作品

概要

作者◆Yafw4ex/PI
作品名ロストマン 10話
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2010-09-18 (土) 13:53:49

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 それは三月の終わりの春休み――若草萌える四月を間近に控え、高速増殖炉でもこうはいか
ないという程に行動力を増加させていたハルヒに振り回される事にも慣れてしまいつつあった、
とある休日の夕方の事だった。
 当然の事ながら何の収穫があるはずも無く、ただ足が痛くなるだけの不思議探索が終わり、
「古泉。ちょっと……いいか」
 ハルヒが駅前で解散を告げた後、俺は古泉を呼び止め、話があると言って喫茶店へと向かっ
たのだが――
「取引、だと?」
 耳に飛び込んできた意外な発言に対し、思わず聞き返す。
「ええ」
 店員が置いていったばかりのアイスコーヒーに口をつけつつ、古泉は訝しげな視線を向ける
俺を見ながら頷いた。
 夕方の喫茶店の中は閑散としていたが、何となく声を潜めつつ
「古泉……お前が俺の知ってる古泉と同じじゃないってのは解ってるが、たかが相談を持ちか
けるだけで対価を支払えってのかよ」
 ここの払いだけじゃ不満なのか。
「そうではありません」
 何やら楽しそうにしている古泉は、笑顔を崩さないまま対面の席から体を乗り出すと、
「僕から見ると、僕と貴方の間には交渉の材料になりそうな接点がありませんので。このチャ
ンスを有効に活用したいと思ってるんです。それだけですよ」
 鼻歌でも歌いだしそうだな、こいつ。
「そこで取引、か」
 近寄られた分だけ体を離す俺に笑顔を向けながら、
「ええ。あえて僕だけに話したい相談事、しかもその内容は誰にも秘密にして欲しい。もちろ
んいいですよ、必要であれば僕に出来る事なら協力も惜しみません。……但し、その見返りは
期待してもいいですよね?」
 笑顔の中に本気の視線を混ぜながら、古泉はそう続けた。
 ええぃくそう。他に適任者が居ればこいつに相談なんかしないんだが……他にあてが無いん
だよなぁ。
 ――俺が古泉を頼らざるを得なくなった理由、それは今から十日程前の話になる。
 三月半ばに設定された製菓会社の販売促進キャンペーン第二弾、身も蓋も無く言えばそうな
のであろう物欲とその他色んな欲が真っ盛りなイベント。
 通俗的な名称を用いればホワイトデーがあった。
 去年までで言うなら、俺にとってそれは妹相手に喉飴でも買ってやって終わりになるだけの
どうでもいいイベントだった。しかし、今年はそうではなく……同じ部活、あるいは団員への
義理という名目によって受け取ったチョコに対する対価を準備しなければならなかった訳だ。
 しかし、現実って奴は意外と厳しい。
 意外っていうか、常時財政難だった俺にとっては当り前に厳しかった。
 相手から貰った物と同等、あるいはそれ以上の物を。そう考えた俺は財布の中身と相談し、
早々と自己解決を諦めて親に小遣いの前借り交渉に挑んだ。
 使途や送り先について、数時間に渡る取り調べを受けた対価で買えたのは、それなりの値段
で店頭に並んでいたクッキー。
「メッセージカードはお付けしますか?」
 買い物をした時、店員にそう聞かれたが丁重に辞退した。
 変に意識してるって思われても迷惑だろうしなぁ……。
 朝倉には教室で、朝比奈さんと鶴屋さん、それとハルヒには部室でそれぞれクッキーを手渡
し、長門には帰り道で手渡した。
 ああ、長門が最後になったのは俺に何か意図があった訳じゃない。単純に長門が掃除当番で
部室に来るのが遅くなったからだ。
 何処かへ連れて行くって約束もちゃんと覚えてるからな。
 長門にはそう言ってチョコを手渡した。
 でも、その時俺が本当に言いたかったのはそんな事じゃなくて、というかお返しを渡す前日
の夜から延々と悩んでいた訳で……その悩みは今もなお続いていたりする。
 俺の悩み、それは……自分が長門の事をどう思っているのか、だ。
 馬鹿みたいだって? ああ、自分でもそう思う。
 好きなら好きと言えばいい? 正論だな。
 でも俺と長門の関係はそんな簡単じゃないんだ。いや、誤解される様な意味じゃない。ただ、
色々と複雑だって意味でだ。
 考えれば考える程解らなくなる、公式すら覚えていない数学の問題と一緒で、誰かに聞かな
きゃこれ以上前に進めそうにない。そう結論付けたのが数日前。
