作品

概要

作者ケット
作品名危なかった
カテゴリー消失長門SS
保管日2010-09-08 (水) 20:42:09

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

 ハルヒたちと騒いで遅くなった帰り、みんなとばらけて長門と、大丈夫な道だと思っていた。
 いきなり背後から殴られ、メガネを踏み砕かれる音で意識が戻った。見えたのはドアの開いたミニバン、引きずられようとする長門。
 おれはとっさに引きずっている男に体ごとぶつかり、突き飛ばして長門を抱きかかえた。
 向こうの長門ならともかく、こっちの長門に……背筋が寒くなり、一瞬あのとき「N」キーを押したことを後悔する。
 背中に激しい衝撃、息が詰まる。崩れる体の下に長門の小さい体をかかえこみうずくまる、そこに、激しい打撃が繰り返し入る。腎臓の痛みは吐きそうになるんだな。
 離すものか、死んでも!
 後頭部を思い切り踏まれ、その衝撃で顔がコンクリートに叩きつけられ、気が遠くなりそうになったとき……
 強烈な声を聞いた。
 かすかに見上げた目に、ハルヒ、古泉、それに朝倉、鶴屋さん……
 なんとなくもう安心だな、という気がして、ふっと意識が消えた。

 気がついたら、とても暖かい枕の上だった。見上げてみたら泣いている朝比奈さんだった。
 久しぶりに見た眼鏡をしていない長門が、ボロボロに泣きじゃくり、必死の表情でおれの顔を濡れたハンカチでぬぐってくれている。
 泣くなよ。ごめん、泣かせちまって。
 そう差し伸べた手に、長門がすがりついて頬をすりつける。
 そっとその頬をなでてやるが、激しい痛みがまた……
「よかった、無事で」
「まったく、なに油断してるのよこのバカキョン!」
 長門の肩を後ろから触っているハルヒの罵声がむしろ心地いい。その袖がもげかかっている。
「そうよ、長門さんに危ない思いをさせて……まああんな道で襲われるなんて普通思わないのもわかるけど」
 朝倉の、本気で心配しているような憔悴した表情と顔から肩を染める血、その顔の大きな青あざに背筋が凍る。
「でもまあ、時間を稼いでいただけたおかげで助かりましたよ。お話のあちらの世界とは違い、我々は特殊能力や背後の組織などないのですから……」
 古泉も唇が切れていた。
「そうそう、キョン君のおかげっ!」
 見上げた鶴屋さんは無傷でいつもながらの笑顔、わしわしと頭をなでてくれた。
「よかった……無事で。この借りはなんとしても」 特に朝倉、女の顔を傷つけてまで……
「団員を守るのは当たり前でしょ!このあたしはSOS団の団長なんだから!ほら有希、いつまでも泣いてないで」
 と、ハルヒが怒鳴って、おれの手をつかんで引きずり起こした。
 痛いが何とか立てる。
「ホントは病院行ったほうがいいんだけど、ちょっとやばいんでねぇ……今夜は古泉君が泊まって様子見てくれる?」
「はい、かしこまりましたよ。美女の看護じゃなくて申し訳ありませんね」
 古泉のいつもながらの笑顔も、膨れ上がって切れた唇で台無しだ。

 後に聞いた……おれの悲鳴に、坂の上に飛び出したみんながそれを見た。
 まずハルヒと朝倉が、朝比奈さんに動くなと言って全速力で駆け出す。
 古泉が携帯を手にしたが、朝倉の手にあるものを見てやめ、見回したときにはもう鶴屋さんがそこらの自転車から鍵がかかってないのをみつけた。
 古泉も別の自転車のキーを壊し、二人でハルヒと朝倉を追い越して、全速で特攻した。自転車と歩行者の接触事故で、年に何人も人が死んでいる。
 それで壁になっていた二人をふっとばし、古泉が着地しながらおれ(とその下の長門)に覆いかぶさるように蹴りつけている男を殴った。強烈に殴り返されて吹っ飛ばされたが、そこにハルヒのドロップキックで一人目はKO。
 追いついた朝倉が、おれの体の下から長門を引きずり出そうとしていた男に、迷わず折り畳みナイフを逆手で突き刺したとのことだ。
 そこに、自転車にはねられた男が起き上がって血に切れて、横から朝倉をぶん殴ったらしい。
 で……鶴屋さんが全員目や、男の急所をはたいたかと思うとコンクリートに頭から投げ落とすのを繰り返したそうだ。
 ミニバンの運転手が降りてきて古泉が殴りかかり、鶴屋さんの言葉によれば絶対的なスピードの差で翻弄していた、ハルヒが闘牛よろしく突っこんで頭突き一発突き倒して頭をふんずけ、そのときに袖がもげたとのことだ。
 あとは全員ミニバンに詰め込んで……あとは古泉が言わないので聞かなかった。まあ鶴屋さんもいるし、いろいろな意味で大丈夫だろう。
 長門は朝倉が抱き上げ、おれはハルヒと古泉が二人がかりで公園まで運んだとのことだ。

 とにかく長門が、それにみんなも命はあってよかった、大事なのはそれだけだ。
 もう二度と長門を危ない目に合わせはしない……そして、「Enter」キーを押してたらどうなっていたかは考えない。大事な仲間なんだから。

 


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:46 (2731d)