作品

概要

作者せだえんらc
作品名新鮮
カテゴリーその他
保管日2009-02-22 (日) 10:00:36

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

「今夜、私の部屋に来て」

 

貴君らは突然、長門に上目遣いでこんなことを言われたらどうするだろうか?

 

もちろん俺は頭の中が一瞬でピンク色に染まってしまった

 

だがこれは男子たるもの当然のことだ!これについては一点も恥じ入るつもりは無い!反省もしない!(えっへん!)

 

しかしそう開き直る俺のピンク色に染められた期待は、大方の予想通り次の瞬間に打ち砕かれ絶望のどん底に突き落とされた

 

「あなたに今日にふさわしい夕食をご馳走したい」

 

そうだよな・・・18禁はいかんもんな、わかってたんだ、わかってたんだよ・・・でもちょっとだけ夢を見せてくれたっていいじゃないか(泣

 

その週の日曜日の団活の帰り道の足取りは、今までの人生の中で一番重かった・・・

 

 

家に帰った俺は夕刻になるのを待って別の服に袖を通し直していた

 

昼間と同じ服ではもしもハルヒがまだ徘徊していたら発見される可能性が高くなる、万が一見つかればコトがコトだけに生命の危機どころか世界の危機である

 

「(待ってろよ長門・・・『おまえも』おいしく食べてやるからな、ククク・・・)」

 

そうどす黒い煩悩の野望を心に秘めてジーンズの尻ポケットの中に「近藤さん」を1ダース積め、上着に手を伸ばした瞬間、俺の部屋のドアが蹴破られた

 

「ひ(ぃぃぃぃーーー!)」

 

人智を超えた「女の勘」でハルヒに見破られたのか!?と思った俺の悲鳴は「ひ」から後は断末魔の恐怖で声になっていなかった

 

「あれぇ?キョン君お出かけぇ?」

 

2月なのに既に頭の中はお花畑なかわいい妹の声に俺は命の危険で無くて良かったと胸を撫で下ろし、そしてはっとあることに気がついて慌てて妹の方を向き直った

 

「(だ、大丈夫だよな?尻ポケットの不自然なふくらみは見えなかったよな?)」

 

そう心中で脂汗を流しながら、顔は平静を取り繕って妹に問いかけた

 

「ど、どうしたんだ?そんなに血相変えて?」

 

ジーンズの尻ポケットが見えないようさりげなく視線を遮る姿勢をとる俺と部屋の中を妹は疑わしげな視線でスキャニングしている

 

「ねぇ・・・キョン君、何か隠し事してなぁい?」

 

今まで聴いたことの無い、妹の疑り深く、ねっとりと絡みつくような目線と声色に俺はびびった

 

なんだこの感じ?今の妹からはミヨキチのオーラを感じるぞ?

 

「な、な、な、な、な、何も隠してないぞ?」

 

あからさまに「隠してます」と自白しているも同然の俺の挙動不審な答えに、妹の目がますます疑り深いものに変わった

 

『ホント?』

 

(こ、このプレッシャー?ハルヒか?)

 

某ニュータイプ風に怯えながらも、はりぼての威厳を装って答える

 

「ホ、ホントだとも!ナニを隠すと言うんだい、あるてーしあ?」

 

心臓の鼓動は抑まっても頭の混乱は抑まらなかったらしく、俺は妹の名前を間違えて問いかえした、このあたりのヘタレぶりは某彗星の○ャアのようだ、しかしまずはイニシアティブを取り戻さねばならん!

 

「それに随分慌てているな?ナニをさがしているんだい妹よ?」

 

その俺の問いで、すぐに妹はいつもの妹に戻って慌てふためいてまくし立てた

 

よかった・・・やっぱり妹の頭は一年中春のままだ、決して春は春でもハルヒのようにだけはならないでくれよ

 

多方面に対して極めて失礼な感激を感じながら俺は心の中で涙した

 

「今朝からね、シャミセンがいないの!どこにもいないの!」

 

その問いに俺は安堵の溜息をつきながら玄関に向かい靴を履いた

 

「今は『そういう季節』なんだよ、シャミセンだって男なんだ、わかってやれ」

 

しかし、どうせこいつに言ってもわからないだろうな、むしろいつまでも判らないままでいてくれ、と微笑む俺の背中に妹は背筋の凍るような一言をかけてきたのだ

 

「ふぅん、キョン君もシャミセンと一緒なんだ・・・『逝ってらっしゃい』」

 

ミヨキチだ!間違いなく妹はミヨキチ色に染まりつつある!

 

半ば確信に近い物を感じ、その時の俺は怖くて振り向けなかった・・・

 

 

そして今、俺は長門の部屋の前に期待で胸と「前の方」を膨らませて起っていた

 

まるで自動ドアのように手動ドアが開く、いつものことではあるが長門は俺を待っていてくれた

 

「よぉ、長門!夕飯ご馳走してくれてありがとな!ところでメニューはなんなんだ?」

 

部屋の前に立った時点で、既に換気扇から流れ出るうまそうな匂いで判っていたが一応、長門に問いかけた

 

「カレー」

 

「そ、そうか・・・」

 

この時だけは予想が外れて欲しかったが、ミサイル防衛システム並みに正確に命中してしまったことを俺は悔やんだ

 

「(しかしまぁいいか、俺が本当にご馳走になるのは長門だしな・・・)」

 

だが不純度100%の思考で靴を脱ぎ、長門の後をキッチンに向かう俺に向かって、振り返りもせずに長門は釘を刺した

 

「一つ忠告しておく、1ダースでは不足、1グロス用意してくるべき」

 

俺は事実上、死刑宣告にも近い腎虚宣告を受けて降参し、尻ポケットの「近藤さん」をキッチンのゴミ箱に投げ捨てた・・・

 

 

それから更に1時間後、満腹した俺はリビングで長門の淹れてくれたお茶をすすっていた、むろん満腹できたのは上半身だけだ

 

満たされた食欲が満たされない煩悩を追い払ったのか、俺はまったりとくつろぎながら隣でお茶を飲む長門に聞いた

 

「長門のカレーはいつなにを食っても最高の味だな、今日のカレーは何カレーなんだ、歯ごたえのある肉だったな」

 

なぜか長門は俺に顔を向けようとせず答えた

 

「本当は狩りたての新鮮な肉よりも一晩寝かせたほうがいい、そのほうが柔らかくおいしくなる、でも時間が無かった」

 

そして俺は心から後悔した、その後の長門の一言を聞かなきゃよかったと・・・

 

「今日は2月22日”猫の日”、そして『あなたも今夜は寝かさない』」

 

真千

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:23 (3047d)