 勉強なら国木田辺りに聞けばなんとかなりそうだが、この手の話題で頼れそうな知り合いと
なると……古泉以外に適任者が思いつかなった訳だ。
 もし、他に相談出来る相手が居ればこいつにだけは相談しなかったのは間違いない。
 そんな本音をミルクティーで流し込みつつ、俺は返答を保留したまま本題へと取りかかる事
にした。
「相談をする前に聞きたいんだが。古泉、お前……恋愛経験ってあるか」
「はい。片思いも恋愛に含めるというのであれば現在進行形で」
 いや待て。
「聞き方が悪かった。俺が聞きたいのはハルヒを除いてで、だ」
「あります」
 即答かよ。
「中学の頃に何人か付き合っていた女性は居ました。といっても、転校先で涼宮さんと出会っ
てからは誰とも連絡は取っていませんが」
 何人かときやがった。
 となれば、少なくとも俺の相談相手にはなれるって事だよな。
「もしかして、僕に相談したいというのは恋愛に関する事ですか?」
 ……多分な。
 まず、これがそれに類する悩みなのかどうか、お前の意見が聞きたい。
「解りました。お聞きしましょう」
 ああ待て。
「先に言っておくぞ、俺にはお前と違って恋愛経験が無い。だからお前から聞けば変な事を言
うのかもしれん」
 というか、多分間違いなくそうだ。
「それを承知の上で聞いて欲しいんだが……例えば、えっと。古泉、お前はハルヒが好きなん
だよな?」
「ええ」
 そう言い切れる根拠ってのはいったい何だ。
「……好意の言語化ですか、難しい質問ですね。概要だけでいいのでしたら全てとお答えする
のが適切だと思いますが、もっと具体的な返答が聞きたいんですよね?」
 出来れば、惚気にならない程度で頼む。
「解りました。どこが好き、というよりも……僕は彼女の傍に居る事が心地いいんです。例え
ば、彼女が赤い色が好きだと言ったとしましょう。すると僕も、不思議と赤い色が好きに思え
てくるんです。ただ彼女に合わせているのではなく、本心からね。そんな彼女がもし、僕の事
を好きになってくれたなら……さて、僕はどうなってしまうんでしょうね。想像も出来ません。
愛の形とはある意味で人類の最大のテーマとも言えますから、僕には荷が重すぎます。ですが、
今の僕が彼女に対して抱いている感情を言語で表すのなら、恋という言葉以外に適切な物が見
当たらないんです」
 わ、解った。もういい。
 勢いでテーブルの端にあったソルトと書かれた小瓶を掴んでいた俺を誰が責められよう。
「そうですか? まだ御説明出来ますが」
 いや、十分だ。っていうか十二分だ。
 思わずレシートを掴んで席を立ちたい衝動にかられたが、ここで帰ったら何の為にこいつを
ここに呼んだのか解らなくなる。
「えっとな……その、お前の今の話程じゃないんだが……。今、俺には一緒に居て楽しいって
思える奴が居るんだ」
 手元のミルクティーを無意味にかき混ぜつつ、話を続けた。
「はい」
「それが友人としてなのか、そうでないのかは解らん。ただ放ってはおけない感じがするから
目が離せないってだけなのかもしれん」
 正直な所、それは多少なりともあるんだとは思う。
「でも、何て言うか……その。もし、そいつが困っていたら助けてやりたくて、その助ける奴
が俺であったならいいなって……すまん、上手く言葉にならん」
 誰にぶつけていいのか解らない葛藤を抑え込もうと、俺は既に冷え切っていたミルクティー
を喉に流し込んだ。
 言い終えた俺に対しずっと沈黙を守っていた古泉は
「……」
 何故だろう、何とも言えない顔で俺を見守っていた。
 馬鹿にしているのでも、喜んでいるのでも、かと言って怒っているでもない。元の世界でも
見た事が無い表情をしていた古泉は
「これは……困りものですね」
 溜息と一緒に、そう呟いた。
 何が困るって?
 俺がおかしな事を言ってるからか。
「いえ、そうではないんですが……。僕は今、貴方の告白に対して喜べばいいのかどうか迷っ
ているんです」
 告白って、俺は懺悔したつもりはないんだが。
 苦笑いの後、暫くの間古泉は言葉を選んでいた様だったが、結局まとまらなかったらしく首
を横に振った後、
「……素直に、喜んでいる自分を認めるべきなんでしょうね、ここは」
 何かを納得するかの様に頷いて、テーブルに体重を預けるように肘をついて手を組んだ。
「結論から言えば、イエスです。貴方のお話を聞く限り、それは恋だと――」
 やけに真剣な口調で古泉がそう切り出した時、突然俺の後ろの席の客が立ち上がった。って
いうか音の勢い的に飛び上がったって感じか?
