作品

概要

作者書き込めない人
作品名続・もう一つのSOS団
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2010-04-04 (日) 22:01:52

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

週末に行われた理不尽な徴収のおかげで、
懐の体感温度が急激に下がったことを嘆きながら、
それでも何とか6時間の授業を受け切った俺は、
いつものように紙媒体が棚に並ぶその部屋に向かっていた。

 

と言っても目的地は図書室や職員室などではなく、
校舎の一角にある狭い狭い部屋なわけだが……

 

そんなことを考えながら歩いていると、
ふと前方に見覚えのある人影が立っているのが目に入った。

 

「おんや?」

 

俺の視線に気づいたのか、
向こうも長い髪を振り流しながらこちらに寄ってきた。

 

「何やら熱〜い視線を感じると思ったら、
みくるファンクラブの子じゃないかいっ!?」

 

「それは誤解だって言ったでしょう。鶴屋さん」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

俺の不平に腹を抱えて笑いながら謝る豪快な先輩。
『笑いながら謝る』という行為がこれほどしっくりする人も珍しい。
同じ行為でも谷口がしたらウザさ3割増だろうな。

 

とりあえずこのお方に謝られたら、
免罪符を持っているのに地獄送りにされても許さざるをえまい。
というわけでこちらも謝っておくことにする。

 

「いや、こちらこそ人違いで朝比奈さんに迷惑をかけてすみませんでした」

 

「いやいや、人間みんな間違いだってするっさ。
君が人違いしたのは、きっとみくるの双子の妹のみちるだね!」

 

朝比奈さんに双子の妹なんていたのか。初耳だな。

 

「うんにゃ、みくるの妹なんて知らないよ?」

 

「ちょ」

 

そんなさらりと嘘をつかないでもらいたいです。
危うく『おまwww自重wwwww』とか言いそうになったじゃないですか。

 

「まぁ、でもあん時は手首握って悪かったにょろ。
もう痛くないかい?」

 

「おかげさまで。この通りぴんぴんしてますよ」

 

手首に『ぴんぴん』しているという表現が合うのかどうかわからないが、
とりあえず俺は手首を軽く振って健在をアピールする。

 

「それは良かったっさ。
か弱い女の子が握ったとはいえ、怪我でもしたら大変だからねっ!」

 

普通『か弱い女の子』には相手の骨が軋むまで握りませんよ。
正直手首が外されてしまうかと……

 

「うん?何か言ったかい?」

 

「いえ、鶴屋さんがか弱い女性で助かったと思っただけです」

 

「ふ〜ん?何だか不穏なことを考えてそうな顔だったけど」

 

「き、気のせいですよ、きっと……」

 

だからその握った拳を開いていただきたい。
そんなに握力の測定がしたいのなら、
放課後ではなく体育の時間にやることをお勧めします。

 

「まぁ、いっか。ところで今からどこか行くのかなっ?」

 

鉄菱をかたどろうとしていた右手を開くと、
笑顔の似合う先輩はそう訪ねてきた。

 

「えぇ、今から文芸部室に行って」

 

「大人しい美少女と二人きりの密室で、
あんなことやこんなことしちゃうにょろ?」

 

「勝手に変な予定を作らないでください。
部活しに行くだけです」

 

確かに二人きりではあるが、
鍵をかけたりしないので密室になったりしない、
ただ、二人で静かに読書するだけだ。

 

「ほんとに?」

 

嘘をついてどうするんですか。
いや、そりゃ俺だって

 

「できるならあんな可愛い娘といろいろヤりたいな〜」

 

「変なモノローグも作らないでください。
そんなこと全然思ってないですから」

 

そう反論する俺に、
鶴屋さんはあり得ないこと言ってきた。

 
 

「それは長門っちに魅力がない、ってことかい?
酷いこと言うにょろ」

 
 

「なっ!?そ、そんなこと言ってませんよ!!」

 

「じゃあ『全然思ってない』ってのは嘘かな?」

 

くっ、卑怯な……

 

「ま、まぁ、『全然』ってのは……言葉の綾というか……」

 

「う〜ん?聞こえないよ〜?」

 

