作品

概要

作者書き込めない人
作品名もう一つのSOS団
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2010-04-04 (日) 21:56:43

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「じゃあ、今日も張り切って不思議なものを探すわよ!!」

 

長い髪を揺らしながら高らかに宣言して、
目の前の少女は手を俺のほうに突き出してきた。

 

「……何のつもりだ?」

 

「ごちそうさま」

 

そう言いながら指先に挟んだレシートを振る姿は、
さながらソクラテスの悪妻として有名なクサンチッペのようで……

 

「待ち合わせ時間に最後に来たのは誰?」

 

残念ながら俺だな。
妹がしがみついて離れなかったのだから仕方ない。
天災のようなもんだろ。

 

「遅刻して皆を待たせたのは誰?」

 

結果として俺だな。
だが、直接的な原因は妹を引き止めることが出来なかった三毛猫であり、
俺は被害者だと言えるのではなかろうか。

 

「そんな悪い人はせめて皆に奢ってあげるくらいはするべきじゃない?」

 

「断る。俺の懐具合は潤沢じゃないんだ」

 

「なによぅ、文句あるの?」

 

「大有りだ。そもそも定刻には間に合ってただろう!」

 

そんな風に言い合う俺たちの傍から、
控えめな声が聞こえてきた。

 

「あ、あのぉ……わたし、自分の分は払いますよ?」

 

「私も払う……」

 

そう言いながら愛らしい先輩と端正な顔立ちの同級生は、
鞄から財布を取り出そうとしていた。
やっぱりこの二人は目の前の暴虐女とは違って、
心優しいよな〜というか一緒にいるだけで癒されると言うかこのまm……

 

「だめよ、二人とも!!甘やかすのはいけないわ!」

 

甘やかされてるのはお前の方だ。
この二人は親切心からだな……

 

「で、でもぉ〜」

 

「おいハルヒ、あまり朝比奈さんを苛めるんじゃない」

 

「なによ〜あんたみくるちゃんの肩を持つつもり?」

 

ふてくされたような顔をする目の前のハルヒ。
それとは別の方向からまた別の少し不機嫌そうな声が聞こえてきた。

 

「……私は?」

 

「ん?あぁ、もちろんお前も朝比奈さんを苛めちゃダメだぞ」

 

「……そうではない」

 

分かってる。冗談だ冗談。
お前を苛めていい奴なんてどこにもいない。
もしいたら俺が足払いからニードロップ、
そしてロープを使ってのフライングボディプレスのコンボを決めてやる。

 

「そう」

 

俺の言葉を聴いて嬉しそうな顔をする文学少女。
普段控えめな性格だから感情が顔に出にくいが、
その分感情を露わにしたときがいっそう引き立って見える。

 

「でもあなたになら苛められても……」

 

「ん?何か言ったか?」

 

最後の方が蝶の羽音よりも小さくて聞こえなかったため、
聞き返した俺に長門は少し顔を赤らめながら答えた。

 

「な、なんでもない」

 

「そうなのか?」

 

少しばかり腑に落ちない俺に、
横から声がかけられた。

 

「ちょっと〜何二人でストロベリってるのよ?」

 

「な、別に俺と長門はそんな……」

 

「そうよね、だってあんたあたしのポニーテールが好きなんだもんね?
有希じゃポニーなんて無理だもんね〜」

 

見せ付けるように長髪を揺らすハルヒ。

 

「今の……本当?」

 

「ん?あぁ、まぁ……本当といえなくも無いが、その……」

 

「あ、でも今日は髪留め持ってないからな〜」

 

焦る俺をよそに演技が掛かった口調で話を続けるハルヒ。

 

「そうだ、今日はポニーテールに使えるウィッグでも探しに行こうかしら?
たまには違った感じでもいいわよね?
あとで古泉君だけじゃなくてあんたにも見せてあげようかしら」

 

「!?」

 

おぉ、珍しく長門が驚いている。
こんな感情豊かなこいつを見るのは久しぶりだな。

 

そんな無口少女の表情を楽しそうに眺めながら、
ハルヒはどんどん言葉を続けていく。

 

「あ〜でも、そっちの二人は今日は文芸部の活動をするのよね?」

 

「あぁ、俺と長門は今日図書館で今月読む本を探しに行くぞ」

 

昨日の夜に長門から電話が掛かってそう通達されたからな。
というわけで今日の不思議探索……このままだと買い物だろうが……は、
朝比奈さん、ハルヒ、先ほどからにやついてばかりの古泉の3人で……

 

そう思考する俺の横で、
控えめだが力強い声が聞こえてきた。

 
 
 

「私も行く」

 
 
 

「長門?行くって……どこに?」

 

「不思議探索」

 

「あら、無理しなくて良いのよ?
あたしと古泉君とみくるちゃんはあなた達の邪魔にならないように、
ポニテに似合いそうな髪留めとか付け毛とか買ってくるからさ」

 

「気にしなくていい。図書館は来週にもいけるから……」

 

そうなのか?
でも今日行かないと今週は読む本が部室においてるものだけ……

 

「じゃあ、今日は普通に不思議探検して、来週に買いに……」

 

「今週行くべき」

 

「あら?やっぱり、もしかして有希もポニーテールにしたいとか思ってるの?」

 

「そういうことじゃ……」

 

「『可愛い髪形で愛しのあの人に急接近☆』とか思ってるの?」

 

「なっ!?そ、んな、べ、別に……」

 

珍しい。長門がここまで狼狽……って、『愛しのあの人』だと!?
まさかこの静寂少女にそんな人がいるなんて……
てっきりそういうことには興味が無いものだと思っていたのに。

 

そんな風に微妙に驚く俺と、盛大に慌てふためく長門の様子を見比べながら、
楽しげに笑ってハルヒはこう言った。

 
 
 

「冗談よ。ほら、有希も一緒に行きましょ!!」

 
 
 

そう言いながら長門に手を差し伸べつつ、
満面の笑みを浮かべてハルヒはこちらを向いてさらに言葉を続けた。

 
 
 

「お勘定よろしくね、ジョン!」

 
 
 

結局俺は古泉と仲良く勘定を折半しながら、
店を出て行く三人娘の姿を眺めるしか出来なかった……

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:39 (2711d)