 テーブルに足をぶつけたらしく、派手な音を立ててその場に立っていたのは
「あ」
 目と口を丸くしたまま硬直している、さっき駅前で別れたはずの団長さんと目があった。
 ……何で驚かないんだろうな、俺。色々と麻痺しちまってるんじゃないか? 常識とか感情
とか、こう、平凡な人間として必要な物がさ。
 立ち上がったままのハルヒも、肘をテーブルに付いたままの古泉も、まるでここだけ時間が
止まってしまったみたいに固まっている。
「……」
 補足で、ハルヒのオーダーしたらしいケーキを持ったウェイトレスさんこの場に居るんだが、
この状況を前に声をかけていいのか解らないらしく困惑顔だ。
 試しにハルヒの頭にコーヒーカップでも乗せてみようかと馬鹿な事を考えていると、
「ふ、二人とも安心しなさい? 別にあ、あたしは気にしないからね?」
 何をだ。
「男の5%くらいはそうだって言うし、ふ、普通じゃないからってあたしは偏見の目で見たり
しないつもりよ? その、まあ……選択肢は多い方がいいんだろうし、これはライバルと考え
なくてもいいと思うから」
 頼むから、少しは主語を交えて会話してくれ。
 ったく、この前の朝倉といいハルヒといい、最近は盗聴が流行ってるのか?
 席から立ったままのハルヒを睨みつつ、
「……で、いつから聞いてたんだ」
「つい、さっき」
 そうかい。
 素直に認めるだけ朝倉よりはマシだな。
 ハルヒの言ってる事が本当かどうかは解らんが、結構小声で話してたから全部聞かれたって
事は無いだろう。そうであると思いたい。
 運良く長門の名前を出さなかった事を心底ほっとしていた俺の後ろで、
「でもまさか、ジョンが古泉君も好きだった何て……意外だったわ」
 ……今のは空耳か。
 反応してやるのも面倒で、振り返る事すらしなかった俺とは対照的に
「すっ涼宮さん? あの、何か誤解をされていると思うんですが」
 おお、珍しい。古泉が慌ててる。
「いいの! うん、あたしって理解力ある方だと思うから心配しないで」
 ダウト。
「違うんです! 僕が彼から相談されたのは……その、内容は言えないんですが」
「ま、まあそうね。うん。女のあたしには解らない世界の話だとは思うわ」
「そうじゃないんです?!」
「気にしないで話を続けて! あたしは席を外すから」
 何かを誤解しているらしい作り笑顔のハルヒと、
「待って下さい! あの、お願いですから話を聞いて下さい!」
 半ば錯乱しかかっている古泉が追うようにして席を立ち、二人が店を出て行った所でようや
く店内は静寂を取り戻した。
 やれやれ、いったい何だったんだろうな。
 無駄に疲れだけが増えた気がする……ここに何しに来たんだっけ、俺。
 重くなった気がして自分の肩を揉んでいると、
「あの……」
 困り顔のウェイトレスさんがケーキを手に俺を見ていた。
 ああ、ちょうど良かった。甘い物が欲しいと思ってたんです。
 ハルヒに掛けられた迷惑料代わりにとケーキを受け取り、フォークで切り取った一口目を口
に入れた所で、
「――失礼します」
 テーブルの端に置かれたレシートに、ウェイトレスさんがもう一枚のレシートを重ねて去っ
て行く姿が目に入った。
 あ、ハルヒと古泉もレジの横を素通りしてた……な。
 恐る恐る手に取った二枚のレシート、そこに書かれていた金額の合計。
 一枚だけならなんとかなるものの、二枚分となると俺の所持金よりも多いのだが――試しに
かけてみた古泉、国木田、谷口の携帯は尽く繋がらず――暫くの熟考の後、俺は食いかけのケ
ーキへとフォークを刺した。

 恋愛相談をするはずが、結果的には無銭飲食をする羽目になり、店長さんに素直に事情を話
した所、急に店が混み始めて洗い場を任され、その結果何故か店長に気に入られてバイトの口
が見つかってしまったりした本末転倒な事件から、数日が過ぎていた。
 事前予告も無しに春休みは終わっていたらしく、久しぶりに学び舎へと出頭する為、俺は今
通いなれたいつもの坂道を上っている最中だ……が。
「……」
 何だろう、何かがいつもとは違う気がする。
 この坂を登るのも数週間振りだから足が痛いってのもあるが……これがデジャヴって奴なん
だろうか。視界に入る風景も、そこを歩く生徒の姿も、以前にも同じ様な光景を俺は見た事が
あるような……。
 考えるまでもなくそれは当り前の事のはずだ。この坂道を登るのも初めてじゃないし、登校
の光景なんて見飽きている。それでも、何となく釈然としない気持ちを抱えたまま、俺は黙々
と坂道を登りつづけた。
 自分が主役ではない入学式を終え、新しいクラスへと入る。といっても、殆ど入れ替わる事
の無かったクラスメイトを前にそれ程緊張するはずも無く
「――どうぞ、よろしくお願いします」
 無難な内容の自己紹介を終えた俺は、無難に新たなクラスの一員となった。
 新しい席が窓際じゃなかったのは多少不満ではあるが、まあそれくらいは仕方ない。
 がたつく音を立てながら席につくと、俺の後ろの席で誰かが立ち上がる音が教室に響く。
