作品

概要

作者せだえんらc
作品名長門有希”を”口封じ
カテゴリーその他
保管日2009-03-28 (土) 14:14:13

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる登場 
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「待ってくれ、長門!」

 

「待たない」

 

俺の必死な声と対照的な、冷徹で冷静な長門の声が
夕陽の色に染め上げられた路地裏に虚しく響いた

 
 
 
 
 

なんでだよ?なんでこんなことになっちまったんだよ!?

 
 
 
 
 

もはや言葉を発することの出来ない俺の口に代わって、俺の魂が悲鳴を挙げていた・・・

 

 

事の発端はその日の団活に遡る

 

その日、珍しいことにハルヒは自宅に用事があると言い残して部室に顔を出さなかった

 

しかし俺はいつもの通り部室に赴いた

 

ハルヒが居なくても部室には長門が居る

 

部室のドアをノックし、いつもと変わらぬ朝比奈さんの声と、いつもと変わらぬ長門の沈黙の返事を受けて俺は部室のドアを開けた

 

今になって思う

 

俺がドアを開ける毎日をいつもどおりと思い込んでいても
今日開けたドアが昨日開けたドアと同じでも違うように
明日開けるドアも今日開けたドアと同じでも違うことを

 

日々は着実に進んでいる、その事をその時気づいておくべきだった、と・・・

 

 

部室の中を見回すとそこには心の底から安堵する光景が広がっていた

 

いつもと変わらぬ部室

 

いつもと変わらぬ笑顔の朝比奈さん

 

そしてなによりも・・・いつもと変わらぬ長門の姿

 

俺はその光景に安堵した、決してハルヒが居ないことに安堵したんじゃないぜ?(笑

 

古泉は俺からハルヒが帰ったと聞くとそそくさと部室を退いた

 

あいつもいろいろあるんだろう、森さんへの報告とか、森さんからのお説教とか、森さんからのお仕置きとか・・・

 

とりあえず俺は平穏なのでよしと考え、その日は長門に薦めてもらったネット小説を読んでいた

 

ふむふむ「TFEIたちのロンド」・・・ものすごい大長編作だな

 

画面に食い入るように小説を読み耽っていた俺の視界にそっと芳しい香りとともにお茶が差し出された

 

「ずいぶん夢中ですねキョンさん?喉が渇いたでしょう」

 

そういいながらいつもの通りお茶を差し出してくれる朝比奈さんにお礼を言いかけた次の瞬間、俺の視線は画面から別なところに食い入るように釘付けとなった

 

人は変わってゆくものだ

 

朝比奈さんの煎れてくれるお茶の味がどんどん成長するように、朝比奈さん自身も成長していた

 

ここでちょっと考えてみて欲しい

 

メイド服という入れ物の大きさが変わらないのに中身が成長していったらどうなるだろう?

 

答えは必然とわかる

 

納めきれなくなった入れ物は弾け飛ぶ

 

俺の視線はその時、朝比奈さんのメイド服のボタンが弾け飛び、そこから丸見えになった”ブ”から始まる女性だけが身につける着衣に食い入るように釘付けになっていた

 

だが、ちょっと待ってほしい!

 

高校生という年頃の健全たる男子がそのような魅惑の光景を見せ付けられて目を逸らすことが出来るであろうか?

 

いやない!

 

俺は思わず心中で反語を呟きながら、自分の劣情を弁護していた

 

だが、ちょっと待ってほしい!

 

そんな鼻の下を伸ばした俺のいやらしい表情を長門が見逃すであろうか?

 

いやない!

 

そして朝比奈さんの悲鳴とともに長門は本を閉じると部室を後にし、俺もそれを追いかけるように退室したのである

 

 

これが現状に到るまでの経緯である

 

そして現在、俺はすたすたと学校を後にする長門の後を追い、必死に言いつくろっていた

 

「私は情報統合思念体が涼宮ハルヒを観測する為に送り込んだ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス」

 

必死に弁解する俺の言葉を無視して長門は独り言でも呟くように話した

 

「そして同時にSOS団の団員でもある」

 

長門が何を言いたいのか判らないがまずは誤解を解かねば!

