良い方でしたよね?」
「心配なさそうじゃない、有希」
「どうしたの、有希ちゃん。
 まさか、私に来て欲しくないんですか?
 私悲しいなー」
「そんなことは…」
「有希。
 両親と離れて暮らしてるなら近くの親戚は大事にしなきゃダメよ。
 ということでどう?黄緑さん」
「勿論参加させていただきますわ」
「決まりね!
 喜緑さんにも一曲歌ってもらいましょう。
 なんたって依頼人第一号ですものね!」
 まぁそういう意味ではこの人も関係ありか。
 つーか長門、どうした、落ち着かない顔をして。
「いい感じにメンツが揃ってきたわね。
 あと一人くらい欲しいんだけど…」
 さて、谷口か国木田かはたまたコンピ研部長氏か。
 しかしその候補は意外なところから提案された。
「朝倉涼子はいかがですか?
 私と有希ちゃんの共通の友人ですが」
 あ、朝倉、ねぇ。
 一応春先の事件で協力してもらったので前ほどの抵抗感はないもののまだ少し苦手だ。
「もしかして朝倉も親戚とか?」
「えぇ、といっても彼女はかなりの遠縁で、親戚というより親の仕事仲間の娘といった意識の方が強いですが」
「へぇ〜、確かにアイツなら歌も歌えそうだけど、今日本にいないんでしょ?」
「いえ、家の事情の決着の付き方次第では北高に戻ってこられるかもしれないので、一応私たちのマンションにいるんです。
 ただ下手に出歩いて友達に会うと気まずいとのことで家の中でじっとしているんですが、ずいぶん退屈そうなので」
「…まぁ確かに委員長キャラも欲しいっちゃ欲しいわね。
 わかったわ、朝倉に言っといて、来るなら歓迎するって」
 おいおい、一体何人誘う気なんだ?
「基本はこれで終わりよ。
 曲数はアルバムにしたときに十二〜十五曲になるぐらい欲しかったからね。
 SOS団イメージソングCDの分はこれでおしまい。
 あ、でも最終日のレコーディングの日だけENOZのみんながくるって」

 

 やれやれ、一大旅行だな。
 古泉、大丈夫なのか?
「事前にそのように話を聞いていたので問題はありませんよ」
 ま、メンツは決まった。
 後は明後日のカラオケの為に少しでも練習するか…。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:48 (3093d)