 そして――
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世
界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
 この、一度聞けば数十年は忘れられないであろう自己紹介を、俺は再び背中越しに聞く事に
なった。
 あの時も笑う所かと思ったが、やはりこれは笑うべき所なんじゃないだろうか。そうすれば、
俺が知っているのとは違う日常があったのかも……無いか。
 俺は溜息と共に、後ろの席を振り向いた。
 クラス中から集まる奇異の視線を気にする様子もなく前方を見つめ、何か面白い物はないか
と視線を向ける仕草。何て言うか、ここまであの時と同じだとまるで自分がタイムスリップし
ちまった様な気がするぜ。
 初めて見たあの日と同じ、ハルヒの白い候はやはりまばゆかった。端的に言うならばそう、
えらい美人がそこにいたよ。
 そんな傍観者みたいな感想を抱きつつ、沈黙の妖精がクラスの中をハイテンションで飛び交
う中、北高の制服を着たハルヒの姿を暫く眺めていると
「――はーいおっけーです! みんなご協力感謝感謝〜。ハ〜ルにゃんナイス演技っ! キョ
ンくんも自然な感じで良かったよ〜」
 教壇に立つ岡部の――ああ、また担任は岡部だった――隣でハンディビデオを構えていた鶴
屋さんは、俺とハルヒに向けて親指を立てて見せている。
 さて、察しのいい人にはもうお解りなのだろうが、これは例の映画の撮影だ。
 臨場感が欲しいという鶴屋監督の提案により、登校中から入学式の様子、このクラス替えの
シーンも全て実際の行事に合わせて撮影されている。
 いったいどんな交渉をすれば、たかが一部活の活動で撮る自主製作映画に学校側がここまで
協力してくれるのだろうか。
「ほらほら見てみて? 岡部先生もおっとこ前に撮れてるよっ」
「お。そ、そうか?」
 腕を絡まれて鼻の下を伸ばしている岡部を見る辺り、鶴屋さんにとっては簡単な交渉だった
のかもしれない。
「ちょっと、ジョン」
 ん。
「今ので良かった?」
 今のって……何の話だ。
 振り向いた先ではハルヒが不満そうな……まあ、ある意味俺が初めてハルヒを見た時と同じ
様な顔で俺を見ていた。
「自己紹介。あんなんでよかったの」
 ああ、その事か。
「上出来だったと思うぞ」
 さっきのクラス中の空気が凍った様な感じとか特に。
 鶴屋さんのアイディア通り、あえて詳しい撮影内容を説明し無かったのは正解だったんじゃ
ないだろうか。
「……で、この後は何だっけ」
 次は、確か。
 机の引き出しから取り出した台本――作成者、朝倉――には、
「ホームルームの後、お前の髪形が何度も変わるシーンを取るみたいだぞ」
 休み時間に涼宮さんの日替わり宇宙人対策を撮影、とある。
 ちなみに渡された台本は僅か数ページ、今日の撮影分だけしかない。その日の台本は当日に
渡されるまでは秘密って事なんだが、単に朝倉担当の台本作成が間に合ってないという可能性
も否定出来ない。
「じゃあ、次の休み時間まではあたしは休憩って事?」
 そうだろうな。
 これからホームルームだし。
「そ」
 映画の撮影前は無意味にご機嫌でハイテンションを常に維持していたハルヒだが、今日は何
故か機嫌が悪そうだ。
 気合を入れ過ぎて、クランクイン前に燃料切れでも起こしたんだろうか。
 やっぱり映画は止めておくか? 試しにそう聞いてみようかと考えていると
「校舎の中を探検してくる」
 不満そうなままの顔ハルヒは席を立ち、教室を出て行った。

 ホームルームと一時間目が終わった次の休み時間、ハルヒと一緒に鶴屋さんと朝比奈さんが
やってきた所で撮影再開となった。
 次は、魔がさしてしまった俺がハルヒに話しかけてしまったあの時の事らしい。
 台本にはこのシーンについて台詞以外にこう注釈がある「さりげない振りをしようとしてる
んだけど失敗してる笑顔を浮かべながら」
 明確な悪意を感じるな、これは。
 まあいい、朝比奈さんと鶴屋さんを待たせる訳にはいかないし、とりあえず撮影の方に集中
しよう。朝倉への報復は後回しだ。
 はい、カメラオン。
「――なあ、しょっぱなの自己紹介のアレ、どのへんまで本気だったんだ?」
「自己紹介のアレって何」
 道路標識でも見ている様な表情、つまりは不機嫌なハルヒの顔がそこにある。
「いや、だから宇宙人がどうとか」
「あんた、宇宙人なの?」
 まさか。
 広義的に考えれば地球人も宇宙人だ、なんて解釈でこいつが納得する訳もないだろう。
「……違うけどさ」
「違うけど、何なの」
「……いや、何もない」
「だったら話しかけないで。時間の無駄だから」
 ハルヒの断言する様な口調に俺が溜息をついた所で、鶴屋さんのオーケーが出た。
 俺の人生史上における最悪のファーストコンタクトの再現、ここに終了。
 しっかし、よくもまあこんな出会い方をしておいてまた話しかける気になったよな……俺。
「ねえ」
 何だ?