「だから、別に長門に魅力がないとかってわけじゃ……」

 

「あーあー聞こえな〜い」

 

耳を塞ぎながら、あからさまに俺をからかう先輩に、
俺は羞恥心に体感温度急上昇になりながらも、
正直に口にした。

 
 
 

「…………まぁ、ちょっと、くらいは……そんなこと」

 
 
 
 
 

「どうしたの、こんな所で」

 

「うお!?」

 

突然背後から聞こえてきた声に、
ダンプカーに撥ねられたように驚く俺。
危うくナマコみたいに口から内臓を出すところだった。

 

「な、長門?」

 

「どうかした?」

 

俺の顔を怪訝そうにのぞきこみながら、そう言う長門に、
ケラケラ笑いながら鶴屋さんが声をかける。

 

「やぁ、長門っち」

 

「あ、こんにちは……あの、どうかしました?」

 

抱腹絶倒を文字どおりに実行しかねない勢いの先輩に、
不思議そうな顔をしながら文学少女は尋ねる。

 

「いやいや、何でもないっさ」

 

「?はぁ……そう、ですか」

 

何でもないわけがなかろう、と言いたげな長門に、
手を振りながら鶴屋さんは言葉を続けた。

 

「ちょっとキョン君に『内緒話をするときは周囲に気をつけろ』って教えてたのさっ」

 

「あぁ、まぁ……その通りですね」

 

それと先輩の罠にはもっと気をつけろ、という教訓も。

 

「??」

 

疑問符を並べる無口少女をよそに、
俺は先輩のありがた迷惑な言葉に同意することにした……

 
 
 
 
 
 

「それじゃ、そろそろ帰るにょろ」

 

散々笑い転げて一段落ついたのか、
薄らと涙目になった鶴屋さんは俺たちにそう言った。

 

「あ、じゃあ、また……」

 

「またね、長門っち。
キョン君に襲われないように注意するんだよっ?」

 

俺がそんなことをするわけがないでしょう。

 

そんな俺の心の声に同調するように、
力強く長門が抗議した。

 

「彼はそんなことできません」

 

さすが部長!部員のことをよくわかってらっしゃる!
でも『できません』ではなく『しません』と言ってほしいところなんだが……
何だか『このチキンにそんなことできるわけねぇよ』って言われてる気が……

 

「そうだね、キョン君はチキンだからそんなことは出来ないにょろ」

 

あれ、目から水分が……
それに狭心症でもないのに胸が痛いぞ?
誰かが俺の藁人形に五寸釘でも打ちこんでいるのだろうか?

 

そんな俺の様子を気にも留めず、
鶴屋さんはさらに話を続ける。

 

「それでも、もし、キョン君が襲いかかってきたら、
あたしがトキメキつるパンチで退治してあげるにょろ」

 

連打の後にショートアッパーをかましそうな素敵な技名ですね。
ぜひとも喰らいたくない一撃な予感がビンビンです。

 

しかしそんな長門にとっては有り難い提案に、
当の本人は少し上の空気味に何事かをつぶやいた……

 
 
 
 

「そんな時がくれば、それはそれでいいかも……」

 
 
 
 
 
 
 
 
 

オマケ

 

「ん?長門っち?なにか言ったにょろ?」

 

「い、いえ、別に……」

 

「ほんとに?」

 

「えぇ、本当に何も……」

 

「じゃあ、この柱の陰に設置しておいたボイスレコーダーを再生してみようかな?」

 

「えっ!?」

 

「ちょ!?鶴屋さん?いつの間にそんなものを……」

 

「もちろんキョン君がここに来る前に決まってるっさ!
おや?長門っち?手を離してくれないかい?」

 

「だめ」

 

「再生が押せないにょろ」

 

「だめです」

 

「わかったよ、押さないから離しておくれ」

 

「本当?」

 

「ほんとにょろ」

 

「それじゃあ……はい」

 

「ありがとっ」

 

「じゃあ、その録音機をこちらに……」

 

「仕方ないね……」

 

「早く……」

 
 

「あっ、手が滑っちゃったにょろ〜」

 
 

「!?」

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:39 (2711d)