 

そう思いながら長門に食い下がる俺を長門はまるで意に介さない

 

「SOS団団員として同じ団員のあのような劣情を見逃すわけには行かない」

 

その直後の言葉に俺は戦慄した

 

「本件は団長である涼宮ハルヒに報告する」

 

長門は背中を向けたままそう言い残し、ハルヒの家の方向へ向けて歩を早めた

 

 

ここでちょっと考えてみてほしい

 

このことをハルヒが知った場合どうなるであろうか?

 

答えは必然とわかる

 

閉鎖空間の中で神人にボッコボコにされる古泉以上に、俺がハルヒにボッコボコにされるのは既定事項であろう

 

もはや長門の「報告」は俺に対する「死刑宣告」と同義であった

 

今、俺は生命の危機にさらされている

 

俺の頭は音を立てて血の気が引いていくのを感じながら、貧血すら起さず見事に既定された未来を予測していた

 

ここで長門を食い止めねば俺の命は無い

 

俺が決死の覚悟で長門を説得しようと覚悟を決めた時、突然長門は俺を路地裏に引き摺りこんだ

 

 

「あなたが助かる方法が一つだけある」

 

これまで俺を無視し続けてきた長門が路地裏に入って初めて俺を正面から見据えていった

 

「あなたにとっての問題は私が涼宮ハルヒに報告を行うこと、つまりこれを阻止すればいい」

 

いや、だからその「阻止」とやらをさっきから必死でやっているのだが?長門さん・・・俺の話聞こえてましたか?

 

頭に?マークを浮かべる俺を見据えながら殺気の篭った声で長門は言った

 

「あなたが私を”口封じ”すれば問題は解決する」

 

・・・・・・・・・・・・これは俺の沈黙の3点リーダーだ、長門じゃないぞ

 

「ここは路地裏、人目は無い、あなたが私に何をしても目撃される心配は無い」

 

な、長門!?おまえは何を言っているんだ?”口封じ”っていうのは・・・

 
 
 
 
 

”口封じ”っていうのは”俺がお前を殺す”ってことなんだぞ!?

 
 
 
 
 

言葉に出せずに絶句し、魂で悲鳴を挙げる俺を尻目に長門は淡々と話し続けた

 

「私は抵抗しない、それならばあなたの力でも容易に私を”口封じ”することができる」

 

やめてくれ、そんなことは言わないでくれ!

 

しかし心の中で絶叫し、必死に現実を拒絶する俺に向かって、長門は厳しい現実を無理矢理突きつけた

 

「あなたも冷静になって考えるべき、もしも涼宮ハルヒがこれを知って世界改変を起した場合のことを」

 

混乱の極みにあった俺の思考は長門の言葉に冷や水を浴びせられたように沈静した

 

確かに・・・確かに長門の言うとおりかもしれない、ハルヒがこれを知れば何をしでかすか判らない

 

しかし・・・しかしだからといってそれを阻止する為には、俺がこの手で長門を・・・

 

地獄に突き落とされたように沈黙する俺に長門は一刻の猶予も与えようとはしなかった

 

長門は静かに俺に宣告した

 

「現実は決して待ってくれない、あなたは決断しなければならない・・・」

 

そして長門は祈るように手を胸の前で組むと目を瞑り、
そっと顔を挙げて首筋を無防備にさらして逝った・・・

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「あなたの唇で私の口を封じて欲しい」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

次の瞬間、もはや言葉を発することの出来ない俺の口に代わって、俺の魂が歓喜の悲鳴を挙げていた

 

その後、俺がどれぐらい長い時間、長門を”口封じ”していたのかは二人だけの秘密だ(笑

 

 
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:27 (3047d)