「……ジョン、あたしってあんたに本当にこんな事言ったの?」
「ああ」
 俺の記憶が正しければこんな感じだったぜ。
「よくまた話しかけようなんて思ったわね」
 呆れ顔のハルヒは、俺が思ったのと同じ感想を口にした。
 それなりに長い時間ハルヒと一緒に居る俺ですらそう思うんだ、そりゃあそうだろうよ。
 俺とハルヒの会話が途切れた所で、ビデオの代わりにブラシと髪留めを手にした鶴屋さんが
やってきた。この休み時間の間に次のシーンも撮るつもりらしい。
 ハルヒが準備している間、俺にする事は無い訳で
「しっかしよ……相変わらず見かけだけは満点だよな、涼宮って」
 その場に居ても邪魔だろうから窓際で休んでいると、暇そうな顔をした谷口と、同じく暇そ
うな顔の国木田がやってきた。
 多分、俺も似たような顔をしているんだろう。
 谷口が言うように、ああして静かに座ってる限りで言えばハルヒは朝比奈さんにも引けを取
らないってのは解るさ。そこだけを考えれば、古泉が盲目的になってるのも解らんでもない。
 そこだけを考えればな。
「あの人って3年の鶴屋さんと朝比奈さんだよね、あの二人も文芸部員なの?」
 ああ。
「このメンバーに朝倉と長門有希だろ? ……これで涼宮さえ居なけりゃ、俺も文芸部に入る
んだがなぁ」
 谷口、お前の部活を選ぶ基準は何だ。
「はぁ? 聞くまでもねぇだろ」
 ……ああ、無いな。
 聞くだけ無駄な質問だったよ。
 この分だと、ハルヒは文芸部に押し掛けてきてるだけで部員じゃないって事は言わない方が
よさそうだ。
「なあキョン」
 何だ、顔が近いぞ。ついでに顔つきが怪しいぞ。
「涼宮には今、付き合ってる奴が居ないって話、あれは本当か?」
 本当も何も、どっから聞いてきたんだそんな話。
「いいから教えろって、な?」
 普段より一割ほどひつこい谷口を押し返しつつ、
「ハルヒの恋愛状況なんぞ知らんが、それらしい相手を見た事は無い」
 これで満足か?
「そ、そうなのか……じゃあ、あれはマジなのかもしれんな」
 谷口がぶつぶつと独り言を呟いている間も、ハルヒの髪形はどんどん愉快に進化し続けてい
た。それに合わせてギャラリーの数も増えているのだが、ハルヒは素知らぬ顔で窓の外を睨ん
でいる。
 自分の割り当てられた役柄を演じきっているのか、それとも他人に興味が無いのか……多分
後者なんだろうなと思いつつ、谷口や国木田の雑談に耳だけ貸していると
「でもさ、本当に凄いメンバーだよね。キョンは文芸部の女子だと誰が好き?」
 結構距離があるから国木田の発言が聞こえるはずはないんだが、一瞬ハルヒがこちらに視線
を向けた気がした。
 安心しろ、古泉じゃない。
「俺はやっぱり朝比奈さんだな。可愛すぎて近付き難いってのはあるが、ファンで居るにはそ
の方が都合がいい。もしあの外見で中身が涼宮と似たり寄ったりだったりしてみろ? 俺はマ
ジで憤死する自信がある」
 都合の悪い愛などあるか。
 聞かれてもいない自論を答えている谷口と
「僕は長門さんかなぁ。ここ最近、何だか急に可愛くなった気がするし。あ、そういえば昨日
のテレビでさ、朝比奈さんによく似たタレントが出てて」
「お、おいそれマジかよ?!」
 国木田の話に谷口が食いつき、二人の話題はここ最近の芸能人へと逸れていく中、ハルヒの
頭には四つのおだんごが出来ていた。
 四ヶ所結んでるって事は金曜か、そろそろ終わりだろう。
 俺は雑談で盛り上がる二人を残し、自分の席へと戻った。
「あっキョンくんまだハルニャンを見ちゃ駄目〜。ほらほら、良い子は廊下に出た出た!」
 あの。見ちゃ駄目も何も、さっきからずっと見てたんですが……。
 席に戻った途端、やたらと楽しそうな鶴屋さんに目隠しされながら教室から押し出され、
「そいじゃあ、今からシーン7くらいを始めます!」
 どうやら撮影再開らしい。
 台本によれば……ふむ。俺がハルヒの髪型が変わる理由を告げて、二人が話をするようにな
る……か。台本のページに書かれているそこに至るまでの会話の流れも、俺の記憶に一致して
いる。
 ちなみに、俺はこんな詳しい所までみんなに話した覚えは無い。恐らくは台本作成者の創作、
もしくは盗聴の成果なのではないかと推測される。
 素知らぬ顔でクラスメイトと談笑を続けているその当事者は、俺の冷たい視線に気づく様子
も無い。
「みくる〜カメラおっけい?」
「は〜い」
 そう返事を返しつつ、教室の入り口に立つ俺の背後に立ち、殆ど押し付けるような距離でハ
ンディビデオを構える朝比奈さん。
 ズーム機能を御存じないんだろうか? いやいや、まさか……でも。
 普段よりずっと近い朝比奈さんとの距離に気恥ずかしい物を感じる中、視線の先では口パク
で「アクション」と叫びながら鶴屋さんはメガホンを振り下ろした。
 いったいどこから持ってきたんだろう、あのメガホン。
 

 廊下から自分の席へと戻る途中、視界に入ったのは髪を四ヶ所結ったハルヒの髪形で、そう
いえばあの時は確か二ヶ所だったような……何て事を考えている間に席に辿り着いてしまった。
 とりあえず席に座り、振り向く。
「曜日で髪型変えるのは宇宙人対策か?」
 あーあ、言っちまった。
 ……そう、恐らくはこの発言がきっかけとなって俺の日常は終わりを迎えたんだろう。止め
を刺してしまったのは別の会話だった気がするが、終わりの始まりはこの時だったんだ。
「いつ、気付いたの」
 そう言われればいつだったんだろうな。
「んー……ちょっと前」
「あっそう」
 面倒くさそうに相槌を打ち、
「あたし、思うんだけど、曜日によって感じるイメージってそれぞれ異なる気がするのよね」
 ハルヒと初めて会話が成立したのはこの時だった様な気がする。
「色で言うと月曜は黄色。火曜が赤で水曜が青で木曜が緑、金曜は金色で土曜は茶色、日曜は
白よね」
 まあ、何となくその発想は解る気もするんだが、
「って事は、数字にしたら月曜がゼロで日曜が六なのか?」
「そう」
「俺は月曜は一って感じがするけどな」
 曜日を数える時は月曜から数えるだろ?
「あんたの意見なんか誰も聞いてない」
「そうだな」
 確かに、お前が俺に意見を聞いた事なんて一度も無い。
 台本通りの適当な返答を返した後、俺はハルヒの視線を顔に感じつつ次の台詞を待っていた
のだが
「あ……ねえ! 曜日で髪形を変えてたのが宇宙人対策だって何で解ったの?」
 それまで無表情だったハルヒが突然笑顔になって聞いてきたのは、台本に書いてあった台詞
とはまるで違っていた。
 おい、ハルヒ。
 カメラに写らない様に机の下で台本を指さしてみたが反応無し。これはNGだろうと思った
が……視線を送ってみた先で、鶴屋さんは両手で丸を作っていらっしゃる。
 このまま続行って事ですか? いきなりアドリブとか言われても――まあ、いきなりだから
アドリブなのか。
 まあいい、これでカットになってもハルヒのせいだろ。
「曜日ごとに決めたメッセージを送れば、それに宇宙人が気付くかもしれない。とかか」
 人間にも曜日が意味するイメージを読み取れる奴が居る、みたいな感じでさ。
「ん〜……60点ね」
 高いのか低いのか解らん採点だな。
「でもまあ一応合格にしてあげるわ」
 そいつはどうも。
 っていうかテストだったのかよ。
「これの意味が解るって事は、あんたも宇宙人に興味があるって事でしょ?」
 そういいつつハルヒは自分の頭に並ぶお団子を指さして見せた。なんいうかさっきから無意
味にご機嫌だ、いったいこの会話の何が楽しいんだろうか。
「ジョンも何かやってみた事あるの?」
 何かって、何をだ。
「例えば……宇宙人の捕獲とか!」
 そんな経験があったらここに居る訳ないだろ?
 俺に覚えがあるのはUFO探して空を睨んでたり、幽霊や妖怪を探しに心霊スポットに出か
けたり……ああ、そういえば。
「お前のその髪形と似た様な事をやった覚えがあるな」
 確かあれは、小学校の夏休みだった様な気がする。
「へ〜。それってどんな?」
「さっき俺の中の曜日のイメージの数字を言っただろ? あの回数だけ夜中に月に向かって懐
中電灯の光を向けてたのさ」
 月曜なら一回、火曜なら二回ってな。まあその頃読んでた雑誌の受け売りなんだが。
「で、結果は?」
 なかった。お前風に言うなら、全然なかったよ。
 そもそもこんな事で気軽に宇宙人とコンタクト出来ちまったら、NASAが仕訳されちまう。
「ふ〜ん。実はあたしもね、ジョンが今言ったのと同じ事をやった事あるの。回数とかは違っ
たけど」
 そうかい。
「ちょっと?! そこは結果はどうだったって聞く所でしょ?」
 へいへい。
 で、結果はどうだった。
「なんにも。懐中電灯じゃ光が弱いのかなって思って工事現場に置いてあったでっかいライト
まで使ってみたけど、結局何も起こらなかったわ」
 お前、今さらりと問題発言しなかったか?
「ちゃんと現場に居たおっちゃんに許可は取ったわよ。ついでに作業もやってもらったし」
 それはそれで作業妨害な様な気もするが……まあいいか。
「……」
 ハルヒは笑顔を保持したまま、じっと俺の顔を見つめている。
 なんだよ、俺の顔に何かついてるか?
「あたし、あんたとどこかで会ったことがある? ずっと前に」
 ようやく台本通りの台詞が返ってきた。
「いいや」
 と、俺は台本通りに答えた所で、それまで待ってくれていたかの様なタイミングで予鈴が鳴
り始め……再びハルヒの笑顔から笑顔が消えた。
 何なんだろうな、この精神の不安定さは。

「そいじゃあ! クランクインを祝して……乾杯!」
 鶴屋さんの声に合わせて、テーブルの上で賑やかな音を立てるいくつものグラス――ちなみ
にグラスの中身は水。
 ハルヒとの出会いのシーンを撮ったあの後――新年度の行事の説明や、各種委員や担当の割
り振りを終えた所で本日の課業は無事終了。
 正午近い時間に学校を出た文芸部の面々(俺を除く)は今、駅近くにある喫茶店の一角に陣
取っている。
 何故そこに俺が含まれないのかと言えば、現在俺はバイト中だからである。
 では何故俺がバイト中なのにその場の事が解るのかと言えば、俺がみんなの座るテーブルの
前に立っているからである。
 結論だけを言うのであれば、俺のバイト先にみんなが押し掛けて来た。以上。
 原因を言うのであれば、今日は午後からバイトが入っている事をうっかりハルヒの前で言っ
てしまった俺の失言にあるのだろう。
 古泉はバイトだって言えばいつも抜け出せてたってのに……何でだ。
「えっと……ご注文は」
 色々と釈然としない物を感じつつ、俺は職務に従いオーダーを取ることにした。
「ジョン、あんた意外とエプロン似合うのね」
 俺の腰に巻かれた黒いエプロンを手に、ハルヒは意外そうな顔をしている。
 そうかい。で、注文は。
「うんうん。何だか着慣れてるって感じっさ」
 喜んでいいのか解りませんが、ありがとうございます。
「あの、凄く可愛いですよ」
 そうですか? でしたら是非、朝比奈さんにも着て頂きたいんですが。
「本当。キョンくんっていい主夫になりそうよね」
「同感です」
 朝倉と古泉は水のみ……と。
 ああそういえば、始業式をさぼったハルヒと違って古泉はちゃんと式に出たらしいぞ。どう
でもいいが。
 長門、お前は何にする。
「あ……」
 それまでメニューを覗き込んでいた長門は、慌てた様子でメニューと俺の顔の間で視線を往
復させ始めた。
 そんなに焦らなくていいぞ? 見てて飽きないしさ。
「有希、安心しなさい。ここの払いは経費で落とすから思う存分食べていいからね」
 そいつは素直に助かるな。
 給仕から支払いまでさせられたんじゃたまったもんじゃない。
「じゃあジョン、人数分のケーキバイキングとドリンクバー。それとスマイルね」
 おいハ……お客様? 今注文されたメニューは当店にどれ一つとして存在しないんですが。
 そもそもここはファミレスじゃなくて喫茶店だ。
 背後で店長がくすくす笑っている声が聞こえる中、
「それと、スマイルはケーキの前と後でいいから」
 妄言の追加はご遠慮ください。
「ま、せいぜい店の売り上げに貢献してくれ」
 やれやれと手を振ってカウンターへと戻ろうとした俺の制服を、ハルヒの手が掴んでいた。
「ジョン。さっさと笑わないとスマイルを持ち帰りにするわよ」
 ……なるほど、これがクレーマーって奴か。初めて見たがやっかいだな。
 ここで素直に笑ってやるのと、無視して店内で騒がれるのとどっちがマシか。
 比べるまでもない選択肢なんだが、この言い様のない敗北感はいったい何なんだろう。
 職業に貴賤は無い、職業に貴賤は無い、職業に貴賤は無い……よしっ。
 色々と言いたい言葉を無理やり飲み下し、どうせなら某フランチャイズチェーンでもこうは
いかないであろうスマイルを見せてやろうとした時、
「やっぱいいわ。さ、みんなでケーキ選びに行きましょう!」
 ハルヒは俺の顔など見向きもせず、みんなの手を引いてケーキのあるカウンターへと去って
行くのだった。
 ちくしょう。
 

 入店30分を過ぎた時点でストックされていたケーキが全滅、店長が厨房に入った所で、俺
は再び例のテーブルに呼び出される事になった。
「遅いっ!」
 へいへい。店内では笑顔で怒鳴らないでください。
「で、注文は」
 この時間は忙しいんだから手短に頼む。
「涼子が、あたしとあんたに聞いておきたい事があるんだって」
 朝倉が?
 それまで鶴屋さんと一緒になって長門をケーキ攻めにしていた朝倉は、
「あのね? 映画の話なんだけど、涼宮さんの髪型ってどうしようかなって思って」
 そんな事を言い出した。
 ハルヒの髪形? ああ、そうか。
 長かった髪を急に切ってしまったのは、確かこの頃だったっけ。
「え、ジョンの知ってるあたしって髪を切ってるの?」
 ああ。
「今のお前くらいの長さだったのを、いきなり肩の辺りまでばっさりだったぞ」
 何でだったんだろうな、あれ。
「ふ〜ん」
 ハルヒは興味深そうな顔で、ストローを介してクリームソーダの中に呼気を注ぎ続けている。
 テーブルが汚れるから止めてくれ。
「キョンくんの記憶に合わせるか、それとも髪型はこのままで行くのか。どっちにしよっか?」
 ん〜そこはハルヒの希望でいいんじゃないか。
 別に髪型が関係した出来事なんて無かったんだしさ。
 当事者であるハルヒへと視線を戻すと、ハルヒは何か言いたげな顔でストローを銜えたまま
俺の顔を見上げていた。
 暫しの沈黙、俺が好きに決めておいてくれと言い残してその場を去ろうとした時、
「ジ、ジョンは、どっちがいい?」
 立ち去ろうとした俺の気配を感じたのか、ハルヒは慌てた口調でそう聞いてきた。
 どっちって、短いのと長いのではどっちがいいかって事か?
「そう」
 正直な所で言えば、どっちでもいい。
 どっちもハルヒに似合ってたしな。
 でもまあ、どちらかを選べと言うのであれば、
「今のまま髪型の方がいいんじゃないか」
 ポニーテールをするにはその方がよさそうだからさ。
「……そ」
 俺の返答を聞いたハルヒは俺から視線を逸らすと、再びクリームソーダに酸素を送る作業へ
と戻った。
 だから止めてくれって。
「ねーねー! 映画の記念にみんなで写真撮ろうよ!」
 ハルヒの隣に居た鶴屋さんは、そう言いながら撮影に使っているビデオを差し出してきた。
 ええ、いいですよ。
 これくらいのサービスなら店長にも怒られないだろうし。
 撮影モードをカメラに……よし。みんながフレームに入るとなると結構下がった方がいいよ
さそうだ。
 他のお客の迷惑にならない様に後ずさりしていると、
「ちょっとちょっと? キョンくんはこーこ」
 鶴屋さんは自分とハルヒの間を指さしている。
 ちなみに二人の間にスペースは無い、いったいどこに座らせるつもりなんだろうか。
 面積的な問題を指摘すると斜め上の返答が来そうな予感がしたので
「距離が無いと全員が入りませんから」
 無難な返答にしてみたのだが。
「店長さんに頼んじゃおうよ。すみませーん!」
 へっ? 
「カメラお願いしま〜す」
 あ、その……すみません。
 笑顔で頷いている店長にカメラを手渡し、俺はハルヒの横の通路にしゃがみこむと。
「ちょっとジョン。もっとこっちに寄りなさいよ」
 あ、おいハルヒ? 待て?
 急に引き寄せられた俺が体勢を崩した瞬間、狙ったかのようなタイミングでカメラのフラッ
シュが光った。

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:46 (2708d)